EDMのようなデジタル・サウンドも、たしかに魅力的。個人的にもそれはそれで大好きなのですが、そのあたりからブラック・ミュージックに入った世代には、ひとつだけ伝えておきたいことがあります。それは、「違ったタイプのソウル・ミュージックも、聴いてみたらきっと気に入るはずだよ」ってこと。そして、そのきっかけになるに違いないのが、伝統的なソウル・マナーを現代感覚で解釈したオーガニック・ソウル勢。
ドープなヒップホップ・グループ、オッド・フューチャーのメンバーでありながらソウル道をも極めるフランク・オーシャン、ジャズとソウルの間を柔軟に行き来するホセ・ジェイムス、先ごろロバート・グラスパー・エクスペリメント名義でグラミー賞を受賞したロバート・グラスパーなど、最近は他ジャンルとの垣根を意識させないアーティストも多いので、入り込みやすいのではないでしょうか。
というわけで今回は、最新モードはもちろん、その原点ともいえるニュー・クラシック・ソウルを含めたオーガニック・ソウル人脈から、オススメを選んでみました。気に入ったものがあったら、そこから掘り下げてみてください。
カリフォルニアのヒップホップ・グループ、オッド・フューチャーのメンバーとしての活動と平行し、2011年に自己名義のミックステープをリリース。これが評価されてチャンスをつかんだヴォーカリスト。周囲がどうあれ影響されることなく、自身の本質を突き詰める姿勢がポイント。いまどき、ここまでソウルっぽさをむき出しにできる人は貴重ですよ。
ミネアポリス生まれでニューヨーク在住。ロンドンの有力DJ、ジャイルス・ピーターソンがその才能を認めたことでも知られる実力派。そののち、インパルス!~ブルーノートとジャズの名門レーベルを渡り歩いてきたことにもジャズ・シンガーとしての自覚が感じられますが、音楽的にはオーガニック・ソウルとの接点が非常に強いタイプ。今後にも、大きな期待が持てます。
Donnie「Cloud Nine (The Colored Section)」
マーヴィン・ゲイの遠縁にあたるシンガー、というだけで興味津々ざんしょ? でも血統のよさを差し引いても、70年代ソウルのエッセンスが充満したこの人の世界観には注目すべきものがあります。このアルバムはもう10年も前の作品だけれど、いまだに違和感なく聴ける普遍的な名作。
ゴスペル・デュオのメアリー・メアリーは、2000年のデビュー当時からワンランク上のクオリティをアピールしていたグループ。その後の活動は少しばかり地味でしたが、2011年作『Something Big』では、さらなる成長の跡を見せてくれたのでした。洗練されていて力強く、もっと注目されてもいい人たち。
1997年に“On & On”で衝撃的なデビューを果たしたときから、すでに独自の表現を確立していたエリカ・バドゥ。2010年作『New Amerykah, Pt. 2: Return of the Ankh』も、非常に高密度な作品でした。迷いがまったくないだけに、説得力が抜群なわけです。しかし、このPVには驚かされたなあ。
オーガニック・ソウル、ニュー・クラシック・ソウルの代表的存在といえば、誰を差し置いてもまずはこの人。たとえばこのデビュー曲“Brown Sugar”、15数年経っているとは思えないほど、いまだに新鮮です。非常に才能がある人なんだけど、残念なのは非常に寡作だということですね。そろそろまたガツンとお願いしたいところです。
同じニュー・クラシック・ソウル人脈ながら、ディアンジェロらにくらべると圧倒的に地味な印象があるマックスウェルですが、この人の才能も絶対に見逃すわけにはいきません。特に素晴らしいのが、デビュー・アルバムの『Maxwell's Urban Hang Suite』。組曲形式になった充実作で、いまでも年に何度かは聴いています。