(2010年9月20日配信)
第73回 『ニキビとサプリメント(ビタミンC、フィトケミカル)』
こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。
先日、大学病院時代にお世話になっていたT先生(現在総合病院皮膚科主任部長)が、講演会のため当地にいらっしゃいました。
講演会の内容は、簡単にいうと『内科の癌化学療法患者さんの皮膚症状に対する皮膚科的アプローチ』というものでかなり専門的なものでした。
私もその昔、皮膚癌の化学療法に携わっていたので、その大変さを十分実感できました。
懇親会でT先生と少しお話しをすることができました。私が『総合病院の皮膚科はどんどん新たな対応が必要で大変ですね』と言うと、先生は『どんどん新たな知識や技術に対応して行くのは面白いことだ。もっと新たな刺激が欲しい位だ』とおっしゃいました。
さすがT先生。心構えが凡人の私とは違います。私も新たなことにチャレンジする勇気をもらいました。
新しいことに常にチャレンジする姿勢は大切ですね。ちょっとしたチャレンジがニキビ改善につながります。
ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。
このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。
とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。
そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)
ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)
今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!
- (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
- (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
- (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
- (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。
これは私が皮膚科診療を20年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。
ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。
第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。
前回は、『サプリメント』の選び方、特に、ニキビ改善に有効とされるビタミンB2、B6を取り上げてみました。
今回は、前回に引き続き『サプリメント』、特に、ニキビ改善に有効とされるビタミンC、そして最近話題のフィトケミカルを取り上げてみました。
ニキビに必要な『サプリメント』には、皮膚ビタミンと言われるビタミンB2、B6を含むサプリメントの他、どのようなものが考えられるでしょう?
まず、ビタミンCは欠かせませんね。
ビタミンC(化学名:アスコルビン酸)の主な働きは、以下の通りです。直接・間接的にニキビに影響します。
1)コラーゲン生成に関与しています。
生体内の総たんぱく質の3割を占め、皮膚にハリをもたせ、血管の壁を丈夫にするコラーゲンの生成に関与しています。
2)メラニンの生成を抑え、皮膚の色素沈着を防ぎます。
3)活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。
4)免疫力を高め、病原菌に対する抵抗力を高めます。
5)鉄の吸収を助け、貧血を予防します。
6)抗ストレス作用のある、副腎皮質ホルモンの合成を促します。
ビタミンCが不足すると皮膚や粘膜、血管等、細胞間の結合が緩み、皮膚のハリがなくなり、切り傷の治りが悪くなります。また、歯ぐきから出血しやすくなり、骨や歯が弱くなるなどの症状が出やすくなります。免疫力が落ち、かぜなどにかかりやすくなります。
これは大変ですね。
私もニキビ患者さんにビタミンCを処方することがありますが、ニキビ跡が改善したり、赤みが引くなど好感触を得ています。
1日の摂取量の推奨基準は、
成人男女:100mg
妊婦: +10mg
授乳婦:+50mg
(上限量は定められていません)
2003年の国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)では、男性:103mg 女性:126mg(通常の食品のほか、強化食品と補助食品を含む)とクリアされているようです。
また、一般用医薬品として認められているビタミンCの1日最大分量は2,000mgです。
実際には、ビタミンCは1,000mg程とった方が良いとの話もあり、多めに摂ることが勧められます。
食材100g当たりのビタミンC含有量は、
野菜では、
赤ピーマン:170mg 芽キャベツ:160mg 黄ピーマン:150mg
ブロッコリー:120mg 菜の花:110mg カリフラワー:81mg
果物では、
レモン:100mg キウイ:69mg イチゴ:62mg
ネーブル:60mg はっさく:40mg ぽんかん:40mg
となっています。必要量の摂取には、継続的な努力と工夫が必要ですね。
最近、強力な抗酸化力を持つフィトケミカル(phytochemical)が、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に次いで、第7の栄養素として注目されています。 第70回のコラム『ニキビと果物?「甘い果物で太る」は本当??』でも取り上げました。
