更新日:2014年3月14日
クーリング・オフ
1 契約とクーリング・オフ
クーリング・オフとは、契約をした後、消費者に冷静に考え直す時間を与え、一定期間であれば無条件で契約解除ができる制度です。
私たちは、毎日食品を買ったり、電車に乗ったりして生活していますが、これらも契約です。「この100円のジュースをください」という「申し込み」に対して、「はい、ありがとうございます」と「承諾」があり、お互いの意思表示が合致すれば、契約は成立します。いったん成立した契約はお互いに守らなければなりません。これが契約の原則です。
しかし、事業者が突然訪問してきたり、電話をかけていたりして不意打ち的に勧誘され、よく考える時間もなく契約させられたような場合まで、「いったん契約したら守らなければならない」という原則のままでは、消費者は非常に不利な立場になります。
このため、消費者トラブルになりやすい取引については、申込みや契約後一定期間消費者が頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に契約を解除することができる制度があります。これをクーリング・オフ制度と言います。契約の原則の例外ですから、すべての取引にこの制度があるわけではありません。自分から店に出向いて契約したり、自分から申し込むインターネット通販などの通信販売で契約した場合は、クーリング・オフはできません。
2 特定商取引法のクーリング・オフ
特定商取引では、訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールス・催眠商法など)、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提供誘引販売取引(内職商法)、特定継続的役務提供(エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)の取引や訪問購入(一部の物品を除く)の場合、一定期間内ならば理由を問わずクーリング・オフができます。
*通信販売にはクーリング・オフ制度はないので注意しましょう。
クーリング・オフQ&A Q9参照
| 取引形態 | 期間 | 根拠法・条項 |
|---|---|---|
| 訪問販売 (キャッチセールス、アポイントメントセールス、催眠商法も含まれる) | 8日間 | 特商法第9条 |
| 電話勧誘販売 | 8日間 | 特商法第24条 |
| 特定継続的役務提供契約 (エステティックサロン・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介サービス) | 8日間 | 特商法第48条 |
| 連鎖販売取引(マルチ商法) | 20日間 | 特商法第40条 |
| 業務提供誘引販売取引 (いわゆる内職・モニター商法) | 20日間 | 特商法第58条 |
| 訪問購入(いわゆる訪問買取) (※自動車、家電(携行が容易なものを除く)、家具、書籍、有価証券、CD・DVD等は除く) | 8日間 | 特商法第58条の14 |
特定商取引法におけるクーリング・オフの適用除外
(1)全面的に特商法の適用を除外する取引
- 営業のためまたは営業として行われる取引
- 外国にある者に対しての取引
- 国、地方公共団体が行う取引
- 生協、農協、労働組合等が組合員に対して行う取引
- 事業者がその従業員に対して行う取引
- 株式会社以外の者が発行する新聞紙の販売
- 弁護士、外国法事務弁護士が行う弁護士法に基づく弁護士業務
- 次に掲げる販売又は役務提供
イ 金融商品取引法に基づき、金融商品販売業者、同仲介業者及び登録金融機関が行う商品の販売・役務提供、認定投資者保護団体及び証券金融会社が行う役務提供
ロ 宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引業者が行う商品の販売又は役務提供
ハ 旅行業に基づき、旅行業者及び旅行代理業者が行う役務提供
二 他の法令で消費者の利益を保護することができる等と認められる取引(49法律政令指定)
- 金融取引に関するもの
- 通信・放送に関するもの
- 運輸に関するもの
- 法律に基づく国家資格を得て行う業務に関するもの
- その他の類型
(2) 特商法の規定の一部が適用除外とされるもの
