今回のテーマは「JJ(熟女)と美容」。

前回ダイエットについて書いたが、ダイエット以外の美容においても、JJは幾多の歴史を刻んでいる。

女友達は「小学生の時、くろんぼ大賞を受賞したのがトラウマになって…」と語っていた。
くろんぼ大賞。現在では絶対NGなネーミングだが、JJが子どもだった時代は「夏休み明け、もっとも日焼けしている児童に賞を贈る」という習わしがあった。
だが彼女はお日様の下でいっぱい遊んだわけではなく、地黒だったらしい。

地黒での受賞にショックを受けた彼女は「色白になりたくて、ぺんてるの修正液を顔に塗りたくった」と証言する。「美白パックみたいに肌が白くなると思って」という言葉に「なるわけないだろう、狂ってたのか?」と聞くと「尿を飲んだ人間に言われたくない」と返された。

ちなみに彼女はまつ毛が短いのもコンプレックスで、剃ったムダ毛を接着剤で移植しようとしたらしい。いずれも文房具を使った工作発想だが、今やまつエクは市民権を得ており、先見の明があったとも言えるだろう。

色白は七難隠す、と言われる。私のように777難ある者は美白に励むべきなのだろうが、日焼け止めを塗り忘れて肌が真っ赤になることがよくあった。だが、この程度のことは黒歴史とは呼べない。

エステサロンを経営するJJから壮絶な話を聞いた。彼女は20歳の頃、ハワイ旅行した時に日焼け止めと間違ってサンオイルを塗ってしまい、そのままビーチで眠ってしまって、顔面が火だるま状態になったそうだ。
「通りすがりの人がギョッとするぐらい、顔の皮膚がボロボロになって。その後、5回脱皮した末に再生しました」とのこと。

現在の彼女はとてもキレイな肌をしているが、当時、あまりにショックを受けたのをキッカケに美容に興味を持ち、エステティシャンを志したそうだ。まさに「その時、歴史が動いた」である。

しかしそれも若かったから再生したのであり、年をとるとそうはいかない。真夏の行楽地に行くと「紫外線カバーできるなら死んでもいい」という気迫に満ちた、イスラム教徒のようなババア先輩軍団に遭遇する。

私が気になっているのは、真夏の東京五輪で小池都知事先輩がどんな格好をするかだ。
クールビズの提唱者がムスリムファッションをすれば「暑いやろ」と国民からつっこまれる。やはりSPF5000の日焼け止めを塗って、薄着で臨むのだろうか。それとも総理はマリオで都知事はピーチ姫で、高齢コスプレ大会になるのだろうか。

若い頃、ニキビに悩んでいたJJも多い。
当連載の担当H嬢も「高校時代、洗顔部の部長を務めていました」と話していた。洗顔部とは「休み時間のたびに顔を洗う」という活動内容で、部長の彼女は誰よりもうまくAHA石けんを泡立てられたそうだ。

「高校時代、顔のニキビを数えたら百個あった」という女友達は、皮膚をヤスリでこするピーリングを受けて、へび少女のように顔がズルムケになったという。「号泣するほど痛かったけど、それでもニキビとおさらばしたかった」と語る彼女。

「20代前半までは皮膚科行脚に時間と金を費やした」「当時はニキビのことだけを考えて生きていた」と振り返るJJたち。そんな彼女らも「アラフォーになってニキビができなくなった」と寿ぐ。「そのかわりイボができるけど、でもイボは皮膚科ですぐとれるよ」とのことで、我が日本の美容医療技術は世界一ィィィッ!!なのだろう。

私も「レーザーでシミとりたいな~」「プラセンタ注射打ちたいな~」としょっちゅう言っているが、言うだけでやらない。なぜなら、行くのが面倒くさいから。

引きこもりにとって「外出」は最大の難関だ。前回書いたように、スポーツクラブに目を合わさず「○○氏」と呼ぶインストラクターがいて、「締まってきましたね、デュフフ」と褒めてくれても、私は行くのが面倒くさくて続かないだろう。なので体は緩みっぱなしだが、外に出ないので紫外線は浴びない。

美魔女の皆さんが海辺でヨガやビーチパーティーをしながら「美白ケアは欠かしません」と話すのを聞くと「外に出なきゃいいのでは?」と思う。彼女らが海辺に行きたがるのは、海外セレブへの憧れもあるんじゃないか。

知り合いのJJも海辺でつばの広い帽子&巨大なサングラスを着用した、セレブ風の自撮りをフェイスブックに上げている。画像を拡大すると口元にうっすら梅干しジワが映っていて、しょっぱい気分になってしまう。

彼女は若い頃から欧米かぶれで、シンゴジラの石原さとみの「ガッズィーラ」みたいな発音で「バジャイナ」とか言っていた。たしかにその方が、膣とか観音様と言うよりスタイリッシュだ。かつてセレビッチという造語もあったし「バジャイナとか言っちゃうビッチな私=セレブっぽい」という認識だったのか。

「海外セレブに憧れて、ノーブラで乳首をビンビンに立たせたいと思い、顔用の吸引機で乳首を吸った」というJJ仲間もいた。
彼女はキャメロン・ディアスの「私の美の秘訣はセックス!」という言葉を真に受けて、「1週間連続でセックスしたら、ストレスで吹き出物が10個できて逆に汚くなった」とも語っていた。

