プロトピック軟膏の塗り方と使う際に厳守すべき5つの注意点
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アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬だけではなくプロトピック軟膏を上手く活用すると、治療がもっと効果的・効率的になる場合が多いです。
でも、ステロイド外用薬の塗り方や注意点については色々と情報を調べられるけど、
プロトピック軟膏の塗り方・注意点については情報が入手しにくく感じる場合もあると思います。
そこでこの記事では、
プロトピック軟膏の塗る量・塗り方と、使う際に守るべき注意点
についてお話したいと思います。
- プロトピック軟膏を塗る量の目安とは
- プロトピック軟膏の塗り方(伸ばし方)はどうすればいいのか
- プロトピック軟膏の使用上の注意点のまとめ
1. プロトピック軟膏の塗り方
プロトピック軟膏を適切に使うためには、
- 軟膏を塗る回数・タイミング
- 軟膏を塗る量
- 軟膏の塗り方・伸ばし方
という3つのポイントを抑えればOKです。
順番に見ていきましょう。
1-1. プロトピック軟膏を塗る回数・タイミング
まず、プロトピック軟膏を塗る回数は1日何回がいいのか?という、塗る回数(頻度)とタイミングについてです。
ですから、1日2回を上限として、塗る回数は調整していきます。
目安としては、
- 皮膚炎がある程度綺麗になるまでは、朝晩1回ずつの1日2回。
※ 朝のシャワー後、夜の入浴後に塗るのがベスト。 - 使用開始から1週間程度経ち、皮膚炎が綺麗になってきたら、1日1回。
※ 夜の入浴後がベスト(以下同様)。 - 3週目には、1日おきに1日1回。
- 4週目には、2日おきに1日1回。
- 5週目には、3日おきに1日1回。
- 6週目には、4日おきに1日1回。
というように、塗り始めてから皮膚炎がある程度綺麗になるまでは、朝晩1回ずつの1日2回プロトピック軟膏を塗って、皮膚炎をしっかりと治していきます。
その後、「1日1回、夜の入浴後だけ塗る」というふうに塗る回数を減らします。
この段階を1週間も続けると、皮膚の状態はだいぶ綺麗になっているはずです。
さらに、プロトピック軟膏を塗らない日も設けるようにして、
隔日 → 2日おき → 3日おき →4日おき
というように、塗らない日を増やしていくことで、プロトピック軟膏を塗る回数を徐々に減らしていきます(間欠塗布)。
また、このような間欠塗布によるプロアクティブ療法ではなく、
皮膚炎が綺麗になるまで塗り続け、綺麗になったら使用を中止し、その後再び皮膚炎が出てきたら使用を再開する
という従来の使い方(リアクティブ療法)もあります。
この場合でも、症状の改善に合わせて塗る回数(1日何回)は減らしていくことは同様です。※
※ 参照元:『専門医に聞く「新しい治療とクスリ」2 アトピー性皮膚炎』p97
江藤隆史(著) 論創社
なお、実際に使用する際には、必ずかかりつけの皮膚科医の指導に従うようにしてください。
1-2. プロトピック軟膏の塗る量の目安
塗る回数(頻度)・タイミングの次は、プロトピック軟膏を塗る量の目安についてです。
塗る量についても、「1回につき5gまで」「1日10gまで」という上限量(成人の場合)があります(軟膏のチューブ1本は5gですから、「1回1本、1日2本まで」ということです)。
ですから、この範囲内で調整することになります。※1
※1 568人を対象に、1日20gのプロトピック軟膏を1年以上塗り続けた臨床試験では、腎機能障害などの全身的な影響が出た例は1例もなかった(参照元:『同上』p92)とのことですから、1日10gという上限量を守る限り、全身的な副作用のリスクは極めて小さいと言えます。
塗る量の目安は、ステロイド外用薬と同様に、フィンガー・チップ・ユニット(FTU:Finger Tip Unit)という単位を基準にすることが出来ます(参照元:同上 p92)