- 書面交付義務、クーリング・オフが適用除外とされるもの(訪問販売と電話勧誘販売)
- いわゆる海上タクシーなどによる輸送
- 飲食店において飲食させること
- あん摩、マッサージ又は指圧を行うこと
- カラオケボックスにおいてその施設又は設備を使用させること
- クーリング・オフのみ適用除外とされるもの(訪問販売と電話勧誘販売)
ア 自動車・ 自動車リース (レンタカーは適用除外ではない)
イ 電気、都市ガス、熱の供給(プロパンガスは適用除外ではない)
葬式のための祭壇の貸与その他便宜の提供
ウ 使用、消費によって価格が著しく減少する商品(いわゆる消耗品)- 健康食品
- 不織布及び幅が13cm以上の織物
- コンドーム・生理用品、防虫剤・殺虫剤・防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く)
- 化粧品、毛髪用剤及び石けん(医薬品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム並びに歯ブラシ
- 履物
- 壁紙
- 家庭配置薬
エ 3,000円未満の現金取引
(3) ご用聞き、継続顧客との取引の場合の適用除外
- 訪問販売における書面交付、クーリング・オフ、契約解除における損害賠償の額の制限の適用除外となるもの
ア 自宅での契約を請求したものに対して行った訪問販売
イ 過去1年以内の店舗販売業者のご用聞き販売
ウ 過去1年以内に店舗販売業者と1回以上の取引があった顧客に対する訪問販売
エ 過去1年以内に無店舗販売業者と2回以上の取引があった顧客に対する訪問販売
オ 職場の管理者の書面による承認のある事業所訪問 - 電話勧誘販売における書面の交付、クーリング・オフ、契約解除における損害賠償の額の制限の適用除外となるもの
ア 電話をかけるよう請求した者に対して行う取引
イ 過去1年以内に販売業者と2回以上の取引があった顧客に対する電話勧誘販売
クーリング・オフ書面の書き方
書き方のポイント
- 契約書面を受け取った日を含めて8日間(又は20日間)以内に、必ず、はがきなど書面で通知する 。
- 書き終わったら、はがきの両面をコピーし、控えとして保管する。
- 契約書面に記載された販売会社宛に通知する。
- クレジット契約をしている場合は、クレジット会社宛と販売会社宛の通知を書いて、それぞれクレジット会社と販売会社へ同時に通知する。
- クーリング・オフ期間内に、郵便局で「特定記録郵便」か「簡易書留」にして送付する。送付時に郵便局が発行する控えも保管しておく。クレジット会社宛のハガキも同様にする。
クーリング・オフ通知の記入例
【購入契約の場合】
販売会社宛
通知書
契約年月日 平成○年○月○日
商品名 ○○○
契約金額 ○○○円
販売会社 〇〇株式会社 △△営業所
担当者名
上記日付の契約は解除します。
支払った代金〇〇円を返金し、商品を引き取ってください。
平成○○年○○月○○日
住所 東京都○○市○○町
氏名
クレジット会社宛(クレジット契約をしている場合)
通知書
契約年月日 平成○年○月○日
商品名 ○○○
契約金額 ○○○円
販売会社 〇〇株式会社 △△営業所
担当者名
上記日付の契約は解除します。
平成○○年○○月○○日
住所 東京都○○市○○町
氏名
通知書
契約年月日 平成○年○月○日
商品名 ○○○
契約金額 ○○○円
販売会社 〇〇株式会社 △△営業所
担当者名
上記日付の契約は解除します。
引渡し済みの○○(物品)を返してください。
平成○○年○○月○○日
住所 東京都○○市○○町
氏名
クーリング・オフ Q&A
Q1:クーリング・オフのはがきを出したいのですが販売会社の代表取締役の名前がわかりません。
A:代表取締役の名前がわからない場合は、「代表者殿」と書きましょう。
Q2:休日が入るので、8日以内に事業者(販売会社やクレジット会社)に届きません。どうしたらよいですか。
A:クーリング・オフは、クーリング・オフ期間以内に通知を発信すれば、発信した日に効力が発生します。クーリング・オフ通知のはがきなどをコピーして控えをとることと、郵便局で「特定記録郵便」か「簡易書留」にして送付することで、期間内に発信したことの証拠になります。
Q3:クーリング・オフのはがきには、印鑑やこちらの電話番号の記入は必要ですか。
A:印鑑も電話番号も必要ありません。
Q4:クーリング・オフのはがきを出した後は、どうなりますか。
