湿疹と間違えないで!蕁麻疹の正しい知識と対処・治療法
湿疹と蕁麻疹はどちらも皮膚に発祥する病気でよく似ていますが、発祥の仕方が異なるため治療補が違います。そんなよく似た湿疹と蕁麻疹を見間違えないために、こちらでは蕁麻疹の正しい知識と対処・治療法を紹介します。

蕁麻疹とは

 

蕁麻疹とは、皮膚の一部に突然赤み(紅斑)を伴う皮膚の盛り上がり(膨疹)ができ、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気のことです。「蕁麻疹」という名前は、蕁麻(じんま)(別名イラクサ)という植物の葉に触れたときにあらわれる皮膚症状とよく似ていることが由来となっています。

蕁麻疹の症状は、皮膚の灼熱感・かゆみを伴う赤い膨疹が現れ、症状が強い場合は、次々と新しい膨湿ができ広い範囲に広がったり、体のあらゆるところにできてしまうこともあります。この赤い膨疹は、数分から数時間で消えることがほとんどですが、できたかと思うと消えまた別の場所に出たりと数日間続くケースもあります。

蕁麻疹で現れる「膨疹」は、1~3mmの円形・楕円形のものから、直径10cm以上の地図状のものまで大きさや形は様々です。大抵はかゆみを伴いますが、チクチクとした痛みや焼けるような痛みを感じることもあります。また、まれにまぶたや唇などが腫れたり、腸の粘膜や気道内が腫れ下痢などの消化器症状を起こしたり、胸やのどが苦しくなり、ゼーゼーと音を立てたり咳が出たりすることがあります。そのような場合、症状が激しくなると呼吸困難に陥ったり、さらにはショック症状(アナフィラキシーショック)を起こす可能性もありますので、緊急の対応が必要です。

この蕁麻疹という病気は大まかに「特発性蕁麻疹」「刺激誘発型の蕁麻疹」「血管性浮腫」「その他(蕁麻疹に似ている疾患も含む)」の4つに分類することができます。

 

■ 特発性蕁麻疹

特発性蕁麻疹には、「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」があります。「急性蕁麻疹」は、1ヶ月以内に治るもので、毎日のように症状が現れます。細菌・ウイルス感染などが原因であるアレルギー性のものが多いと考えられています。「慢性蕁麻疹」は、1ヶ月以上症状が継続するもので、毎日のように症状が現れます。慢性蕁麻疹の場合は、原因が特定できず非アレルギー性のものが多いと考えれれています。

 

■ 刺激誘発型の蕁麻疹

物理性蕁麻疹には、とても多くの種類があり、特定の刺激や条件が加わった時に発症し、数十分~数時間以内に消失する蕁麻疹です。刺激誘発型の蕁麻疹には、アレルギー性の蕁麻疹、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、非アレルギー性の蕁麻疹、アスピリン蕁麻疹、物理性蕁麻疹、コリン性蕁麻疹、接触蕁麻疹があります。

 

■ 血管性浮腫

血管性浮腫は、皮膚の深部や粘膜にむくみが突然起こります。かゆみはありません。ある日突然むくんでは、2~3日後には消えてしまいます。特に唇やまぶたが腫れ上がることが多く、上気道にむくみが起こってしまうと窒息してしまう危険もあります。

蕁麻疹と似た原因で発症する後天性のほか、遺伝による先天性のケースもあります。血管性浮腫には、特発性の血管性浮腫・外来物質起因性の血管性浮腫・C1-INHの低下による血管性浮腫などがあげられます。

 

■ その他(蕁麻疹に似ている疾患も含む)

特殊なケースとして、蕁麻疹のような発疹が長く続いた場合は蕁麻疹様血管炎、色素沈着が残る場合は色素性蕁麻疹、他にもSchnitzler症候群、クリオピリン関連周期性症候群などが考えられます。

 

 

蕁麻疹患者のうち70%以上の人が突発性蕁麻疹である

 

蕁麻疹患者のうち70%以上の人が、「特発性蕁麻疹(急性・慢性蕁麻疹)」であるといわれています。では、特発性蕁麻疹とはどのようなものなのでしょう?こちらでは特発性蕁麻疹の症状と原因について紹介します。

特発性蕁麻疹とは、原因が明らかではない蕁麻疹のことを指します。上記でも説明しましたが、毎日のように症状が現れ、それが1ヶ月以内続くものを急性蕁麻疹、1ヶ月以上持続するものを慢性蕁麻疹と呼びます。

 

