脱毛症の種類
抜け毛や脱毛症といってもいろいろあります。ごく簡単に紹介すると以下のようなものがあります。
※脱毛はヘアサイクルと関係が深いです。ヘアサイクルについては、こちらの記事に詳しく書いています。
男性型脱毛症
男性型脱毛症(AGA*2)は、男性の脱毛症では最も多い脱毛症で、男性の30%(10人に3人、約3人に1人)が発症すると言われている脱毛症です。
毛穴(毛包)自体はあって、髪の毛は生えるのですが、十分に成長する前に成長が止まるため髪が細くなります。
また髪はヘアサイクルによって成長したあと自然に脱毛し、その後3ヶ月ほど休止期として髪が生えてこない期間があるのですが、成長期間が短くなること休止期の髪の毛の割合が増えて、全体的に成長中の髪の本数が減る症状です。
男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)とそれを受容する受容体(レセプター)がそろうことで発症するため、遺伝子が大きく関わってると言われています。
この脱毛症の特徴として皮脂の分泌量も増える、主に頭頂部と前頭部が薄くなる、生え際のこめかみ部分が後退する(M字ハゲ)といった症状があらわれます。
また直接の要因ではありませんが、生活習慣やストレスなどが引き金となって男性型脱毛を発症する場合もあると言われています。
目次にもどる女性男性型脱毛症
男性型脱毛症は男性に多い症例ですが、まれに女性にも発症します。それを女性男性型脱毛症(FAGA*3)と言います。
実は男性の男性型脱毛症と同じように、女性の脱毛症においても最も多い症状です。
発症原因は男性のものと同じ男性ホルモンと受容体(レセプター)で、更年期などで女性ホルモンが減少することで男性ホルモンが優位に立ち、その影響で発症すると言われています。
男性の男性型脱毛症と同じように皮脂の分泌量が増えるといった特徴があります。ただし、脱毛のパターンは男性型脱毛症とは異なり、頭頂部・前頭部を中心に髪の毛全体が細くなります。なので男性のようにM字禿げや完全に禿げることはありません。
頭髪全体が細く薄くなっていくこともあり、瀰漫(びまん)性脱毛症*4とも言われたりしています。
目次にもどるフケや皮膚炎による脱毛
皮膚の病状に粃糠(ひこう)疹というものがあり、これは皮膚の角質が新陳代謝が速まることで増殖し、糠(ぬか)のようにはがれる症状のことを言います。
この症状が頭皮に生じて脱毛する症状を粃糠性脱毛症と言います。簡単に言えば、多量の頭垢(フケ)を伴う脱毛症です。
これらの原因はふけ症や脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)や、頭皮の乾燥、または乾癬など何らかの皮膚炎だと言われています。
またフケが無くても皮膚炎によって脱毛が生じることもあります。
一般的にはフケと皮脂によって毛穴がふさがり、そこに菌が増殖して炎症がおこることで生じる脱毛症とされていますが、脂漏性皮膚炎では脱毛しないという話もあります。
また多量のフケを伴わなくても、頭皮の炎症(皮膚炎)や湿疹によって脱毛する場合もあります。
これらの脱毛症はフケや皮膚炎が解消されると、髪の毛も再び元に戻るとされています。
ただし、フケや皮膚炎といったこれらの症状が、いったい何の病気なのか判断するのは非常に難しく、また判断を間違える可能性もあります。
なので、フケや皮膚炎による抜け毛が気になる方は、皮膚科か専門医に相談したほうが良いでしょう。
目次にもどる栄養不足による脱毛
髪は体の一部なので、髪を作るには元となる材料である栄養素が必要です。
髪の主成分はタンパク質なので当然タンパク質が必要なのですが、脂質と炭水化物(糖質)も、もちろん必要です。それら以外にビタミンやミネラルも必要です。
それらの中には体内で作られない成分もあります。それらをふくめ食事などで栄養を摂取しなければ髪を作る栄養分が足りなくなり、髪が細くなったり、場合によっては脱毛へとつながります。
過剰なダイエットや偏った食事など、バランスの取れた食事を心がけることで、これらは改善されます。
目次にもどる血行不良不による脱毛
髪に栄養を運ぶのは血液ですので、その血液の流れが悪くなると栄養不足と同じように脱毛につながる場合があります。
血行不良はヘルメットなどによる局所的な圧迫などがあげられます。また真偽のほどは分かれるのですが、喫煙も血管を収縮するため脱毛につながると言われています。
目次にもどる牽引性脱毛症(ポニーテールはげ)
牽引(けんいん)性脱毛症(結髪性脱毛症)とは、別名ポニーテールはげやかもじ禿(はげ)と呼ばれ、芸者や舞妓、力士に多く表れる症状です。
この脱毛症は、長い期間にわたって髪が引っ張られ続けることで毛根にストレスがかかり、前頭部や側頭部の生え際や分け目の髪が細くなり切れやすくなる症状です。症状がひどくなれば脱毛へとつながる場合もあります。
力士など日常的に日本髪を結っている方は、強い力で髪の毛を引っ張り続けるため、どうしても生え際部分などが薄くなります。似たような症状が表れる髪型でポニーテール、エクステンション、編みこみなどがあげられます。
このように強く髪を引っ張る髪型をたまにするぐらいなら気にする必要はないのですが、くせ毛が気になるため每日髪を強く引っ張って、くくったりしていると、この脱毛症を生じる場合があります。
