大手会社の化粧品開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。無事にノラ犬となりましたw
ノラ犬となった化粧品犬が、新しい化粧品を開発する過程で得られた面白い情報を発信していくブログです。

化粧品犬です。

前々回から、スキンアクアサラフィットUV さらさらエッセンス(2016年度版)の解析を行っています。

今回はその第3回目で、処方解析編をお送りします。

第1回のエントリーはこちら。
ロート製薬 スキンアクアの解析 サラフィットUV さらさらエッセンス(2016)の解析1 製品概要編
第2回はこちらです。
ロート製薬 スキンアクアの解析 サラフィットUV さらさらエッセンス(2016)の解析2 耐水性編

スキンアクアシリーズ全体についてはこちらです。

ロート製薬 スキンアクアの解析 シリーズ概要編を追加


さて、これまでの解析では、第1回でサラフィットUV エッセンスはスキンアクアのスーパーモイスチャージェルの兄弟処方である(成分が良く似ている)ことを書きましたが。
第2回では処方は似ているのにウォータープルーフ性はかなり違っていて、サラフィットUVエッセンスはかなり良いんですよ、ということを書きました。
パッケージには、スキンアクアのスーパーモイスチャージェルには「ウォータープルーフ」、サラフィットUV エッセンスには「スーパーウォータープルーフ」と書いてあるのですが、本当に大きな違いがあるので驚きました。

今回は、サラフィットUV エッセンスとスーパーモイスチャージェルの処方を比較しながら、ウォータープルーフ性の違いをもたらしたのは、どの成分だったのか・・・を考えていこうと思います。

では、いつもの様に、裏面の処方を整理します。
サラフィットUV エッセンスとスーパーモイスチャージェルの処方を併記しました。
原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。
こんな感じになりました。


両者を較べてみると、最も違うのが油性原料です。
スーパーモイスチャージェルは油性原料は配合されてないのですが、サラフィットUVエッセンスはジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが配合されています。
紫外線吸収剤も油ではあるので、スーパーモイスチャージェルははこれを油性原料と見立てて乳化してあるだけであり、サラフィットUVエッセンスは、紫外線吸収剤にジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを加えた物を乳化してあるとも言えます。
通常シリコンというと、ジメチコンやシクロメチコンといった成分が普通なのですが、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンという、フェニル変性シリコンをこれだけ多量に使っている製品は、割と珍しいです。
この種のフェニル変性シリコンはエタノールなど他の溶媒と混ざりやすく、ツヤが出やすい特性があるのは知っていましたが・・・。
しかし、今回のジフェニルシロキシフェニルトリメチコンをよく調べると、原料のカタログに「水をはじく特性に優れている」と、ちゃんと書いてありました。シリコン油なら、ジメチコンやシクロメチコンでも水をはじくのですが、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンはこの効果が強いらしいです、これは知らなかった(^_^;)
サラフィットUVエッセンスにが配合されたこの成分が強力に水をはじき、ウォータープルーフ性の発現に大きく寄与しているのでしょう。

その次の紫外線吸収剤のパートを見ると、強力なUVB吸収剤のエチルヘキシルトリアゾンが、サラフィットUVエッセンスでは外されています。これは多分コストかな?
耐水性向上のために配合したジフェニルシロキシフェニルトリメチコン分のコストをどこかで回収しなけでななりませんから。しかし紫外線吸収剤を減らすと、SPFに影響がでますよね。
一般的に日焼け止めで高SPF値を出すためには、紫外線吸収剤の配合は、

 UVB吸収剤 + UVA吸収剤 + UVB-UVAまで広く吸収剤する吸収剤

の三つが必要と言われています。3種の足し算で吸収を高め合うわけです。
そこで、サラフィットUVエッセンスの紫外線吸収剤を確認してみると、

 ・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:UVB吸収剤。
 ・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル:UVA吸収剤。
 ・ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン:UVA・UVBの両方を吸収する吸収剤。

と、セオリー通りになっており、コストダウンされながらも一線は守っていることが分かります。

次のカテゴリーの乳化剤は、3種併用になっています。
まずスーパーモイスチャージェルでは「シルキーワックス」として大きく広告されてたビスPEG-18メチルエーテルジメチルシランが、サラフィットUVエッセンスにもしれっと配合されてます。べたつき無さと画で採用されたのだと思いますが、字に2製品の使用感がに照り来る原因になってますね(^_^;)
サラフィットUVエッセンスの方は更に、シリコン油と相性が良いPEG-12ジメチコンとペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10を併用しています。
ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10は、固形で油に溶けやすく水に溶けにくい性質を持つ乳化剤なので、これもウォータープルーフ性の高さに寄与していそうです。
乳化力が高くて固形と言うのがわりと珍しいのですが、それ以上に重要なのは、この乳化剤は、先代というか初代のスーパーモイスチャージェル(2014)にも乳化剤として配合されていた事です。
2016年のスーパーモイスチャージェルは、これをシルキーワックスに置き換えたわけですが、兄弟処方であるサラフィットUVエッセンスはよりによってというべきか、シルキーワックスにこのペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10を併用しちゃったんですね
全体に似ているから当然相性が良いのでしょうが、なんとなく、新世代になりきれない第1.5世代というか、ちょい古い感じがしてしまいますす(^_^;)

