6月24日(日)、東京・秩父宮ラグビー場にて14時に「リポビタンDチャレンジ2012 JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)対フレンチ・バーバリアンズ」の第2試合目がキックオフされた。今年の春シーズン、日本代表キャンペーンの最後の試合となった。

主将をつとめた大野(右)とPR1・長江

実質、日本代表であるJAPAN XVはLO大野均をゲームキャプテンに据えて、初戦のリベンジ、そしてアジア5カ国対抗の香港戦以来となる勝利を目指した。初戦でフレンチ・バーバリアンズ(以下FBB)にプレッシャーを受けたセットプレー、そしてエディ・ジョーンズHCの怒りをかった淡泊なDFをしっかり修正できるかがポイントだった。

 

前半:スタジアムが沸いた! ロスタイムにWTB竹中が80mを快走!

秩父宮にかけつけたファンが一番盛り上がった
前半ロスタイムでの竹中のトライ!

しかし、FBBはこの試合でも老獪なスクラムとラインアウトでJAPAN XVにプレッシャーをかける。
スクラムでは、相手の8人全員の力をJAPANの3番に結集したり、逆に日本の3番に押させて右に回し、No8のサイドアタックのスペースを作るなど、自在にコントロールしてきた。「相手の3番とどう組むかが問題だったけれど、日本のFWはそういう駆け引きに慣れていない」(薫田真広アシスタントコーチ)

ブレイクダウンでも、FBBはジャッカルを狙ってコンテストするだけではなく、その次のランナーを狙ったり、JAPAN XVの攻撃に対応してDFの人数をセットしたり、局面に応じてしっかりと対応してきた。
「ブレイクダウンの回数をなるべく減らそうとしていましたが、それも(日本に対して)効果的でしたね」(ジョーンズHC)

FB五郎丸はこの日プレースキックを5回蹴って3回成功

なかなか攻め手のないJAPAN XVは、初戦同様にターンオーバーから相手にチャンスを与えてしまい25分、30分にトライを献上してしまう。FB五郎丸歩がPGを一本返すのがやっとで3-17とリードを許す。だが前半も終わろうとしていたロスタイム、自陣ゴール前でFL菊谷崇が相手のボールに絡み反則を誘う。SH日和佐篤がクイックリスタートし、CTBニコラス・ライアン、WTB竹中祥と渡る。「時間もなかったし、チャンスもそんなにないので絶対走りきりたいと思いました」というWTB竹中は、相手タックルを受けながらライン際を80m快走し、右隅に飛び込んでトライ! 8-17の11点差で前半を折り返した。

 

後半:流れをつかんだに見えたが、4トライを許し突き放されてしまった

後半は、再開2分にFB五郎丸がPGを決め、11対17の6点差に接近。

後半17分、LOブロードハーストがポスト下にトライしてJAPANも追い上げた

その後、FFBに2PG、さらに1トライ1ゴールを奪われ、11-30で迎えた17分、JAPAN XVは自陣のラインアウトから途中出場で入ったCTB田村優、NO8ヘンドリック・ツイと渡り、CTBライアンが大きくラインブレイク。そしてフォローしたLOマイケル・ブロードハーストがタックルを受けながらもインゴールに押さえ、ゴールも決まって18-30と12点差に追い上げる。

だが、その後はJAPAN XVゴール前まで攻め込むもミスでスコアすることができず、逆にFFBに25分、27分、41分とトライを許してしまい、終わって見れば18-51の完敗で終わってしまった。

ジョーンズ監督は
「非常に良い相手に対し、勝つ流れを作れたことは良かった。非常に重い相手に対して近場を避け、ワイドに展開するのはイメージ通りだったが、イージーミスで得点に結びつけられることができなかった。だが、やりきるところまでやった選手たちを誇りに思う」と試合後に話した。

考察―「つきつけられた現実。」

相手プレッシャーを浴びながらゲームをリードしたSO小野。

春シーズン、エディ・ジャパンはジェネラルプレーでほとんどキックを蹴らなかった。本日の試合でもFFBは日本が攻撃するときキックを蹴ってこないと判断し、WTBが詰めている場面も多かった。このことに関してSO小野晃征は「まず(攻めの)形を決めてやっていました。裏のスペース見えていましたが、これからはキックとかも蹴って、バリエーションを付けていかないといけないと思います」と述べた。

立川は前半は第1CTBで、後半10分からはSOに入ってプレー

また初戦も感じたことだが、FFBはターンオーバーからのキックを有効に使っていた。
相手が崩れた状態から、ディフェンスがいない場所にキックを落とし、BKを走らせていた。この点に関してSO小野は「日本は、アタックでは15人全員がアタックのためのポジショニングを取って、1人ひとりがスペースに攻める準備をしているので、ターンオーバーされたときにディフェンスに戻れていない」と話した。

ジョーンズHCもこの点を認め、相手のキックからチャンスを作られたことに対して「日本はアタックからディフェンスへの切り替えがよくないのが現実です。日本のSHは現在、トラディショナルなポジショニングをとっていますが、南アフリカがやっているように、状況に応じて2番目のFBのような位置に置くことも考えなければいけない」と修正する意向を示した。

