【箱根料理宿 弓庵】日本の四季を感じるおもてなし料理を楽しむ一日

日本は四季のある国です。春夏秋冬、季節ごとに変わる風景を楽しめるのは日本ならではの楽しみと言えます。ところが、近年食べ物の「旬」を感じられる機会が減ってきているように感じられます。スーパーには、季節に関係なく様々な食材が並び、便利ではあるものの、今何が旬の食材なのかうっかり忘れがち。そんな食の「旬」を、改めて再認識できるとびきりの料理でもてなしてくれるのが、箱根料理宿「弓庵」です。「箱根随一の食へのこだわり」を自負する、「弓庵」への旅をご紹介いたします。

温泉といえば箱根、そんな温泉郷の小さな宿

箱根温泉と言えば、日本でもっとも有名な温泉郷のひとつと言える場所です。都心から車で約2時間、電車で約1時間半で訪れることができるこの温泉郷は、泉質の良さ、規模の大きさ、風景の美しさなどから、古くから日本人に愛されています。箱根料理宿「弓庵」は、そんな箱根の小涌谷近くに佇む小さな宿です。公共交通機関で訪れる際は、スイッチバックで有名な箱根登山鉄道や、伊豆箱根鉄道バス、箱根登山バスの利用がおすすめ。山をかき分けるように進んでいく様子は、箱根ならではの旅の情緒を味わえます。鉄道ならば小涌谷駅で、バスならば小涌園で下車し、「弓庵」へと向かいます。事前予約が必要ではありますが、小涌谷駅まで宿の送迎サービスもありますので、上手に利用しても良いですね。車ならば、東名自動車道の箱根口I.Cから高速道路を降り、宿へと車を走らせます。箱根の道路は狭くはないものの急な坂道が非常に多いので、冬場は路面の凍結によるスリップなどに注意が必要です。

宿のそばには、温泉テーマパーク「ユネッサン」のほか、様々な温泉宿が立ち並んでいます。あちこちに温泉街が点在しているので、泉質の違いを確かめるのも一興。日帰り温泉客を受け入れている宿も多く、温泉巡りも気軽に楽しめます。また、「彫刻の森美術館」や「箱根ガラスの森美術館」など、ミュージアムも多く、観光に困ることはなさそうです。芦ノ湖を遊覧する海賊船は、子供から大人まで楽しめるアクティビティ。箱根を訪れた際は、ぜひ利用してみたい船です。また、黒玉子で有名な大涌谷も、2016年7月から部分開放を再開しました。火山活動をチェックの上、お出かけください。あちこち見て回りたい方は、登山鉄道や、箱根登山バス、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船まで2日間~3日間乗り放題の「箱根フリーパス」を手に入れておくと便利です。

「箱根ホテル小涌園」や「ユネッサン」が並ぶ大通りから、ひとつ奥に入った場所に「弓庵」はひっそりと佇んでいます。隠れ家的な印象で、通好みですね。

落ち着きのある和風の外観は、大人の宿の雰囲気です。

玄関から中に入ると、ほのかな明かりがゲストを優しく迎えてくれます。

和の趣たっぷりの帳場で、宿のスタッフから出迎えられます。

玄関から上がった先には、

重厚感のあるソファが並ぶロビーが。受付を待つ間ここで窓の外の景色を楽しむのも良いですね。

足に心地よい畳の廊下を進んで、客室へと向かいます。

客室前の廊下は静かで、部屋で休むときはゆっくりと過ごせそうです。

箱根連山を臨む源泉掛け流し風呂付きの贅沢な客室

「弓庵」の客室は、本館6室、別館3室の全9室。少人数のゲストのみの受け入れは、心づくしのおもてなしのため。静かに宿での一日を満喫できるのもありがたいですね。別館3室はよりグレードの高い客室となっており、特別感を味わいたい方におすすめ。本館6室のうち「小湧」を覗いた5部屋は、居間と寝室の2部屋の間取りで、箱根連山を眺めて過ごすことができます。「小湧」は一間にベッドと居間を兼ねており、景色を楽しむことはできませんが、リーズナブルに宿泊したい方には便利です。全ての客室には、源泉かけ流しの半露天風呂がついており、いつでも気兼ねなく箱根の良質な温泉を楽しむことができるのが魅力的です。

