腎臓病の初期症状

腎臓病について調べているということは、ご自分かご家族に腎臓病の兆しが見られるということでしょうか。腎臓は、わたしたちの体に不可欠な重要な働きをもっています。例えば…

  • 血液をろ過して老廃物を排泄する尿をつくる
  • 体の60%を占める水分と電解質を調節する
  • 血液の酸性とアルカリ性を調節する
  • 血圧調節に必要なホルモンや赤血球をつくるためのホルモンを分泌する

ここでは「もしかしたら腎臓病なんじゃないか?」「健康診断での数値が気になる。腎臓内科や泌尿器科に行くべきか?」と不安を感じている人のために、腎臓病の初期症状や自覚症状について調べた内容を紹介しています。具体的にどのような症状が現れやすいのか、どのような症状が出たら緊急性が高いのかなどを説明したいと思います。

腎臓病は初期症状を自覚しにくい病気

腎臓病の特徴として気をつけたいのは、初期症状の段階ではなかなか自覚できない病気であること。専門家の説明によれば、腎臓の機能が2~3割でも働いていれば、血液や尿の数値に表れないといわれています。ですから、気づいたときには“サイレントキラー”などといわれる慢性腎臓病(CKD)だった、という可能性もある怖い病気です。

この慢性腎臓病は、なんと日本人の8人に1人が発症する新たな国民病ともいわれています。そして、腎臓機能が悪化すると人工透析という治療を受けなければなりません。日本透析医学会の統計調査「わが国の慢性透析療法の現況」によれば、人工透析を受けている人は32万448人(2014年末集計)にものぼり、特に高齢者の場合は他人事ではない病気なのです。

腎臓の負担を増やすのはたんぱく質と塩分

先ほども触れたように、腎臓はカラダの老廃物をろ過する役割を担っていますが、日常生活のなかで特に腎臓への負担が多くなる原因物質は、たんぱく質と塩分です。

炭水化物や脂質は呼吸や尿などによって排泄されるため、老廃物はほとんどありません。

一方、たんぱく質は燃焼後に尿素窒素や尿酸など、人体に害を及ぼす有害な老廃物が残ってしまいます。腎臓はこの有害物質を無害化する役割があるため、たんぱく質の大量摂取は腎臓に負担をかけることになります。さらに血中の塩化ナトリウム(塩分)が多いと、腎臓が必要量以上の塩分を尿として体外に排出しようとして酷使されます。塩分の摂りすぎは腎臓に負担を強いることになるのです。

腎臓はがまん強い、だからこそ生活習慣の見直しが大切

年齢によって気をつけなければいけないポイントは異なりますが、共通していえることは次のような傾向がある人は、知らず知らずのうちに腎臓に大きな負担をかけている可能性が高い、と自覚する必要があります。

  • ストレスが多い不規則な生活をしている
  • 外食やジャンクフードに頼る食生活である
  • 濃い味付けが好みで薄味をあまり取り入れない
  • しょうゆ・みそ・ソースなど調味料を好む

腎臓は非常にがまん強い臓器であるため、病状が進まないと血液や尿の数値に現れにくいです。中高年以降は、特にこうした生活習慣を見直さなないと腎臓病の予防は難しいでしょう。

早期の自覚が大切

腎臓病リスクがわかっていたとしても、いま現在体調が良く健康診断の数値にも問題がない場合、毎日の食生活や味の好みを見直すことはなかなかできないもの。それでも、いったん腎臓病と診断されてしまったら、そこから逃げ出すことはできません

腎臓病は糖尿病や動脈硬化、内臓脂肪過多による肥満などさまざまな生活習慣病と密接な関係があるため、早い段階で気づくことが大切。初期症状を見逃さないためには、腎臓には日々負担がかかっていることを念頭において、どのような自覚症状があったら病院に行くべきか、セルフチェックできるようにしておくことが重要なポイントとなります。

起床時のむくみや尿の異変を感じたらまず検査を

腎臓病にはあまり自覚症状がないと説明してきました。ですが、典型的な初期症状として挙げられるのが、起床時のむくみと尿の異変です。

起床時のむくみ

日常生活のなかで足や手、顔がむくむ原因は前日の食事や飲酒、寝不足や同じ姿勢を続けるなどさまざま。そんななかでいちばん腎臓病を疑うべきは「起床時にまぶたなどがむくむ症状が毎日続く」状況だといわれています。

このようなむくみは、腎臓病のなかでも急性糸球体腎炎ネフローゼ症候群などに限られているようです。もちろん、疑わしく思ったら自己判断せずに病院で検査を受けてください

尿の異変

尿の異常についても自己診断は禁物。自分でチェックできる内容としては、毎回尿が泡立ち、その泡がなかなか消えない場合などは尿に蛋白が出ている可能性が高いです。また、普段どおりに過ごしているのに尿の色が茶色っぽかったり、コーラのような色だったり、ワインのように赤茶色っぽかったりしたら要注意。すぐに腎臓内科か泌尿器科がある病院で検査を受けましょう。できれば異変を感じた尿をコップにとっておき、その尿を検査してもらうとよいと思います。

