甲状腺ホルモン、ミトコンドリア機能、脱毛症
2014年5月13日
チャンドラー・マース
脱毛は、甲状腺疾患でよくみられる症状である。
我々の調査によると、脱毛、色や艶の変化、皮膚の変化が、薬物やワクチンに対する新たな非アレルギー性有害反応で最初に気がつく症状の1つとして、よく報告されている。
これらの症状は、しばしば説明不能な疲労や筋肉痛と同時に発生する。
さらに慢性的な、多症状の薬剤・ワクチン副反応を発症した多くの患者が、甲状腺疾患も発症し、しばしばミトコンドリアの損傷を示していることを考えると、髪や皮膚の変化が、ミトコンドリア機能低下の初期の警告的兆候なのではないかと思った。
また、これらの変化のすべてが関係しているのではないかとも考えた。
そして、それらが関係しているだけでなく、驚くほど相互依存していることが考察された。
ミトコンドリアとは何か?
高校の生物学を思い出すと、ミトコンドリアは細胞の内側にある豆のような形の小器官で、細胞呼吸やエネルギー産生を担っている。
様々な経路で、ミトコンドリアは細胞生存のための燃料を供給する。
細胞エネルギー産生以外にも、ミトコンドリアは、細胞アポトーシス (死)、カルシウム、銅と鉄の恒常性維持(ホメオスタシス)とステロイド産生を制御する。
要するに、ミトコンドリアは細胞の生存、つまり人間の生存に重要な役割を果たしている。ミトコンドリアを損傷すると、細胞機能障害すなわち死が起こるであろう。
ミトコンドリアを大量に損傷すると、慢性的な多症状の病気が起こることになる。
ミトコンドリアはどうやって損傷するのか
ミトコンドリアは適切な栄養が与えられていれば驚くほど丈夫であるが、栄養素がないと損傷をとても受けやすくなる。
ミトコンドリアの損傷は、母系DNA (mtDNA) または核DNA突然変異により遺伝されて、生まれたときに存在するか、ミトコンドリアの内分泌障害のケースにみられるように後の人生で誘引されるまで潜在する。
ミトコンドリアは、また後成的(エピジェネティック)な変化を受けやすく、その変化は、遺伝性であるか後天的なもので、誘引されるまで潜在する。
最後の例として、ミトコンドリアの機能障害は、医薬的または環境的暴露や栄養素や補助因子の欠乏により誘導されることも可能である。
ミトコンドリア機能と遺伝性に影響を与える機序の数がとても多いことが、ミトコンドリアの機能障害を診断したり予想することをとても難しくしており、特に、遺伝的またはエピジェネティックな検査では明らかにできない後天性または機能的ミトコンドリア病ではそれが難しい。
これらの後天的ミトコンドリア病、とくに薬剤への反応により誘引されたと思われるものが、ホルモンマターのウェブサイトでは最も興味深いものである。実際に、多くの薬やワクチンがミトコンドリア機能を直接および間接的に損傷するため、後天的ミトコンドリア損傷は、医療、特に毒性学で新しく出現している分野である。
ミトコンドリアの損傷はどのように現れるか
ミトコンドリアの損傷は、様々な形で多くの臓器に多様な症状で発現する。表面的には、ミトコンドリア機能障害の患者は、胃腸障害から認知障害、 不整脈から多発性硬化症のような症状、それらの中間の症状やそれらを凌ぐ症状など、多数の無関係な診断を受けるであろう。
ミトコンドリア機能障害の専門家であるリチャード・ボールズ博士によると:
“ミトコンドリア機能障害は、実際には何も引き起こしません。
それが引き起こすことは、あらゆる病気を引き起こしやすくすることです。
多因子疾患のリスク要因と考えられる多くのもののひとつです。
てんかん、慢性疲労、自閉症さえ、それらの病気に罹りやすくすることはありえますが、それだけでは、引き起こしません。
それは、他の要因と組み合わさって、病気を引き起こします。
このため、ある家族でひとつの突然変異が起こっても、その家族のメンバーがそれぞれに異なった影響を受けるのです。
それは、システム全体を病気に罹りやすくします"
これは、ヒトの身体が何十億以上のミトコンドリアを含んでおり、それらは身体のすべての細胞の細胞機能に必須であるというのが1つの理由である。機能障害 が現れる場所は、ミトコンドリアの不全が起こった場所、ミトコンドリアが損傷した機序に依存し、全体的な健康、栄養、環境なども、影響を与える。
