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第15章~転生王子と新学期
泡だて器
しおりを挟む 俺は水色のエプロンをつけ、同色の三角巾を頭に結んだ。
材料や調理器具も用意できているし、作業に取り掛かろう。
「あら!フィル君可愛いエプロンね!」
「え?」
ふいに言われて見上げると、ゲッテンバー先生がニコニコと微笑んでいた。
エプロン?あぁ、この水色のエプロンのことか。
あぁ、学校の時の調理の時は、学校指定のエプロンだもんな。
このエプロンは、三年生男子の先輩から貰ったものだ。
前期の商学の授業の時、クッキーを買えず悔やむ先輩たちの姿に同情し、代わりに一度だけエッグタルトをあげた。これは、その時のお礼の品である。
「それ、三年生の先輩がくれたやつだよな。使ってるんだな……」
レイが俺のエプロン姿を眺めて、呟く。若干含みのある言い方に、俺は眉を下げた。
「お礼なんだから、使わないと可哀想じゃないか。先輩もエプロンも」
男子の先輩からのプレゼントであろうが、ポケットに毛玉猫のホタルの可愛いアップリケがつけられていようが、気持ちというものは無下にするものじゃない。
フリルのないシンプルな作りであることが、せめてもの救いである。
「とっても素敵よ。よく似合ってるわぁ」
ゲッテンバー先生はにこにこと笑って、ボルカさんやアリスやライラも「可愛い」と頷く。
まぁ、そう喜ばれるのも、何だか微妙な気持ちになるんだけど……。
俺は咳払いで気を取り直して、皆の顔を見回した。
「では、料理をはじめようと思います。今から教えるのはパンケーキです」
俺が言うと、皆は少し意外そうな顔をした。
「フィル、パンケーキってあれだろ?平べったいやつ。ちょっと普通すぎないか?」
「パンケーキなら、もうすでにメニューとしてありますけど……」
レイとボルカさんが少し不安そうに言うので、俺は安心させるため微笑んだ。
「僕のパンケーキは、そのパンケーキとはちょっと違うんだ。ふわふわな食感のパンケーキだよ」
「「ふわふわ?」」
レイとボルカさんの声が揃う。
俺は今回、窯で作るスフレパンケーキを作ろうと思っていた。
「材料は……卵二つ、砂糖がスプーン3杯と半、植物油をスプーン1杯、牛乳はコップ1杯、小麦粉はコップ1杯と半よりやや少なめで、材料はこれだけ。売られている砂糖は、そのままでは粒が大きいので、すり鉢などであらかじめ細かくしておいてね」
俺は用意した材料を指し示しながら、丁寧に説明する。
「これから作るふわふわパンケーキは、この泡だて器と、この小さなフライパンが大事です」
俺は植物で出来た大きい茶筅のような泡だて器と、小さな直径13センチほどのスキレットを指さした。スキレットは鋳鉄製のフライパンのことだ。
ゲッテンバー先生は、スキレットを持ち上げる。
「一品料理なんかで、オイル煮を作る時なんかに使うものね」
ステア王国の郷土料理に、オイル煮がある。この小さなスキレットは、主にそういったオイル煮などでしか使っていないようだ。だが、今回のスフレパンケーキには手ごろな大きさなので、これを使用することにした。
「そうです。これを窯でじっくり焼いて、ふわふわにします」
「ふわふわですか……」
ボルカさんはいまだ半信半疑のようだ。俺はボウルを持って、微笑む。