具体的には、
「人差し指の先端から第一関節までチューブから絞り出した量」で「大人の手のひら2枚分」の皮膚に塗る
という基準が、皮膚炎をしっかりと治すための必要十分な量の目安となります。
この目安を使うと、「人差し指の先から第一関節までチューブから絞り出した量」を1FTUとして、これを基準にして塗るべき量を大まかに計算することが出来ます。
例えば、顔面のうち両頬(ほほ)だけに塗りたい場合、その面積はだいたい手のひら1枚分ですから、
塗るべきプロトピック軟膏の量は、
1枚 / 2枚 = 0.5FTU
となります。つまり、第一関節と指先の中間くらいまでチューブから出した量を、両頬に塗ればOKということです。
このように、
- 塗りたい皮膚の面積は手のひら何枚分か?を確認する。
- 「その枚数 ÷ 2」という計算をして、必要な軟膏の量が何FTUか算定する。
- その量をチューブから絞り出して、その皮膚のエリアに塗る。
という手順を守れば、自然と「適切な量」のプロトピック軟膏をきちんと塗ることが出来ます。
フィンガー・チップ・ユニットについての詳細は、↓の記事でお話しています。ご活用下さい。
1-3. プロトピック軟膏の伸ばし方
塗る回数・塗る量の次は、プロトピック軟膏の伸ばし方についてです。
プロトピック軟膏の場合は、
湿疹のあるところを中心に、指と手のひらで広く塗りのばす
のが基本的な塗り方となります(参照元:『同上』p91)。
広く塗りのばすと、湿疹の周りの正常な皮膚にもプロトピック軟膏を塗ってしまうことになりますが、
プロトピック軟膏の主成分のタクロリムス水和物は、分子サイズが大きく正常な皮膚からは経皮吸収されないという特徴を持つため、問題になりません。
ですから、「皮膚炎の部分に出来る限りピンポイントで載せる」というステロイド外用薬のような塗り方ではなく、結構「アバウトな」塗り方でもよいのです。
2. プロトピック軟膏を使う場合の注意点
次に、プロトピック軟膏を使う際に守らなくてはいけない注意点についてです。
主な注意点は、
- 塗ると感じる灼熱感(ヒリヒリ感・ほてり感)
- 妊婦・乳幼児への使用禁止
- 糜爛(びらん)面への使用禁止
- 日光への注意
- 皮膚への副作用の発現リスク
の5つです。順番に見ていきましょう。
2-1. 強烈な灼熱感・ほてり感はある程度我慢が必要
プロトピック軟膏の最大のデメリット・難点は、軟膏を塗った直後から感じる灼熱感です。
「ヒリヒリ感」・「ほてり感」など、色々な表現の仕方がありますが、皮膚が燃えるような感覚でかなりシンドいのが実際です。
このような灼熱感は、プロトピック軟膏の主成分であるタクロリムス水和物が、炎症によってバリア機能が低下した皮膚を通過する際に引き起こされると考えられています。
タクロリムス水和物の分子サイズは、「バリア機能の整った正常な皮膚では経皮吸収されないけれど、バリア機能の弱った炎症の有る部分からは吸収される」という大きさです。
軟膏の効果によって皮膚炎が綺麗になるにつれて、皮膚のバリア機能は徐々に修復されていきますから、タクロリムス水和物は吸収されなくなっていきます。
すると、塗り始めに感じる灼熱感は軽くなり、最終的にはまったく感じなくなります。
皮膚炎の状態やクスリの効き方によっても異なりますが、塗り始めてから数日はこの灼熱感が続きます。
私の場合は、塗ってから3日も経つとかなり灼熱感は軽減され、「若干ヒリヒリする」程度になりました。
1週間も経てば、塗っても何も感じなくなります。
このように、プロトピック軟膏を使う場合には、ステロイド外用薬には無いプロトピック軟膏特有の「灼熱感」を我慢しなければなりません。
なお、ステロイド外用薬である程度皮膚炎を綺麗にしてからプロトピック軟膏に移行すれば、この灼熱感はかなり軽減されます。
