2016年11月07日
11月5日NHKザ・プレミアム「京都人の密(ひそ)かな
愉(たの)しみ 月夜の告白」が放送されました。
この番組は2015年1月から不定期に放送され、ドラマと
ドキュメンタリーを織り交ぜて京都の人々の四季の生活や習慣などを
紹介する番組で、今回は4作目の放映となります。
★第32回ATP賞テレビグランプリで
グランプリを受賞
2016年、全日本テレビ番組製作社連盟(以下、ATP)が優れた映像作品を選ぶ
「ATP賞テレビグランプリ」で、この番組が、グランプリを受賞しました。
84年に創設されたこの賞は、創り手である製作会社のプロデューサーや
ディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶ、日本で唯一の賞。
毎年100本を超える応募作品の中から、各賞が選ばれます。
評価コメントで「企画性、映像の美しさ、構成、編集、すべてにおいて
優れていた。バラエティーだからこそできたもの。ドラマ、情報番組の
要素もあって楽しませてくれた良質な番組。日本人のつくるバラエティーの
すごさをみせてくれた」と評され、この番組でしか味わえない
ゆったりとした京都空間・時間が流れる事が、大きな魅力でしょう。
★今回は月の輝く秋の物語
初回にも秋をテーマにしていましたが、特に今回は
秋に月が大きくクローズアップされ、テーマにもあるように
「月夜の告白」がポイントとなっていました。
ラテン語の「月=Luna」に由来したLunaticには「精神をかき乱す」
という意味があるように、月には人々の心を乱す不思議な力が
あるようで、この番組の京都人もその例外ではありませんでした。
旧嵯峨御所大覚寺門跡
★嵯峨野・大覚寺・広沢池
時代劇映画・ドラマのロケ地として定番スポットで、
嵯峨天皇が大沢池で、中秋の名月に舟を浮かべ、文化人・貴族
と遊ばれたことから始まった「観月の夕べ」で知られます。
空に浮かぶ月を見るのではなく、池に映った月を観たそうで
日本人の感性の象徴かも知れません。
★嵐山・千光寺(大悲閣)
悲閣嵐山にかかる渡月橋から約1kmあまり上流、山の中にあり
江戸時代の豪商、角倉了以が、大堰川を開削する工事で亡くなった
人々をとむらうために、嵯峨の中院にあった千光寺を、
移転し建立させたもので、境内にある大悲閣は、大堰川の切り立った
岩肌に建つ観音堂で、嵐峡の絶景を眺める事ができます。
御住職(月待ち和尚)が云われた、「嵐山に初めて来た人は、行くべき処が
多数あり、数回訪れ、他に何処か隠れ名所を求めた人が来る処です」は
「池に映った月」を観ると同じ風流と言えるでしょう。
★嵐山・大河内山荘
時代劇などで知 られる俳優・大河内傳次郎さんが別荘として造営した
回遊式庭園ですが、渡り古都の霊峰に魅せられて、当時は長期保存が
難しかったフィルムのように、消えてしまうものではなく、
いつまでも残る美を追究するという思いから 34歳から64歳で
逝去するまで30年の歳月に映画出演料の大半をこの庭の創造に注ぎ込み
生涯をかけてこつこつと築き上げたもので、ミシュラングリーンガイド
でも「大河内山荘からの景色」が一ツ星に選ばれています。
月香亭は、その庭園の頂上付近にあり、昼間の眺望も大変素晴
らしい場所ですが、嵐山花灯路の時期は京都の夜景が楽しめます。
観月亭でなく、月の香りを楽しむに、大河内傳次郎さんの
美意識が反映されているようです。
法輪寺(嵯峨の虚空蔵さん)
★嵐山・法輪寺
渡月橋のすぐ近くに門を構え、毎年4月、13歳になった男女が
福と智恵を授かりにお参りに来るという「十三詣り」の習わしを
今に伝え、番組では菊花供養で紹介されましたが、重陽の節会では
菊慈童像に菊の花を供え、 無病息災・延命長寿を祈願し、法要が
十三まいり
終了すると菊酒が振る舞われ、重陽の節句ではかつて宮中で菊の鑑賞や
菊酒を嗜む菊花宴が行われていたそうです。
中秋の名月には、夜間開放され観月出来ます。