客室ごとに趣向や、風呂が異なり、どの部屋に泊まっても新しい発見があるのはリピーターには嬉しい限り。そんな客室の様子を見てみましょう。

まずは、宿の玄関からすぐの場所にある客室「浅間」から。10畳の和室に、小ぶりのリビングという間取りです。

夜には和室に布団が敷かれ、寝室としてゆっくり休むことができます。

客室から臨む山の景色は最高。雲のかかる様も風流です。ただ眺めているだけで、癒されます。

リビングは脱衣所、洗面所を兼ねており、お風呂上がりのくつろぎのひとときを過ごすのにぴったりです。

特徴的な丸い浴槽は源泉で満たされています。浴槽の上部には一部檜が使用されており、熱いお湯で立ち上る木の香りを楽しめるのも素敵。窓の外の絶景を眺めながらの湯浴みは格別です。

続いては、角部屋の客室「大湧」。角部屋ならではの景色の素晴らしさに圧倒されます。どこを見ても、マウンテンビュー。大自然に抱かれる心地よさを体感できるはずです。

とにかく山々の美しさを感じたい方にはぴったりの部屋です。しかし、山好きならずとも感動を覚えずにはいられません。

寝室は、一段高くなった部分に布団を敷いたローベッド風のつくり。足腰に不安のある方も、少ない負担で横になれます。

浴室は石造りにタイルの浴槽が目を引きます。

浴室からの眺めも、もちろん期待通り。爽やかな風を浴び、目でも癒やされながら、のんびり温泉のお湯を楽しめます。

広々とした客室「箱根」は、居間と寝室が隣接しないよう配置された間取り。同室の誰かが就寝した後も、居間で気兼ねなく過ごすことができます。家族連れや、グループでの宿泊にぴったりですね。

寝室はローベッドのようなつくり。入室時から布団が用意されており、スタッフの出入りも最小限です。いつでも横になれるので、気ままにのんびりと休めます。

浴室は二人で入ってもゆったりくつろげる大きめのサイズ感。親子や夫婦、カップルで温泉に入れば、楽しさも増します。

窓を開いて、心地よい風を感じながら温泉を楽しめば、湯あたりにもなりにくく一石二鳥。贅沢な客室の温泉を存分に堪能しましょう。

源泉かけ流しの客室温泉のお湯は、二ノ平温泉から引かれた中性の単純温泉。肌触りの優しい泉質でどなたとも相性が良く、何度浸かっても皮膚がふやけにくく突っ張りも出にくい特徴があります。源泉は80℃を超える高温で各湯船に配湯される際に少々温度は下がりますが、それでもかなりの高温です。入浴の際は加水をしたり、お湯が冷めるのを待ったりと工夫が必要ですが、お湯がぬるくなった場合は少し温泉を注げばすぐに温かくなるという利点もあります。

各客室の洗面台には、陶器のボウルが使われており、細かな宿のこだわりを感じます。

アメニティは、歯磨きセットやヘアブラシ、カミソリなど必要なものが揃えられています。

基礎化粧品もオリジナルブランドのものや、オーガニック系のものがあるので試してみたいですね。

お風呂場のソープ類もオリジナルブランドのものです。

高性能のドライヤーや、スチーマーまで用意されているのは女性には嬉しい限り。

浴衣は、部屋着用と寝間着用の二種類が用意されています。湯上がりの足に心地良い足袋もあり、快適に過ごせそう。

タオル類は、一人一枚ずつ。滞在中に新しいものと交換してもらうことができます。

清潔感のあるお手洗いは、壁掛けのリモコンで操作できるウォシュレット付きです。

美しい風景と、源泉かけ流しの風呂を楽しみながら過ごす一晩は、とびきり贅沢な思い出となりそう。箱根の自然とお湯を存分に堪能しましょう。

季節感たっぷり!料理宿のご馳走に大満足

「弓庵」は、料理宿と謳っているだけあって、その食事には絶大な評価を得ています。特に、季節を感じさせる食材の調理方法や、料理のサーブの演出に、美食家をもうならせる出来栄えです。そんな「弓庵」のとある日の食事を見ていきましょう。

