20日、奈良市鴻ノ池陸上競技場ではTL第6節、グループAの近鉄ライナーズvs東芝ブレイブルーパスの1戦がおこなわれた。前節終了時点でグループAの決勝トーナメント、LIXIL CUP進出争いは上位5チームに絞られ、近鉄は2位、東芝は3位につけていた。両者の試合はサバイバルマッチ。ただ、近鉄が故障等の影響で主力が何人か抜けたメンバー構成だったのに対し、東芝はほぼベストの布陣。メンバーをざっと見渡すと、東芝が有利に思えた。近鉄のキーポイントは代役で出た選手の奮闘。入場者数は6136人をかぞえ、同日、花園で大学選手権が開催されていたことを思うと、上々の入りだった。W杯でジャパンが好成績を残したのはやはり大きい。グラウンドに現われた東芝のリーチ マイケルに対し「あっ、あの人、テレビに出てた人」という声が聞かれたりした。

 近鉄のキックオフで試合開始。近鉄は2分、キックカウンターの東芝が4次の左展開でノックオンしたことにより、ハーフウェイ手前右でラインアウトを得た。東芝の前列は左PR三上正貴、HO湯原祐希、右PR浅原拓真の強力な顔触れ。スクラムにプレッシャーをかけた。近鉄は№8田淵慎理が速いタイミングで右ショートサイドへ持ち出し、押されたスクラムとすれ違いでゲインする。しかし、敵陣22メートル手前で右についた右WTB田中優介へ放した右手バックハンドのパスが通らなかった。ボールはタッチへ。東芝はこのラインアウトスローが合わず、後ろへ流れたボールを左FLタウファ統悦に奪われたものの、ブレイクダウンでファイトしてターンオーバー。SH小川高廣の球出しに突っかけたトイメン9番、金哲元(きむ・ちょるうぉん)のオフサイドにより、4分、敵陣10メートルを越えた位置まで進出した。右O小瀧尚弘がスローをキャッチしたモールから9-10-12と右へ展開し、9-13の左逆目。統悦のタックルを受けた右CTBリチャート・カフイがすぐ左へ来た小瀧にガットでつないで前進し、9-10-8と右へ展開する。№8リーチ マイケルが防御を粉砕、裏へ抜けてインゴール中央へ迫った。田中と左豊田大樹がなんとかリーチのトライを阻止した近鉄だったが、次フェーズに屈服する。5分、東芝は9-13と左へ回してカフイが防御間を力強く前進、ディフェンダーをアオりながら左中間へなだれ込んでいった。

 小川のコンバージョンも成功し、7点を先制した東芝は7分、蹴り合いでFBフランソワ・ステインが右奥のスペースへキックを蹴った。カバーに走って処理するSO三原亮太がノックオン。敵陣22メートル内右でスクラムを得た東芝は、近鉄のフロントローが反則を犯すたびにスクラムを選択する。その時間は約5分に渡り、昨季1stステージのヤマハ戦、同2ndステージのNTTコム戦を想起した。東芝の長い“スクラムセッション”はちょくちょく見られる(ヤマハ戦はいじめられる側だったけれども)。12分、スクラムで反則を繰り返した近鉄は右PR前田龍佑がシンビン。同位置右でスクラムを選択した東芝は2フェーズで仕留めた。9-12-13の左展開で、左CTBフランク・ウィンターステインのタックルを受けたカフイがオフロードパスを放す。連係が合わなかったものの、地面のボールをキープしてリーチが素早く左へパスアウトした。近鉄の防御はパスミスに反応したこともあって順目に立つのが遅れ、3対1くらいの数的優位ができていた。13分、リーチのパスをもらった右FL山本紘史が左中間へトライ。0×12(小川のコンバージョンは不成功)とした東芝は16分、ハーフウェイで近鉄ボールのラインアウトをスチールして連続攻撃を仕掛け、ノーボールタックルのPKを得た18分、ショットを選択する。小川がPGをきっちり決め、0×15。