例えばエネルギーの生成におけるミトコンドリアの役割を考えれば、脳、心臓、肝臓、そして筋肉などのエネルギーに大きく依存している組織が、直接的なミト コンドリア損傷の影響を最も受けやすい。細胞エネルギー論でのミトコンドリアの役割を考慮すれば、ミトコンドリア機能障害では疲労がほぼ全部の例でみられ る。
ホルモン合成とミトコンドリア機能 さらに事態をより複雑にするのは、ミトコンドリアが、副腎、卵巣、精巣、甲状腺でのステロイド産生も制御することである。ミトコンドリア機能の障害は、ど んなものでもホルモン産生や調節に重大な影響を与えることがありえる。ミトコンドリアと同じく、ホルモンも、生物学的恒常性(ホメオスタシス)、エネル ギーおよび代謝のすべての面に影響を与えるので、内分泌のミトコンドリアへの障害は、二重に衝撃を与え、制御が困難である内分泌の悪影響が次から次に起こ ることになる。これは、甲状腺では特によくみられることである。
甲状腺ホルモンとミトコンドリア機能
甲状腺の細胞は、その健康を保つためには正常なミトコンドリア機能に依存しており、正常なミトコンドリア機能は、細胞のエネルギー産生を管理するために、 甲状腺ホルモンに依存している。この相互に依存した関係が、甲状腺を特にミトコンドリアの悪循環の影響を受けやすくしている。甲状腺およびミトコンドリア 損傷の両者が、我々が調査している薬剤やワクチン有害反応の人びとに見られる。
甲状腺ホルモンはミトコンドリアの機能を調節する。特にトリヨードチロニン (T3)は、ミトコンドリアの生合成 (新たなミトコンドリアの誕生)を直接的 (遺伝性)、関節的 (非遺伝性) および後成的に刺激するミトコンドリア活性の主要な制御因子の1つと考えられている。
T3 は、ミトコンドリア代謝の中心的な活動である細胞の熱生成と酸素消費を増加させることを担っている。甲状腺機能低下状態では、熱と酸素が低減し、一方、甲 状腺機能亢進状態では両者は増加する。ここで、細胞内の熱およびエネルギー生成のパターンは、甲状腺機能低下および亢進状態の臨床的症状に対応している。 視床下部–下垂体–甲状腺系 (HPT) の他の甲状腺ホルモンおよび甲状腺ホルモン代謝経路内の他のヨードチロニンは、ミトコンドリア機能に影響を与える。
甲状腺ホルモンの存在量が低減するかなくなると、ミトコンドリアが産生するエネルギー量が減少し、最終的に死滅する。それとともに、ミトコンドリアが存在 する細胞自身も死滅することになる。逆に、甲状腺内のミトコンドリアの効率が低くなると、生成される甲状腺ホルモンの濃度が小さくなる 。甲状腺ホルモンが低減すると、ミトコンドリアの効率が低下し続け、これがさらにさらにと続いていく。
毛包: 視床下部–下垂体–甲状腺系(HPT)の小さなモデル
最近、ドイツの研究者によって、ヒトの毛包が甲状腺ホルモンに反応する機構が多数特定された。彼らの研究は、ヒトの皮膚と毛包が、中枢のHPTのホルモン に対応するすべてのホルモンを有する末梢HPT系を有していることを示した。毛包のミトコンドリアは、系に含まれる各甲状腺ホルモンに違った仕方で応答 し、ジヨードチロニン (T2)などの通常は生理活性がないと考えられている他のヨードチロニン類に応答することがわかった。
毛包、そして、おそらく他のミトコンドリアの甲状腺ホルモンに特に関連する興味深い知見は、活性酸素種 (ROS) の産生を多様な機構により防御することであった。ROSは、フリーラジカルや酸化剤ともよばれるが、病原体に対する防御やシグナル伝達のような基本的な細 胞・生命プロセスの多くに重要である酸素(エネルギー)代謝の自然な副産物であるが、ROSの濃度のバランスは厳密に保持されていなくてはならない。
ROSが多すぎたり十分でなかったりすると、健康が害される。フルオロキノロンへの副作用のケースでは、ROS の産生が増加することが示唆されている。毛包の研究によると、甲状腺ホルモンが、ROS 産生を防止したり、フリーラジカルを補足し除去する酵素、すなわち我々自身の内部の抗酸化剤を制御したりする。もしこの機能が、身体全体にわたって維持さ れているのならば、薬剤有害反応における甲状腺障害を調査し適切に管理すべきだというさらなる理由となる。
脱毛とミトコンドリアの損傷
皮膚および毛包にはミトコンドリアが高密度で存在し、それらが甲状腺ホルモンによって高度に制御されているので、一部の人びとにみられる脱毛の機構は、甲 状腺ホルモンの減少および/またはミトコンドリアの損傷のどちらかに起因する可能性がある。甲状腺ホルモンとミトコンドリアの関係は、相互的なものなの で、どちらの損傷が先におこったかを見つけるのは困難である。
