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2017.01.19

鼻のできものが治らない?悪性の腫瘍や手術の必要性について

この記事の監修ドクター

たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

075-752-3387

http://www.tatemoto.jp/

悪性の腫瘍や手術の必要性について

ふと気づいたら、鼻の中に異物感があることはありませんか。気になって触ると余計に腫れてきたり、痛みが出たり、また、ほおっておいたら自然と治ってしまうこともあります。

また鼻づまりが長引くのも、鼻の中のできものが原因かもしれません。症状が長引く場合には、医師の診断を仰ぐことも必要となります。今回は、鼻の中の異物感の正体、「できもの」についてご紹介していきます。

鼻の中にできる「できもの」の種類

①ニキビ

鼻の中のできもので最も多いのがニキビです。ニキビは、毛穴に皮脂が詰まることが原因で起こる疾患で、詰まった毛穴に脂肪分を好む雑菌(アクネ菌とよばれる常在菌)を繁殖させてしまうことでその部分が炎症を起こして腫れたり、膿が出たりします。

体の免疫力が落ちていたり、睡眠不足やビタミン不足な状態のときに起こりやすくなりますので、生活習慣を見直すことで改善されることもあります。

重症化すると、治っても跡が残ることがありますので、症状によっては皮膚科などで診察を受け、しっかりと治療することが大事です。

②ヘルペス

ヘルペスとは、ヘルペスウィルスに感染しておこる疾患で、水ぶくれが集まったような状態になります。

ヘルペスウィルス自体は人間の身近に普通に存在していますが、体調が崩れたりストレスが溜まったりして体力が落ちているときに感染すると、激しい痛み、かゆみ、ただれなどを引き起こします。

早い段階で医師にかかり、抗ウィルス剤の投与を行えば比較的短い期間で治癒します。

③毛包炎、面疔(めんちょう)

毛穴の奥で毛根を包んでいる部分を毛包(もうほう)といいますが、ここが黄色ブドウ球菌に感染して起こる疾患を毛包炎と言います。

鼻毛を抜いたり、カミソリの深剃りなどがきっかけで毛穴が傷ついたことにより起こるのが特徴で、通常痛みやかゆみはありません。ニキビと違い芯があるものではなく、毛穴の浅い部分で軽く炎症している場合が多いので、軽症なら自然に治癒します。

また、この毛包炎の症状が悪化して皮膚の深い部分で炎症を起こし固く芯のあるような状態になったものを「面疔」と言い、こちらは触れると痛みを伴います。たいていの場合一週間程度で自然治癒しますが、なかなか症状がおさまらない場合は、皮膚科に行って、化膿止めの抗生物質の軟膏や内服薬を処方してもらうとよいでしょう。

まれに重症化した場合には、膿を出すために患部を切開することもあります。

④アテローム

皮膚の下に嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まってしまった状態のことを言います。通常痛みやかゆみなどはありませんが、袋の中に老廃物が溜まっていくにつれ、どんどん大きくなっていきます。最大5cmくらいになることもあるようです。

また細菌に感染すると炎症を起こすこともあります。自然に治ることはないので、手術によって取り除くことになります。

⑤ アデノイド

小さな子供の鼻づまりは、「アデノイド」という、鼻の奥の突き当りにある「上咽頭(じょういんとう)」の、リンパ組織のかたまりの腫れが原因となっていることがあります。

これは幼少期特有の病気で、幼少期の鼻づまりの原因としては最も多いものと言われますが、、2歳~5歳ぐらいがピークで次第に減っていきます。

症状としては、鼻づまりが起こるだけでなく、鼻の空気の通り道が狭くなるため、口呼吸となってしまい、いびきをかくのも特徴です。成長するに従い小さくなっていくため経過観察で十分な場合が多いですが、慢性化している場合は切除手術を行うことがあります。

⑥鼻ポリープ(鼻茸)

鼻の中は、空気の通り道である「鼻腔(びくう)」とその奥にある「副鼻腔(ふくびくう)」という空洞で構成されています。この副鼻腔の粘膜の炎症が長時間続くと、徐々に腫れ上がって、水ぶくれのような半透明の膨らみになります。これを鼻ポリープ(鼻茸)と言います。

この鼻ポリープが大きくなって、副鼻腔から鼻腔内に飛び出してきてしまうと、空気の通り道を占拠してしまい、鼻づまりの原因となることがあります。
転移したり命にかかわることはなくありませんが、小さいうちは、放置しておけば自然に治ることもありますが、症状が進むと周囲を圧迫し嗅覚障害や激しい頭痛を引き起こすこともありますので、自覚できる大きさになった場合は、医師の診断を受けるとよいでしょう。

また、「慢性副鼻腔炎(蓄膿症)」に付随して起こる症状ですので、まずはこの症状の治療を行う必要があります。

⑦良性腫瘍(乳頭腫)

鼻にできる良性腫瘍は稀ですが、比較的よく見られるのが「乳頭腫(にゅうとうしゅ)」です。パピローマウィルスの感染によって起こるとされています。基本的には悪性化することはありませんが、表面から内部に進行していく内向発育型の「内反性乳頭腫(ないはんせいにゅうとうしゅ)」は、悪性化する確率が5~20%あるという報告もありますので注意が必要です。

形状や症状は鼻茸に似ており、腫瘍によって妨げられた部分のみ鼻づまりとなりますので、片側だけ詰まる場合も多くみられます。自然に取れることはないので、内視鏡による摘出手術を行うことになります。再発率が高い病気のため、腫瘍細胞が残らないよう完全に切除します。

良性腫瘍には、乳頭腫の他に血管腫、骨腫、骨形成性線維腫などがあります。

⑧悪性腫瘍(がん)