■ 特発性蕁麻疹の原因

特発性蕁麻疹が発症してしまう原因は明らかではありませんが、特定の原因がまったくないというわけではありません。蕁麻疹患者の70%以上の人が発症原因を「わからない」と答えており、仮に医師が診察したとしても、その症状だけでの原因の特定は難しいため、そのようなじんましんは「特発性蕁麻疹」に分類されます。つまり、特発性蕁麻疹は原因不明の病気ということではなく、あくまで原因が判別しにくいという意味なのです。実際には、疲労や精神的ストレス、細菌感染などが原因で症状が悪化するケースが多くみられます。

 

■ 特発性蕁麻疹の症状

1~3mmの小さなものから手のひら大のものまで大小の円形・環状の膨隆疹や、地図のような形の紅斑などが皮膚に突如出現します。これら強いかゆみをともない、稀にチクチクとしたり、焼けるような感じがしたりするケースもあります。腕、足、腹部など全身どこにでも現れ、通常は数時間で跡形もなく消えます。症状が強い場合は、場所が移動したり、どんどん新しい蕁麻疹が出現して全身に広がったりすることもあり一度発症するとその後、再発をくりかえすケースもあります。重度の場合、気道内に腫れが生じて呼吸困難を起こしてしまうこともあります。このように、症状自体は全ての蕁麻疹と同様で、特発性蕁麻疹特有の症状などはありません。

 

 

正しく理解しよう!蕁麻疹の原因について

 

蕁麻疹には、アレルギー性のものと、非アレルギー性の2つがありそれぞれ原因が違います。

■ アレルギー性の蕁麻疹

アレルギー性の蕁麻疹は、食べ物・食品添加物・動植物・薬剤などが原因です。これらに含まれるアレルギーの原因物質が身体の中に入り込み、体内で異物と認識されてしまうと細胞からさまざまな化学物質が放出されます。その中のヒスタミンという物質がかゆみを感じる神経を刺激し、皮膚の血管を拡張させ血液中の水分を血管の外に浸み出させてしまうのでかゆみを伴う赤い膨疹が現れます。これが、アレルギー性の蕁麻疹が起きる代表的な仕組みです。

アレルゲンとなる物質を摂取すると、その直後から約2時間以内に蕁麻疹が現れるといわれています。通常、蕁麻疹は数時間経てば跡形もなく消え去り、長くても1日以上が続くことはありませんが、アレルギー性の蕁麻疹の場合同じアレルゲンを摂取することで再発を繰り返します。また、再発を繰り返すことで重症化してしまい、命の危険を伴うケースもあるため注意が必要です。

 

≪アレルギー性の蕁麻疹の主な原因≫

 

▽ 食べ物

肉類・魚介類(青魚や貝など)・甲殻類(カニやエビなど)・卵や乳製品などの乳製品・穀類(小麦やソバなど)・豆類・野菜・食品添加物など。

※乳製品・卵・小麦・ソバ・落花生の5つは特にアレルギーを起こしやすい五大成分といわれています。

▽ 動植物や昆虫など

蕁麻(じんま)・ゴム・ハチ・ペットの毛・ダニの死骸などのハウスダスト・綿ホコリ・花粉など。

 

▽ 薬剤

抗生物質・ペニシリン系抗生物質・NSAID(非ステロイド消炎鎮痛剤)ピリン系薬剤・アセチルサリチル酸製剤など。

※薬剤が原因で起こるアレルギー性の蕁麻疹は、重症化する可能性もあるため緊急の対応が必要です。

 

 

■ 非アレルギー性の蕁麻疹

非アレルギー性の蕁麻疹は、感染症(風邪など)・摩擦や圧迫・温度・汗・日光などの様々な刺激が原因で皮膚の肥満細胞に作用して症状が現れると考えられています。この非アレルギー性の蕁麻疹は、かゆみを伴わないことも稀にあります。

 

≪非アレルギー性の蕁麻疹の主な原因≫

 

▽ 物理的刺激

腕時計のバンドやきつい下着・ショルダーバッグの持ち手・日光・お風呂やエアコンなどの温度差・振動(マッサージ器のよる振動など)など。

 

▽ 入浴や運動による発汗

血液疾患・膠原病・強いストレス・お風呂や運動による発汗

 

▽ 食べ物

アレルギー性の蕁麻疹でも原因として紹介しましたが、食物による蕁麻疹にはアレルギー性の物だけではなく非アレルギー性の物もあります。

 

青魚、肉類、タケノコ、ほうれん草などが原因の蕁麻疹にはアレルギー性のものもありますが、食品中にヒスタミンという蕁麻疹を起こす原因となる成分が含まれている事によってアレルギーでなくても蕁麻疹を発症するケースがあります。このタイプの蕁麻疹は、食べ方や、量、消化管からの吸収のされ方などに大きく影響を受けてしまうため、検査では原因を明らかにする事が難しくなってします。