植物に含まれる栄養素以外の成分が、フィトケミカルです。活性酸素を消去したり、免疫力を活性化したりする働きがあり、がんなどの生活習慣病を予防する効果があることがわかってきています。また、その抗酸化力はニキビ改善に役立つことが期待されます。 サプリメントにも利用されている代表的な成分を紹介します。
イ)カテキン お茶に含まれ、抗菌作用をもちます。数種類のカテキンが協力して効果を発揮します。カテキンを増やした健康茶や、サプリメントが製品化されています。
ロ)アントシアニン 葡萄の皮に含まれる赤い色素(赤ワインにも含まれる)です。アントシアニンが多いワインや、アントシアニン入りの菓子やサプリメントが販売されています。
ハ)リグナン ゴマに含まれるリグナンの一種であるセサミンが、サプリメントとして販売されています。
ニ)メチルシステインスルホキシド ニンニク・ネギに含まれる辛味や香りのもととなる成分です。ニンニク入り健康食品に含まれています。
ホ)βカロチン 緑黄色野菜に含まれる色素成分です。体内で効率よくビタミンAに変換されるためとても重要です。
ヘ)リコピン トマトやスイカに含まれる赤い色素です。抗酸化力が強く、トマトサプリも製品化されています。
ト)カプサイシン 唐辛子の辛味成分です。体を温める効果や脂肪燃焼効率をUPさせる効果が期待され、女性向けサプリメントに利用されています。
チ)アスタキサンチン エビやカニの殻、鮭の身に含まれる赤い色素です。抗酸化力が強いですが、食事では毎日摂ることが難しいとされます。サプリメントが製品化されています。
体内の酸化防止(サビ防止)は一つの栄養素ではできません。色々な栄養素をバランス良く摂ることによって相乗効果が生まれます。
ニキビの患者さんは、何かサビ付いた感じがすると以前書きました(68回のコラムを参考にして下さい)が、サビない身体を作るために摂っておきたいのが、フィトケミカルだと思います。 フィトケミカルの抗酸化パワーは、直接的とはいえないまでも、間接的にニキビ改善につながると思います。
食事を取るときは、単色ではなく彩りよく摂ることによって、様々な種類のフィトケミカルをしっかり取り入れることができます。カラーバランスを意識して、上手にフィトケミカルを取り入れましょう。 やはりビタミンC、フィトケミカルについても、『普段の食事』が第一。普段の食事がきちんとできていれば、十分摂取できます。食事で摂取できないようならば、『サプリメント』も選択肢の一つです。
ビタミンCやフィトケミカルを、ビタミンB2、B6と同様、バランス良く賢く補給し、ニキビ改善につなげ、きれいな素肌を手に入れましょう。
今回のポイントは以下の通りです。
【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その57」
『ニキビとサプリメント(ビタミンC、フィトケミカル)』
- •『サプリメント』の選び方、特に、ニキビ改善に有効とされるビタミンB2、B6に続いて、ビタミンC、フィトケミカルを取り上げてみました。
- •ビタミンC不足になると、皮膚や粘膜、血管等、細胞間の結合が緩み、皮膚のハリがなくなり、切り傷の治りが悪くなります。歯ぐきから出血しやすくなり、骨や歯が弱くなります。免疫力が落ち、かぜなどにかかりやすくなります。
- •私もニキビ患者さんにビタミンCを処方することがあります。ニキビ跡が改善したり、赤みが引くなど好感触を得ています。
- •最近、強力な抗酸化力を持つフィトケミカル(phytochemical)が、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に次いで、第7の栄養素として注目されています。
- •植物に含まれる栄養素以外の成分が、フィトケミカル。活性酸素を消去したり、免疫力を活性化したりする働きがあり、がんなどの生活習慣病を予防する効果があります。その抗酸化力はニキビ改善に役立つことが期待されます。
- •サプリメントにも利用されている代表的な成分を紹介しました。
- •ニキビ患者さん、特に改善しにくい患者さんは、何かサビ付いた感じがすると第68回のコラムに書きました。
- •サビない身体、そしてニキビ改善のために摂りたいのが、抗酸化力を持つフィトケミカルです。
- •ビタミンC、フィトケミカルも、『普段の食事』が第一。普段の食事を野菜や果物を意識的に摂ることにより、十分摂取できます。
- •食事で摂取できないようならば、『サプリメント』の出番です。マルチビタミンなどの他、『フィトケミカル』のサプリメントも選択肢の一つです。
- •ビタミンC、フィトケミカルをビタミンB2、B6と同様、バランス良く賢く補給して、ニキビ改善につなげましょう。
懇親会では、T先生と昔話に花が咲きました。大学病院にいたときは、大変優秀ですが個性も強い先生も多く、勉強にもなりましたが、同時に人生の厳しさも味わいました。
その後の人生で、多少のことに動じなくなったのは、当時の経験のお蔭です。
別れ際、T先生は『頑張れよ』と手を差し出され、握手をしました。そして、何故か一緒に講演されたH先生も手を差し出されたため、握手させていただきました。(H先生ありがとうございます。)
T先生には公私に渡って、お世話になりました。T先生、これからもよろしくお願いいたします。
次回は『ニキビとサプリメント』の3回目として、特にビタミンA、Eと、『サプリメントの問題点』について考えて〆としたいと思います。
それでは。
おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)