しかしながら、発毛サイクルについて知っていることと、甲状腺ホルモンとミトコンドリア機能について現在知っていることを考慮すれば、突然の原因不明な脱 毛を誘発する化学物質による侵襲がいつ起こったかを推測することは可能である。より初期の反応に関しては、やや困難である。しかしながら、原因不明の脱毛 は、ミトコンドリア機能の悪化のサインであるように思われる。
発毛にはいくつかの段階で起こっている。成長期は、毛包が28日で1cm伸びる発毛サイクルである。この発毛段階は、2から7年間続く。正確な時間枠は、 遺伝的、より具体的には、母親方の祖母の健康に関連する要因によりエピジェネティックにより決定される。成長期の後は、毛包は、移行的な静止時期になり、 これが約2~3週間続く。この後、休止期となり、毛髪が抜け始める。任意の時間に、毛包の90%までが成長期すなわち発毛段階にあって、残りの毛包は、退 行期 (10-14%)または休止期 (1-2%)にある。
キモセラピー誘引の脱毛:ミトコンドリアに答えがあるのか?
化学療法では、脱毛は処置が始まったてから2-4週間後におこりはじめ、多数の機序が研究されているが、どれもキモセラピーによる脱毛を説明したり効果的 に処置するにいたっていない。時間枠、キモセラピーという毒性のある障害, 発毛におけるミトコンドリアの役割、および甲状腺の損傷との関連を考慮すると、キモセラピーによる脱毛症は、ミトコンドリアの損傷を示している。キモセラ ピーの間の毛髪の成長を保持する能力は、ミトコンドリアおよび/または甲状腺の健康状態を支援することに関連しているかもしれない。
薬剤やワクチンの有害反応などの、毒性のより低い、あるいは少なくとも直接的毒性のより低い化学物質による障害の場合には、症状が一斉に起こる数週間前あ るいはそれらの症状と同時におこる初期の抜け毛は、ミトコンドリア機能の低下と、おそらく甲状腺機能の低下の兆しの特徴である。
脱毛:ミトコンドリアの資源の再分配 発毛がエネルギー(「ミトコンドリア」参照)を大量に要するプロセスであることを考えると、突然の脱毛は、ミトコンドリアの資源が限られたものであり、より重要な脳や心臓の機能などの運用に再分配されていることを示している初期のマーカーであるかもしれない。
適切なミトコンドリア機能に必要な成分が存在しない場合、たとえば甲状腺ホルモンや細胞エネルギー(ATP)産生に必要な補助因子などが存在しない場合、 資源の再分配の第一候補は、重要ではない活動を止めることであろう。重要ではない活動には、発毛(および一般には覚醒-「薬剤およびワクチン有害反応とオ レキシン– ヒポクレチン神経細胞」参照のこと)が含まれる。突然の説明不可能な脱毛は、ミトコンドリアの機能障害を意味する可能性がある。脱毛の2~4週間前にさか のぼって、病気、薬剤服用、ワクチン、環境への暴露が、犯人である可能性がある。
原因が何であれ、甲状腺ミトコンドリアの健康状態を考慮すべきであり、それにあうように治療を開始すべきである。もし病気が継続すれば、症状は毛髪を超え て広がり、身体のすべての組織や器官にまで広がる可能性がある。同時に、栄養状態を調査し正すべきである。ミトコンドリア機能は、適切な栄養素に大いに依 存している。チアミンなどの重要な栄養素が欠乏していると、重大な影響を与えるかもしれない。
甲状腺とミトコンドリアの健康に配慮してください。
2014年5月13日
チャンドラー・マース
脱毛は、甲状腺疾患でよくみられる症状である。
我々の調査によると、脱毛、色や艶の変化、皮膚の変化が、薬物やワクチンに対する新たな非アレルギー性有害反応で最初に気がつく症状の1つとして、よく報告されている。
これらの症状は、しばしば説明不能な疲労や筋肉痛と同時に発生する。
さらに慢性的な、多症状の薬剤・ワクチン副反応を発症した多くの患者が、甲状腺疾患も発症し、しばしばミトコンドリアの損傷を示していることを考えると、髪や皮膚の変化が、ミトコンドリア機能低下の初期の警告的兆候なのではないかと思った。
また、これらの変化のすべてが関係しているのではないかとも考えた。
そして、それらが関係しているだけでなく、驚くほど相互依存していることが考察された。
ミトコンドリアとは何か?