「まず僕が手本を見せますので、ボルカさん後に続いて一緒にやりましょう」
ボルカさんは唇を引き結び大きく頷くと、元気に頭を下げた。
「はいっ!よろしくお願いします!」
「まず卵を卵白と卵黄をわけて、卵白は少し冷やしておきます」
俺はふたの付いた小瓶に卵白を入れて、作業台の下にある木箱を開ける。木箱の中には、先ほど召喚しておいた氷亀のザクロがすでにスタンバイしていた。俺とボルカさん分の、二つの小瓶をザクロに手渡す。
「ザクロお願いね」
【がってんでぃ!ばっちり冷やしときやすっ!】
ザクロはそう言って、容器の傍でかけ声付きで踊りをはじめた。
また、変な踊りしてる……。
ザクロとガァちゃん曰く『気合の踊りを捧げると、ジッとしている時より冷えが違う』らしい。あくまでも二匹の個人的意見である。
俺は同じだと思うんだけどなぁ……。
俺はうーむと唸りながら、パタリと木箱を閉めた。
「では、冷やしている間に、卵黄と砂糖をスプーン1杯入れて混ぜます。そして、油を入れて、さらに白っぽくなるまで混ぜます」
俺は説明しながら、泡だて器で乳化するまで混ぜた。
「ここに牛乳と、小麦粉をふるって混ぜ合わせる」
「牛乳…小麦粉…ふるって…」
ボルカさんはブツブツと説明を反復しながら、俺と同じように工程を進める。料理人だけあって、さすがに手際が良い。
そんな俺たちの作業台横に、レイとトーマは椅子を持ってきて座っていた。二人は頬杖をつきながら、楽しそうに作業風景を眺めている。手を動かすたびに視線を動かす様子は、猫じゃらしに興味津々の子猫に何だか似ていた。
「やってみたくなってきた?」
アリスがクスクスと笑って、二人に聞く。するとレイは、アリスに向かい困った顔をした。
「やるのは勘弁だけど、見てるのは好きだよ」
「面白いよね。でも、やるとなったら僕も不安だなぁ」
眉を下げる二人に、カイルは少し唸る。
「やってみたら結構楽しいと思うが…」
「駄目、駄目。クッキーの時も思ったけど、料理っていろいろと細かいのが面倒なんだよ。俺だったら、一気に材料ドバっと入れちまいそう」
ドバっとの部分で大げさに手を広げたレイに、彼の不器用さを知る皆は笑った。
レイならやりそうだなぁ。
レイは不器用なうえ、工程を端折ろうとするところがある。それが壊滅的な仕上がりになってしまう原因のひとつだった。
俺はそんなレイに、微笑む。
「簡単な工程で、美味しく作れる料理もあるよ。材料を切って鍋で煮るだけのスープも、具沢山にすればとても美味しいし、やってみたらいいのに」
「フィル君の言う通りね!料理は数をこなしていくことが上達のコツだから、そういったのから作って、レベルアップをはかったらいいと思うわ」
ウィンクするゲッテンバー先生に、レイは目からウロコといった表情をした。
「なるほど。こなしていけば、料理って上達するものなのか」
そう呟いたレイが、期待するような目でこちらを見る。俺は苦笑して頷いた。
「何か手伝えそうな作業があったら、お願いするよ」
「やった!」
喜ぶレイを横目に、ライラが俺にこっそりと囁く。
「フィル君、本当に手伝わせて大丈夫なの?」
「あとは殆ど、混ぜるだけの工程しかないから」
レイの不器用さを考えれば一抹の不安を覚えるが、本人がやる気になっているのであれば協力しなきゃな。
「じゃあ、今度は卵白をやるね。ザクロ、そろそろもういいよ」
木箱を開けて声をかけると、ザクロはサッと容器を俺に掲げた。