 近鉄は21分、相手ノックオンにより、ハーフウェイを越えた位置右でスクラムを得た。プレッシャーを受けたもののなんとかキープし、左LO村下雅章がピック&ゴー。東芝のFWがほとんど倒れていた隙を衝いて前進した。9-10-14の右展開を経て、9-10-7の左展開。右FL辻直幸がリーチのラッシュタックルで磔にされ、ゲインラインより後退、9-10の左で三原が左裏へキックを蹴ったのは、そのままアタックを継続しても守備側のペースになりそうだったのでいい選択だったと思う。ところが、ボールはデッドボールラインを割った。23分、敵陣10メートル中央でスクラムを得た東芝は組み直しののち24分、1次攻撃であっさり取り切る。左4、右2というBKの配置。中央のスクラムでは右の8-9で数的優位を作る手があるので、オーソドックスな陣形である。そこから9-10-13-14と左へ展開。カフイのパスのもらい方が巧かった。SO廣瀬俊朗のパスを開いて受けてトイメンのタックルを外し、裏へ出て順目へ放す。左WTB(背番号は14)豊島翔平が左隅へトライ。0×20(小川のゴールは不成功)となった。

 このリスタートを左へ蹴った近鉄は、マイボールとして攻めたが、東芝のタックルに下げられるばかり。4次、9-5-12の右展開、ウィンターステインが左CTB増田慶介のタックルに倒されたポイントでターンオーバーされた。東芝が2フェーズ後、敵陣10メートル中央のラックから左逆目へ回した局面は4対2のオーバーラップ。9-10-8、廣瀬がリーチへカットパスを放した。近鉄はウィンターステインから内からスライドのタックル、リーチを仕留めてビッグゲインを阻止。3フェーズ後、東芝は9-13と左へ回し、カフイが豊島を追わせるグラバーキック。近鉄は金が捕球し、右ショートサイドにいたFB髙忠伸に放したが、髙は増田のタックルによってタッチへ出されてしまった。28分、敵陣22メートル内でラインアウトの絶好機をつかんだ東芝はドライビングモールで勝負する。ゴールラインを前にラックとなったあと、HO湯原祐希が左中間へ捻じ込んだ。4トライ目のボーナスポイントが早くも確定。小川のコンバージョンによる2点を併せ、0×27とした東芝は暴君と化し、ほどなくトライを追加した。リスタートをピッチ右でキャッチ、出血交代で一時的に左LOへ入っていた松田圭佑が前進したラックから、小川が右裏へキックを蹴る。近鉄はリスタートの決め事も関係していただろうし、松田のゲインもあって、左WTB南藤辰馬がポジションを上げてきていた。空いたスペースを小川が認識していたキックである。敵陣22メートル付近で弾んだボールは湯原に入った。3節のHonda戦でもキックのバウンドを手中に入れる場面があったが、今季、湯原には何かと見せ場がめぐってくる。そこから9-1-13-15と左へ振る東芝。カフイのロングパスをもらったステインは、目前のスペースを埋められると右へ横走りし、そこから防御間のギャップを抜けた。31分、三原のタックルを吹っ飛ばして中央へトライ。小川のゴールも成功、0×34となった。