スーパーモイスチャージェル(2014)全成分
水、エタノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、DPG、グリセリン、イソノナン酸イソノニル、ヒアルロン酸Na、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、加水分解コラーゲン、アルギニン、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジメタクリル酸グリコールクロスポリマー、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、BG、TEA、EDTA-2Na、メチルパラベン


あと粉体ですが。
サラフィットシリ−ズと言えば、「ドライキープパウダー」配合!だったのですが・・・見て分かように、スーパーモイスチャージェルと同じ粉体になってしまいました。サラフィットの名前は残したけど粉体で差別化するのは止めたんですね。たぶん従来品の「モロモロが出る」という評判を覆せなかったのでしょう。
サラフィットシリ−ズの今後が心配ですね。いっそ名前を変えるとかが、いいのかも。
次回は処方解析2として、サラフィットUVエッセンスを過去のバージョンと比較し、難航した開発を考察してみようと思います。

あとは2016年度処方について、パート毎の成分についてコメントを書いていきます。

油性成分
・ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン:アルコールをは じめ各種化粧品成分との相溶性に優れており、 水をはじく、べとつかない、のびが良いなど優れた特性を持っています。

紫外線 吸収剤
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:UVB吸収剤。1960年代から使用されている。
・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル:UVA吸収剤。日本では、2005年から使用許可されています。
・ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン:UVA・UVBの両方を吸収する、紫外線吸収剤。日本では、2007年から使用許可されています。

乳化剤
・ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン:水分散性の固形のシリコン系乳化剤。制汗剤のように、べたつきのある成分を含む用途ではべたつきの軽減効果があります。
・PEG-12ジメチコン:シリコン構造を持つ典型的な乳化剤。シリコン油と馴染みは良いため、シリコン油の多い製剤で多用される。
ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10

粉体、顔料
・ジメタクリル酸グリコールクロスポリマー:プラスチック製の微粒子で、軽いが硬く、分散性に優れている。
・ポリスチレン:プラスチック製の微粒子で、透明感が高く分散性に優れている。

防腐剤
・メチルパラベン:比較的低刺激な防腐剤。ただし、環境ホルモンや蓄積性の点で叩かれることも多い。環境ホルモンについては多くは根拠の無い噂であるが、蓄積性についてはファンケル社が学会で報告し、報文を出している。(ただし、防腐剤の蓄積による影響は、可能性レベル)
化粧品中の防腐剤は皮膚に残り、肌にストレスを与える(IFSCC*2005 in フローレンス中間大会)
http://www.fancl.jp/laboratory/report/17.html

保湿剤、 香料など
・水:水です。多くの場合は、水道水では無くイオン交換水を使います。
・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。
・BG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。DPGほどでは無いが、やや抗菌性がある。
・ヒアルロン酸Na:代表的な酸性ムコ多糖類で あり、コンドロイチン硫酸などと共に哺乳動物の結合組織に分布してます。水保持性能が高いため、化粧品分野では高分子量の保湿剤として利用されています。ニワトリのトサカなどから得られる動物lll来のものと 微生物を用いる発酵法により得られるものがあります。
・アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸):天然|l1来のヒア ルロン雌にアセチル基を導入することにより、皮膚への親ホl1性が高め、使用感と角質柔軟効果を向上させた素材です。
・加水分解コラーゲン:動物の皮などを酸やアルカリなどで加水分解することで得られる保湿剤。比較的分子量が大きい保湿剤であるため、皮膚や毛髪の面ににしなやかな保湿膜をつくる効果に優れます。
・アルギニン:塩基性アミノ酸という、水に溶かすと弱アルカリ性を示すアミノ酸の一種。その性質を生かし水酸化ナトリウムやトリエタノールアミンの代替として中和に使われる事が多い。生命活動に深く関わるルアミノ酸でもあり、創傷治癒効果や肌荒れ改善などの効果もあります。
・(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー:アクリル酸ポリマーは化粧品で最も良く使われているポリマーなのですが、それを改良し、特に乳化安定性を強化した原料です。
・TEA:トリエタノールアミンを略した呼び名。有機系の中和剤で、水酸化ナトリウムの代替としてつかわれるが、中和物の溶解性を向上させる効果がある。
・ポリビニルアルコール:水溶性のポリマーであるが、重合度、けん化度のちがい により様々な性質の物が作られている。使用範囲は、パックの基剤から、化粧水、乳液、クリーム、メイクアップ等幅広い。
・EDTA-2Na:キレート剤と呼ばれる原料で、製剤の酸化安定性やpH安定性を向上させる。
・キサンタンガム:糖類をキサントモナス属の菌に与えて作らせる、微生物由来のポリマー。構造としては酸性多糖類の一種で、増粘剤として化粧品に広く使用される。
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