【気合入れて冷やしておきやしたっ!】
「ありがとう」
冷たくなった容器を受け取り、ボウルに卵白を移す。
「冷やしていた卵白を少し泡立て、残りの砂糖を数回に分けて入れながら泡だて器で泡立てます」
「フィル様、泡立てるのは俺がやります」
見ればカイルが、すでに泡だて器を持って立っていた。
「えー、ずるい。かき混ぜるだけだろ?俺やってみたい!」
すっかりやる気になったレイが手を挙げる。だが、カイルは首を振り、諭すように言う。
「泡立てるのにコツもいるし、結構体力使うんだぞ。俺は普段フィル様を手伝ってるからやったことあるが、レイだと上手くいかない可能性がある」
確かに、卵白を冷やしたことで強い泡が作れるが泡立ちにくい、慣れないレイには大変かもしれない。メレンゲ作りはこのパンケーキの要だしなぁ。
俺は少し考えて、カイルとレイを交互に見た。
「じゃあ、ここはとりあえずカイルにお願いして、この後の工程をレイに手伝ってもらうよ。その工程も、最後のかき混ぜだから重要な工程だよ」
俺の提案に、レイは渋々と言った様子で了承する。
「じゃあ、カイル。泡がしっかり立つくらいでお願いね」
そう言って、卵白の入ったボウルをカイルに差し出す。
カイルが申し出てくれて、ちょっと助かったな。こっちじゃ泡立てるミキサーがないから、ちょっと疲れるんだよね。せめて子供体型じゃなかったらなぁ。手首のスナップも、もうちょっときくと思うんだが…。
「わぁ、すごい!泡立ってきた!」
シャカシャカと器用に泡だて器を動かすカイルを見て、トーマが楽しそうな声をあげる。レイやライラやアリスも「わぁ」と感嘆の声をもらした。
「やるわねぇ、カイル君」
そんなカイルを見ていたゲッテンバー先生が、ボルカさんに手を差し出した。
「ねぇ、ボルカさん。私もそれやってみてもいいかしら?そういった作業好きなのよ」
「え、あ、はい。助かります」
「うふふ、ありがとう」
ボルカさんからボウルと泡だて器をにこやかに受け取り、ゲッテンバー先生は泡立てる体勢をとった。
そして、スゥーと息を吸い込み、一気に泡立て器を動かす。
「ふんぬのぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカッ!!
「え、ええぇぇぇっ!」
目にも止まらぬ高速回転で泡だて器を動かす先生に、俺たちは呆気にとられる。
す、凄い。ボディビルダーな体はだてじゃないな。だが、力任せというわけではなく、繊細に丁寧に泡だて器を操っていた。
……すごい。みるみる間に、きめの細かいメレンゲが作られていく。
その勢いに一瞬固まったカイルだったが、悔しそうな表情で負けじと泡立てを再開する。
調理室にはゲッテンバー先生の野太い声と、シャカシャカという泡だて器の音が響き渡っていた。
「料理って………凄まじい」
「こんな料理風景、見たことない」
二人の泡立てる姿を見ながら、呆然とレイとトーマが呟く。
「い、いや、これは普通の料理風景じゃないから」
「そ、そうですよ!私だって初めて見ましたよ!」
俺やボルカさんが慌てて訂正を入れ、ライラとアリスが頷く。
だが、レイはすっかりやる気を失った表情をしていた。
「フィル」
「え?何?レイ」
聞き返すと、レイは無表情で俺を見つめた。
「俺…………手伝うのやめる」
諦めんの早いよっ!
だから、これ普通の料理風景じゃないから!