ちなみに強度の高い運動をしたあとなどは尿の色が濃くなることもありますし、サプリメントの摂取などによって尿の色が変わることもあります。自分のライフスタイルと尿の色を紐づけて、毎日観察する習慣をつけることをおすすめします。

腎臓病とその他の病気が疑われる症状

以下のような症状が現れているときは、腎臓病以外にもさまざまな病気が隠れている可能性があります。できれば大きな病院に行って血液検査と尿検査を受けるようにしましょう。
※あくまで腎臓病における初期症状の目安としてピックアップしたものです

  • 牛乳のような白濁した尿やコーラのような赤茶色の尿が出る
  • 毎回尿が泡立ち、その泡がなかなか消えない
  • 就寝後に強い尿意を感じるのに尿が出ない
  • 手足がむくむようになった(押してへこんだところがなかなか戻らない)
  • 指輪や靴がきつくなったと感じる
  • 朝起きたときに目の周りや顔がむくんでいる
  • 常に疲れやすさや倦怠感、だるい感じがある
  • 少しの運動で息切れするようになった
  • 貧血、立ちくらみなどが多くなった
  • 汗をかきにくくなり、尿の量が少なくなった
  • 昼はトイレに行く回数が減った

初期症状が疑われたら食事療法という選択肢も

腎臓病は高齢者だけがかかるもの、という認識をもっているとすればそれは誤りです。20代でも感染症や免疫疾患が続くと腎臓に負担がかかって腎臓病になることがありますし、中年世代は糖尿病や肥満などの影響を受けて腎臓病になる場合もあります。

さらに、高血圧や動脈硬化も腎臓病を呼び込む疾病です。いずれにせよ、初期症状を自覚したらまず腎臓内科や泌尿器科を受診することが最優先。そして、腎臓病の疑いや初期症状を自覚するようになったら、真っ先に見直さなければならないのが食生活です。

食生活を見直さなくてはいけない理由

腎臓に負担をかけるたんぱく質と塩分を控える食事にしなければなりませんが、カリウム(ミネラルの一種で通常はその9割が尿として排出される)を含む食品の摂取も、腎臓病のタイプや病状によっては制限する必要があります。

腎機能が低下することによりカリウムの排出ができなくなり、高カリウム血症の危険性が高まります。これにより、不整脈や心停止など深刻な状況に追い込まれる可能性も出てくるのです。腎臓病と診断された場合は医師の指示に従い、たんぱく質や塩分、カリウム、リン、水分などが制限していくことになりますが、腎臓病の種類によって制限される量なども異なります

いままで生きてきたなかで、どの食材にどのような栄養素がどれくらい含まれているか、意識しながら食事をしてきた人はいないと思います。いきなり腎臓を守るためにたんぱく質や塩分、カリウムを制限してコントロールしましょう、と言われてもなかなか実行に移すのは難しいものです。

食べたいものが食べられなくなるくらいなら、このまま病気が進行してもかまわない…などと最初からさじを投げてしまう人もいるかもしれません。腎臓病はいったんかかったら完治することは難しく、それ以上腎臓の状態を悪化させずに現状維持に努めることが治療のひとつとなります。食生活の見直しは避けては通れないというのが現実です。

食事療法には2つの方法がある

治療法のひとつである食事療法には、大きく分けて2つの方法があります。

(1)治療用特殊食品


※画像はイメージです

たんぱく質の量と総エネルギー量のバランスをとりながら塩分を減らしていく方法。具体的には、「低たんぱくごはん」や「低たんぱくうどん」(※1)などを利用しながら、塩分調整用の調味料(減塩しょうゆや減塩みそ)、中鎖脂肪酸オイル(※2)を活用します。

※1:たんぱく質を調整するために含有するたんぱく質量を極端に少なくしてあるごはんやうどん
※2:たんぱく質制限にともなうエネルギー量不足を補填するために使う

入院中は病院で腎臓にやさしい食事を提供してくれます。ただし、退院後は専門家にアドバイスしてもらいながら献立を考え、毎日腎臓病食をつくっていかなければなりません

医歯薬出版の『腎臓病の食品交換表』などを参照しながら工夫していくしかありませんが、家庭の主婦にとってかなりの負担になっているのが現実でしょう。

(2)療養食や健康管理食の宅配サービス


※画像はイメージです

3食すべてを療養食にするというよりは、夕食や昼食を療養食に置き換えることによって、食事をつくる手間や労力を軽減することができます。宅配サービスを提供している会社によって、食材へのこだわりや配送地域、冷凍品なのか冷蔵品もあるのかなど違いがあります。

いずれにしてもたんぱく質や塩分はもちろんのこと、病状に合わせて栄養成分と含有量を調整したお弁当が手軽に食べられるので便利です。

療養食などの食事宅配サービスを利用する際は、公式サイトで次の点を確認するようにしましょう。

  • そのお弁当のメニューが消費者庁の定めた「食事療法用宅配等栄養指針」に沿ってつくられているか
  • 病院の管理栄養士や医療従事者の監修によってつくられている献立か

宅配サービス業者によっては、専門家に相談することもできます。献立のバリエーションや価格のほかにも、専門家のアドバイスや食材へのこだわり、配送に関してきめ細やかな配慮ができているかなど、いくつもの角度から検討してみるとよいと思います。

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