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アウスピッツ現象
乾癬では、赤い発疹[紅斑(こうはん)]の上に銀白色のフケのようなもの[鱗屑(りんせつ)]が付着しますが、この鱗屑を無理にはがすと、点状の出血がみられます。この現象をアウスピッツ現象といいます。このアウスピッツ現象は乾癬に特徴的な症状で、ケブネル現象などとともに診断の基準とされています。
炎症性角化症
(えんしょうせいかくかしょう)皮膚の「炎症」と、表皮や角層が厚くなる「角化症」が同時に起こる状態をいい、尋常性乾癬は炎症性角化症の代表的疾患です。
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角化
(かくか)皮膚の表面には、細胞が数層から十数層積み重なっている表皮と呼ばれる組織があります。皮膚を構成する細胞は表皮の内から外へ形を変えながら、約1ヵ月かけて移動します。この細胞を角化細胞といいます。角化細胞は皮膚の表面で角層を作り、体を外からのさまざまな刺激から守るバリアになります。この角層ができる過程を角化といいます。乾癬では角化の周期が4~5日ほどに速くなり、正常な角層ができないため皮膚がポロポロとはがれやすい特徴的な症状が現れます。
関節症性乾癬
(かんせつしょうせいかんせん)関節症性乾癬は関節リウマチのように関節が腫れたり、痛んだりしますが、関節リウマチとは違う病気です。乾癬の患者さんで関節痛のある場合、関節症性乾癬の可能性があります。しかし、日本では関節症性乾癬の患者さんは乾癬患者さんの数%であり、乾癬患者さんが関節症性乾癬を必ず発症するわけではありません。関節症性乾癬の兆候には早朝の関節の痛みや腫れ、こわばりがあります。また、爪が変形・変色したり、浮いてきたりします。関節症性乾癬は関節の障害を引き起こし、重症になると手や足の指の関節に変形が認められます。はじめに関節障害を発症し、それから乾癬の発疹が出てくる患者さんもいますが、多くは乾癬の発疹が出た後に関節症状を発症します。乾癬の発疹が認められた数ヵ月後に関節症を発症する患者さんもいれば、10年以上経って発症する患者さんもいます。
関節症性乾癬の症状は手と足の指の関節に多く認められます。また、首や背中、ひざ、足首などの関節や仙腸関節などの大きな関節が障害を受ける場合もあります。関節に痛みとこわばり、熱感が認められ、発赤を伴う場合があります。特に爪に乾癬の症状があり、指関節に症状が認められる場合は関節症性乾癬の可能性が高いといえます。関節の障害と変形を防ぐためにも、関節症性乾癬に対する早期の治療が必要ですので、皮膚科医にご相談ください。
乾癬性紅皮症
(かんせんせいこうひしょう)乾癬の発疹が全身に広がり、皮膚全体の80%以上が紅皮症化した(赤くなった)状態をいいます。最初から紅皮症化する例はまれで、不適切な治療や未治療、薬剤や感染症などの影響で発症することが多いようです。
QOL ; Quality of life
(クオリティ・オブ・ライフ)一般に、人の生活の身体的・精神的な質を指し、個人がどれだけ人間らしい、自分らしい生活を送ることができているか、という概念です。
ケブネル現象
発疹がない正常な皮膚を掻いたり傷つけたりすると、そこに新たな発疹が出現することがあり、これをケブネル現象と呼びます。ケブネル現象は乾癬患者さんに多くみられる症状ですが、乾癬以外の皮膚疾患でも起こることがあります。
光線療法
光線療法とは、光を人工的に作り出して、それを体に照射することによって治療するものです。光にはさまざまな種類があり、地球上に届く太陽光線には、紫外線、可視光線、赤外線の3種類があります。可視光線は波長が400~800nmの太陽光線で、波長の長い順に、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の色(虹の七色)として目で見ることができます。目には見えませんが、赤色より長い波長の光線を赤外線、紫色より短い波長の光線を紫外線(ultra violet ; UV)といいます。紫外線は波長の長さによって、長波長(UVA : 320~400nm)、中波長(UVB : 290~320nm)、短波長(UVC : 290nm以下)に分けられ、なかでもUVA、UVBには皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する働きがあるため、乾癬の治療に用いられます。
コンビネーション療法