FB五郎丸はバイスキャプテンの存在感を示した

パシフィック・ネーションズカップから5連敗を喫してしまったエディ・ジャパン。だがジョーンズHCは「この敗戦をもとに今後、どうやっていくかはっきりわかりました。2年後のターゲットは、こういったチームに勝つこと。自分たちのスタイルをやりきるためには練習の方法を変えないといけない」と前を向いた。

LO大野均ゲームキャプテンも「(エディ・ジャパンは)どんどん伸びていくチームだと確信しています。プレーの方向性は間違っていないと思います。東芝に戻ってもハイスピード、ハイフィジカル、ハイフィットネス、そしてリロードを意識してプレーして、また招集されるようにやっていきたい。また(日本代表の欧州遠征のある)11月に、同じ顔ぶれで戻ってこられたら嬉しい」と一定の手応えは感じていた。

一端、日本代表チームは解散し、選手たちは各トップリーグや大学の所属先に戻る。そして11月に再び集まり、欧州遠征をする予定である。

 

「SAKURA基金」で招待した福島の子どもたちも観戦!

両チームの選手は試合後、「SAKURA基金」で福島県から招待した小中学生ら総勢130名と一緒に記念撮影

FL佐々木隆道副将が中心となって日本代表選手たちが「SAKURA基金」と銘打って行った募金活動を通じて、福島県のラグビースクールやタグ教室の子どもたち83名(保護者やコーチなどの関係者を含めて総勢約130名)がこの試合に招待され、バックスタンドで観戦した。

試合終了後にはJAPAN XVとFFBのメンバーとともに、記念撮影を行った。子どもたち83名の内訳は以下の通り(いわきタグ教室8人、いわきRS11人、福島少年RS17人、勿来少年RS31人、安達地区タグ教室7人、郡山タグ教室2人、郡山少年RS7人)。

 

試合後コメント

エディ・ジョーンズHC
「フレンチ・バーバリアンズは良いゲームをした。良いチームに負かされました。基本技術は安定していましたし、セットプレーもすばらしいチームでした。またブレイクダウンの回数をなるべく減らそうとしていましたが、それも(日本に対しては)効果的でしたね。相手の得点はターンオーバーからでした。

(3ヶ月で良かったことは)、今年はプレースタイルの構築をしています。それをやりきり、国際試合で競争力のあるものを作り上げたい。スタイルの構築といった面では良い方向に進んでいて嬉しく思います。ただし、今のジャパンには一貫性が足りません。セットプレーとテクニックを今後向上しないといけません。ストレングスやコンディションはこの短い期間ではうまく行きません。今やっているプレースタイルはスキルが高くないとできないので、時間がかかりますが、ここまでは私たちのイメージ通りで進んでいます。

日本代表の選手たちは、所属チームに帰っても、インターナショナルスコッドの自覚を持って、スキルの一貫性などインターナショナルレベルの練習をしてほしい。」

LO大野均ゲームキャプテン
「今日のゲームは前回の反省を踏まえて、闘志を持ってグラウンドに立てました。キャプテンとして出場した試合で勝てなくて悔しいです。フレンチ・バーバリアンズはヨーロッパのチームだと感じました。レベルの高いチームと戦って個人的にも勉強になりました。ただちょっとしたミスから全部得点に結びつけられました。それはスキルの差なのか個人の集中力の差かはわかりませんが、こういう国際レベルの試合ではそういう部分が失点になると痛感しました。

(春からの日本代表の戦いは)若いチームで対戦してもPNCで3連敗しましたが、(7点差以内の敗戦のボーナスポイントで)勝ち点が全試合取れたのはポジティブな成果だと思います。フレンチ・バーバリアンズ戦ではこっちがボールキープしていればトライを取れる手応えがあった。だけどノックオンなどの簡単なミスでボールを渡してしまうと、勝つのは難しい。ボールキープ、我慢がキーワードになってくると思います。」

前主将の菊谷はたびたび効果的なゲインを見せた

FL菊谷崇
「(竹中のトライに結びついたシーンの前でボールに絡んでいたことに関しては)それが仕事です。ラックでは完全に被られているところを転がしたり、足を出されているところを出させないように押さえたりとか、細かいことをゲームの中である程度できている人もできていない人もいる。そういうところは一つの課題かと思います。フレンチ・バーバリアンズはアイランダーの選手たちよりも、そういったところがしっかりできていた。個人的には良い経験をさせてもらって成長できたと思います。(ケガをしているマイケル・)リーチが戻ってきたら第三列の争いもあるし、ロックへの挑戦もある。自分の体を磨いていきたい。」

前に前にという気持ちの入ったプレーで存在感を見せた

WTB竹中祥
(前半最後のトライのシーンは)チャンスだと思ったので、声を出して(ボールを呼んで)、持ってからは必死に走りました。(2人のタックラーをスピードで抜いた場面は)感覚で(笑)。時間もなかったし、チャンスもそんなにないので絶対走りきりたいと思いました。

FL望月の突破もフレンチバーバリアンズのタックルを浴びる

FL望月雄太
相手は体重があったし大きかった。絡みもテクニックがあったし早かった。だがブレイクダウンではやれる手応えはあった。もっともっと寄りの早さや前に入る意識があれば、クリアに球出しできたと思います。

廣瀬俊朗主将
やっぱり日本代表は勝たないとダメだと思います。11月までは個人的なスキルを上げたい。3ヶ月間、選手たちが頑張ってきたので、もっと良いものにしていきたい。

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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