この症状を防ぐには、髪型を変えるなどをして頭皮や毛根を休ませることが必要です。また脱毛まで進むとなかなか回復しないこともあります。その場合は皮膚科や専門のクリニックで相談されることをオススメします。
目次にもどるホルモンの影響による脱毛
内分泌、いわゆるホルモンは私たちの身体の働きを調整する役割があるのですが、そのホルモンの分泌量が減ったり増えすぎたりすると、脱毛することがあります。
ホルモン分泌の異常による症例としては、更年期による瀰漫性脱毛症、出産後の脱毛(分娩後脱毛症または産後脱毛症脱毛)、甲状腺ホルモンの分泌異常、下垂体や副腎皮質の機能低下などがあげられます。
目次にもどる薬や治療の副作用による脱毛
ある特定の薬を服用すると、副作用として脱毛症を発症することがあります。代表的なものでは抗がん剤です。
また放射線治療など、副作用として脱毛を生じる治療もあります。
この症例の場合、薬の服用や治療が終わると髪は再び生えてきます。
目次にもどる感染による脱毛
皮膚に感染する頭部白癬(しらくも)や禿瘡、梅毒(梅毒性脱毛)やハンセン病といった感染症などでも脱毛を発症するものがあります。
基本的には症状から治ると脱毛も治りますが、ハンセン病などでは脱毛したままで治らない場合もあります。
目次にもどるアザや腫瘍による脱毛
脂腺母斑など頭皮にアザや腫瘍などがあると、その部分に髪の毛が生えてこないことがあります。
これらを治療するとなると切除といった手術となることが多いので、その場合は皮膚科や形成外科といった専門医に相談するとよいでしょう。
目次にもどる精神的なものによる脱毛
精神的なストレスは脱毛の直接の原因にはなりませんが、脱毛症の引き金となることは多くあります。
また精神的な疾患の一つに、自分で髪の毛を抜いてしまう抜毛癖(トリコチロマニア)などがあります。
主に子供と女性に多い症状で、抜いていることを気づかせることにより症状が収まることもあります。また環境が変わるなどして時間が経てば自然と治ることもあります。
ただ難治の場合は心理カウンセリングや精神科での治療を必要とする場合もあります。
目次にもどるキズやヤケドによる脱毛
瘢痕(はんこん)とはできものや傷が治った後にできる傷痕で、頭皮の場合、できものや傷・ヤケドが治った部分の毛根が無くなることにより、その部分に髪の毛が生えてこないことがあります。それがこの脱毛症です。
この脱毛症の場合、毛根(毛包)が無くなってしまうため、植毛手術でしか現段階では髪を生やす方法がありません。
目次にもどる円形脱毛症
原因不明の脱毛症で、10円玉ほどの円形の脱毛斑ができるのが最もポピュラーな症状なので円形脱毛症という名前になっています。
主に側頭部・後頭部にできることが多く、大半は自然に治ります。ただし症状によっては頭髮の大部分または全頭・全身という症例もあり、症状もなかなか治らない場合があります。
以前はストレスが原因だと言われていましたが、近年では体内に侵入した菌などを攻撃するリンパ球が、髪の毛を作る部分である毛根を攻撃することによっておこる免疫疾患だということが発見されています。ストレス自体は円形脱毛症の直接の原因ではありませんが、免疫に影響をあたえるなど副次的に影響を与えている可能性はあります。
ただ、どうしてリンパ球が毛根を攻撃するようになるのか、その原因はまだ解明されていません。またアトピー性皮膚炎と何らかの関連性があるとも言われています。
治療は現段階では対症療法としてステロイドがメインとなります。
目次にもどる慢性休止期脱毛症
いろいろと脱毛症を紹介しましたが、実は髪の毛を無理矢理引っ張たり怪我や火傷など外的要因以外の脱毛症、つまり自然に抜けてしまう脱毛症には大きく分けて2種類あります。
1つは成長期脱毛症で、これは読んで字のごとくヘアサイクルの成長期に突然脱毛する脱毛症です。この脱毛症には円形脱毛症や抗がん剤による脱毛症があげられます。
これら以外の脱毛症は、だいたいはヘアサイクルの休止期が増えることで髪の総本数が減る休止期脱毛症です。
通常では髪の毛全体の10%~15%ほどが髪が生えない休止期なのですが、何らかの理由によりこの割合が20%、30%ほどと増加するのがこの脱毛症です。
この脱毛症は出産後などのホルモンの急激な変化、過度なダイエットなどの栄養不足、過度なストレスや何らかの病気、または抗がん剤以外の薬などでも発症します。男性型脱毛症も休止期脱毛症の1種です。
この休止期脱毛症の中に慢性的に休止期脱毛症が生じて長期にわたって休止期の割合が増加するものがあります。それが慢性休止期脱毛症です。
この脱毛症は女性特有の脱毛症とされ、女性男性型脱毛に次いで多い脱毛症です。現段階でも原因の特定が難しい脱毛症で、有効な治療法は確立されていません。
この脱毛症は30代以降で発症することが多く、長く硬くしっかり成長した髪が抜けるのが特徴です。頭髪全体が薄くなる瀰漫性の脱毛症です。
症状はひどくなったり軽くなったりを数年間と長期間続きます。ただし、全ての毛髪が抜けるということはありません。
目次にもどるその他の脱毛
これら以外では、膠原病の全身性エリテマトーデス(SLE)や、糖尿病などの代謝病など、何らかの原因疾患があるためにおこる脱毛症(症候性脱毛症)があります。
また毛が脆く折れて切れやすくなる毛髪奇形や、歯科金属(銀歯)など金属アレルギーによる脱毛(接触皮膚炎による脱毛)、慢性湿疹や化学物質などが脱毛の原因となりえます。
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