A.
パーキンソン病の患者さんには、中枢のドパミン*が減少することで、手足のふるえ、こわばり、動作が遅いなどの様々な症状が生じます。
レボドパ含有製剤は脳内に入るとドパミンに変わり、不足しているドパミンを補って症状を改善する、パーキンソン病治療の中心となる薬剤です。
レボドパ含有製剤にはレボトパ単剤(第一三共品:ドパゾール)と、レボドパに末梢性脱炭酸酵素阻害剤(DCI)を配合したレボドパ配合剤(第一三共品:ネオドパストン、ネオドパゾール)があります。- *ドパミン:中枢神経系の神経伝達物質で、運動調節、意欲、学習などに関わります。レボドパから作られ、同じく神経伝達物質であるノルアドレナリン、アドレナリンのもとにもなります。
A.
レボドパ製剤には、レボドパ単剤とレボドパとドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI(:カルビドパ、ベンセラジド)の配合剤の2種類があります。
レボドパ単剤を内服すると、ドパ脱炭酸酵素によりドパミンに代謝され、多くは脳内へ移行できずに失活してしまいます。
ドパ脱炭酸酵素阻害薬は、末梢でレボドパからドパミンへ代謝されるのを抑制し、脳内へのレボドパの移行を高めるため、レボドパの必要量が75~80%削減され25~20%になります。
また消化器系の副作用など末梢性副作用が軽減されるため、レボドパとドパ脱炭酸酵素阻害薬との配合剤の使用が勧められています。周術期など、経口での服用ができない場合には、レボドパ単剤の注射剤が用いられています。引用文献:
パーキンソン病治療ガイドライン2011 P2-4、99-100 医学書院
よくわかるパーキンソン病のすべて 改訂第2版 P36-40 長井書店A.
レボドパ単剤とレボドパ配合剤の効力比は1:5であり、レボドパ単剤の500mgはレボドパ配合剤の100mgに相当します。
つまり、レボドパ配合剤は、レボドパ単剤に比し、レボドパの1日用量を約1/5に減量でき、レボドパ単剤と同等又はそれ以上の効果を発揮します1)2)。
<参考>
レボドパ単剤(経口):ドパゾール錠 など
レボドパ配合剤(経口):ネオドパストン配合錠、ネオドパゾール配合錠 など引用文献:
1)日本医事新報:2752:11-17[1977]
2)神経研究の進歩:21(4):807-834[1977]A.
パーキンソン病の臨床症状は個々の症例によって異なり、又、長期L-dopa療法患者では他剤併用ケースが多いため内服から静注への切り替え量に大きな幅があり算出は困難です。
「パーキンソン病治療ガイドライン1)」に、「外科手術などで絶食しなくてはならないときにどう対処するか」というQ&Aがあります。
そこでは、「手術当日、朝1回1時間程度でL-ドパ・末梢性ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)配合剤100mgにつきL-ドパ50~100mgを経静脈内に点滴投与する。2日目以降も同様な対応を行うが、症状に応じて増量してよい。」と記載されています※。
※エビデンスレベルVI(患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見)。
また、注射液から内服への切り替え量については明確な指標はありません。引用文献:
1)パーキンソン病治療ガイドライン2011(医学書院):99-100 [2011]
A.
重大な副作用と初期症状は以下のとおりです。
なお、副作用に関する最新情報につきましては、添付文書をご確認ください。- 悪性症候群(服薬を急に中止しないでください)
〔初期症状〕38℃以上の発熱、ふるえ、意識がうすれる、筋肉のこわばり - 錯乱、幻覚、抑うつ
〔初期症状〕意識の混乱、考えがまとまらない、存在しない物が見えたり、ない音が聞こえたりする、やる気がおきない、気分が落ち込む - 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の悪化
〔初期症状〕吐き気、嘔吐、腹痛、便が黒くなる - 溶血性貧血、血小板減少
〔初期症状〕ふらつき、疲れやすい、皮膚や白目が黄色くなる、皮下出血 - 突発性睡眠
〔初期症状〕前兆もなく突然眠る - 閉塞隅角緑内障
〔初期症状〕頭痛、 眼の痛み、視力の低下
- 悪性症候群(服薬を急に中止しないでください)
A.
