ボロボロになりながらもNETをチェックしていると重要な看過できない情報が山積している。「高江の自然破壊」「貧困たたきへの抗議デモ」「働き方改革」等々様々あるが、やはり業界的には、東海林さんも強く関心をもったエステ・ユニオンのTBCとの労働協約締結にふれないわけにはいかない。今日は、「労働情報」の運営委員会もあり、多くのプロレイバーも参加する中で、議論もしてみたい。ただ、直接当該と話もしておらず、協約本文も見ていないが、毎日新聞が見出しに「固定残業代明示」と書いてあったことには?と感じるメンバーは多いはずだ。

言うまでも無くエステユニオンは、連合や全労連、全労協などとは違う「流れ」であり、労働弁護団や「労働情報」、レイバーネットなどとは「交流」はあっても、POSSEなどと共に,労基署勧告を最大限活用するなどの独自の運動スタイルを築いてきた。労働相談を主体とする運動から、ユニオン活用に拡大していったのも、ここ2年程度だと思う。「たかの友梨」との労使紛争・勝利解決で、全国のエステ労働者から深刻な労働相談が相次ぎ、次のターゲットは業界最大手であるTBCだとも聞いていた。その意味では、どのユニオンも目指している「産別労働協約」の実現は実に喜ばしいことで、見習うべきなのだが…。

日本という国では、産別労働協約はなかなか「実現」しない。海員組合や全港湾、さらには生コンのように、労働組合が一つにまとまっており、なおかつ「業界団体」も一本にまとまっていれば可能だが、そうはいかない。それでも形は様々に異なるが、産別交渉は存在し、労働協約に近いものは多数見受けられる。春闘の賃上げもその一環と言って良いはずだ。しかし、事はそう簡単では無い。

今回もエステ業界というよりも、ユニオン結成や個別紛争・第三者機関への告発等を嫌がる企業体質を示している。それは新しく、関係省庁の業界団体への天下り・関与も少なく、競合労働組合もない産業だから可能だったともいえる。そして、この協定が必要なほどに、ブラック体質は酷く、改革や是正は迫られていたとも…。朝日は、組合の言うままに<TBC、外部労組と「ホワイト求人労働協約」締結>と見出しをつけたが、ここでは、毎日新聞の記事をまず添付。

エステ・ユニオン TBCと労働協約締結 固定残業代明示(毎日新聞 2016年8月26日)
http://mainichi.jp/articles/20160827/k00/00m/040/069000c (毎日:)
 エステサロンで働く人で作るエステ・ユニオン(三浦かおり共同代表)と業界大手のTBCグループ(東京都新宿区・手塚圭子社長)は、求人の労働条件を明確にするため固定残業代を明示するなどした労働協約を締結した。両者が26日に記者会見し、公表した。求人時と実際の労働条件が異なるケースが多発する中、トラブル防止に向けた異例の協約締結となった。
 エステ業界で固定残業代を明示せず、実際より賃金を多く見せる詐欺的求人が横行しているとし、ユニオンが組合員のいる同社と交渉していた。
 締結された協約は(1)採用人数、離職人数、育児休業の取得状況などの情報を公開する(2)固定残業代を明示し、ハローワークや民間求人媒体で求人情報を同じにする(3)求人情報以下の条件で労働契約をしない−−などとする内容。他社は基本給に「超過手当含む」などと記述されるだけで残業代や残業時間が明示されていないが、同社の新卒求人には、基本給に22〜24時間分の一律時間外手当(3万円)が含まれることが明示された。
 ユニオン役員の佐藤学さんは「最大手と協約を結べたことは意義がある。他社にも働きかけ詐欺求人をなくしたい」と話した。同社の長南進亮人事総務部長は「エステが安心して働ける仕事であることをアピールしたい」と語った。
 労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「労使が共同でブラックな求人を許さないという象徴的な意味がある。労働条件を明示できない会社に人が集まらないという流れにつながる可能性がある」と評価した。【東海林智】