プロトピック軟膏への切替えのタイミングについては、かかりつけの皮膚科医によく相談して決めることが大切です。
2-2. 妊婦・2歳未満の乳幼児は使えない
年齢やライフステージによってプロトピック軟膏が使えない場合があります。
具体的には、
- 2歳未満の乳幼児
- 妊婦や妊娠が疑われる女性
には、プロトピック軟膏は使えません。臨床試験がまだ行われておらず、安全性が確かめられていないからです。
プロトピック軟膏を使っていて妊娠していることが分かった場合には、ステロイド外用薬に切り替える必要があります。
また、母乳中に主成分が移行する可能性があるため、プロトピック軟膏使用中の授乳は避けるべきとされています。
なお、2歳以上の小児に対しては、「プロトピック軟膏0.03%小児用」という小児専用のプロトピック軟膏がありますので、こちらを使います。
一口に「小児」といっても、年齢や身体の大きさに応じて使用量を調整することが必要ですから、使用量については皮膚科医の指導に必ず従って下さい。
2-3. 糜爛(びらん)面には塗らない
アトピー性皮膚炎では、皮膚に糜爛(びらん)が起こることが多いです。
びらんとは、表皮が剥がれてジクジクとただれてしまった状態のことです。
アトピー性皮膚炎では、強く掻きむしってしまった場合などに起こりがちです。
プロトピック軟膏を使う場合、このようなびらん面には塗ってはいけないことになっています。
びらん面には皮膚のバリア機能が無いために主成分の吸収率が高くなり、その結果として主成分の血中濃度が高まってしまう危険性があります。
主成分の血中濃度が高くなると、腎障害などの副作用が起こる可能性が出てくるのです。
この副作用を避けるために、びらん面にはプロトピック軟膏を使ってはいけないとされています。
びらん面が残っているような皮膚炎の状態では、まずはステロイド外用薬を適切に使って皮膚炎の状態をある程度綺麗にしてから、プロトピック軟膏に切り替えるという手順を取ることになります。
2-4. 塗った時は長時間日光に当たらない
プロトピック軟膏の安全性を確かめる動物実験で、
プロトピック軟膏を塗ったマウスに紫外線を照射し続けた場合、塗らないマウスに比べて皮膚がんを発症する時期が早まる
ということが分かっています。
ただ、この実験はかなり極端な条件下で行われていますから、
プロトピック軟膏を塗って日光に当たると皮膚がんになってしまう
ということではありません。
この点については↓の記事で詳しく取り上げていますので、気になる場合にはご参照ください。
また、プロトピック軟膏の添付文書には「日光への曝露を最小限にすること」という注意書きがありますが、
実際には、「海水浴・スキー・ゴルフ・野球など長時間日光に当たる場合には、プロトピック軟膏を塗らない」という気を付け方で十分と考えられています。
つまり、普段の日常生活を送る分には、問題にならないということです。
2-5. 皮膚の状態を定期的に皮膚科医に診てもらう
プロトピック軟膏を塗り続けると、ステロイド外用薬と同様に、局所的に皮膚の免疫力が弱まります。
そのため、皮膚での細菌感染が起こりやすくなってしまいます。
皮膚の細菌感染を放置すると、外用薬を塗ってもアトピー性皮膚炎はなかなか治らず、皮膚炎の慢性化に繋がってしまいます。
ですから、定期的に皮膚科に通って医師に皮膚の状態をチェックしてもらって、細菌感染等の副作用が起こっていないか確かめてもらうことが必要となります。
皮膚に細菌感染が起こってしまった場合には、抗生物質の使用など適切な処置をすれば、短期間で症状は良くなっていきます。
3. まとめ
プロトピック軟膏は、ステロイド外用薬の副作用を回避したい顔面や目の周辺に使ったり、プロアクティブ療法で活用したり、アトピー治療をさらに効果的・効率的にしてくれる便利なお薬です。
この記事でお話したような使い方・注意点を頭に入れておくと、皮膚科医の先生の指導の内容ももっと良く分かるはずです。
この記事がご参考になれば幸いです。