高校の生物学を思い出すと、ミトコンドリアは細胞の内側にある豆のような形の小器官で、細胞呼吸やエネルギー産生を担っている。
様々な経路で、ミトコンドリアは細胞生存のための燃料を供給する。
細胞エネルギー産生以外にも、ミトコンドリアは、細胞アポトーシス (死)、カルシウム、銅と鉄の恒常性維持(ホメオスタシス)とステロイド産生を制御する。
要するに、ミトコンドリアは細胞の生存、つまり人間の生存に重要な役割を果たしている。ミトコンドリアを損傷すると、細胞機能障害すなわち死が起こるであろう。
ミトコンドリアを大量に損傷すると、慢性的な多症状の病気が起こることになる。
ミトコンドリアはどうやって損傷するのか
ミトコンドリアは適切な栄養が与えられていれば驚くほど丈夫であるが、栄養素がないと損傷をとても受けやすくなる。
ミトコンドリアの損傷は、母系DNA (mtDNA) または核DNA突然変異により遺伝されて、生まれたときに存在するか、ミトコンドリアの内分泌障害のケースにみられるように後の人生で誘引されるまで潜在する。
ミトコンドリアは、また後成的(エピジェネティック)な変化を受けやすく、その変化は、遺伝性であるか後天的なもので、誘引されるまで潜在する。
最後の例として、ミトコンドリアの機能障害は、医薬的または環境的暴露や栄養素や補助因子の欠乏により誘導されることも可能である。
ミトコンドリア機能と遺伝性に影響を与える機序の数がとても多いことが、ミトコンドリアの機能障害を診断したり予想することをとても難しくしており、特に、遺伝的またはエピジェネティックな検査では明らかにできない後天性または機能的ミトコンドリア病ではそれが難しい。
これらの後天的ミトコンドリア病、とくに薬剤への反応により誘引されたと思われるものが、ホルモンマターのウェブサイトでは最も興味深いものである。実際に、多くの薬やワクチンがミトコンドリア機能を直接および間接的に損傷するため、後天的ミトコンドリア損傷は、医療、特に毒性学で新しく出現している分野である。
ミトコンドリアの損傷はどのように現れるか
ミトコンドリアの損傷は、様々な形で多くの臓器に多様な症状で発現する。表面的には、ミトコンドリア機能障害の患者は、胃腸障害から認知障害、 不整脈から多発性硬化症のような症状、それらの中間の症状やそれらを凌ぐ症状など、多数の無関係な診断を受けるであろう。
ミトコンドリア機能障害の専門家であるリチャード・ボールズ博士によると:
“ミトコンドリア機能障害は、実際には何も引き起こしません。
それが引き起こすことは、あらゆる病気を引き起こしやすくすることです。
多因子疾患のリスク要因と考えられる多くのもののひとつです。
てんかん、慢性疲労、自閉症さえ、それらの病気に罹りやすくすることはありえますが、それだけでは、引き起こしません。
それは、他の要因と組み合わさって、病気を引き起こします。
このため、ある家族でひとつの突然変異が起こっても、その家族のメンバーがそれぞれに異なった影響を受けるのです。
それは、システム全体を病気に罹りやすくします"
これは、ヒトの身体が何十億以上のミトコンドリアを含んでおり、それらは身体のすべての細胞の細胞機能に必須であるというのが1つの理由である。機能障害 が現れる場所は、ミトコンドリアの不全が起こった場所、ミトコンドリアが損傷した機序に依存し、全体的な健康、栄養、環境なども、影響を与える。
例えばエネルギーの生成におけるミトコンドリアの役割を考えれば、脳、心臓、肝臓、そして筋肉などのエネルギーに大きく依存している組織が、直接的なミト コンドリア損傷の影響を最も受けやすい。細胞エネルギー論でのミトコンドリアの役割を考慮すれば、ミトコンドリア機能障害では疲労がほぼ全部の例でみられ る。