かくいう私も海外セレブに憧れて、タトゥーを入れたいと思ったことがある。出身地にちなんだタトゥーを入れるセレブが多いので、神戸市のマークを入れようかと考えたが、やはり面倒くさくて入れなかった。そもそもVIO脱毛すら「会陰地方が火事よ~!」と阿鼻叫喚するほど痛みに弱いのに、タトゥーを入れるなど無理だろう。

ここまで書いて、自分はダイエット系はさんざんやったが、スキンケア系のネタは少ないことに気づいた。皮膚が丈夫なデブだからかもしれない。私はヤジロベー似の中学生だったが、ヤジロベーもわりとモチ肌だ。
しかし皮膚は丈夫だがブスなので、メイクには凝った。そして女が何かに凝ると黒歴史が爆誕する。 

若い頃の写真を見ると「真っ黒な囲み目アイラインでスケキヨっぽい俺」「オレンジのシャドウにグリーンのマスカラで珍しい鳥っぽい俺」「X JAPANのファンじゃないのにX JAPANのファンっぽいパンクなメイクの俺」が映っていて「よくぞ俺」と感心する。

よくぞここまで、男受け無視のメイクをしてきた。さすが元シノラー、「ナチュラルメイクなどつまらぬ!」という非モテの才能に溢れている。
私にとってメイクはお絵かき気分で楽しむ趣味であり、似合う・似合わないすら無視していた。  

北斗の拳のユダは「俺は貴様の血で化粧がしたい!」と叫んでいたが、私も人を食ってきたかのような赤い口紅を塗りたくっていた。「貴様が虫ケラのごとく死ね!」と秘孔を突かれそうに似合わなかったが、己が楽しんでいたので後悔はない。
今でも私は漆黒の口紅を塗って、漆黒の歴史を塗り重ねたい。ただしJJがどす黒い唇をしていると「死んでるんだぜ」と埋葬される恐れがある。

メイクにはコンプレックスをカバーする効果もある。だがメイク技術を磨きすぎると、すっぴんとの落差がえらいことになる。

じゃりン子チエのヒラメちゃん似の同級生は「彼氏にすっぴんを見せられない」と悩んでいた。実際、彼女はいつも「よっ、技能賞!」と感心するほどの3Dメイクを完成させていた。
そんなヒラメちゃんは外資系企業に就職して、同僚のアメリカ人と結婚したのだが、夫は妻のすっぴんを絶世の美女と称えるらしく「磨くべきは、女子力よりも語学力」と断言していた。

たしかに美の基準は国によって違う。20歳の時、イタリアに母子で旅行した女友達は「私よりも50代の母の方がナンパされてた」と振り返る。ヨーロッパはとくに新品よりアンティークを好む文化だというし、いくつになっても恋していたいJJは、最終的に亡命という手段がある。

私はメイク好きだがコスメマニアではないので、化粧品はプチプラが多い。一方「美ST」を見ていると、美魔女の皆さんは高級コスメを買い揃え、「シーン別に7種類のファンデを使い分ける」といった猛者もいる。 
私など春夏秋冬、エテュセのBBクリームで乗り切っている。そもそもシーン別とはどういうことか。月曜はナマハゲに扮するので赤、火曜はカッパに扮するので緑、とかそういうことか。  

やはり美魔女はがんばりやさんだ。美容に全力で励む美魔女がいる一方、周りのJJたちは「若い頃の方ががんばってたよね」と声をそろえる。

というのも、若い頃の方が好きな人ができたり、彼氏と初デートが決まったりと、気合いの入れどころがあったから。恋もデートも遠い日の花火になったJJは、気合いの入れどころが見つからない。

結婚式などの晴れ舞台があればブライダルエステに通うのだろうが、今さら挙式する予定もない。美STには「娘の結婚式ファッション」という記事が載っていて、我々はもうそっち側なのだ。
しかし私には娘もいないし、NHKののど自慢に出たいという希望もない。となるとJJに残された晴れ舞台は、葬式なんじゃないか。

ブライダルエステでググると「晴れ舞台に最高の花嫁になろう♡」と20万のコースが紹介されていたが「新生活で金がいるのに20万も払えるか」という花嫁は多いだろう。その点、あの世に金は持っていけない。最高の遺体になるために、真の意味での「死に金」を使ってもいいはずだ。

気合いを入れてヒューネラルエステに通い、自分好みの死化粧・死装束・棺桶をセレクトして、祭壇のデコレーションも打合せて…と考えただけで「面倒くせえ」と心が折れた。
私は自分の結婚式すら面倒くさくてしなかった人間、葬式も「テキトーに焼いといて」と丸投げするに決まってる。せめて棺桶にニンニクとバターを入れて、火葬場に集まった人々を「メッチャ美味しい匂いがする!」と驚かせたい。

考えてみれば、気合いの入れどころがないのは幸せかもしれない。
若い頃、もっとも美容に気合いが入ったのは失恋した時だった。「絶対キレイになってやるッ…!!!!」とスーパーサイヤ人ばりにメラメラ燃えていたが、今あんなにエネルギーを燃焼させると一瞬で消し炭になる。

恋やデートをする機会もないが、失恋する機会もない。
「そんなの刺激がなくてつまらない」と若いお嬢さんは言うかもしれないが、JJは救心が必要になるお年頃。階段を上るだけでも心臓がヤバいのに、アップダウンが激しいと心停止してしまう。昔のようにCHA-LA HEAD-CHA-LAではなくなるのだ。

なので激しい闘いはZ戦士たちに任せて、ウーロンやプーアルのように平和に暮らしたい。そのように願うJJなのであった…Sparking!