フェイスリフト(顔のリフトアップ治療)の種類と効果

更新日:2016/12/09 公開日:2014/07/01

顔のリフトアップ(フェイスリフト)の種類

顔のリフトアップ(フェイスリフト)を目的とする美容整形には大きく分けると以下のような種類があります。

(1)フェイスリフト手術(切るリフトアップ)

(4)高周波・超音波・レーザーなどの照射系治療

(5)ヒアルロン酸・ボツリヌストキシンなどの注入・注射系治療

これらの治療は、各種類の中でさらにたくさんの種類があり、どれにすればいいのか、違いはどこになるのかなど、分かりづらいのが現状です。

そこで、顔のリフトアップ治療について、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に、上記のそれぞれの施術についてお話を伺いました。

境先生は、形成外科医および美容外科医としてたるみ治療の豊富な経験を持ち、刺青除去手術などにおいて日本で屈指の技術力をお持ちのドクターです。

顔のリフトアップ手術の部位別の分類

Q顔のリフトアップの施術には色々な種類がありますが、まずはフェイスリフト手術(切るリフトアップ)について教えていただけますでしょうか。

境先生:フェイスリフト(顔面除皺術・顔のリフトアップ)とは、元々しわ・たるみに対する切る手術を意味します。しわやたるみを改善するフェイスリフトの手術には、いくつかの分け方があります。まず、部位別の分け方だと、以下のようになります。

上記5つのうち、1~5か所を対象とするものを、「しわ・たるみとり手術」と呼ぶことが多くなっています。顏全体はつながっているので、複数箇所の手術の方が効果的な場合もあります。また、頬をリフトアップする手術(頬のリフト)だけをフェイスリフト・ミニリフトなどと呼ぶことも多いようです。

また、上下まぶたのたるみ取り手術、顔の中央部分のたるみを改善する「中顔面リフト(ミッドフェイスリフト)」、鼻の下を短くし、上唇を厚くする「リップリフト」などもフェイスリフトの一種のように言われることがあり、他のリフトアップ手術と併用される場合もあります。

このように、顔には様々なパーツがあり、リフトアップ手術の術式も数多くあります。一言で「顔のリフトアップ」といっても、クリニックによって対象となる部位や範囲が違います。また、「顔のどの部位か」・「その面積」という話以外に、「深さ」にも違いがあり、バリエーションは非常に多く存在します。

顔のリフトアップ手術の術式による分類

Q「深さ」というのはどのようなことなのでしょうか。

境先生:顔は最も外側にある表皮、その下の真皮、皮下組織、表在性筋膜(SMAS)、表情筋、骨膜、骨、という層になっており、「どこまで処置をするか」に違いがあります。分類としては、主には以下のようなものがあります。

(1)皮膚の剥離・切除・縫縮だけを行うもの

(2)表在性筋膜(SMAS)の処理を行うもの

(3)骨膜下の剥離を伴うもの

表在性筋膜(SMAS)とは、皮下組織と表情筋の間にある組織で、表情筋を覆っています。

顔のたるみは、皮膚だけではなく、深部にある皮下組織やSMASがゆるんでいることが多く、皮膚だけを引っ張っても大きな効果が望めません。そのため、リフトアップ手術では、SMAS筋膜から引き上げる方法が現在多く採用されています。

しかし、骨と筋肉が強く結合している部位だと、いくら筋膜を引き上げても、骨は動かないため、十分なリフトアップ効果が得られない場合があります。そのような時は、上記3つ目の骨膜下を剥離して筋肉の可動域を広げる処置が行われる場合があります。

このように、「組織のどこに、どのような処置を施すか」は、部位や手術を行う医師の考え方や技術力などによっても異なります。そのため、上述の通り、リフトアップ手術は非常に多くのバリエーションが存在するようになりました。

フェイスリフト手術は、もともとは余剰皮膚を切除することが目的の「しわとり」手術として始まりました。その後、上述のSMAS筋膜の処理を行うフェイスリフト手術により、皮膚だけではなく、下垂した皮下組織を引き上げることが可能となったために、フェイスリフトは、しわ取り手術からたるみ取り手術を意味するようになりました。

顔のリフトアップ手術の現状とその他のリフトアップ治療

Q近年は、切る手術以外に、冒頭で言及した糸によるリフトアップや注入系、高周波やレーザーを照射する方法など、様々なものがあります。なぜ手術以外の方法が増えてきたのでしょうか。

境先生: 医療行為などによって生体を傷つけること、手術操作自体の大きさ、これによって、人体に対する影響・リスクなどが増加することを「侵襲(しんしゅう)」といいますが、以前はこの侵襲に比例して、たるみ治療の効果が上がると言われていました。

侵襲の大きなフェイスリフトの術式を含む様々な方法を試みられた結果、最近ではアグレッシブな方法が長期的にはそれほど良い結果に結びつかないことが指摘され、低侵襲化、ミニリフト化、手術操作の及ぶ範囲が小さく、より危険性が少ない方向性になってきています。すなわち、「ローリスク、ローリターン化」が進んだと言えます。

そのため、次第にダウンタイムの少ない治療が好まれるようになりました。そのため糸のフェイスリフト(スレッドリフト・フェザーリフト)が急速に普及していますが、あまり効果が期待できないものや、効果が長続きしないものが多いような印象を持っています。

実際にニュースなどでも糸のフェイスリフトでのトラブルの記事が取り上げられ、その効果が長続きしないことが露呈してしまった感がぬぐえません。

注入系や照射系の治療について

Q切るリフトアップや糸によるリフトアップの他に、ヒアルロン酸などを注入する施術や、高周波、レーザーなどを照射する治療があります。これらについて、どのようにお考えでしょうか?