「弓庵」での食事は、基本的に朝夕共に個室の食事処で頂きます。

夕飯の献立の一例です。一品ずつ配膳されるコース料理となっています。

先附は、春の香りが口に広がる菜の花のムース。

前菜の膳は、桃色の花が目を引きます。春を感じる盛り付けに、うっとり。

出汁に重きを置く「弓庵」の御椀は、しっかりと味わいたいもの。豊かな風味に納得です。

その季節の旬の魚を盛り付けた刺し身は、見た目にも美しく盛られています。

やわらく煮込まれた蛸も、強すぎず程よい味付け。

牛すき焼きを串に刺した焼物は、珍しさも感じる一品。野菜や生麩を焼き上げた串と一緒に頂きます。

春の味覚、山菜の天ぷらはサクサク。抹茶塩をつけて味わって。

食事には、鯛飯が用意されました。お腹いっぱいでも食べたい美味しさです。

赤出汁と、香の物と一緒に鯛の味を楽しみます。

デザートには、抹茶プリンにいちごを添えたものが。さっぱりと食事を締めくくります。

夕食には、季節によって様々な演出が加えられます。例えば、お月見の季節ならば、

すすきに百合根のうさぎが可愛らしい前菜を、

秋の収穫の季節には、栗のいがや枯れ葉を飾り付けた料理、

炊き込みご飯も、その季節によって変化します。何度来ても、全く違う味を楽しめるというわけです。

お出汁の風味が豊かに香るお椀や、煮物、炊き込みご飯など、どれを頂いても美味しく、料理宿の名の通りだと思いました。炊き込みご飯は土鍋にいっぱい用意してくださいましたが、主人が美味しい、美味しいと言って何杯も食べるので、お夜食のおにぎりの分がなくなるからと止めたほどです。

夕食は予想を上回る内容でした。繊細で細かい仕事がなされた八寸など、遊び心と季節感を感じさせる盛り付けです。見た目の美しさは勿論、一つ一つのお料理が平均以上だと感じます。

朝食

続いて、朝食の様子です。

朝食の献立の一例です。「弓庵」では、日本一の朝食を目指しているとのことなので、期待が膨らみます。

人参ジュースと、仙石黒納豆。朝の元気を貰えそう。

三島山麓で育てられた野菜は、柚子ドレッシングでさっぱりと頂きます。

焼き魚と黒はんぺんは、ごはんとも相性抜群です。

何とも豪華なフカヒレの姿掛け。お肌にも嬉しいコラーゲンたっぷりの蒸物です。

契約農家から直送された美味しいお米は、土鍋で炊き上げて提供されます。

デザートまでしっかりと作り込まれており、とても満足感の高い朝食メニューと言えそうです。

朝食は、トマトが丸ごと入ったおでんや、フカヒレを丸ごと煮込んだ白湯スープなど手の込んだ献立で、朝からとても贅沢な気持ちになりました。お膳にはスタッフの方からの手書きのメッセージも添えられていて、温かい気持ちになりました。

日本の四季を、風景と料理で実感できる宿

季節の変化を感じづらくなっている近年ですが、「弓庵」で一日を過ごせば、日本に四季ががあり、それが素晴らしいことだと改めて実感できるはずです。美しい箱根連山の景色と、良質の温泉、そして最高の料理で、日本に住む楽しさ、喜びを再確認してみませんか。

滞在中は男女一名づつのスタッフにお会いしただけでしたが、お二人とも慌ただしさを全く感じさせない丁寧な接客で好感の持てる方々でした。雑談にも快く応じて下さり、楽しい滞在ができました。