 東芝の猛攻に晒されっぱなしの近鉄にチャンスが訪れるのは34分。キックキャッチを起点とする連続攻撃は前へ出るディフェンスの圧力を受け、なかなか突破口が開けなかったものの、ラック成立のハンドのPKにより、残り10メートルでラインアウトを得た。村下がスローをキャッチしてモール。押し返した東芝だったが、その勢いでボールキャリアへ絡んでいった松田が中を割るのではなく、外から入る形。サイドエントリーのオフサイドをとられた。35分、残り5メートルのラインアウトを松岡に合わせた近鉄は、今度はモールをしっかりドライブ。左中間へなだれ込もうとした。東芝はリーチがコラプシングを犯す。36分、反則がなければトライだったと判断したレフリーは近鉄のペナルティトライを告げた。同時にリーチはシンビン。髙のコンバージョンも成功し、7×34とした近鉄は38分、自陣22メートルと10メートルのあいだ左のスクラムから8-9-10-13と右へ展開し、カットパスをもらった右CTB森田尚希が右裏へキックを蹴った。ステインがキャッチして蹴り返したが、22メートルの外へわずかに出ていて、ダイレクトキック。敵陣22メートルでラインアウトと好機到来の近鉄は2-5-9-10-12の左展開でセンタークラッシュ、ウィンターステインが廣瀬らのダブルタックルに止められたあと、9-10-14と後ろを通して右逆目へ展開し、近場のチャンネル0~1を3フェーズののち、9-10-12-13と左へ振った。東芝はここでステインが森田のパスをインターセプト。左裏へキックを蹴る。チェイスのカフイがドリブルし、インゴールへ転がるボールを押さえたが、それより先にボールがデッドボールラインへかかっていた。ここで前半が終了。

 東芝が27点をリードしての折り返し。近鉄としてはリーチがシンビンでいないあいだ、1人多い時間帯にスコアして追い上げ態勢に入りたいところだったが、後半0分、東芝がトライを追加する。キックオフの蹴り返しを豊島がキャッチして右へ放し、ステインが右裏へハイパント。敵陣10メートルと22メートルの中間で右WTB伊藤真(背番号は11)が好捕したラックから、オーバーラップの左へ振ってあっさり仕留めた。9-15-12-14、完全フリーの豊島が左コーナーへトライ。7×39(小川のゴールは不成功)となった。

 近鉄は3分、敵陣10メートルのラインアウトを起点に9-10-13-6と左へ展開。統悦が好タックルに捕まり、ラックアンプレイヤブルとなった。しかし、このハーフウェイのスクラムでPKを得て速攻。近場を突いたあとの4次、9-13-11と左の狭いほうへ回し、南藤がアングルチェンジで抜けたかと思われたが、森田尚のパスがスローフォワード。5分、自陣22メートルと10メートルのあいだ右端でスクラムを得た東芝は、小川が右ショートサイドへ持ち出してハーフウェイ付近へゲインし、裏へキックを蹴った。処理する髙は真横へ蹴り出すしかなく、7分、東芝に敵陣22メートルでラインアウトの好機が到来。山本紘がスローをキャッチ、左チャンネル1を2フェーズののち、小川が右サイドへ仕掛ける。そこへラック後方の死角から伊藤が現われてきた。いいもらい方をしてガットで右FL山本浩輝へつなぎ、さらに右の狭いほうで9-8-6。近鉄は髙が山本紘をタッチへ押し出して当座のピンチをしのいだが、三原のタッチキック後、東芝は敵陣22メートル手前でラインアウトと、なおチャンス。クイックモールからHOへ入っていた森太志が浅原とユニットになって力強く足を掻き、残り10メートルへ。そこから9-10の右で左リターンパス、山本浩が右外へのアングルチェンジで突破を図る。このフェーズと続く左ワンパス、左ツーパスを好タックルで阻んだ近鉄だったが、左ワンパスでリーチに縦を突かれたあと、右の逆目でやられてしまった。9-1-5。9分、東芝はピラー(ラックサイドの1人目の防御)とポスト(同2人目の防御)のあいだに、小瀧が外から内へ角度をつけて走り込んでラインブレイクし、右中間へトライ。小川のコンバージョンも成功、7×46とした。