Combination therapy2つ以上の薬剤や治療方法を組み合わせる療法です。併用により効果を高めるほか、単独で用いる場合に比べて個々の薬剤の量や光線の照射量を減らすことで副作用を抑えることを主な目的とします。組み合わせとしては外用療法+外用療法、外用療法+内服療法、外用療法+光線療法、内服療法+光線療法などが考えられます。
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シークエンシャル療法
Sequential therapy治療初期には効果発現の早い治療を用い、症状の改善に合わせて段階的に副作用の少ない治療へ移行する方法です。症状をできるだけ長期間良い状態で維持することを目的としています。はじめにステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を併用して早期に症状を抑え、次に平日はビタミンD3外用薬を用い土日のみステロイド外用薬を使用する方法に移行し、最後にビタミンD3外用薬のみを使用する方法や、症状の強いときに内服薬を併用する方法などがあります。
シクロスポリン
シクロスポリンは免疫抑制作用を持つ薬剤です。1983年に欧州で臓器移植時に用いる薬剤として開発されました。その後、乾癬に対する効果が認められ、日本においても乾癬の治療薬として使用されています。シクロスポリンは免疫反応を抑制することにより乾癬の症状を改善します。シクロスポリンの使用については使用上の注意と皮膚科医の指示を必ず守ってください。
尋常性乾癬
(じんじょうせいかんせん)乾癬患者さんの約90%は尋常性乾癬です。最もよくみられる(普通の=尋常な)乾癬であることからこのように呼ばれています。頭部やひじ、ひざなど、外部からの刺激を受けやすい部位によく発症し、時には全身に広がります。また、約60%の患者さんに爪の変形がみられます。
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は、乾癬の治療薬として古くから用いられています。より効果が強く、安全性の高いステロイド外用薬の開発が進み、今日でも乾癬の治療薬として使用されています。ステロイド外用薬には白血球の活動や血管の拡張を抑える抗炎症作用と呼ばれる働きと、表皮の細胞の増殖を抑える働きがあります。効果の強さによって5つのランクに分けられ、症状の程度に応じて使い分けます。1日2回の使用が一般的ですが、使用回数は必ず皮膚科医の指示を守ってください。剤形には軟膏、クリーム、ローションがあり、部位に応じて適した剤形を用いることができます。
生物学的製剤
(せいぶつがくてきせいざい)生物学的製剤は、遺伝子操作により乾癬にかかわる「サイトカイン」という物質を標的として作られた製剤で、乾癬の症状を改善(または軽快)させます。サイトカインにはさまざまな種類がありますが、TNF-α(腫瘍壊死因子α)やIL-12(インターロイキン12)、IL-17、IL-23などが乾癬の症状とかかわっていることが明らかになっています。現在、本邦で乾癬に使用される生物学的製剤には、主にTNF-αの働きを抑えることを目的とした製剤と、主にIL-12、IL-23の働きを抑えることを目的とした製剤があります。
生物学的製剤による治療は、日本皮膚科学会の承認を受けた施設でのみ実施されており、既存の全身療法(生物学的製剤を除く)や光線療法で十分な効果がみられない患者さんなどが対象となります。 -
ターゲット型エキシマランプ
光線療法の一つであり、308±2nmの紫外線を狭い範囲に短時間照射します。発疹の数が少なくても一つひとつの症状が重いときや、照射範囲が狭いとき、被髪頭部などナローバンドUVBが照射しにくい部位などに用いられます。
体質的な要素
乾癬になりやすい体質は遺伝することもあるといわれています。しかし、乾癬になりやすい体質だからといって、必ずしも乾癬を発症するとは限りません。発症にはさまざまな因子が強くかかわっています。
外的な因子 乾癬の発症、悪化には、次のような外的な因子が強くかかわっています。
不規則な生活
不規則な生活は体の抵抗力を弱め、乾癬を悪化させることがあります。
食生活
カロリーの高い食事(肉類・脂肪分)は乾癬を悪化させるといわれています。
感染症(風邪など)
風邪・扁桃腺炎(へんとうせんえん)などの感染症にかかると乾癬が悪化することがあります。
薬剤
乾癬を悪化させる薬剤には、ベータブロッカーと呼ばれる高血圧の薬、インターフェロン、リチウム製剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤などがあります。
ストレス
肉体的・精神的ストレスは乾癬を悪化させるといわれています。