ホルモン合成とミトコンドリア機能 さらに事態をより複雑にするのは、ミトコンドリアが、副腎、卵巣、精巣、甲状腺でのステロイド産生も制御することである。ミトコンドリア機能の障害は、ど んなものでもホルモン産生や調節に重大な影響を与えることがありえる。ミトコンドリアと同じく、ホルモンも、生物学的恒常性(ホメオスタシス)、エネル ギーおよび代謝のすべての面に影響を与えるので、内分泌のミトコンドリアへの障害は、二重に衝撃を与え、制御が困難である内分泌の悪影響が次から次に起こ ることになる。これは、甲状腺では特によくみられることである。
甲状腺ホルモンとミトコンドリア機能
甲状腺の細胞は、その健康を保つためには正常なミトコンドリア機能に依存しており、正常なミトコンドリア機能は、細胞のエネルギー産生を管理するために、 甲状腺ホルモンに依存している。この相互に依存した関係が、甲状腺を特にミトコンドリアの悪循環の影響を受けやすくしている。甲状腺およびミトコンドリア 損傷の両者が、我々が調査している薬剤やワクチン有害反応の人びとに見られる。
甲状腺ホルモンはミトコンドリアの機能を調節する。特にトリヨードチロニン (T3)は、ミトコンドリアの生合成 (新たなミトコンドリアの誕生)を直接的 (遺伝性)、関節的 (非遺伝性) および後成的に刺激するミトコンドリア活性の主要な制御因子の1つと考えられている。
T3 は、ミトコンドリア代謝の中心的な活動である細胞の熱生成と酸素消費を増加させることを担っている。甲状腺機能低下状態では、熱と酸素が低減し、一方、甲 状腺機能亢進状態では両者は増加する。ここで、細胞内の熱およびエネルギー生成のパターンは、甲状腺機能低下および亢進状態の臨床的症状に対応している。 視床下部–下垂体–甲状腺系 (HPT) の他の甲状腺ホルモンおよび甲状腺ホルモン代謝経路内の他のヨードチロニンは、ミトコンドリア機能に影響を与える。
甲状腺ホルモンの存在量が低減するかなくなると、ミトコンドリアが産生するエネルギー量が減少し、最終的に死滅する。それとともに、ミトコンドリアが存在 する細胞自身も死滅することになる。逆に、甲状腺内のミトコンドリアの効率が低くなると、生成される甲状腺ホルモンの濃度が小さくなる 。甲状腺ホルモンが低減すると、ミトコンドリアの効率が低下し続け、これがさらにさらにと続いていく。
毛包: 視床下部–下垂体–甲状腺系(HPT)の小さなモデル
最近、ドイツの研究者によって、ヒトの毛包が甲状腺ホルモンに反応する機構が多数特定された。彼らの研究は、ヒトの皮膚と毛包が、中枢のHPTのホルモン に対応するすべてのホルモンを有する末梢HPT系を有していることを示した。毛包のミトコンドリアは、系に含まれる各甲状腺ホルモンに違った仕方で応答 し、ジヨードチロニン (T2)などの通常は生理活性がないと考えられている他のヨードチロニン類に応答することがわかった。
毛包、そして、おそらく他のミトコンドリアの甲状腺ホルモンに特に関連する興味深い知見は、活性酸素種 (ROS) の産生を多様な機構により防御することであった。ROSは、フリーラジカルや酸化剤ともよばれるが、病原体に対する防御やシグナル伝達のような基本的な細 胞・生命プロセスの多くに重要である酸素(エネルギー)代謝の自然な副産物であるが、ROSの濃度のバランスは厳密に保持されていなくてはならない。
ROSが多すぎたり十分でなかったりすると、健康が害される。フルオロキノロンへの副作用のケースでは、ROS の産生が増加することが示唆されている。毛包の研究によると、甲状腺ホルモンが、ROS 産生を防止したり、フリーラジカルを補足し除去する酵素、すなわち我々自身の内部の抗酸化剤を制御したりする。もしこの機能が、身体全体にわたって維持さ れているのならば、薬剤有害反応における甲状腺障害を調査し適切に管理すべきだというさらなる理由となる。
脱毛とミトコンドリアの損傷