しおりを挟む材料や調理器具も用意できているし、作業に取り掛かろう。
「あら!フィル君可愛いエプロンね!」
「え?」
ふいに言われて見上げると、ゲッテンバー先生がニコニコと微笑んでいた。
エプロン?あぁ、この水色のエプロンのことか。
あぁ、学校の時の調理の時は、学校指定のエプロンだもんな。
このエプロンは、三年生男子の先輩から貰ったものだ。
前期の商学の授業の時、クッキーを買えず悔やむ先輩たちの姿に同情し、代わりに一度だけエッグタルトをあげた。これは、その時のお礼の品である。
「それ、三年生の先輩がくれたやつだよな。使ってるんだな……」
レイが俺のエプロン姿を眺めて、呟く。若干含みのある言い方に、俺は眉を下げた。
「お礼なんだから、使わないと可哀想じゃないか。先輩もエプロンも」
男子の先輩からのプレゼントであろうが、ポケットに毛玉猫のホタルの可愛いアップリケがつけられていようが、気持ちというものは無下にするものじゃない。
フリルのないシンプルな作りであることが、せめてもの救いである。
「とっても素敵よ。よく似合ってるわぁ」
ゲッテンバー先生はにこにこと笑って、ボルカさんやアリスやライラも「可愛い」と頷く。
まぁ、そう喜ばれるのも、何だか微妙な気持ちになるんだけど……。
俺は咳払いで気を取り直して、皆の顔を見回した。
「では、料理をはじめようと思います。今から教えるのはパンケーキです」
俺が言うと、皆は少し意外そうな顔をした。
「フィル、パンケーキってあれだろ?平べったいやつ。ちょっと普通すぎないか?」
「パンケーキなら、もうすでにメニューとしてありますけど……」
レイとボルカさんが少し不安そうに言うので、俺は安心させるため微笑んだ。
「僕のパンケーキは、そのパンケーキとはちょっと違うんだ。ふわふわな食感のパンケーキだよ」
「「ふわふわ?」」
レイとボルカさんの声が揃う。
俺は今回、窯で作るスフレパンケーキを作ろうと思っていた。
「材料は……卵二つ、砂糖がスプーン3杯と半、植物油をスプーン1杯、牛乳はコップ1杯、小麦粉はコップ1杯と半よりやや少なめで、材料はこれだけ。売られている砂糖は、そのままでは粒が大きいので、すり鉢などであらかじめ細かくしておいてね」
俺は用意した材料を指し示しながら、丁寧に説明する。
「これから作るふわふわパンケーキは、この泡だて器と、この小さなフライパンが大事です」
俺は植物で出来た大きい茶筅のような泡だて器と、小さな直径13センチほどのスキレットを指さした。スキレットは鋳鉄製のフライパンのことだ。
ゲッテンバー先生は、スキレットを持ち上げる。
「一品料理なんかで、オイル煮を作る時なんかに使うものね」
ステア王国の郷土料理に、オイル煮がある。この小さなスキレットは、主にそういったオイル煮などでしか使っていないようだ。だが、今回のスフレパンケーキには手ごろな大きさなので、これを使用することにした。
「そうです。これを窯でじっくり焼いて、ふわふわにします」
「ふわふわですか……」
ボルカさんはいまだ半信半疑のようだ。俺はボウルを持って、微笑む。
「まず僕が手本を見せますので、ボルカさん後に続いて一緒にやりましょう」
ボルカさんは唇を引き結び大きく頷くと、元気に頭を下げた。
「はいっ!よろしくお願いします!」
「まず卵を卵白と卵黄をわけて、卵白は少し冷やしておきます」
俺はふたの付いた小瓶に卵白を入れて、作業台の下にある木箱を開ける。木箱の中には、先ほど召喚しておいた氷亀のザクロがすでにスタンバイしていた。俺とボルカさん分の、二つの小瓶をザクロに手渡す。
「ザクロお願いね」
【がってんでぃ!ばっちり冷やしときやすっ!】
ザクロはそう言って、容器の傍でかけ声付きで踊りをはじめた。
また、変な踊りしてる……。
ザクロとガァちゃん曰く『気合の踊りを捧げると、ジッとしている時より冷えが違う』らしい。あくまでも二匹の個人的意見である。
俺は同じだと思うんだけどなぁ……。
俺はうーむと唸りながら、パタリと木箱を閉めた。
「では、冷やしている間に、卵黄と砂糖をスプーン1杯入れて混ぜます。そして、油を入れて、さらに白っぽくなるまで混ぜます」
俺は説明しながら、泡だて器で乳化するまで混ぜた。
「ここに牛乳と、小麦粉をふるって混ぜ合わせる」
「牛乳…小麦粉…ふるって…」
ボルカさんはブツブツと説明を反復しながら、俺と同じように工程を進める。料理人だけあって、さすがに手際が良い。