鼻の中に発生する悪性腫瘍で最も多いのが上顎洞(じょうがくどう)がんです。鼻の中にいくつかある副鼻腔のうち、頬骨の内部、鼻の左右両側に位置するのが上顎洞です。このがんの原因のほとんどは「慢性副鼻腔炎」です。粘膜の炎症が長期間に渡り積み重なることでがんが発生すると言われ、特に50歳を超えるとそのリスクが高まります。

初期症状はあまりなく、進行するにしたがって腫瘍が鼻腔まで進んでくることによる鼻づまりが生じます。また血や膿が混じった鼻汁が出たり、頬がはれてきたりします。通常、他の組織へ転移する危険性は少ないとされています。

ちなみに、鼻の中にある様々な種類の細胞は悪性腫瘍化する可能性があります。最も多くみられるのは、扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)と呼ばれるもので、副鼻腔と鼻腔の表面を覆っている薄くて平べったい形をした細胞から発生します。

上顎洞にできるがんもほとんどがこの扁平上皮がんです。他には、稀ですが、皮膚の色を作りだしているメラニン形成細胞ががん化する「黒色腫」や、筋肉組織から発生する「肉腫」、嗅神経が腫瘍化した「神経芽細胞腫」などがあります。

⑨悪性リンパ腫

血液中の「リンパ球」ががん化する疾患を悪性リンパ腫と言いますが、これが鼻腔や副鼻腔にできることがあります。急速に1日単位で大きくなる場合もあり、また鼻づまり以外に症状が現れにくいため、発見が遅くなることもあります。

今まで鼻づまりがなかったのに急にひどくなって来たという場合は速やかに医師の診断を受けましょう。

鼻づまりの症状にみる原因判断

腫瘍や鼻ポリープが鼻の中にできると、単なる異物感だけではなく、「鼻づまり」が起こるようになります。鼻づまりにもいくつかのパターンがありますが、ここでは鼻づまりの症状から見る原因判断の目安を挙げておきます。

特に、手術を要するようなできものの場合、早期に発見し速やかに治療を受けることが必要です。そのためにも速やかに専門医療機関で検査を受けることが大事です。

①右と左が交互につまる場合

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの可能性が高く、悪性のできものが原因ではない場合が多いです。ちなみに、この鼻づまりが左右交代に起こる現象は、「ネーザルサイクル(交代性鼻閉)」と呼ばれそれ自体は病気ではありません。

ヒトの体は、両方の鼻の穴のうち、片側の粘膜が膨張すると、もう片側では収縮するというふうに、1~3時間周期で鼻のよく通る側が交互に移動する仕組みになっています。鼻炎などで鼻の粘膜が腫れると、このネーザルサイクルが誇張されて、交互に鼻詰まりが起こっているという感覚が強まります。

②両方同時に詰まる場合

鼻ポリープが進行して両方の鼻腔を塞いでいる場合があります。また、鼻腔の内部を左右に分ける壁「鼻中隔(びちゅうかく)」が変形して塞いでいる可能性もあります。症状が続くようなら、医師の診断を受けましょう。

③片側がいつも詰まっている場合

片側だけの鼻づまりが半日以上続くのは注意信号です。鼻の中に腫瘍ができていたり、「鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)」の可能性もあります。早急に医師の診断を受けましょう。

検査と治療法

検査

鼻の中のできものは、専門医であれば、ある程度は目視(肉眼での検査)で判断ができますが、場合によっては、ファイバースコープやレントゲン検査を行うこともあります。

また、何か月も治療を受けているにもかかわらず症状が改善されない場合や、いくつかの耳鼻科の診察を受けても明確な診断がつかないときなどにはCT検査を行うこともあります。特に骨や粘膜の異常が鼻の内部、奥のほうで起こっている場合に有効です。

悪性腫瘍などが疑われる場合には、より詳しい検査をするため、さらに造影剤を使うのが一般的ですが、アレルギー歴などがある場合には使用できないこともあります。ちなみに、レントゲンもCTもX線を使う検査ですが、レントゲンは2次元(平面)、CTは断面あるいは三次元(立体)の画像を撮影するものです。

また、腫瘍が疑われる場合には、細胞や組織を採取して調べる生検を行います。

治療

ニキビ、ヘルペス、毛包炎などは自然に治ってしまうことも多いですが、痛みを伴う場合などは、できるだけ早く耳鼻科や皮膚科で診察を受けたほうがよいでしょう。重症化して切除が必要な場合以外は、抗生物質の軟膏を塗ったり、内服したりする薬物療法で治癒します。

アテロームは、嚢胞を取り除く手術が必要です。患部を切開して取り除く「小切開摘出術」と、嚢胞の大きさに合わせて穴を開け、中身を押し出す「へそ抜き法」があります。

鼻ポリープはサージトロン(針状の電極を刺入して内部を焼いていく手術法)などによる切除手術が主で、比較的簡単に行うことができますが、再発の可能性も高く、一度では完治しないことも多いです。

悪性腫瘍の場合は手術の他に、化学療法(抗がん剤)、放射線療などを組み合わせて治療します。

まとめ

以上、鼻の中のできものについてご説明いたしました。ニキビやヘルペスなどは、結局のところ、体力、免疫力の低下に因ることが多く、鼻の中のできものは体調を示すバロメーターともいえます。症状が出たら、日頃の生活習慣を改めて見直すことも必要でしょう。

また、鼻づまりが長引いている場合、鼻の中に腫瘍ができている可能性があることがお分かりいただけたかと思います。特に、常に同じ側の鼻が詰まっているという場合には、上顎洞がんなどの重大な病気が潜んでいるかもしれません。

思い当たる症状がある場合、速やかに専門の医療機関で医師の診察を受けることをお勧めします。