医薬品情報
添付文書情報
| 販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| ORENCIA FOR I.V.INFUSION | ブリストル・マイヤーズスクイブ | 3999429D1021 | 54995円/瓶 | 生物由来製品 , 劇薬 , 処方箋医薬品 |
警告
本剤を投与された患者に,重篤な感染症等があらわれることがある。敗血症,肺炎,真菌感染症を含む日和見感染症等の致命的な感染症が報告されているため,十分な観察を行うなど感染症の発現に注意すること。また,本剤との関連性は明らかではないが,悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め,これらの情報を患者に十分説明し,患者が理解したことを確認した上で,治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また,本剤の投与において,重篤な副作用により,致命的な経過をたどることがあるので,緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで投与し,本剤投与後に副作用が発現した場合には,担当医に連絡するよう患者に注意を与えること。
本剤の治療を行う前に,少なくとも1剤の抗リウマチ薬の使用を十分勘案すること。また,本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。
禁忌
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
効能・効果及び用法・用量
効能効果
関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)
効能効果に関連する使用上の注意
過去の治療において,少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても,効果不十分な場合に投与すること。
本剤と抗TNF製剤の併用は行わないこと(「重要な基本的注意」の項参照)。また,本剤と他の生物製剤の併用について,有効性及び安全性は確立していないので,併用を避けること。
用法用量
通常,成人にはアバタセプト(遺伝子組換え)として以下の用量を1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後,2週,4週に投与し,以後4週間の間隔で投与を行うこと。
| 患者の体重 | 投与量 | バイアル数 |
| 60kg未満 | 500mg | 2バイアル |
| 60kg以上100kg以下 | 750mg | 3バイアル |
| 100kgを超える | 1g | 4バイアル |
用法用量に関連する使用上の注意
投与方法
本剤の希釈液の全量を30分かけて点滴静注する。
本剤は,無菌・パイロジェンフリーで蛋白結合性の低い0.2〜1.2ミクロンのメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
本剤は,独立したラインにより投与するものとし,他の注射剤・輸液等と混合しないこと。
使用上の注意
慎重投与
感染症の患者又は感染症が疑われる患者(「重要な基本的注意」の項参照)
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させる可能性が否定できないので,胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど,結核症状の発現に十分注意すること。](「重要な基本的注意」の項参照)
易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。](「重大な副作用」の項参照)
慢性閉塞性肺疾患のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
本剤と抗TNF製剤の併用は行わないこと。海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において,本剤と抗TNF製剤の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず,感染症及び重篤な感染症の発現率が抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった。また,抗TNF製剤等の生物製剤から本剤に切り替える際には,感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
本剤に関連した過敏症又はアナフィラキシー様症状が報告されている。重篤な過敏症又はアナフィラキシー様症状が発現した場合は,速やかに投与を中止し適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