そんな俺たちの作業台横に、レイとトーマは椅子を持ってきて座っていた。二人は頬杖をつきながら、楽しそうに作業風景を眺めている。手を動かすたびに視線を動かす様子は、猫じゃらしに興味津々の子猫に何だか似ていた。
「やってみたくなってきた?」
アリスがクスクスと笑って、二人に聞く。するとレイは、アリスに向かい困った顔をした。
「やるのは勘弁だけど、見てるのは好きだよ」
「面白いよね。でも、やるとなったら僕も不安だなぁ」
眉を下げる二人に、カイルは少し唸る。
「やってみたら結構楽しいと思うが…」
「駄目、駄目。クッキーの時も思ったけど、料理っていろいろと細かいのが面倒なんだよ。俺だったら、一気に材料ドバっと入れちまいそう」
ドバっとの部分で大げさに手を広げたレイに、彼の不器用さを知る皆は笑った。
レイならやりそうだなぁ。
レイは不器用なうえ、工程を端折ろうとするところがある。それが壊滅的な仕上がりになってしまう原因のひとつだった。
俺はそんなレイに、微笑む。
「簡単な工程で、美味しく作れる料理もあるよ。材料を切って鍋で煮るだけのスープも、具沢山にすればとても美味しいし、やってみたらいいのに」
「フィル君の言う通りね!料理は数をこなしていくことが上達のコツだから、そういったのから作って、レベルアップをはかったらいいと思うわ」
ウィンクするゲッテンバー先生に、レイは目からウロコといった表情をした。
「なるほど。こなしていけば、料理って上達するものなのか」
そう呟いたレイが、期待するような目でこちらを見る。俺は苦笑して頷いた。
「何か手伝えそうな作業があったら、お願いするよ」
「やった!」
喜ぶレイを横目に、ライラが俺にこっそりと囁く。
「フィル君、本当に手伝わせて大丈夫なの?」
「あとは殆ど、混ぜるだけの工程しかないから」
レイの不器用さを考えれば一抹の不安を覚えるが、本人がやる気になっているのであれば協力しなきゃな。
「じゃあ、今度は卵白をやるね。ザクロ、そろそろもういいよ」
木箱を開けて声をかけると、ザクロはサッと容器を俺に掲げた。
【気合入れて冷やしておきやしたっ!】
「ありがとう」
冷たくなった容器を受け取り、ボウルに卵白を移す。
「冷やしていた卵白を少し泡立て、残りの砂糖を数回に分けて入れながら泡だて器で泡立てます」
「フィル様、泡立てるのは俺がやります」
見ればカイルが、すでに泡だて器を持って立っていた。
「えー、ずるい。かき混ぜるだけだろ?俺やってみたい!」
すっかりやる気になったレイが手を挙げる。だが、カイルは首を振り、諭すように言う。
「泡立てるのにコツもいるし、結構体力使うんだぞ。俺は普段フィル様を手伝ってるからやったことあるが、レイだと上手くいかない可能性がある」
確かに、卵白を冷やしたことで強い泡が作れるが泡立ちにくい、慣れないレイには大変かもしれない。メレンゲ作りはこのパンケーキの要だしなぁ。
俺は少し考えて、カイルとレイを交互に見た。
「じゃあ、ここはとりあえずカイルにお願いして、この後の工程をレイに手伝ってもらうよ。その工程も、最後のかき混ぜだから重要な工程だよ」
俺の提案に、レイは渋々と言った様子で了承する。
「じゃあ、カイル。泡がしっかり立つくらいでお願いね」
そう言って、卵白の入ったボウルをカイルに差し出す。
カイルが申し出てくれて、ちょっと助かったな。こっちじゃ泡立てるミキサーがないから、ちょっと疲れるんだよね。せめて子供体型じゃなかったらなぁ。手首のスナップも、もうちょっときくと思うんだが…。
「わぁ、すごい!泡立ってきた!」
シャカシャカと器用に泡だて器を動かすカイルを見て、トーマが楽しそうな声をあげる。レイやライラやアリスも「わぁ」と感嘆の声をもらした。
「やるわねぇ、カイル君」
そんなカイルを見ていたゲッテンバー先生が、ボルカさんに手を差し出した。
「ねぇ、ボルカさん。私もそれやってみてもいいかしら?そういった作業好きなのよ」
「え、あ、はい。助かります」
「うふふ、ありがとう」
ボルカさんからボウルと泡だて器をにこやかに受け取り、ゲッテンバー先生は泡立てる体勢をとった。
そして、スゥーと息を吸い込み、一気に泡立て器を動かす。
「ふんぬのぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカッ!!