これ以上は、エステユニオンのHPを掲げた方がいいかもしれない。

エステティックTBCとエステ・ユニオンは「ホワイト求人労働協約」を締結しました!(2016.8.26)
http://esthe-union.sblo.jp/article/176628406.html
2016年08月26日
 この度、エステティックTBC(TBCグループ株式会社)とエステ・ユニオン(総合サポートユニオンエステ支部)は、「ホワイト求人労働協約」(就活安心労働協約)という日本初の求人に関する包括的労働協約を締結しました。この協約は、求人に関する情報公開を会社が積極的に行うこと、労働契約は求人を下回らないことなどを約束することによって、求職者が安心して就職できるようにすることを目的としています。
 本日、エステティックTBCとエステ・ユニオンは、厚生労働省にて共同記者会見を行い、労働協約の締結とその内容について発表しました。
◆「ホワイト求人労働協約」(就活安心労働協約)の意義
①社会問題化する「求人詐欺・ブラック求人」問題 
 求人情報では魅力的な条件を掲げて労働者を集めながら、入社前後になって実は給料の中に「固定残業代」が含まれている、実際の労働環境が求人情報と異なり劣悪であることなどが判明する、「詐欺求人・ブラック求人」が深刻な社会問題となっています。厚生労働省の調査によると、ハローワークの求人票に記載された内容と実際の労働条件が異なっていたという相談は1万2252件にもおよび(2014年度)、求職者にとって安心して就職活動をすることができない実態が浮き彫りになりました。
②厚生労働省(国)による規制強化の動き
 そのような中で、厚生労働省は、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)の公布(2015年9月18日)を受け、2015年9月30日、「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」を告示し、「募集段階からの固定残業代の明示」を義務付けました。また、2016年6月3日、厚生労働省の有識者検討会は、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介事業者に労働条件を偽った求人を出した企業と幹部に対し、懲役刑を含む罰則を設けることも検討された報告書をまとめています(「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会報告書」)。
③日本初、求人関連の包括的労働協約~本労働協約の画期性~
 ところが、各媒体において掲載されている様々な企業の求人情報を見ると、義務化されたにもかかわらず、固定残業代の明示は徹底されていません。罰則規定もなく、強制力がないためです。また、仮に罰則があったとしても、サービス残業や長時間労働などの労働基準法違反が横行していることからも分かる通り、すべての違反企業を取り締まることには限界があります。
 エステ業界では、特に新興エステティック企業において、求人詐欺問題は深刻です。私たちエステ・ユニオンが大手エステティックサロンの求人情報を調査したところ、一部の例外を除き、多数の企業において固定残業代の表示義務に反した表示となっていることが確認されました。高い給与を表示しながら、実際にはその中には時間外手当が含まれており、かつ、そのことが分かる表記になっていない求人が乱立しているのです。
 そうした状況の中、エステティックTBCとエステ・ユニオンは、エステ業界で働くことを希望する求職者が、安心して就職・転職活動ができる環境を整備するために、業界全体で何が出来るのかを考え、労使間で協議してきました。そして、エステティックTBCは業界のリーディングカンパニーとして率先して情報公開等を行うべきであるとの認識に立ち、「ホワイト求人労働協約」(就活安心労働協約)を締結するに至りました。
労働協約の概要はこちらです。(PDFファイル)
【本協約のポイント】
①「職場環境の情報公開」を約束
 若者雇用促進法及び女性活躍推進法が求める情報公開項目全てをまとめて各求人媒体へ主体的に公開することにより、求職者が企業の就労実態に関わる情報の多くを取得できるようにします。また、各事業場における36協定(残業時間の上限を定めた協定)に関しても公開することを予定しており、それによって、求職者は各事業場での残業時間の上限が把握でき、長時間労働の危険性がないことを事前に確認することができます。
②「求人条件表示の明確化・共通化」を約束
 厚労省指針が義務付ける固定残業代制度の明示項目を、新卒採用求人だけではなく、義務化されていない中途採用求人含め、各求人媒体にて明示します(正確には、青少年・非青少年)。それによって、求人段階での給与の水増し表示を防止します。また、民間求人、ハローワーク求人、自社HP求人によって求人情報に齟齬が生じないよう、各求人媒体における文言の共通化を行うことで、求職者が正確な求人情報を把握できるようにします。
③「求人情報以下の労働契約締結の禁止」を約束
 求人情報を見て応募し内定を得て、実際に入社するまでの間に後出しで労働条件が下方修正されるという被害を防ぐため、各求人媒体において求人情報以下の労働契約を締結しない旨の文言を掲載するとともに、内定時に労働条件通知書を書面交付することにより、その実効性を担保します。
 以上のような、①「職場環境の情報公開」、②「求人条件表示の明確化・共通化」、③「求人情報以下の労働契約締結の禁止」の3つにより、エステ業界で働くことを希望する求職者が、安心して就職・転職活動を行い、入社できる環境を労使で協議し、整備しました。
 今回のような労働協約締結は、日本社会において初の先進的な取り組みです。エステ・ユニオンは、同業他社にも本協約の締結または本協約内容の履行を求める公開質問状の送付を予定しており、エステ業界から「求人詐欺・ブラック求人」をなくすための取り組みを進めていきます。


濱口桂一郎さんはブログに早速「労働協約を締結できるユニオン」との一文を掲げている。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-ce4c.html
そして、以下の通り書かれた。「エステユニオンというもともとは個別紛争解決型の典型的な外部ユニオンが、労働市場のあり方を規制する本来的なトレード・ユニオンとして労働協約というルール形成能力を獲得するにまで至っているということが、もっとも注目すべき点でしょう。もともとトレード・ユニオンとはそういうもののはずですが、内部労働市場に閉鎖された企業別組合には、その企業内部のルール形成能力はあっても、それを一歩出ると何もできないし、一方その企業の外側で活動するいわゆる『ユニオン』はもっぱら個別の紛争を解決する能力のみによって評価されるにとどまり、それを超えた労働市場のルール形成能力はないものとみられていました。どちらも、トレード・ユニオンではなかったわけです。その意味で、もちろん特殊な業界の一企業との協約に過ぎないということを前提にした上で、注目すべき協約であることは間違いないように思われます。」

それはその通りだが、なぜ多くの産別組合やユニオンが「産別労働協約」締結に至らなかったのか、ビルメンなど業界的にも労働者不足に悩み、適正な統一労働条件を明示することによって、安定的な雇用関係を構築すべきと考えた業界トップは多数存在したのも事実ではあったにもかかわらず…。結論ははっきりしている。もちろん業界大手の企業が反対したケースが最多だが、有力企業別労組が賛同しなかったこともある。さらには担当する省庁や天下り役員の権益が損なわれるとのマイナス効果もあった。日本の労使関係はかくも複雑怪異で魑魅魍魎にあふれている。そんな中では、やはり画期的な協約締結なのだが、職場闘争をはじめ労働者という当事者がなかなか見えないのも悩みでもある。

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