レボトパ及びその代謝物は酸化されやすく、アルカリや光に不安定です。尿や汗が黒変する現象はレボドパあるいはその代謝物が諸条件下で変化を受けて黒いメラニン重合体を生成し、それが排泄されるためと考えられます。引用文献:
1)日本生化学会:代謝マップ(東京化学同人/第1版): 52-53
2)Beeler MF et al: JAMA: 176(1) 136-138 [1961]A.
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤には、「選択的」「非選択的」の2種類があり、「非選択的」モノアミン酸化酵素阻害剤とは併用禁忌です。
国内ではサフラ錠(塩酸サフラジン)が販売されていましたが、現在は販売中止となっています。
セレギリン塩酸塩(エフピーOD錠など)は、「選択的」阻害剤で、レボドパ含有製剤との併用でも相互作用を起こすことなくパーキンソン病の症状改善効果を示しますが、用法・用量の範囲内でも選択性を失うという報告や、長期投与において選択性がなくなるという報告があります。
このため、レボドパ含有製剤の「重要な基本的注意」には、併用に際しては使用前に必ずセレギリン塩酸塩の添付文書を参照するよう記載しています。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤とは、ドパミンやノルアドレナリンなどを分解するMAOを阻害することで、脳内のドパミンを増やす抗パーキンソン薬です。MAOにはMAO-AとMAO-Bがあり、セレギリン塩酸塩は、MAO-Bの「選択的」阻害剤です。「非選択的」MAO阻害剤は両方を阻害します1)2)。MAO-Aはノルアドレナリンを分解するため、レボドパ含有製剤と併用するとレボドパから生成されたノルアドレナリンが増え、重篤な高血圧や興奮が発症する可能性があります。引用文献:
1)Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry 26 (5): 939-43.
2)Journal of consulting and clinical psychology 76.3 (2008): 468-77.A.
レボドパ単剤は、ピリドキシン(ビタミンB6)とは併用注意です。
末梢での本剤の脱炭酸化を促進すると考えられているため、本剤の作用が減弱することがあると記載されています。
レボドパ配合剤では相互作用に記載はありません。
ピリドキシン(ビタミンB6)は、末梢でレボドパの脱炭酸酵素活性を亢進するため、レボドパの分解が亢進され、レボドパの血中濃度を低下させると言われています。脱炭酸酵素阻害剤が配合されているレボドパ合剤では、このような現象は発生しないと言われています1)2)。引用文献:- 1)「総説 薬物治療と食の相互作用」澤田康文Biotherapy(JPN): 25(1), 533-542(2011)
- 2)「レボドパ製剤(ドパストン、ネオドパストン、メネシット、マドパ、EC・ドパール、ドパール) 」山本光利, 影山孝彦
Medicina(JPN): 39(11S), 263-265(2002)
A.
鉄剤とは併用注意です。鉄剤との併用によりキレートを形成し、レボドパの吸収が減少するとの報告があります。
やむをえず併用する場合は、投与間隔を空けてください。
9名のパーキンソン病患者に対し、レボドパ/カルビドパ合剤(100mg/25mg)と硫酸第一鉄(325mg)を併用投与し、レボドパおよびカルビドパのバイオアベイラビリティに及ぼす影響を検討した報告では、レボドパのAUCは30%低下、カルビドパのAUCは75%以上低下したと報告されています1)。
また、健常人8例において、硫酸第一鉄(325mg)がレボドパ(250mg)のバイオアベイラビリティに及ぼす影響を検討した報告では、血中レボドパのピークレベルは55%低下し、AUCは51%低下すると報告されています2)。引用文献:- 1)「パーキンソン病患者におけるシネメット-硫酸第一鉄の相互作用」
Campbell NR, et al.:Br J Clin Pharmacol 1990;30(4):599-605 - 2)「硫酸第一鉄はレボドパのバイオアベイラビリティを低下する:考えられる機序としてのキレート化」
Campbell NR and Hasinoff B:Clin Pharmacol Ther 1989;45(3):220-225
- 1)「パーキンソン病患者におけるシネメット-硫酸第一鉄の相互作用」
A.