 このリスタートで東芝は、リーチがノックバックしたボールを森がノックオン。11分、敵陣10メートルやや左でスクラムを得た近鉄は8-9-23と左へ回し、金に途中出場のFBアンドレ・テイラーがスイッチで入った。テイラーが22メートル内で山本浩の追尾タックルに倒されたあと、9-2の右でHO樫本敦が走り込み、9-8の右、田淵がクラッシュ。ここで右順目へさばいた金のパスが、戻り切れていなかった途中出場の左FLリアム・メッサムに当たった。オフサイドのPKにより、13分、残り10メートルでラインアウトの絶好機を迎えた近鉄はモールを組んだあと、近場を攻める。5次の左チャンネル1、樫本がタックルによって下げられはしたものの、9-23と右へ回すと、テイラーが右へ横走りし、スワーブランで廣瀬を置き去りにした。14分、カバーの小瀧に倒されながらも右隅へグラウディングを果たすトライ。12×46とした(ゴールは不成功)近鉄は18分、東芝が地域で優位に立ちながらラインアウトのノットストレート、スクラムコラプシングとセットピースのミスを続けたことにより、敵陣10メートルでラインアウトを得る。左順目を2フェーズのあとの逆目、後ろを通して9-15と右へ展開し、SOへ回った髙が右裏へキック。逆目へ展開してすぐに裏へキック……守備側は、FBは順目へ意識が向いているし、こちらのWTBもフラフラとポジションを上げていることがあるので、狙い目ではある。弾んだボールを豊島がノックオンし、チェイスの田中に入りかけたが、田中もノックオン。しかし、先のノックオンのアドバンテージが採用され、19分、近鉄は敵陣22メートル内でラインアウトのチャンスをつかんだ。9-14-22の左展開から左チャンネル1を2フェーズ。東芝は途中出場の右PR才田修二をリーチらがダブルタックルで後退させた。近鉄はここでノットリリースザボール。

 20分、このPKでハーフウェイまで地域を戻した東芝は、ラインアウトモールをドライブ。近鉄が耐え切れずにコラプシングを犯し、東芝は敵陣22メートルへ進出した。一連の流れは最近、J-SPORTSの解説へときどき登場する追手門学院大女子ラグビー部監督、後藤翔太さんがときどき仰る、自陣からPKを2つもらえれば途端にチャンスが来るという典型的な例だった。モールからメッサムが左サイドを突く東芝。近鉄は統悦らがダブルタックルで止めた。そこから東芝は後ろを通して左へ展開。SOへ回っていた小川がショートパスを放す。ここで近鉄はボールへ絡んだ。東芝のプレーヤーがそちら側へ倒れてボール出しの邪魔。ノットロールアウェイのPKにより、23分、近鉄はハーフウェイを越えた位置でラインアウト。東芝はリーチがスチールに成功し、右へ展開して小川がショートパントを蹴った。近鉄はテイラーが自陣10メートルで捕球し、すれ違いで敵陣10メートルへゲイン。そこから村下がピック&ゴーで前進。右へ展開し、田淵がクラッシュしたあと、左へ3フェーズを重ねたが、この局面は順目へディフェンダーが迅速に立った東芝の防御に阻まれた。7次、21-8-6の右で統悦が縦を突き、後ろへ放して21-15の右。クラッシュした髙も後ろへ放して21-13とつなぐ。ボールはキープするものの、ゲインラインから下がっていく状態。5フェーズ後、21-23と右の狭いほうへ回し、テイラーが小川のタックルを受けながらタッチ際の田中へオフロードパスを放す。しかし、ボールは浅い位置にいた田中の背後を通り、タッチを割った。