本剤を含む免疫系に影響を及ぼす薬剤において,感染症及び悪性腫瘍に対する宿主の感染防御機構やワクチン接種に対する応答に影響を及ぼす可能性があるので,下記の点に注意すること。
感染症
本剤を投与された患者に,敗血症や肺炎を含む重篤な感染症が報告されており,致命的な経過をたどることがある。重篤な感染症の多くは,免疫抑制療法を併用している患者において認められている。感染症の再発を繰り返す患者,易感染性の状態にある患者,あるいは慢性,潜在性の感染又は局所感染がある患者に対して本剤の使用を考慮する場合,感染症の発現や増悪に十分注意すること。また,本剤投与中は,十分な観察を行い新たな感染症の発現に注意すること。重篤な感染症が発現した場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え,インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い,適宜胸部CT検査等を行うことにより,結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には,結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には,原則として抗結核薬を投与した上で,本剤を投与すること。
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査などの検査により,既感染が強く疑われる患者
結核患者との濃厚接触歴を有する患者
また,本剤投与中も,胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し,患者に対し,結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳,発熱等)には速やかに担当医に連絡するよう説明すること。なお,結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないこと。
抗リウマチ生物製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)に本剤を投与する場合は,患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行い,B型肝炎の再燃の徴候に注意すること。なお,臨床試験では,ウイルス肝炎のスクリーニング検査で陽性であった患者は試験対象から除外された。
悪性腫瘍
臨床試験において,悪性腫瘍の発現が報告されている(「臨床成績」の項参照)。本剤に起因するか明らかではないが,悪性腫瘍の発現には注意すること。
予防接種
本剤投与中及び投与中止後3ヵ月間は,生ワクチン接種により感染する潜在的リスクがあるので,生ワクチン接種を行わないこと。また,一般に本剤を含む免疫系に影響を及ぼす薬剤は,予防接種の効果を低下させる可能性がある。
慢性閉塞性肺疾患のある患者に本剤を投与する場合には,慢性閉塞性肺疾患の増悪や気管支炎を含む重篤な副作用が発現したとの報告があるので十分注意すること。
本剤投与により既存の乾癬の悪化又は新規発現が惹起される可能性がある。既存の乾癬の悪化及び新規発現に注意し,必要に応じて適切な処置を行うこと。
副作用
副作用発現状況の概要
副作用の概要
<国内臨床試験>
国内の臨床試験において,安全性評価対象223例中186例(83.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。
主な副作用は,上気道感染注1)76例(34.1%),上気道の炎症24例(10.8%),口内炎20例(9.0%),発疹注2)15例(6.7%),高血圧13例(5.8%)等であった。また,主な臨床検査値異常は,リンパ球減少28例(12.6%),血圧上昇26例(11.7%),白血球増加26例(11.7%),ALT(GPT)増加20例(9.0%),血圧低下14例(6.3%),尿中白血球陽性13例(5.8%)等であった。(承認時まで)
注1)鼻咽頭炎を含む
注2)湿疹,痒疹,紅斑を含む
<国内使用成績調査(全例調査)>
市販後に実施した使用成績調査(全例調査)において,安全性解析対象症例3,985例中614例(15.4%)に副作用が認められた。主な副作用は,上気道の炎症47例(1.2%),帯状疱疹39例(1.0%),気管支炎35例(0.9%),口内炎35例(0.9%),鼻咽頭炎34例(0.9%)等であった。(2013年3月集計時)
<海外臨床試験>
海外の二重盲検比較試験において,安全性評価対象1,955例中1,020例(52.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は頭痛195例(10.0%),悪心118例(6.0%),上気道感染93例(4.8%),浮動性めまい90例(4.6%),下痢72例(3.7%),疲労69例(3.5%),鼻咽頭炎63例(3.2%)等であった。(承認時まで)