「え、ええぇぇぇっ!」
目にも止まらぬ高速回転で泡だて器を動かす先生に、俺たちは呆気にとられる。
す、凄い。ボディビルダーな体はだてじゃないな。だが、力任せというわけではなく、繊細に丁寧に泡だて器を操っていた。
……すごい。みるみる間に、きめの細かいメレンゲが作られていく。
その勢いに一瞬固まったカイルだったが、悔しそうな表情で負けじと泡立てを再開する。
調理室にはゲッテンバー先生の野太い声と、シャカシャカという泡だて器の音が響き渡っていた。
「料理って………凄まじい」
「こんな料理風景、見たことない」
二人の泡立てる姿を見ながら、呆然とレイとトーマが呟く。
「い、いや、これは普通の料理風景じゃないから」
「そ、そうですよ!私だって初めて見ましたよ!」
俺やボルカさんが慌てて訂正を入れ、ライラとアリスが頷く。
だが、レイはすっかりやる気を失った表情をしていた。
「フィル」
「え?何?レイ」
聞き返すと、レイは無表情で俺を見つめた。
「俺…………手伝うのやめる」
諦めんの早いよっ!
だから、これ普通の料理風景じゃないから!
失礼します。毎回楽しく読ませていただいています。
今回メレンゲの件で少し気になったので感想を送らせていただきます。
メレンゲは泡立ちやすいのは温かい方です。冷たいと泡立ちにくいですが、持ちが良く、キメ細かくなります。
私の勘違いでしたら申し訳御座いません、流してくださるとありがたいです。
今後とも応援しております。
ご指摘どうもありがとうございます!
調べまして、その辺りを修正させていただきました!泡立ちにくいが、出来た時強い泡になるんですね。
勘違いしていることも多いので、教えてくださるとありがたいです。
ありがとうございました。
更新お疲れ様でした。
お、押忍ィーツ(おスィーツ)…w
∧∧φミ)∵゚・ ∴・。☆。∴。。
(#`Д´)φ∵。・゚・シャカシャカ*はあぁぁぁ!
| つ丼 )) シャカシャカ゚∵φ彡∧∧∵
/ ⌒)・゚*。★∵゚・∴・。φと(# )
し.∪ ☆。∴。。 ☆ ・とミ Ⅰ
ふんぬのぉぉぉぉぉっ!!しーJ
_
*/( ゚Д゚)てやんでぇぇい!
||#x、⊃⊃かたまれぇぇい!
人x∠_ノ☆ていっ!・゚*。★∵゚∴
Lm)m)。∴。。・゚*。☆∵゚・∴・。
へへ
ミ ;ミひいぃ…。
.. ⊂, ,⊃
. しーJ
感想ありがとうございます。
先生とカイルが対決し、ザクロが踊る……
この様子を見ると、かなり凄い現状ですね。w
そりゃ、「ひぃぃ」ってなります。
(゚□゚;)アワワ(;゚□゚)アワワ
誤字かなぁ
>大きい茶こしのような泡立て器
茶筅(ちゃせん)では?抹茶を点てる時に使うやつ。
ご指摘ありがとうございます。
本当ですね(笑)
自分で間違っておきながら噴きました。
何故にこんな間違いを……。(゚□゚;)