 この自陣10メートルのラインアウトモールでPKを得た東芝は26分、敵陣10メートルと22メートルの中間へ進出した。8次、21-10-8の左展開で統悦のタックルを受けたリーチが後ろへ放して21-9-12の左順目、途中出場の左CTB東郷拓也に倒された増田がポップパス、SHへ入っていた藤井淳が左の狭いほうへ放す見せ場を作る。パスが味方へ通らず、近鉄ボールとなったが、髙のタッチキック後、29分、東芝は敵陣22メートル手前でラインアウトとチャンスが継続。17-7-21-9の右展開で小川がクラッシュして右チャンネル1、森がノックバックしたボールを左LO大野均が捕球し、ハンドオフを使って左斜めラン、残り10メートルまでゲインした。そして藤井が右オープン側へさばく。下がりながらの守りで近鉄のディフェンスラインを整わない中、パスをもらった小川がギャップを急加速で抜けていった。小川がもっとも得意とするランコースを走り、中央へトライ。自身のゴールも成功し、22×53となった。近鉄は31分から33分にかけ、自陣10メートルのキックキャッチを起点に連続攻撃。テイラーが入って活性化したBKのムーヴによって敵陣へ入ったが、その後は東芝の堅いディフェンスに阻まれた。東芝は33分、ターンオーバー直後に小川が右裏へキック。処理する南藤をチェイスの増田が倒し、即座にジャッカル。ノットリリースザボールに陥れると、ステインがPKをクイックタップし、右ショートサイドへ放した。パスをもらった伊藤が右隅へトライ。ゴールは外れたものの、12×58とした東芝はその後もポゼッション(ボール保持率)で優位に立ち、39分、敵陣22メートルやや左でオフザゲートのPKを得た際、スクラムを選択してまだトライを奪いにいく構えを見せる。勝ち点が並んで順位決定が得失点差にもつれたときのことを考えたのだろうか、21-9-12と右へ展開し、増田がグラバーキック。右CTBへ入っていた渡邊大生がチェイスしたが、テイラーがインゴールで押さえ、ドロップアウトとなったところでフルタイムの笛が鳴った。東芝は9トライを奪う大勝で勝ち点5を追加。最終節を残し、グループAの2位へ浮上した。敗れた近鉄は5位へ転落。来週のNTTコム戦がLIXIL CUP出場を賭ける大一番となった。


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 近鉄は4節のクボタ戦で№8ピエール・スピースとCTBダミアン・デアリエンデが負傷。今回はLOトンプソン ルークとSO重光泰昌も欠場と主力を欠いていた。さすがにこのメンバーで東芝に勝てというのは酷な話である。このカードは近鉄がコンタクト局面で奮闘して競った内容になるケースも多々あるけれど、トンプソンの不在は響いた。ただ、ターンオーバーされる場面があったとはいえ、接点の2人目の寄りはまずまずだったと思う。ディフェンスはボールキャリアの前進を許し、下がりながら守る局面が多かった分、後手を踏み、インサイドブレイクで、もしくは外のオーバーラップを仕留められる場面が続出。アタックは深いラインを敷いていて横の割合がふだんより多く感じたが、おそらく東芝のディフェンスラインの立ち幅を広くする狙いがあったと思う。そこで内側のギャップを入り込めば、チャンスが生まれる。ただ、東芝のディフェンスがガンガン前へ出てきて、ゲインラインを越える場面が少なかった。近鉄のラインアタックの長所は、強力なランナーが前へ出たあと、相手防御の出足が止まった状況で浅めの位置でもらったフロントスリーが、インサイドブレイクを狙うか外のスペースへボールを運ぶかを適切に判断する点にある。TL初先発の三原、後半10分にFBからSOへ回った髙もそうした能力に長けるプレーヤーではあるが、長所を出せる局面が少なかった。ピックアッププレーヤーはリザーブ出場のテイラー。後半14分、個人技でトライを奪ってみせた。先発の外国人枠を1つ余してリザーブだったのは、復帰戦ということを考慮したのだろう。プレシーズンリーグにおけるテイラーは、キックカウンターで、ターンオーバー後の若いフェーズで絶妙の位置に現われてビッグゲインするシーンが目立ち、キック処理、最後尾のディフェンスも鉄壁と、絶好調だった。これぞFBの鑑というハイクオリティのプレーを見せており、開幕前、FBとしてもっとも光るプレーをするのはヤマハの五郎丸よりもテイラーと思っていたくらいである。しかし本人の故障、そして外国人枠の関係もある。スピース、デアリエンデ、テイラーの3人を同時に使えたらどのチームにも勝つ可能性があり、優勝してしまうのではないかとさえ夢想したりするけれど、同じ思いはワールドクラスの外国人選手が犇めくドコモやリコーのファンも抱いているに違いない。全員出してもええことにしてくれ、と。