(投与直後の有害事象)
海外の二重盲検比較試験のうち3試験(安全性評価対象1,650例)において,投与直後の有害事象(投与開始後1時間以内に発現した有害事象)は,プラセボ群に比べ本剤投与群の患者でより多く認められた(本剤投与群で9.8%,プラセボ群で6.7%)。本剤投与群で認められた主な事象(>1.0%)は,浮動性めまい(2.1%),頭痛(1.8%),高血圧(1.2%)であった。1%以下で0.1%を上まわった事象は,低血圧,血圧上昇,呼吸困難等の心肺症状のほか,悪心,潮紅,蕁麻疹,咳嗽,過敏症,そう痒症,発疹,喘鳴であった。
副作用の発現頻度は,本剤及び皮下注製剤の国内臨床試験並びに本剤の全例調査の結果により算出した。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
重篤な感染症
敗血症(0.1%),肺炎(1.0%),蜂巣炎(0.4%),局所感染(0.1%未満),尿路感染(0.3%),気管支炎(1.2%),憩室炎(0.1%未満),急性腎盂腎炎(0.1%未満)等の重篤な感染症があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には,投与中止等の適切な処置を行うこと。
重篤な過敏症
ショック,アナフィラキシー様症状(0.1%未満)及び低血圧,蕁麻疹,呼吸困難等の重篤な過敏症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.4%)
間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状に十分注意し,異常が認められた場合には,速やかに胸部レントゲン検査,胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し,本剤の投与を中止するとともに適切な処置を行うこと。なお,間質性肺炎の既往歴のある患者には,定期的に問診を行うなど,注意すること。
その他の副作用
| 1%以上 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明注) | |
| 血液・リンパ系 | 白血球増加,リンパ球減少,白血球減少,血小板減少,好中球減少,好酸球増加,貧血,鉄欠乏性貧血 | 赤芽球癆 | ||
| 精神・神経系 | 頭痛,浮動性めまい,睡眠障害(不眠症を含む),末梢性ニューロパチー | 錯感覚,うつ病,味覚異常,片頭痛,脳梗塞,脳炎 | 不安 | |
| 眼 | 結膜炎,眼乾燥,角膜炎 | 麦粒腫,眼瞼炎,結膜出血,眼痛,細菌性結膜炎 | 視力低下 | |
| 耳 | 回転性めまい,中耳炎 | 耳鳴,耳不快感 | ||
| 循環器 | 血圧上昇,血圧低下,高血圧,動悸 | 徐脈,潮紅,頻脈,低血圧,ほてり,上室性期外収縮 | ||
| 呼吸器 | 上気道感染(鼻咽頭炎を含む),上気道の炎症,下気道感染(気管支炎を含む) | 咳嗽,鼻炎,副鼻腔炎,鼻漏,口腔咽頭痛,アレルギー性鼻炎 | 気管支痙攣,咽頭膿瘍,高炭酸ガス血症,鼻閉 | 咽頭絞扼感 |
| 消化器 | 口内炎 | 悪心,下痢,胃炎,腹痛,便秘,嘔吐,胃腸炎,齲歯,歯周炎,胃潰瘍,胃ポリープ,腹部不快感,腸炎,感染性腸炎,歯肉炎 | 消化不良,アフタ性口内炎,歯感染,歯周病,舌炎,口唇炎,逆流性食道炎,胃腸出血,歯痛 | 口腔内潰瘍形成 |
| 皮膚 | 発疹(湿疹,痒疹,紅斑を含む) | 爪真菌症,白癬感染,爪囲炎,蕁麻疹,乾癬 | 脱毛症,ざ瘡,皮膚嚢腫,毛包炎,膿皮症,皮下組織膿瘍,発汗障害,白血球破砕性血管炎,爪の障害 | 感染性皮膚潰瘍,皮膚乾燥,挫傷発生の増加傾向,多汗症 |
| 筋・骨格系 | 筋痙縮,背部痛 | 関節痛,骨髄炎,細菌性関節炎 | 四肢痛 | |
| 生殖器 | 無月経,月経過多 | |||
| 泌尿器 | 尿中白血球陽性,膀胱炎,尿中赤血球陽性,尿中血陽性,BUN増加,尿中ブドウ糖陽性,血中クレアチニン増加,尿中蛋白陽性 | 膿尿,頻尿,血尿,腎盂腎炎,排尿困難 | ||
| 代謝 | 血中カリウム減少,血中ブドウ糖増加,高コレステロール血症 | 高脂血症,血中コレステロール増加,糖尿病,血中カリウム増加 | ||
| 肝臓 | ALT(GPT)増加,AST(GOT)増加,γ-GTP増加,脂肪肝,血中アルカリホスファターゼ増加 | 胆石症,胆嚢ポリープ,血中ビリルビン増加,胆管炎 | ||
| 投与部位 | 注射部位反応(そう痒感,紅斑,疼痛,丘疹,発疹等) | |||
| 抵抗機構 | 帯状疱疹 | ヘルペスウイルス感染,口腔ヘルペス,真菌感染,インフルエンザ | 単純ヘルペス,創傷感染,水痘 | インフルエンザ様疾患,パルボウイルス感染 |