皮膚および毛包にはミトコンドリアが高密度で存在し、それらが甲状腺ホルモンによって高度に制御されているので、一部の人びとにみられる脱毛の機構は、甲 状腺ホルモンの減少および/またはミトコンドリアの損傷のどちらかに起因する可能性がある。甲状腺ホルモンとミトコンドリアの関係は、相互的なものなの で、どちらの損傷が先におこったかを見つけるのは困難である。
しかしながら、発毛サイクルについて知っていることと、甲状腺ホルモンとミトコンドリア機能について現在知っていることを考慮すれば、突然の原因不明な脱 毛を誘発する化学物質による侵襲がいつ起こったかを推測することは可能である。より初期の反応に関しては、やや困難である。しかしながら、原因不明の脱毛 は、ミトコンドリア機能の悪化のサインであるように思われる。
発毛にはいくつかの段階で起こっている。成長期は、毛包が28日で1cm伸びる発毛サイクルである。この発毛段階は、2から7年間続く。正確な時間枠は、 遺伝的、より具体的には、母親方の祖母の健康に関連する要因によりエピジェネティックにより決定される。成長期の後は、毛包は、移行的な静止時期になり、 これが約2~3週間続く。この後、休止期となり、毛髪が抜け始める。任意の時間に、毛包の90%までが成長期すなわち発毛段階にあって、残りの毛包は、退 行期 (10-14%)または休止期 (1-2%)にある。
キモセラピー誘引の脱毛:ミトコンドリアに答えがあるのか?
化学療法では、脱毛は処置が始まったてから2-4週間後におこりはじめ、多数の機序が研究されているが、どれもキモセラピーによる脱毛を説明したり効果的 に処置するにいたっていない。時間枠、キモセラピーという毒性のある障害, 発毛におけるミトコンドリアの役割、および甲状腺の損傷との関連を考慮すると、キモセラピーによる脱毛症は、ミトコンドリアの損傷を示している。キモセラ ピーの間の毛髪の成長を保持する能力は、ミトコンドリアおよび/または甲状腺の健康状態を支援することに関連しているかもしれない。
薬剤やワクチンの有害反応などの、毒性のより低い、あるいは少なくとも直接的毒性のより低い化学物質による障害の場合には、症状が一斉に起こる数週間前あ るいはそれらの症状と同時におこる初期の抜け毛は、ミトコンドリア機能の低下と、おそらく甲状腺機能の低下の兆しの特徴である。
脱毛:ミトコンドリアの資源の再分配 発毛がエネルギー(「ミトコンドリア」参照)を大量に要するプロセスであることを考えると、突然の脱毛は、ミトコンドリアの資源が限られたものであり、より重要な脳や心臓の機能などの運用に再分配されていることを示している初期のマーカーであるかもしれない。
適切なミトコンドリア機能に必要な成分が存在しない場合、たとえば甲状腺ホルモンや細胞エネルギー(ATP)産生に必要な補助因子などが存在しない場合、 資源の再分配の第一候補は、重要ではない活動を止めることであろう。重要ではない活動には、発毛(および一般には覚醒-「薬剤およびワクチン有害反応とオ レキシン– ヒポクレチン神経細胞」参照のこと)が含まれる。突然の説明不可能な脱毛は、ミトコンドリアの機能障害を意味する可能性がある。脱毛の2~4週間前にさか のぼって、病気、薬剤服用、ワクチン、環境への暴露が、犯人である可能性がある。
原因が何であれ、甲状腺ミトコンドリアの健康状態を考慮すべきであり、それにあうように治療を開始すべきである。もし病気が継続すれば、症状は毛髪を超え て広がり、身体のすべての組織や器官にまで広がる可能性がある。同時に、栄養状態を調査し正すべきである。ミトコンドリア機能は、適切な栄養素に大いに依 存している。チアミンなどの重要な栄養素が欠乏していると、重大な影響を与えるかもしれない。
甲状腺とミトコンドリアの健康に配慮してください。
コメントを投稿