ドモホルンリンクル(再春館製薬所)のCMが、日々流れている。年齢化粧品、「やさしさ」を処方、どの化粧品にも似ていない--と宣伝し、まず無料サンプルを届ける。だが、7点で5万7,750円の高額化粧品の割に、その「やさしさ」には納得できない。
ドモホルンリンクル(再春館製薬所:熊本県熊本市)のテレビCMを目にしない日はない。朝に、夜にと目に入ってくる。
ドモ(抑制)ホルン(角質)リンクル(しわ)は、「お肌の衰えを抑制する」という意味から名づけられた商品名である。
最近、流れているCMのひとつに「目もと」篇というのがある。
登場モデルは、樋口京子さん62歳。
〈この目もと、何歳に見えますか?(樋口京子さん顔がアップ)
「62歳です。ドモホルンリンクルを使っています」(樋口さん)
そう、若く見える人は目もとが違うんです。気になる部分で、そしてお肌全体で実感できるドモホルンリンクル。無料お試しセットで、まずは目もとの印象からはじめてみませんか?
お申し込みは、0120-444-444。〉
何度も何度もテレビで流れるから、フリーダイヤルの番号まで覚えてしまった。
ドモホルンリンクルを使えば、彼女のような“肌美人”になれると思わせる、心くすぐられるCMだ。CMで見る限り、60歳台であの肌はすごい。たしかに憧れる肌だ。
彼女は、どのくらいの期間、ドモホルンリンクルを愛用しているのだろうか。
ドモホルンリンクルは、店舗展開をしていない。つくりたてを店頭の陳列棚に眠らせたくないという理由から、通信販売のみで顧客を獲得する。そのためCMでの露出、演出は大切である。
「目もと」篇以外のCMに、「必ずテストしていただくために」篇、「あたりまえだと思っていた」篇、「質感」篇などいろんなCMがどんどん流れてくる。ドモホルンリンクルのサイトでも見ることができる。直販だけあって利益率も高いはずだが、このCM量を見ても、かなり売れている、と感じる。
◇どの化粧品にも似てない商品?
「どの化粧品にも似ていない。それが年齢化粧品、ドモホルンリンクルです」
以前、「ありのまま」篇のCMでこんなことを言っていた。
どの化粧品にも似ていない化粧品って、どんな商品だろう?
そこが、ずーっとわたしの疑問だった。
| | 「今日からお肌を変えるお手当て法」ビデオと同封されていた冊子 | |
無料サンプルを入手するため、覚えてしまった「0120-444-444」に電話してみた。すると、
「お肌の様子をお聞きする時間をいただいてよろしいですか?」
「届いた後、電話で様子を伺うのに、ご都合が悪いときはありませんか?」
「お聞き苦しい点もあったかと思いますが、責任をもってお届けします」
ていねいすぎるほどの対応だ。
普通郵便(冊子小包)で届いたセットは、約3日分のドモホルンリンクル7点(化粧落しジェル・洗顔石鹸・柔肌パック・保湿液・美白エキス・クリーム20・引きしめ乳液)。
特徴は、「原産地が明確な原料のみ使用」「手間ひまかけてつくる」「厳格な品質管理」「あらゆる方向から安全性を検証」「自社工場からつくりたてを直接お届け」「注文から3 日以内(通常)にお届け」「100%無香料、無着色」など。“華やかさ”よりも“安心”が売りだ。
それは、無料サンプルと一緒に同封されているビデオ『今日からお肌を変えるお手当て法』(ドモホルンリンクルを実感する25分)からも見てとれる。
熊本阿蘇のイメージ、薬品会社のイメージ、応対のよさ、愛用者のよろこびの声などもコンパクトにまとめられていた。
サンプルは無料だが、7点すべてを購入すると5万7,750円(約60日分)。保湿液と美白液は約45日分というから、月3万円のかなりの高額化粧品になる。
「つくりたてを直送しました。翌朝、一番のお肌が違います。ぜひ今晩からお試し下さい」と冊子小包のところに書かれてあった。
「つくりたて」ということばに、新鮮な化粧品だとつい思ってしまう。
つけて翌朝の肌状態を知る前にすることは、商品の成分チェック。つける前に、ここから始めないといけない。サンプルには『ドモホルンリンクル7点全成分一覧』が同封されていた。
◇肌のバリアを壊す合成界面活性剤
化粧品会社の姿勢をみるチェックポイントに、肌のバリアを壊すような化粧品づくりをしていないか、がある。
皮膚の表面は皮脂のバリアでおおわれ、このメカニズムのおかげで体内に異物が入ってこないようになっている。このバリアが弱くなれば皮膚組織の水分が蒸発して外に逃げ、乾燥肌にもなりやすく、しみやしわの原因ともなる。その大切なバリアを壊すのが、皮膚表層の脂質を流失させ、たんぱく質を変性させてしまう合成界面活性剤である。