| その他 | 異常感,倦怠感,発熱,季節性アレルギー,末梢性浮腫 | 無力症,体重増加,胸痛,体重減少,総蛋白減少,低体温,胸部不快感,食欲不振 | 疲労 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与し,適宜減量も考慮すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット及びウサギ)において本剤の胎盤通過性が認められている。また,動物実験では最高投与量(マウスで300mg/kg,ラット及びウサギで200mg/kg)まで催奇形性は認められなかったが,投与量200mg/kg(ヒトに10mg/kg投与した場合の全身曝露量(AUC)の11倍のAUC)でラット雌出生児に自己免疫様の所見が認められている。]
授乳中の婦人には,授乳を中止させること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で本剤の乳汁移行が認められている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性及び有効性は確立していない(国内での使用経験がない)。
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤は添加剤としてマルトースを含有している。グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースが測定結果に影響を与え,実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されている。本剤を投与されている患者の血糖値の測定には,マルトースの影響を受ける旨の記載がある血糖測定用試薬及び測定器は使用しないこと。
適用上の注意
溶解方法
本剤に添付されたシリコーン油を塗布していない専用のディスポーザブルシリンジ及び18〜21Gの注射針を用いて,本剤1バイアル当たり10mLの日局注射用水(日局生理食塩液も使用可)で溶解する。
本剤のバイアルのフリップオフキャップを外し,ゴム栓表面をエタノール綿で清拭する。
注射針をゴム栓の中央に刺入し,1バイアル当たり10mLの日局注射用水(日局生理食塩液も使用可)をバイアルの壁面に沿って流れるように静かに注入する(その際に陰圧状態でないバイアルは使用しないこと)。
内容物を泡立てないように注意し,バイアルを緩やかに渦をまくように回転させて完全に溶解する。決して激しく振らず,長時間振り混ぜないこと。
完全に溶解した後,泡立ちがある場合にはバイアル内に針で通気して泡を消散させる。溶解後の液は,無色から微黄色の澄明な液である(微粒子,変色,異物を認めたものは使用しないこと)。
希釈方法
溶解後速やかに総液量約100mLとなるように日局生理食塩液で希釈する。
あらかじめ日局生理食塩液100mLの点滴バッグ又はボトルから,バイアルの溶解液と同じ容量分(バイアルが2本の場合は20mL,3本の場合は30mL,4本の場合は40mL)を抜き取っておく。
本剤に添付されたシリコーン油を塗布していない専用のディスポーザブルシリンジ及び18〜21Gの注射針を用いて,各バイアルの溶解液を点滴バッグ又はボトルに緩徐に注入し,緩やかに混和する。
希釈液に微粒子や変色がないか目視で確認すること。微粒子又は変色が認められた場合は希釈液を使用しないこと。
希釈後は速やかに使用すること(なお,希釈後やむをえず保存する場合は,2〜25℃で保存し,24時間以内に使用すること)。
調製時
本剤をシリコーン油が塗布されたシリンジを用いて調製しないこと。〔本剤の溶液中に浮遊物が生じることがある。〕シリコーン油が塗布されたシリンジを用いて調製した溶液は廃棄すること。
その他の注意
本剤の臨床試験は,国内では37.7ヵ月(長期試験の投与期間1.0〜45.1ヵ月の中央値)まで,海外では42.9ヵ月(長期試験の投与期間1.9〜71.9ヵ月の中央値)までの期間で実施されており,これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
本剤単剤投与での使用経験は限られている。
本剤投与後,本剤に対する抗体が産生されることがある。海外臨床試験において投与期間として最長8年間,本剤による治療を行った関節リウマチ患者3,985例について本剤に対する抗体の発現を評価したところ,投与期間中の抗体陽性率は3,877例中187例(4.8%),投与中断又は中止した患者における最終投与後43日以降の抗体陽性率は1,888例中103例(5.5%)であった。また,評価が可能であった48例中22例に中和抗体活性が認められている。国内臨床試験では,投与期間中の抗体陽性率が231例中7例(3.0%),投与中断(最長約3年)又は中止例を含めた全体の陽性率が231例中33例(14.3%)であり,評価が可能であった25例中8例に中和抗体活性が認められている。なお,抗体の発現と効果又は有害事象との関連は明らかではない。