気候
冬は皮膚が乾燥するので一般的に乾癬は悪化します。また、急激な日焼けは皮膚を刺激し、乾癬が悪化することがあります。内的な因子 乾癬患者さんは、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満である率が高いといわれています。これらが改善することにより乾癬の症状が良くなることがあります。 滴状乾癬
(てきじょうかんせん)若い人に多くみられ、小さな水滴ぐらいの大きさの発疹が、急に全身に出現します。鼻、のど、歯など、体のどこかに細菌の感染病巣が存在し、それが悪化するときに起こるといわれます。特に扁桃腺炎(へんとうせんえん)が誘因となることが多く、扁桃腺を摘出すると治る場合があります。
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ナローバンドUVB療法
UVBのなかでも治療効果が高く、有害な波長を除いた311~313nmの波長の光線を使用する光線療法です。UVB療法は、皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する働きがある中波長(UVB)の光線を照射する治療法で、PUVA療法のように薬剤を用いる必要がなく簡便に行えますが、UVBには皮膚に有害な波長も含まれているため、現在では有害な波長を除いたナローバンドUVB療法が主に用いられています。
膿疱性乾癬
(のうほうせいかんせん)乾癬のなかでも、発熱や皮膚の発赤などとともに無菌性の膿疱(のうほう:うみを持った状態)が生じる病型をいいます。手足など体の一部に限局して症状が出現する場合や、全身に症状が出現する場合があります。全身に症状が出現する膿疱性乾癬は「汎発性(はんぱつせい)膿疱性乾癬」と呼ばれ、悪寒や発熱、倦怠感などの全身症状を伴って急激に皮膚が赤くなり、膿疱が多発します。粘膜症状や関節症状、眼症状などを合併することがあり、命にかかわることもあります。汎発性膿疱性乾癬は厚生労働省の希少難治性疾患(特定疾患)に指定されています。
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ビタミンD3外用薬
日本では4種類の薬剤が使用されており、乾癬治療薬として広く用いられています。ビタミンD3外用薬には表皮の細胞の増殖を抑える働き、分化誘導作用と呼ばれる表皮の細胞が増殖して形態を変えていく過程を調整する働き、免疫反応を調節する働きがあり、これらの働きによって乾癬の症状を改善します。また、長期間用いてもステロイド外用薬でみられるような皮膚の萎縮が生じません。ビタミンD3外用薬には軟膏、クリーム、ローションの剤形があり、1日2回使用するものと1日1回使用するものがあります。使用回数は必ず皮膚科医の指示を守ってください。
PUVA療法
(ぷーばりょうほう)光線に対する感受性を高めるソラレンという薬剤を使用し、UVAを照射する光線療法です。PUVA療法には外用PUVA(ソラレンを発疹部位などに塗ってからUVAを照射する方法)、内服PUVA(ソラレンを服用した後、UVAを照射する方法)、バスPUVA(ソラレンを含む温水に入浴した後、UVAを照射する方法)の3種類があり、日本では主に外用PUVAが行われています。光に対する感受性が高くなるため、外用PUVAや内服PUVAの場合、実施後12時間は日光にあたらないようにする必要があります。バスPUVAの場合、ソラレンの効果は速やかになくなるので遮光の必要はありません。
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レチノイド
レチノイドとは、ビタミンAに似た化学構造を持ち、レチノイン酸と同じ作用を持つ薬剤のことです。日本では1985年よりレチノイドの1つであるエトレチナートが、乾癬治療の薬剤として使用されています。エトレチナートは皮膚の角質細胞の接着力を低下させ、正常な皮膚を再形成する働きにより症状を改善します。また、白血球に働いて症状を改善するとも考えられ、特にRePUVA(りぷーば)療法と呼ばれる光線療法との併用が有効とされます。使用の際は使用上の注意と皮膚科医の指示を必ず守ってください。
ローテーション療法
Rotation therapy複数の治療を一定期間ずつ、ローテーションを決めて行う療法です。同一の治療法を長期間行うことによる副作用の出現を抑えるのが目的です。例えば、類似した副作用のある光線療法とシクロスポリン(内服療法)は連続して用いず、光線療法→外用療法→内服療法→外用療法、といったローテーションが有効とされます。