顔の皮膚、つまり表皮にも「菌」がいることをご存知ですか?
菌と聞くと、悪いイメージを思い浮かべがちですが、この「表皮常在菌」と呼ばれる皮膚の菌は、お肌にとって良いはたらきをしたり、悪いはたらきをしたりしながら存在しています。
表皮常在菌には多くの種類があり、それらがバランスを保って共存しているのですが、そのバランスが崩れると乾燥肌や肌荒れをはじめ、さまざまな肌トラブルを起こしてしまいます。
この記事では、表皮常在菌とはどのようなはたらきをしているのか、またエイジングケアとはどのように関わっているのかをご説明します。
- 表皮常在菌ってどんな菌があるの?
- 表皮常在菌のはたらきは?
- 表皮常在菌の肌悩みや、エイジングケアとの関係は?
などを知りたい方は、ぜひ、続きをお読みください。
<この記事でお伝えしたい大切なこと>
- 表皮常在菌は、お肌が健康なら表皮でバランスを取って生息しています。
- 表皮常在菌は、善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3種類に分かれます。
- 表皮ブドウ球菌は、美肌菌とも呼ばれる善玉菌の代表的な表皮常在菌です。
- アクネ菌はニキビの原因菌ですが、お肌を弱酸性に保つはたらきもあるので、殺菌すればよいというわけではありません。
- 表皮常在菌と上手に付き合うには、優しいながらも不要な皮脂をしっかり取る洗顔が大切です。
1.表皮常在菌とは?
1)表皮常在菌ってどんな菌
人の体内や皮膚には、100兆もの菌がいると言われています。そのうち80%は腸内細菌です。
皮膚には、数百億から1兆もの菌がいると言われ、顔だけでも80万もの常在菌がいると言われています。
菌と言えば、感染症を引き起こすことから、「悪いイメージ」が強いのですが、常に皮膚にいて、時と場合によって良いはたらき、悪いはたらきをするのが、表皮常在菌です。
表皮常在菌は、皮膚常在菌とも呼ばれますが、その名の通り表皮にいます。
表皮常在菌には、数百もの種類があると言われていますが、表皮ブドウ球菌、アクネ菌、黄色ブドウ球菌などがよく知られています。
これらの表皮常在菌は、それぞれが活動するとともに、相互に影響を受けたり与えたりしながら、バランスを保って生存しています。
しかし、誤ったスキンケアやその他の刺激などでそのバランスが崩れた場合、ニキビや肌荒れ、乾燥肌の原因になるなどの肌トラブルを招くことがあります。
例えば、ニキビの原因である「アクネ菌」も、全体にバランスの取れた数なら、「悪さ」をすることもなく過ごしています。しかし、バランスが崩れ、過剰な数になれば、ニキビを作る原因となって、「悪者」になってしまうのです。
2)表皮常在菌とスキンケアの関係
表皮常在菌は、顔の表皮にいるわけなので、クレンジングや洗顔、あるいはエイジングケア化粧品の影響を受けます。
最近では、除菌、抗菌への意識が高まって、「洗いすぎ」「除菌しすぎ」の傾向があります。
お肌を清潔に保つことはよいことですが、それが行き過ぎると問題も起こります。
表皮常在菌は、ヒトと共存するのが本来の姿であり、を維持する一役を担っています。それを意識したエイジングケアに取り組むことが大切なのです。
2.表皮常在菌のはたらきは?
表皮常在菌には、3つのタイプがあり、それぞれはたらきが違います。
1)表皮ブドウ球菌に代表される善玉菌
表皮ブドウ球菌は、空気を好むので、その名の通りお肌の表面に住み、を餌にして生きています。そして、3つのはたらきでお肌を健やかにするのを助けているのです。
①皮膚を弱酸性に保つはたらき
表皮ブドウ球菌は、皮脂を分解して、グリセリンと脂肪酸に分解します。脂肪酸は酸性であり、表皮を弱酸性に保つ役割を果たします。
それによって、お肌のバリア機能をサポートしているのです。
②NMF(天然保湿因子)産生サポート
皮脂、汗と表皮ブドウ球菌が分解した成分が混じりあって、NMF(天然保湿因子)を作り出し、表皮の潤いを保ちます。
つまり、お肌の保湿をサポートするはたらきをしています。
③菌のバランス維持による雑菌からの保護
弱酸性を保つことで、雑菌の生息や侵入を防いで、バリア機能を維持します。
また、感染症やアトピー性皮膚炎を引き起こす原因となる黄色ブドウ球菌を防御する抗菌ペプチドを産生します。
このように、表皮ブドウ球菌は、お肌を健やかに維持するために、大切な菌なのです。
実は、この表示ブドウ球菌の餌(栄養)になるのが汗です。また、汗も病原微生物を防御する抗菌ペプチドにより表皮ブドウ球菌のはたらきを助けます。
だから、汗をかくことは、表皮常在菌をサポートして美肌につながるのです。
2)アクネ菌に代表される日和見菌
アクネ菌は、先ほども例で取り上げましたが、ニキビの原因菌として有名です。しかし、過多にならなければ、健康なを作る「善玉」としてはたらくのです。
アクネ菌は、空気を嫌うので、毛穴の奥やなどの空気の入りにくい場所にいますが、表皮ブドウ球菌と同様に、皮脂を食べて、脂肪酸とグリセリンに分解してくれるのです。
つまり、肌を弱酸性に保って守るはたらきをしているのです。
ところが、食生活の乱れ、ホルモンバランスの乱れやストレスなどで毛穴に皮脂が詰まれば、 空気が遮断され、餌となる皮脂が毛穴にたくさんある状態になります。
