『機動刑事ジバン』第34話

放送日:1989年9月17日

脚本:杉村升 監督:小西通雄




▼粗筋▼


「スペースシャトルに乗り、宇宙空間で様々な実験をしていた日本の誇る加川恭三博士が、宇宙の塵の中からアメーバ状の宇宙生命体を発見・採取する事に成功し、世界中がこの世紀の大発見に沸き返っています。」

人間の細胞の数十倍の新陳代謝を持つこの宇宙生命体を分析して応用すれば、医学界だけでなくあらゆる分野に革命をもたらすはずだ。

それだけに悪用されれば大変な事になり、世界中の暗黒組織がこの大発見を奪い取ろうと狙っていると言う。

明日宇宙生命体を国立科学研究所へ運ぶまで、直人たちが警備する事になった。


すると、そこへ加川博士の娘であるルミが、直人たちにアイスコーヒーを持って来た。

ルミは加川博士と2人きりだったが、加川博士はどんなに忙しくてもルミの事を大切にする良い父親だった。

直人はルミに加川博士を必ず守ると約束し、警備員を配置に就かせた。


加川博士が発見した宇宙生命体を狙っていたギバ。

サイノイドを使って加川博士から宇宙生命体を奪うようマッドガルボに命令した。


「人間どもに宇宙の神秘を明かされてたまるか。私の手で始末してやる。」

謎の女は不思議な力で天候を操り、水を黒くし、壁を溶かし、加川博士を襲った。

そして、加川博士を守ろうとした直人たちの前に現れ、警備員と清志郎の生気を抜き取るのだった。

直人は洋子に加川博士とルミを守らせ、加川博士は洋子に宇宙生命体を預けた。

すると、洋子の前にサイノイド・バトルマーシャ・バトルカーシャが現れ、洋子に襲い掛かり、加川博士とルミをさらって行くのだった。


宇宙生命体を渡してもらおうとサイノイドに襲われそうになる加川博士とルミ。

そこへジバンが現れ、2人を守ろうとするが、クイーンコスモが乱入して来る。

「貴様一体何者なんだ!?」

「私の名は、宇宙生命体:クイーンコスモ。」

「そうか!宇宙生命の秘密を知られる事は、自分の秘密を知られる事と同じだ!それで取り戻しに来たのか!?」

「それだけじゃない。人類に恐怖と苦痛を与え、この地球を侵略しに来たのよ。」

「ふざけるな!地球はバイオロンの物だ!」とクイーンコスモに襲い掛かるサイノイドだが、クイーンコスモに角を腐らされる。

クイーンコスモは加川博士とルミに首輪を巻き付けて操り、誘拐して姿を消すのだった。


やがて、洋子の元にマッドガルボが現れる。

「他の奴は誤魔化せても、私はそうはいかん。宇宙生命体を寄越せ!寄越すんだ!」

抵抗する洋子だが、マッドガルボに宇宙生命体を奪い取られてしまう。

洋子の悲鳴を聞いて戻って来たジバンは、洋子から事情を聞くのだった。


マッドガルボが持ち帰った宇宙生命体を使い、直ちに実験を始めるギバ。

宇宙生命体の力で強化されるマッドガルボとサイノイドだが、そこへ加川博士とルミを連れたクイーンコスモが現れた。

「やはりここにあったのか。ドクターギバ、宇宙生命体をこちらに渡せ。」

「クイーンコスモ、今更来ても遅いわ!」

「どういう事だ?まさか宇宙生命体を使い、新しい怪物を作ったのか?」

「そんな物ではない。もっと素晴らしい事を思い付いのだ!

宇宙生命体にバイオテクノロジーで改良を加え、バイオノイドを今までより何十倍も強くする事に成功したのだ。

皮膚は鋼鉄より堅く、どんな攻撃をも跳ね返す!もはやバイオロンには怖いものなしだ!