A:契約は解除され、契約をする前の状態に戻すことになります。消費者は支払った代金を返してもらいます。また、商品を受け取っていた場合は、販売会社に返品します。
返品のための送料は販売会社が負担するので、消費者は着払いで返送するか、販売会社に引取りに来てもらいます。
事業者(販売会社やクレジット会社)は消費者に損害賠償や違約金(キャンセル料や手数料)を請求することができません
Q5:訪問販売で布団を買い、使ってしまったがクーリング・オフできますか。
A:布団や鍋、掃除機、美顔(容)器、補正下着などは指定消耗品ではないので、クーリング・オフ期間内であれば、クーリング・オフできます。使っていてもそのまま返品できます。
Q6:7日前に訪問販売でリフォーム工事の契約をして、昨日すでに工事が完了しているがクーリング・オフできますか。
A:訪問販売のクーリング・オフ期間内であれば、工事が開始または完了していても、クーリング・オフはできます。すでに完成した工事を無償で元に戻すように求めることができます。しかし、元にもどすことで建物に負担がかかる場合など、原状回復を望まない場合は、あえて元に戻す必要はありません。
Q7:20万円の美顔エステを契約して、エステを1回受けてしまったが、クーリング・オフできますか。
A:クーリング・オフをすれば、消費者は無条件で契約解除ができます。したがって、サービスを受けていたとしてもクーリング・オフはできます。また、施術代金など受けたサービスの代金を支払う必要もありません。
Q8:訪問販売で契約しましたが、契約書をもらっていないので販売会社の住所がわかりません。
A:クーリング・オフは、販売会社の住所等、法律で定められた内容が記載されている契約書面(法定書面)を受け取った日を含めて一定期間内(8日間または20日間)にできます。住所の記載がない場合は、法定書面を受領していないと判断されるため、まだクーリング・オフの起算日は始まっていません。したがって、ずっとクーリング・オフができると考えられます。すぐに消費生活センターに相談しましょう。
Q9:インターネット通販やTVショッピンなどの通信販売で、8日以内に返品を申し出たら契約解除ができたことがあります。クーリング・オフとは違うのですか。
A:通信販売は、画面やカタログなどの表示を見て自ら申し込みをしているはずであり、不意打ち的な契約ではないと考えられるため、クーリング・オフ制度はありません。しかし、業者が独自に「返品制度」を設けているケースがあります。返品制度の有無や返品可能な日数は、通販事業者によってさまざまです。特定商取引法では、画面や広告に返品制度について記載がない場合は、消費者は商品を受け取ってから8日以内であれば返品が可能であると定めています。ただし、この場合の返品送料は消費者が負担します。
Q10:訪問購入業者が物品を転売してしまった場合はどうしたらよいですか。
A:第三者に転売されていても、クーリング・オフ期間内であれば物品を返すよう求めることができます。
Q11:訪問購入で売却した物品はすぐに業者に引き渡さなければなりませんか。
A:クーリング・オフ期間中は、引渡しを拒否して売却した物品を手元に置いておくことができます。
Q12:特定商取引法の対象外の取引でも、別の法律によってクーリング・オフができる取引がありますか。
A:はい。代表的な取引は、以下のとおりです。
- 割賦販売法・・・個別クレジット契約で、かつ、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供の場合〈8日間〉、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引の場合<20日間>
- 保険業法・・・生命保険契約、損害保険契約<8日間>
- 宅地建物取引業法・・・宅地建物の取引<8日間>
- 金融商品取引法・・・投資顧問契約<10日間>
それぞれ、クーリング・オフの適用には条件があるので、詳しくは消費生活センターに相談してください。
また、法律で定められたクーリング・オフ制度ではありませんが、クーリング・オフ同様に一定の期間であれば無条件で契約解除ができることを定めた、業界の標準約款や各業者個別の規約がある場合もあります。約款や契約書などの記載内容を確認しましょう。
例) 業界標準約款・・・冠婚葬祭互助会契約