月香亭のように風景を切り取る夜景に対して、法輪寺の展望台からは、
空にさえぎる物の無いような月で趣きが変わります。
車折神社
★嵐山・車折神社
番組で紹介された重陽祭は9月9日の重陽の節句(菊の節句)を
祝うもので、江戸時代の車折神社における重陽祭では、
神仏習合の様式により盛大に齋行されていたもので、
車折神社・重陽祭
神事とともに大般若経の転読も行われていたと伝えられています。
平成9年に130年ぶりに再興しました。
最近では、芸能人が多数祈願する芸能神社として知られています。
大覚寺 観月の夕べ
★京都の主な観月祭
観月の夕べ(大覚寺・大沢池)・観月祭(松尾大社)
賀茂観月祭(上賀茂神社)・名月管絃祭(下鴨神社)
観月会(神泉苑)・明月祭(芋名月)北野天満宮
名月祭(平野神社)・秋の夜の観月茶会(高台寺)
祇園社観月祭(八坂神社)
紫雲山頂法寺(六角堂)
★紫雲山・頂法寺(六角堂)
京都・中京区六角通りにあり、聖徳 太子創建の寺であり、本堂が
六角形を成していることから六角堂といわれ、いけばな池坊発祥の
地でもあり、隣接した池坊会館の1階にあるティーラウンジ
「ラウンジ235」の壁には、家元が1962年から世界各国で収集した
珍しいスプーンのコレクションが展示され営業中であれば、一般人
も利用出来ます。
◎井上あさひアナ・月下の夢
初生け花体験で、一本一本に時間がかかって
「優柔不断」のテロップと監督から「これだけで一時間
番組になっちゃいます」と注意されちゃいました。
井上あさひアナは、以前、NHKテレビ講座で「茶道体験」
していて、その時のしっかり振りとは大違いでした。
自分の生け花の命名は流石で「月下の夢」。
★三方(さんぼう)
榊原神具店(京都・六波羅)
番組で紹介された189年に創業された神具の老舗。原料である
木材には厳選された木曽桧のみを使用し、神殿ならびに神祭具を
制作、販売していますが、仕事をしながら、自前の三方で
お供えしての観月は、京都の生活感が良く出ていました。
★御萩(おはぎ)
同じ材料ながら、春は牡丹餅、夏は夜船、秋は御萩、
冬は北窓と名を変えて店頭に並び、季節によって
微妙に配合や味を変える和菓子、そこの季節感を
演出する和菓子の醍醐味と繊細な心遣いがあります。
★サブドラマ「十六夜の笛」
出演 本上まなみ・安藤政信・黒谷友香・丸山智己ほか
◎古美術「雨月」
丸山智己さんが主人に扮した古美術商の店名が「雨月」で、
夜に雲などに月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」といい、
中秋の夜に雨が降る ことを「雨月(うげつ)」といいます。
◎荒神橋
上京区と左京区の境の鴨川に架かる橋で、橋名は近くの清荒神
護浄院にちなんでいますが、テレビでは「荒神橋」と
文語体を崩したような「くわいじんばし」の橋名が映って
いますが同じ橋で、丸山智己さんの妻に扮した本上まなみさんが
ここから、笛を吹く青年を見かける場所ですが、ここからの
川の中の飛び石(亀石)などの風景は、京都を舞台とした
刑事系ドラマなどで、よく映る風景です。
◎二十六夜待ちの歌
得意客に扮した佐川満男さんが、放蕩を繰り返す
雨月主人を嗜める比喩に上手く使っていました。
長月の有明の月のあつつも君し来まさばわれ恋ひめやも
(柿本人麻呂「拾遺和歌集13」)
九月の有明の月夜のように,あなたがいつも私の許に来てくだされば,
私はこんなふうに恋焦がれたりすることはないでしょうに…。
有明の月夜というのは,夜が終わって明ける時の月のことです。
空のはてがほのぼのと白くなって,西の空に月がまだ残っています。
興聖寺
興聖寺の伊武雅刀さん演じる老師の住職が云っていた
不十分なもの・不完全なもの・簡素なものに美しさを見出す「わびさび」
・・・満月よりも欠けた月が良いという。わび茶の創始者、村田珠光の
「月も雲間なきは嫌にて候」という有名な言葉もあるように