どうだ、クイーンコスモ?いつまでもいがみ合っていても仕方あるまい。この辺で手を組まんか?」

「…良いわ。まず手始めにジバンね。」

「恨み重なるジバンめ、今度こそ鉄屑にしてやる!マッドガルボ、ジバンにいよいよ決着を付ける時が来たと伝えろ!」


直人がジバン基地に戻ると、柳田が待ち構えていた。

「申し訳ありません。博士とルミちゃんまで奪われてしまって…。」

「問題は奪った宇宙生命体でバイオロンが何をするかだ。」

「大変です!バイオロンが○○(聴き取れず)波を使ってジバンに連絡をしようとしています!」

ハリーボーイがそう言うと、モニターにマッドガルボの映像と、加川博士とルミがマスクに捕えられている映像が映った。

「見ているか?ジバン。いよいよ最後の決着を付ける時が来た。加川と娘を助けたければ、今日の午後4時、中原の採石場まで来い。待っているぞ。」

「変です、直人さん。今までのマッドガルボと体の成分が違います。」

「どういう事なんだ?」

「宇宙生命体を改良して体内に注入したんです。今までと違い、かなりのレベルまで強化されたに違いありません。」

「…どうする?田村君。」

「行くしかありません。博士とルミちゃんを放っておく訳にいきませんから。」

「しかし…、敵は手薬煉引いて待っているんだぞ。」

「でも僕は、五十嵐博士が精魂込めて作ってくれた自分の力を信じています。それに、例え命を失っても良い。地球の平和が守れるなら!」


OP曲をバックに、レゾンで中原の採石場へ向かうジバン。

偶然ジバンとすれ違った洋子は、車で後を追い掛ける。

ジバンは中原の採石場へ到着し、ルミはジバンに助けを求めた。


その時、ジバンの前にマッドガルボが立ちはだかった。

マッドガルボはサイノイドを差し向け、サイノイドの攻撃を喰らったジバンは激しく突き飛ばされてしまう。

マクシミリアンガンの反撃も効かなかったが、ジバンは加川博士がルミを連れて逃げようとするのを見て、マクシミリアンガンでマスクを倒して逃がしてやった。

ジバンはダイダロスを呼び、サイノイドにダイダロスファイヤーを喰らわせるが、これも通用せず、反撃されてしまう。

「以前とは比べ物にならないパワーだ…!」

「驚いたか?ジバン。強化された我々にそんな物は効かない。今度は私が相手だ!」

剣で襲い掛かって来るマッドガルボに、マクシミリアンソードで対抗するジバン。

しかし、かなりのダメージを負ってしまい、サイノイドとの同時攻撃も喰らってしまう。

さらに、クイーンコスモのムーンパワーで翻弄され、クイーンコスモが放った虫に侵食され、ジバンのコンピューターが制御不能になってしまう。

目が見えなくなり、マッドガルボとサイノイドに次々と攻撃されていくジバン。

夕方になり、洋子が駆け付けて来るが、ジバンはマッドガルボの剣で左腕を切断されてしまう。

満身創痍になったジバンの元に加川博士とルミも駆け付け、ジバンはルミの声を聞いてまゆみを思い出す。

そして、立ち上がろうとするジバンの心臓に、マッドガルボは剣を突き刺してとどめを刺すのだった。

「マッドガルボ…!例え僕が死んでも、この地球は絶対に、バイオロンには渡さん…!絶対…!」

そう言って、ジバンは力尽き、機能を停止するのだった。


ジバンの死体に泣き付く洋子。

加川博士とルミも悲しみに暮れ、柳田も悲痛な顔を浮かべた。

そして、ジバンの死体はレゾンに回収されるのだった。




▼解説▼


杉村氏は『BLACK』第47話でも主人公が死ぬ展開を描いていましたが、本話ではそれをより壮絶に描いています。(ちなみに、同話は本話と同じく小西監督回です。)