そうなれば、アクネ菌は、毛穴の中で過剰に繁殖していまいます。
そして、アクネ菌が皮脂を大量に食べた結果、脂肪酸が増えすぎ、その刺激によって、毛穴の炎症を引き起こし、ニキビの原因になってしまうのです。
3)黄色ブドウ球菌に代表される悪玉菌
黄色ブドウ球菌は、腸炎ほか感染症の起炎菌として有名ですが、顔にも常在しています。
表皮ブドウ球菌がたくさん繁殖していて、表皮常在菌のバランスが取れ、お肌が弱酸性のときは、問題なることはありません。
しかし、お肌の表面がアルカリ性に傾き、表皮ブドウ球菌が少なくなると黄色ブドウ球菌が大増殖します。その結果、お肌は痒みや炎症を引き起こしてしまいます。
ひどい場合は、化膿したり、「とびひ」になったりしますので、そんなときは、すぐに皮膚科の受診することが大切です。
このように表皮常在菌には、善玉菌、日和見菌、悪玉菌がいるので、そのはたらきの違いを理解しておきましょう。
3.表皮常在菌とエイジングケア
ここまでで表皮常在菌のバランスを維持することが、エイジングケアにとって大切なことがご理解いただけたと思います。
ここからは、表皮常在菌を意識したスキンケアやエイジングケアについて考えてみます。
1)表皮常在菌を考えた洗顔
ここでのポイントは、いきすぎた洗顔で表皮常在菌を洗い流しすぎて減らしてしまうことで、皮脂、および表皮常在菌の繁殖が減り、皮膚のバリア機能を弱めてしまう可能性があるということです。
適切な洗顔であれば、洗顔後に皮脂は正常にでてくるので、それを餌にして表皮常在菌のバランスは戻ります。また、石鹸も弱アルカリ性ですが、通常なら、洗顔後にお肌は弱酸性に戻ります。
しかし、刺激の強い洗顔剤の使用、過度な回数の洗顔、擦りすぎ洗顔で、まだ肌に留まっているべき角質まで落とした場合は、皮脂の生成が遅れたりすることで表皮常在菌のバランスは崩れてしまうことがあります。
その結果、お肌の乾燥を助長してしまうのです。
他にもアトピー性皮膚炎も過度な洗顔や洗浄がその原因の一端であるとも言われています。
お肌バリア機能の強さはひとそれぞれですが、過度な洗顔は避けるべきです。
こうした洗顔の後に、どんなによいを使ってもその効果を実感することは難しいでしょう。
表皮常在菌は、ヒトと共存してエイジングケアをサポートしてくる大切なものです。
そのバランスを維持する第一歩は、「適切な洗顔」です。
エイジングケア化粧品によるスキンケアの前に、まず、適切な洗顔を意識しましょう。
2)表皮常在菌を考えたニキビ・毛穴対策
先ほど、アクネ菌が日和見菌であることを説明しました。
大切なことは、ニキビ対策としてアクネ菌を除去することではないのです。
もちろん、炎症があるニキビはアクネ菌を除去することが先決ですが、そこまでニキビがひどくない場合やニキビ予防のためには、毛穴の詰まりを防ぐことでアクネ菌を過剰に増やさないことが大切なのです。
サリチル酸などはアクネ菌を殺菌できるのでニキビ対策の化粧品などで使われる成分です。
これらを長い期間使うことは返って表皮常在菌のバランスが崩れるので、炎症が治まったら使用をやめる方が望ましいのです。
大切なのは、ニキビを予防することで、毛穴が詰まらないようにしっかりと不要な皮脂を取り除くことなのです。
優しい洗顔と不要な皮脂を取る洗顔を両立させるのは難しいのですが、特に思春期から20代前半の場合は、不要な皮脂をしっかり取ることが大切です。
皮脂の詰まりを感じたり、毛穴の黒ずみが気になる場合などは、酵素洗顔を試してみることもよい選択肢です。
3)表皮常在菌と上手に付き合うエイジングケア
それでは、洗いすぎない洗顔やアクネ菌の殺菌など以外で、表皮常在菌との共存のエイジングケアをどう考えればよいのでしょうか?
それは、何と言ってもバランスのよい日常生活と過度なメイクを避けること、そして、エイジングケア化粧品を正しく使うことです。
お肌を健やかに育てる上では、食べ物を基本としてバランスのよい生活が大切です。表皮常在菌のバランスも正しい食生活や日常生活の上に成り立つのです。
また、メイクがきついとどうしても強いクレンジングが必要になったり、ダブル洗顔も必要です。だから、洗いすぎて表皮常在菌のバランスを崩すリスクが高くなのです。だから、健やかなお肌のためには、メイクはほどほどがよいのです。
最後のエイジングケア化粧品による保湿は、表皮常在菌のバランスを保つ上で大切です。しかしながら、油溶性成分を過度に使うこと、強い防腐剤が配合された化粧品を使うことなどは、表皮常在菌のバランスを崩すリスクにもなってしまいます。
エイジングケアは、表皮常在菌の存在を意識して行うことで、お肌の老化防止にもつながることを覚えておきましょう。
4.まとめ
表皮常在菌とは何か?また、その役割と洗顔、ニキビ、エイジングケアの関係はご理解いただけましたでしょうか?
表皮常在菌は、お肌にとってなくてはならない存在であることがおわかりいただけたのではないでしょうか?
エイジングケアには、エイジングケア化粧品を使う前に意識して実践することがたくさんありますが、表皮常在菌との共存もその1つです。
あまり知られていない表皮常在菌ですが、それを活かす洗顔やエイジングケア化粧品の使い方を実践しましょう。
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