マウスのがん原性試験(投与量20,65及び200mg/kgで週1回,雄:84週間・雌:88週間,皮下投与)において,リンパ腫及び雌マウスの乳腺腫瘍の発生率上昇が報告されている。これら腫瘍の発生には,マウス白血病ウイルス及びマウス乳癌ウイルスと本剤の免疫抑制作用との関連が示唆されている。
海外において,JCウイルスの発現は確認されていないものの本剤投与中に進行性多巣性白質脳症(PML)を再発した症例が市販後に報告されている。
本剤とタクロリムス等のカルシニューリン阻害薬との併用について,安全性は確立していない。
薬物動態
関節リウマチ患者に本剤2〜16mg/kgを30分かけて単回点滴静注したときの薬物動態パラメータを表1に示す。アバタセプトの薬物動態は線形性を示し,半減期(t1/2)は約10日であった。
表1 関節リウマチ患者にアバタセプトを単回投与したときの薬物動態パラメータ
| 投与量(mg/kg) | Cmaxa(μg/mL) | AUCa,b(μg・h/mL) | t1/2c(日) | CLc(mL/h/kg) | Vssc(L/kg) |
| 2(n=6) | 36(24) | 4509(36) | 8.8(3.2) | 0.46(0.15) | 0.11(0.02) |
| 8(n=7) | 161(14) | 21330(23) | 9.5(2.6) | 0.38(0.09) | 0.10(0.02) |
| 16(n=6) | 318(43) | 46065(44) | 10.3(4.5) | 0.37(0.16) | 0.12(0.06) |
初回投与後2及び4週の負荷投与により,アバタセプトの血清中濃度は速やかに定常状態を超える濃度に達し,以後4週間隔の投与開始3回目までに定常状態に到達した。また,関節リウマチ患者から得られた血清中濃度データを用いて,母集団薬物動態解析を実施した。用法注3)及び用量注4)に従い反復点滴静注したときの定常状態時の薬物動態パラメータ推定値を表2に示す。定常状態における各患者(216例)のトラフ濃度(Cmin)推定値の平均値±標準偏差は24±10μg/mLであった。アバタセプトの薬物動態に対する年齢及び性別の影響はみられなかったが,クリアランスの変動要因として体重及び糸球体ろ過率(GFR)が選択された。体重別固定用量注4)により用量を調整した場合,臨床上重要な体重の影響は認められていない。
表2 臨床用量で関節リウマチ患者にアバタセプトを反復投与したときの定常状態時の薬物動態パラメータ推定値(母集団薬物動態解析)
| 薬物動態パラメータ推定値の算術平均値±標準偏差 | |||
| CL(mL/h/kg) | AUC(μg・h/mL) | Cmax(μg/mL) | Cmin(μg/mL) |
| 0.30±0.08 | 48475±12631 | 236±43 | 24±10 |
注3)初回投与後,2週,4週に投与し,以後4週間の間隔で投与
注4)体重60kg未満:500mg,体重60kg以上100kg以下:750mg,体重100kgを超える:1g
臨床成績
国内臨床試験成績(第II相用量反応試験)[3]
メトトレキサートに効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした,メトトレキサート併用下(6〜8mg/週),プラセボ対照二重盲検比較試験における6ヵ月後のACR改善基準20%における有効率(ACR20)を表3に示す。本剤投与群におけるACR20は,プラセボ群に比較して有意に高かった(<0.001)。
表3 ACR20(国内臨床試験)
| 本剤投与群b | プラセボ群 | ||
| 10mg/kg | 2mg/kg | ||
| ACR20a(%) | 77.0 | 62.7 | 21.2 |
| 改善例数/有効性評価例数 | 47/61 | 42/67 | 14/66 |
メトトレキサートに効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした,メトトレキサート併用下(15mg/週以上),プラセボ対照二重盲検比較試験(AIM試験)における6ヵ月後のACR20,及び抗TNF製剤に効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした,DMARD併用下,プラセボ対照二重盲検比較試験(ATTAIN試験)における6ヵ月後のACR20を表4に示す。いずれの試験においても本剤投与群におけるACR20は,プラセボ群に比較して有意に高かった(<0.001)。
表4 ACR20(海外臨床試験)
| AIM試験 | ATTAIN試験 | |||
| 本剤投与群b | プラセボ群 | 本剤投与群b | プラセボ群 | |
| ACR20a(%) | 67.9 | 39.7 | 50.4 | 19.5 |
| 改善例数/有効性評価例数 | 288/424 | 85/214 | 129/256 | 26/133 |