 東芝は前節、敵将のロビー・ディーンズ氏をして「ワールドクラスの試合」と言わしめたパナソニック戦の壮絶なドロー決着の勢いをそのままに、完膚なきまでに近鉄を叩きのめした。激戦後の緩み、しかも近鉄のメンバーがベストでないことによる油断を感じさせなかった点に好感。パナソニック戦同様、リロード(倒れてから起き上がる動作)の速さが目立ち、生きたプレーヤーが多かった。人的余裕がある分、見やすいアタックに対してはダブルタックルをガンガン決めていける。プレシーズンの10月に組まれた2試合を観たとき、順目のディフェンスへ立つのが遅く感じたが、現在、そうした面はまったく見られなくなっている。そしてリロードの速さは、攻撃へ回れば数的優位、あるいはリンクプレーヤーが多い状況へ直結する。当たり勝ちながら順目主体にボールを動かすオーソドックスな攻めではあるが、プレーに参加できる人数の多さで面倒を見た感じだ。この試合の美点は攻守に渡り、ひたすら前へ出続けたことにある。ディフェンス局面では近鉄が深いアタックラインを敷いてもおかまいなしにラッシュ、端までボールを運んだあとの折り返しに対し、防御ラインへ勤勉に並んだプレーヤーがまた激しく前へ出た。ボールキャリアが力強く、ブレイクダウンも苛烈。完勝だった。もう1つ、勝因を挙げればスクラムで圧倒できたことだろう。MOMはスクラムワークを評価され、三上が受賞した。目下絶好調、山本紘のハードワークはこの試合でも目を惹き、リーチも攻守にはじけていた。BKはアウトサイドCTBカフイ、FBステインの布陣が完全に板についている。ここへきてチームが熟成。東芝のラストスパート態勢が整ってきた。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
なぎささんのコメントは流石が的確で公平で村上晃一さんや野沢さん(慶応-神戸製鋼)みたいです!小林深緑郎さんのようになるまで、わたしはなぎささんを応援します!
諸事情があって当日のメンバーでしたが、よく頑張りました(^.^)。なぎささんの評価通りテーラー選手よかったですね。
昨日、サークルKでテーラー選手がわたしに話しかけてくれました。日本語で「この車いいですね~」って。テーラー選手も車好きでニュージーランドにななんと三菱のランエボ!を置いているようです。日本国内では自転車のようです(汗)
テーラー選手はイケメンですね! 雑誌の表紙にイケます(^.^)。

ということで、奈良では惨敗したものの(疲れました)、2016年に向けていいスタートできそうです。
ひょうたんやま
2015/12/30 18:38
 コメントありがとうございます。
 J-SPORTSの解説の皆さんにはいろいろと学ばせてもらいます。とりわけ最近、野澤武史さんには刺激を受けてますね。とにかく、市井の一ラグビー愛好家をそんなふうに応援していただけるとは、感謝の一語です。ありがとうございます。

 で、この日の近鉄。大敗ではありましたが、テイラー選手は光りました。この人は現在、日本国内にいるFBとしては最高でしょう(私個人はヤマハの五郎丸、東芝のステインより上と判定します)。プレシーズンの試合のパフォーマンスには唸りました。今季、彼が脚光を浴びるに違いない、と確信しましたが、外国人枠が……。全員出てもいいことにしてくれ、とホント思いました。あと、FBのプレーを吟味するならLIVE観戦ですね。テレビだと、FBがあまり映らなかったりするので。そのテイラー選手と会話されたとのこと。トライを取ったとき、電車を意識したパフォーマンスを見せてくれますけど、本人は車好きなんですね。
なぎさ
2015/12/30 23:44

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