食事(高蛋白食)の影響によりレボドパの吸収は低下します。
Nuttら1)は、9例(男性:6例、女性:3例)のパーキンソン病患者を対象として、レボドパの吸収と臨床効果との関係について検討しています。
レボドパ(経口投与)で治療を受けているパーキンソン症候群の9例を対象として、食後と絶食時の腸管からの吸収を比較検討した結果、食後投与では、絶食時に比し投与後2時間までのAUCは平均27%、最高血中濃度(Cmax)は平均29%減少し、そのピークは平均34分遅れることが報告されています。
レボドパ含有製剤を長期投与することにより、症状の日内変動などが出現し、コントロールが困難となることが問題とされています。このような日内変動例ではレボドパの血中濃度の安定がまず必要とされており、食事(高蛋白食)がレボドパの吸収に影響を与えること1)2)3)4)も日内変動の一因ではないかとの考えもあります。引用文献:
1)Nutt JG et al: N Engl J Med: 310(8) 483 -488 [1984]
2)高橋光雄医学のあゆみ: 148(11) 709 -712 [1989]
3)Tsui JK et al: Neurology: 39(4) 549-552 [1989]
4)月刊薬事: 31(11) 2017-2021 [1989]A.
レボドパやカルビドパは酸性で溶解しやすく中性あるいは塩基性で溶解しにくいことから、無酸症やH2ブロッカーもしくはPPIなどを使用中の場合、消化管からの吸収が低下し、十分な効果が得られない可能性があるため注意が必要であるという報告があります1)2)。
そのため、胃酸分泌低下のあるパーキンソン病患者にレボドパを投与する際に、レモン汁によって酸を補充することにより、臨床症状と血中レボドパ濃度の改善が認められることが報告されています3)4)5)。
高齢パーキンソン病患者においてレボドパの吸収は、空腹時胃酸分泌が良好な症例および酸分泌刺激に反応する症例では良好でしたが、酸分泌刺激に反応しない症例では不良でした6)。引用文献:
1)作田学 他: 新薬と臨床: 45(1) 127 -130 [1996]
2)澤田康文 他: 薬局: 54(11) 2880-2887 [2003]
3)矢澤生 他: 臨床神経学: 34(3) 264 -266 [1994]
4)石倉菜子 他: 日本老年医学会雑誌: 32(1) 51-52 [1995]
5)仁藤智香子 他: 臨床神経学: 36(12) 1396- [1996]
6)上田雅之 他: 神経治療学: 14(2) 155-160 [1997]
A.
「第十七改正」 日本薬局方解説書 レボドパによると
「30℃ RH92%で、スルピリン、ミグレニン、安息香酸ナトリウムカフェイン、ジアスターゼ、パンクレアチン、酸化マグネシウム、アスコルビン酸含有製剤などとの配合は湿潤や着色のため不適であり、アルカリや還元剤によって分解されるので、消化器用剤、ビタミン剤などとの配合には注意する。その他着色などの変化が起こりやすい医薬品が多いので配合には注意を要する。」
と記載されています。A.
ネオドパゾール配合錠と、ネオドパストン配合錠L100の無包装の安定性試験の結果は以下の通りです。
<ネオドパゾール配合錠>
25℃/75%RH、シャーレ開放30日において、外観、崩壊試験、含量に変化は認められませんでした。
<ネオドパストン配合錠L100>
湿度条件(25℃/75%RH、遮光開放、3ヵ月)において、外観、含量の変化は認められませんでしたが、硬度に規格内の低下(日本病院薬剤師会評価基準 ※1)が認められました。
光条件(1000lx室温、気密容器、120万lx・hr ※2)において、含量に変化は認められませんでしたが、外観に変化(うす紅色から褐色に変化)が認められ、硬度も規格内の低下(日本病院薬剤師会評価基準 ※1)が認められました。
温度条件(40℃、遮光気密容器、3ヵ月)において外観・含量・硬度に変化は認められませんでした。
なお、500lxで1日24時間照射した時の照射量が12000lx・hrであり、120万lx・hrは100日間に相当します。
参考)
※1 「日本病院薬剤師会の答申」で示されている硬度の評価基準において、『変化あり(規格内)』とは、「硬度変化が30%以上で、硬度が2.0kg重以上の場合」です。
※2 JIS照度基準では薬局、調剤室は300~750lxと定められています。
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