美意識ですが、サブドラマでは、本上さんが見ていた月齢カレンダーが
象徴すように、月の呼び名は、時間的なモノを表わし、常時会えない恋の
逢瀬に時間を見つけ出すモノであり、満月でなく、かけた月は
人を忍ぶ恋をシンボライズしていました。
★勘違いの恋(うたかたの月)&
成就した恋(満月)
「雨月」の夫婦は、二人とも月夜の夢とも言える、ひと時の
勘違いの恋で、弁当が二人の関係の結末(修復)を象徴し、
安藤政信さん&黒谷友香さんが、人憚らぬ満月に照らされました。
BAR月下の安藤政信さんが作ったカクテルの表面に灯りが
映り、月のように見えました。
★大原千鶴の武勇伝・伝
毎回、料理研究家の大原千鶴さんの京料理も然ることながら、
京都の奥座敷と呼ばれる場所にある、美味しい日本料理が
評判の美山荘が実家で、大原千鶴さんのその頃の武勇伝・伝
が面白いのです。
◎マツタケ武勇伝①
御実家のある花背(はなせ)は、京都の奥座敷と言われるだけに、
松茸の名産地で、大原千鶴さんの学校時代にはマツタケ狩りに行ったそうで
松の葉に隠れたマツタケを見つけるのですが、先回りして
イノシシが先回りして、一噛みして、口に合わなく吐き出したモノがあり
高価なマツタケで、幼心に一線を越えるべきかの自問自答の葛藤があった
ものの、結局、洗って食べてしまったそうです。
美山荘
松尾アナが茶化して「イノシシも食べるマツタケを食べたんですね」
と言うと、大原千鶴さん、ケロッとして「どうせ、猪も食べます
からね」と切り返します。
実は、「京の極み」でも船越 英一郎さんも食べた
美山荘の名物の一つが、ボタン(猪)鍋なのです。
◎マツタケ武勇伝②
実家の宿では、秋には美食家が集まり、松茸コースを
堪能したそうで、大原千鶴さんは、焼く担当で1日何組も
焼くので、廊下にも、その香りが充満したそうで、
「松茸コースでない人は、少し気の毒」と思ったとか。
反面、大原千鶴さん、仕事終わりの食事では、鼻腔にマツタケの
香りが充満し、白ご飯を食べても、松茸御飯になったそうで、
松茸コースで無い宿泊客も、松茸御飯は食べられたかも知れない
と笑いを誘いました。
サブドラマ「十六夜の笛」で、古美術「雨月」の主人に扮した
丸山智己さんブログで、「大原千鶴先生の目にも美しいお弁当」と
書いてあったので、ドラマのお弁当も監修されていたようで、
二つで左右対称一つ対になった詰め方は、美しいだけでなく
このドラマの重要アイテムである夫婦の象徴・弁当が効果的でした。
大原千鶴さんは、ようしゃべりはるだけでなく、ええ仕事
しはりますやろ。
◎遇酒旦呵呵
NHK「あてなよる」のロケ地となっていますが、
この番組にも登場しましたが、セットと思っていたのですが、
大原千鶴さんのアトリエだそうです。
★メインドラマ
三八子(常盤貴子)フランスへの海外電話、エアメール(手紙)の
束や、、三八子の将来を思った母(銀粉蝶)の店を譲る話や
ヒースロー教授(団時朗)の修行僧姿など、次回への
問題提起があり、シーンごとには良いのですが、初めて見る
人の為にだと思いますが、オムニバス回想シーンが多く、
ちょっと、常連視聴者には、展開が余りなく、何か間延びした感が
あり、ドラマの全体的な出来としては、もう一つと言う感じがありました。
◎シャーロット・ケイト・フォックス
ヒースロー教授のいいなずけに扮したシャーロット・ケイト・
フォックスさんが、学生達とのコンパでカラオケで、
チェリッシュの「なのにあなたは京都へ行くの」を
鬱憤を晴らす日本人のように、しつこく歌うは笑えますが、
歌は流石、ミュージカル女優です。
カラオケ帰り、自宅で畳に倒れ込むように寝て、仰向けで
月を下から眺めるシーンは、何か印象的です。
★生活感
常盤貴子さんと銀粉蝶さんの親子の生活するシーンの
一部に船鉾町にあり、代々呉服商を営んできた町家住宅で
京都市指定有形文化財である長江家住宅がロケ地となっていますが、
回を重ねるに連れ、実際に生活してるかのようなしっくり感が出ています。