このように、アレルギー性の蕁麻疹にしても非アレルギー性の蕁麻疹にしても原因には様々なものがあります。これらの原因は、ある種の過敏体質と、外的要因が組み合わさった時に症状が現れるといわれています。

近年では、穀類(小麦やソバなど)や甲殻類(カニやエビなど)などの特定の食品を食べた後、すぐに運動をするとで、蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難などのアナフィラキシー症状を起こす人がいる事も分かっている(運動誘発性蕁麻疹)ので注意しましょう。

 

 

発症したらどうする!?蕁麻疹の対処法と治療

 

蕁麻疹の早急な対処法として、一般的に入浴や運動を避けて患部を冷やし、安静にすることが良いと言われています。なぜなら、血行が良くなり身体が温まると蕁麻疹が悪化しやすいからです。また、かきむしることにより皮膚を傷つけたり、新たに湿疹を生じるケースもあるので患部を冷やすことはかゆみにとても有効なのです。ただし、温度差が原因で発症してしまった蕁麻疹に関しては、冷やすことで悪化する可能性があるので避けるようにしましょう。

特定の刺激により症状があらわれる蕁麻疹では、特定の刺激を避けることが重要となります。例えば、服の刺激が原因と考えられる場合は、木綿製などの生地が柔らかくゆったりした服を着るようにしたリ、汗が原因と考えられる場合は激しい運動は控え、発汗を促すような刺激物の摂取は避けましょう。

アレルギー性の蕁麻疹の場合は、蕁麻疹を起こす化学物質を含んでいる食品はなるべく食べないように注意するようにします。蕁麻疹を起こす化学物質が分からない場合は、毎日の症状が出る前に何を食べたのか、どんな行動をしたのかということを記録しておくことで、原因となる食品や物質を特定しやすくなります。

自発的に症状があらわれる蕁麻疹の場合は、ストレスや疲労を溜めないようにし、過度の飲酒を避け、感染症や悪化因子となる食品や薬剤に注意しましょう。自発的に症状があらわれる蕁麻疹では、薬物治療をおこなうケースもあります。その場合、蕁麻疹のもとになるヒスタミンを抑える薬である抗ヒスタミン薬を内服し治療を進めます。抗ヒスタミン薬を内服したことで症状が消えても、自分の判断で薬をのむのを止めずに、医師に相談しましょう。

急性蕁麻疹では数日から1週間程度、1~2ヵ月続いた慢性蕁麻疹では1ヵ月、それ以上の慢性蕁麻疹では2ヵ月が目安になります。抗ヒスタミン薬には多数の種類があり、効果にも個人差があるので医師の診察を受けて自分に合った薬を処方してもらいましょう。

 

 

間違えないで!湿疹と蕁麻疹の違い・見極め方

 

湿疹と蕁麻疹は、どちらも皮膚の病気でかゆみを主な症状とする点ではよく似ていますが異なる病気になります。この判断を間違ってしまうと完治まで時間がかかってしまう可能性があるので注意が必要です。では、どうやって湿疹と蕁麻疹の違いを見極め目ればいいのでしょうか?蕁麻疹の症状は充分に説明したので、湿疹の症状の特徴を説明します。

湿疹の初期症状は、痒みを伴った紅いブツブツが皮膚に現れます。症状が進行すると大きな水疱(すいほう)になり、時間が経つと水疱は破れてしまい皮膚の表面がジュクジュクしてきます。これらの症状を繰り返していくうちに、皮膚が厚くなりかゆみも増していきます。かゆいからといってかきむしってしまうと状態はどんどん悪化していきます。この症状は、少なくとも数日から1週間以上続きます。

このように、決定的な違いは症状の持続時間です。上記でも説明したように、湿疹の場合、少なくとも数日から1週間以上症状が続きますが、蕁麻疹の場合は大抵、数十分から数時間で治まってしまいます。また、湿疹は症状が持続しながら悪化していきますが、蕁麻疹は蚊に刺されたような膨疹が短時間のうちに全身に出ることもあったり、膨疹が出たり消えたりするという特徴があります。この症状の持続時間と経過が湿疹と蕁麻疹の一番わかりやすい見極め方です。

早期に改善するためにも、湿疹と蕁麻疹を見分け症状にあった治療をしましょう。判断に迷った時は、皮膚科で医師に診察してもらい適切な治療を受けることが改善への近道になります。