海外臨床試験における悪性腫瘍発現頻度[6]
海外における関節リウマチ患者を対象としたプラセボ対照試験において,悪性腫瘍の発現率は,本薬を投与(中央値12ヵ月)した2,111例のうち29例(1.4%)で,プラセボを投与した1,099例のうち12例(1.1%)と同様であった。
二重盲検試験及び非盲検試験において,本薬を投与した6,028例(16,671人・年)における悪性腫瘍の発現率は,100人・年当たり1.35であり,7年間ほぼ一定であった。このうち,黒色腫以外の皮膚癌が0.64,固形癌が0.62及び悪性血液疾患が0.10であった。主な固形癌は肺癌(0.14/100人・年)であり,主な悪性血液疾患はリンパ腫(0.06/100人・年)であり,7年間ほぼ一定であった。二重盲検試験及び非盲検試験の累積データにおける,悪性腫瘍全体の発現率,主な癌種別(黒色腫以外の皮膚癌,固形癌及び悪性血液疾患)の発現率,個々の癌種の発現率はいずれも二重盲検試験と同様であった。なお,これらの悪性腫瘍の発現率は関節リウマチ患者から予測されるものと一致していた。
薬効薬理
作用機序
アバタセプトは抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合することでCD28を介した共刺激シグナルを阻害する。その結果,関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化及びサイトカイン産生を抑制し,さらに他の免疫細胞の活性化あるいは関節中の結合組織細胞の活性化によるマトリックスメタロプロテアーゼ,炎症性メディエーターの産生を抑制すると考えられる。
アバタセプトはin vitroにおいて抗原特異的なナイーブT細胞及びメモリーT細胞の増殖を減弱させ,IL-2,TNF-α及びIFN-γなどの炎症性サイトカインの産生を抑制した。また,コラーゲン誘発関節炎ラットにおいて,病態の進行,抗コラーゲン抗体の産生及び関節破壊を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
| 一般名 | アバタセプト(遺伝子組換え) |
| 一般名(欧名) | Abatacept(Genetical Recombination) |
| 本質 | アバタセプトは遺伝子組換え融合タンパク質で,1〜125番目はヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-4,及び126〜358番目はヒトIgG1に由来する改変型Fc領域からなり,131,137,140及び149番目のアミノ酸残基がSerに置換されている。アバタセプトはチャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。アバタセプトは358個のアミノ酸残基からなるサブユニット2分子から構成される糖タンパク質(分子量:約92,000)である。 |
承認条件
大規模な製造販売後調査を実施し,本剤の安全性について十分に検討するとともに,長期投与時の安全性,感染症等の発現について検討すること。
本剤の有効性(関節破壊の進展防止に関する評価を含む)及び安全性等を確認するため,適切な対照群をおいた二重盲検比較臨床試験を製造販売後に実施すること。
包装
オレンシア点滴静注用250mg
1バイアル
調製専用シリンジ
1個
| 社内資料:日本人関節リウマチ患者における単回及び反復投与試験 |
| 社内資料:日本人関節リウマチ患者における母集団薬物動態解析報告書 |
| 社内資料:メトトレキサートに対して効果不十分な活動性関節リウマチ患者を対象としたabatacept2用量の静脈内投与による有効性及び安全性を検討する多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検用量反応試験(第II相臨床試験) |
| Kremer,J.M.,et al., Ann Intern Med., 144 (12), 865, (2006) »PubMed |
| Genovese,M.C.,et al., N.Engl.J.Med., 353 (11), 1114, (2005) »PubMed |
| 社内資料:海外臨床試験における悪性腫瘍発現頻度 |
| 社内資料:CD4陽性T細胞に対するアバタセプトの作用(in vitro) |
| 社内資料:コラーゲン誘発関節炎モデルに対するアバタセプトの作用(in vivo) |
作業情報
| 改訂履歴 | 2016年4月 改訂 |
| 文献請求先 | 「主要文献」に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。 「主要文献」に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。 |
| 業態及び業者名等 | 製造販売元 プロモーション提携 |