境先生:近年は、たるんだ部分を引き上げると同時に、「しぼみ」や「くぼみ」が生じた箇所にヒアルロン酸等を注入したり、膨らんでしまった部分の脂肪を除去するなど、局所の「ボリューム改善治療」が併用されるようになっています。

患者さんの状態によっては、たるんだ組織を引き上げるとだけでは見た目の若返りが十分ではなく、この「ボリューム改善」も重要になる場合があります。しかし、当然ながら、たるんだ組織を引き上げる効果はありません。

照射系治療については、サーマクールのような高周波RF治療やウルセラのような超音波治療など、有名で高額なものもあります。

実際に患者さんから感想を聞いてみると、肌質の改善など様々な効果が実感できるといわれますが、たるみ治療としては直後の効果もマイルドですし、その効果が実感できる平均的持続期間は短いようです。

レーザーにも様々なものがありますが、個人的におススメはフラクセルのようなフラクショナルレーザーです。リピーターも多く「化粧の乗りが良くなる」という感想が一番多いようです。ただ、表皮のハリが失われることが原因で発生するたるみ毛穴や肌質の改善には良いのですが、やはり「たるみ治療」という名称に見合った改善は得られないように思います。

顔のリフトアップの課題と問題点

Q顔のリフトアップについて、課題や問題に感じる点にはどのようなことがありますか?

境先生:まず、顔のリフトアップ手術においては、最も課題となるのが、「顔を正面から見た時の効果」です。西洋人は頬骨が低く、フェイスリフトによる張力が顔の正面の部分までおよびやすいのですが、東洋人は頬骨が高いため、張力が及びにくいのです。そのため、顔の正面は「リフトアップ整形の空白地」です。

 

日本では東洋人にも効果が出るよう、様々な工夫がされていますが、医師の技術や知識、好みなどによって効果は一定ではないので、リフトアップ手術を受ける場合は注意が必要です。

また、傷跡は、どんな名医だったとしても、やはり目立つ場合があります。傷跡は白いため、東洋人の肌色だと、どうしても西欧人よりも目立ちがちです。切るフェイスリフト後には図のように耳が立ち上がり、耳たぶは伸びるなどの変形が見られる場合もあります。

また、耳前部から側頭部の毛髪部や髪の生え際を切開・剥離し、余分な皮膚を切って縫い縮める施術が多いですが、そうすると、もみあげの位置がずれ、「毛髪が生えているべき部分に生えておらず、生えていないはずのところに生えている」というように、パッチワーク上になってしまうことがあります。

しかし、そういったリスクを回避することを最優先にした結果、リフトアップが「ローリスク・ローリターン」な方向性に進んだことで、「現実逃避的」な施術が増えてしまい、それも問題だと感じています。

敢えて「木を見て森を見ない」、すなわち、「顔全体ではなく部分部分にフォーカスを当てた治療」が多くなっています。具体的には、ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、たるみ毛穴など、細かい部位や症状にフォーカスをあてる、という現象が発生しています。

しかし、たるみを効率よくリフトアップさせることができるフェイスリフト治療があれば、上記の症状は全部主にたるみに起因するものですので、すべて改善できるはずです。

しかし、医者も患者さんもお互いにリスクを回避し、「プチ整形や照射系などのローリスク・ローリターン治療にとどめておきましょう」というのが標準的な考えになっているように思われます。さらに言うと、「クリニック経営上はクレームやトラブル・合併症が少なく、長持ちしないことが一番、循環型で一番儲かる」という、そのような雰囲気が蔓延しているように思えてしまいます。

リフトアップ治療の選び方

Q「ローリスク・ローリターン」のリフトアップ治療では大きな効果は見込めず、また持続期間が短いことが分かりました。「たるみを治療したい!」という場合は、どうすればいいのでしょうか。

境先生:適した治療内容は患者さんの状態によっても違いますが、リフトアップ効果と持続性、術後の後遺症などのリスクを鑑みると、個人的には、眉下切開(眉下リフト)とスプリングスレッド(スプリングリフト)の組み合わせが顔のリフトアップには最も適していると思います。

顔のようによく筋肉を動かす部分に伸縮性のないものを入れると、早期にゆるんで後戻りが生じます。スプリングスレッド(スプリングリフト)はフランス産の伸縮性と耐久性に優れた糸を使用するので、長期的な効果が見込めますし、従来の糸のフェイスリフトの苦手領域であったほうれい線やゴルゴライン・マリオネットラインといった顔の正面までリフトアップすることが可能です。

一方、眉下切開(眉下リフト)は、まぶたのたるみや目じりのしわ、ひたいのしわ(前額部)など、前額から側頭部、目周りに効果があります。これらの治療は、ローリスクの上、効果や持続性が高く、たるみ治療の中ではハイリターンのフェイスリフトだと思います。

ただし、目の下のたるみや膨らみが重度の場合には、脂肪の除去や下眼瞼形成術(下まぶたのたるみ取り手術)を追加したほうが良い場合もあります。

顔のリフトアップ施術を受ける場合は、当然ながら術後に問題が生じるリスクをしっかり確認すると同時に、慎重になりすぎて効果がない、またはすぐに後戻りしてしまうものを選ばないようにすることが大変重要です。