●【水+合成界面活性剤=台所用合成洗剤】
●【水+合成界面活性剤=シャンプー】
●【化粧水+合成界面活性剤=クレンジングローション】
●【クリーム+合成界面活性剤=クレンジングクリーム】
●【水+油+合成界面活性剤+酸化防止剤=乳液、クリーム】
●【ジェル状物質+合成界面活性剤=洗顔フォーム】
といったように、変身する。
現代化粧品には欠かせない成分であるが、肌には困った成分でもある。
また、皮膚表層の脂質を流失させるだけではなく、いわゆる「バリアゾーン」(外部からの異物の侵入を防ぐ表皮の角質層と顆粒層部分)に穴をあけ、薬効成分、美白剤などを真皮へ浸透させる役割もしている。
◇応対はやさしいが、成分は…
「年齢を重ねたお肌のために、すべての商品に『やさしさ』を処方しました」と同封のパンフレットにあった。ドモホルンリンクルがうたう「やさしさ」処方とは何だろうか。
漢方の知恵と最新の皮膚科学で「お肌の本来の力を高める」といい、「徹底的に原料を選び抜いています。もちろん無香料、無着色。必要でないと思われるものはいっさい配合されていません。反対に必要だと思われる原料だと思われるものには労を惜しみません」(ビデオ『今日からお肌を変えるお手当て法』)ともある。
なかなかいいことを言っている。
パンフレットには、「私たちはお客様と直接、お会いできません。だからこそ、ありのままの私たちを包み隠さず、まっ直ぐに語っていくことが、何よりも大切なことと考えています。全成分表示の情報公開においては、成分名だけではなく、その成分の起源や役割までも、積極的にお伝えしています」ともあった。
正直に語ってくれるらしい。
サンプル到着後、何度か電話をもらった。留守番電話での応対も、とても丁寧だ。留守にしていたりで直接話せなかったので、こちらから電話をした。
専門知識を身につけているというコミュニケーターに、(自分が『プチ事典 読む化粧品』などの著者であることを言わず、一消費者として)疑問に思っていることを聞いた。
(コミュニケーター)「使っていただいて、何かわかりにくい点ですとか、疑問とかございますか?」
──できるだけ成分がやさしいものを使いたいのですが、合成界面活性剤は使ってないですか?
「はい。石油系の合成界面活性剤は使っておりません。乳化剤としては、レシチンという大豆の成分ですね。それを使っておりますので、合成の界面活性剤は使っておりません」
──石油系以外の合成界面活性剤を使っているということですか?ちょっと肌(に使うこと)のこともあるので。
「レシチンという大豆の成分になります」
──大豆レシチンですが、これは合成界面活性剤じゃないんですか?
「はい。石油系の合成界面活性剤にはなりませんので。
添加物としては、パラベンという保存料が含まれております」
──そのほかは合成添加物は入っていないんでしょうか?
「そうですね。全成分一覧の下の方にあります(明記されている)、抽出溶媒と書いているものになるんですけど、成分を取り出すときに使う液体になるんですけど、それが添加物になります」
──合成ポリマーとかはどうでしょうか?
「ポリマーでございますか……。ポリマーはたぶん使ってはいないかと思うのですが」
──そうなんですか?
「はい」
──乳液がちょっと気になったもので。これは下地に使えるのでしょうか?
「はい。使っていただけます。ただ、UVカット機能がないので、日焼けどめは別につけていただくほうがよいかと思います」
──乳液は合成界面活性剤は使っていなくて、ポリマーも使っていないということですね。
「はい」
〈2006年4月27日、PM1:00~〉
応対は、ずっとていねいだった。
コミュニケーターの説明では、
・合成界面活性剤は、石油系のものは使っていない。
・でも、無添加ではなく、保存料のパラベンを使っている。
・ポリマーは使っていない。
ということになる。
◇乳液はいらない
皮膚にもっとも影響を与えるのは、洗浄化粧品である。
7点セットの1つ「化粧落しジェル」の成分を「全成分一覧」でチェックしていくと、「イソステアリン酸ポリグリセリル-10」、「ラウリン酸ポリグリセリル-10」という2つの合成界面活性剤が含まれていた。
洗顔後に肌がつっぱらないのは、合成界面活性剤に保湿性があり、うるおい成分の油が肌の中に残るからだ。パンフレットでもこの2成分の役割は保湿油分と紹介されている。
合成界面活性剤は洗浄性が壊れないまま皮膚に残るので、皮脂や角質層内の脂質の流失性が高まり、皮脂を減少させ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。