同話では(創世王の助けはあったものの)1対1の対決で死んでいましたが、本話では3対1(1体だけでも強敵なのに)という圧倒的不利な状況で殺されていました。

主人公を徹底的に追い詰め、主人公が死亡するという絶望的な展開で終わらせるハードな描写は、杉村氏らしいと思いました。


社会のニュースから始まる冒頭は、同じ杉村脚本の第5話や第25話でも使われていました。

国立科学研究所という言葉が出てきましたが、同じ杉村脚本の第17話で言われていた大阪の国立科学研究所と同じかどうかは不明です。


清志郎が登場するのは、第30話から4話振りでした。

バイオロンだけでなく、世界中に暗黒組織があるという事が何気に語られています。

この辺りのさり気ない現実世界への警鐘の仕方は、杉村氏らしいと思いました。


加川博士を演じた柳沢紀男さんは、同じ杉村脚本の『ソルブレイン』第13話で松本を演じる事になります。

加川博士の家のロケ地に使われたベーリックホールは、同じ杉村脚本の『カクレンジャー』第26話で鶴姫の家として使われる事になります。


科学者に発見された宇宙生命体が狙われるという展開は、同じ杉村脚本の第28話と共通しています。

ちなみに、ギバは第29話から第32話まで劇場版と同じ怪物の姿をした頭を現していましたが、前話で何事もなかったかのように元に戻っていました。


本話でようやくクイーンコスモの正体と目的が判明します。(名称テロップも表示されていました。)

第28話で初登場以降、何がしたいのか分からなくて他の脚本家も動かしにくいように見えたクイーンコスモですが、バイオロンと一時的に手を組む事になります。


初登場時の強さやカッコ良さが薄れつつあったマッドガルボですが、本話でその存在感を取り戻しています。(一応前話でもその兆候が見られましたが。)

それまでは体の80%が金属、残り20%が有機物質で出来ており、性能がジバンと匹敵しているとの事でしたが、本話で改良された宇宙生命体が体内に注入され、かなりのレベルまで強化される事になります。(次話でジバンも強化され、また肩を並べる事になりますが。)


柳田が登場するのは、第31話から3話振りでした。

加川博士やルミの事よりもバイオロンの事を心配していたり、「例え命を失っても良い」と言う直人に対して笑顔を見せたりするなど、依然として公の象徴として描かれています。


対バイオロン法が読まれない回としては、第28話から6話振りでした。

幻影としての登場でしたが、まゆみが登場するのは、第25話から9話振りになります。(OPにはクレジットされていなかったので、流用映像かもしれませんが。)


本話をリアルタイムで見た子どもたちはトラウマになったようですが、浄化するようなED曲と次回予告のネタバレで救いを持たせていたのが良かったと思います。

ちなみに、次回予告では「パーフェクトジバンだ」というサブタイトルになっていて「!」が付いていませんでした。



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去年とある書店で購入した「トラウマ番組大全集」にこのエピソードが載っていたのを思い出しました。
ヒーローが敵にフルボッコにされて機能停止に陥ってしまうというエピソードは確かに子供心にとってエグい物がありますよね・・・ (^_^;)
  1. 2016/10/06(木) 00:44:14 |
  2. URL |
  3. #-
『轟轟戦隊ボウケンジャー』でボウケンレッド/明石暁を演じた高橋光臣さんも、子どもの頃に本話でジバンが破壊されるシーンを見て泣いたと語っていたようですね。(今は閲覧できない東映ヒーローネットのインタビューで。)
私は再放送で『ジバン』を見ていたようですが、本話を見たという記憶はありませんでした。もし見ていたら泣いていたかもしれません。
  1. 2016/10/06(木) 13:58:37 |
  2. URL |
  3. Shellfield #JJnONzYM
ルミちゃん役を演じたのは守屋利恵。

利恵のふりがなは???
「りえ」か「としえ」のどちらかでしょうね。
  1. 2017/01/27(金) 10:31:57 |
  2. URL |
  3. Shellfield #JJnONzYM
次年、「ウインスペクター」・18話のゲストの三田ひとみ役。
  1. 2017/02/05(日) 22:59:41 |

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