その本は、
多くのカナダ人が住みたがる魅力あふれる町
ネルソンはバンクーバーから北東に約650km、カナディアン・ロッキーの西側に広がるクートニー・ロッキーズに位置し、人口およそ1万人の小さな都市。 街の中心地にはサンフランシスコ風のヘリテージ感漂う歴史的な建造物が多く建ち並び、別名「Queen City」と呼ばれいる。 19世紀末に発見された銀山の富が街を発展させ、西部カナダで最も進んだ美しい街としてカナダ中の人が熱望するオアシスの様な場所なのである。
メインストリートであるベイカー・ストリートを端から端まで歩いても10分程で、ゆっくりじっくり街歩きをするのが好きなわたしにとって丁度いい規模だった。 ネルソンの街は一軒一軒の店の存在感があり、どことなく街全体の調和が取れている。混じりっけないというか、ごちゃごちゃしてないというか。
それもそのはず。マクドナルドなどのファーストフード店がどこを見渡してもない。スローフードを大切にする市民に反対され、アメリカに程近い場所でありながら大手チェーン店がほとんど進出していないのだ。コミュニティ単体でヘルス・コンシャスする、それがネルソン流。 先進国でここまでアイデンティティが確立されている町も珍しい。
また、多すぎる程のアウトドアショップとレンタルBMXショップの数。 夏はキャンプ、トレッキング、カヌー、冬はスキー、スノーボードなど、一年中アウトドアを楽しむことが出来る環境なので、アウトドアスポーツやオルタナティヴ・ライフを愛する人たちにとってはまさに楽園のような街なのだ。
ネルソン住民から大人気のオーガニック・マーケット「Kootenay coop」
街の中でも一番の賑わいをみせていたのは、このオーガニックスーパーの「Kootenay coop(クートニー・コープ)」。 今ではスタンダードな考え方ではあるが「Eat Local(地産地消)」精神を早くから取り入れ、すべての商品を食品添加物、化学調味料、白砂糖、動物性食品不使用などのオーガニックに絞った品揃えは「BCイチのオーガニック・スーパー」の呼び声も高く、私が行ったこの日もレジには長蛇の列が出来きていた。 前日に街の外れにあるアメリカ資本のスーパーマーケットに行って閑散っぷりを見ていたので、比にならない程、充実したオーガニック商品の品揃えと人気ぶりにネルソン住民の食に対する高い意識を感じられた。
このスーパーの人気の理由は、品揃えだけでなくユニークな運営体制にある。 基本となっているのはメンバーシップと自治制度。 1株5ドルの株を10株購入することでメンバーになった人たちは、割引特典を受けられるほかに運営に関わる理事を選ぶ投票に参加する権利を手に入れることができる。 選ばれた理事は2年の任期期間中に従業員の採用や教育をはじめ、経営の幹に関わる任務を行う。 つまり販売と運営の両方で30年以上も長い間顧客住民に支えられているのだ。
店内に入ってひと際目に留まったのは、徹底された「量り売り」というエコな販売方法。 大量生産社会が当たり前の東京の便利な暮らしに慣れてしまった自分にとって、それは目からうろこの光景だった。
【1】オリーブオイル、蜂蜜、はたまた日本のたまり醤油まで!?充実の調味料コーナー。初回は棚の上のボトルを購入し、2回目以降はそのボトルを洗ってリユースするシステム。
【2】味噌は健康に気を遣う地元住民の間ではポピュラーな調味料で、ここでは多くの種類を取り扱っている。味噌だけではなく、コチュジャンなど東洋の調味料も豊富で東洋食文化への関心を感じるラインナップ。
【3】豆、玄米、パスタ、お茶、コーヒー、洗剤まで、とにかくありとあらゆる商品が量り売りで売られている。もちろんパッケージで売られているものも多いが、ここまでするかー!?ってレベルの量り売りの数々。ここはネルソン市民の環境への意識の高さを象徴した場所ともいえるかもしれない。
次に向かったお店はフレッシュなスムージーが飲める「Grasshopper Juice Bar」。 ここは毎日新鮮な野菜や果物を市場から仕入れ、美味しくて身体にいいスムージーを提供している。 そのほかにも白砂糖や小麦粉不使用のローフード(49度以下で料理したもの)が売りで、ネルソンのワーカー達や買い物帰りに立ち寄る人が多いという。
【4】このお店では出来たてのスムージーを瓶で提供してくれる。私はオレンジ色の「Cherished」をオーダー。味はチェリー、ストロベリー、リンゴ、バナナがミックスされた果汁絞りたての絶妙な味わい◎ちなみにうち編集長はこの写真を見て瓶文化を取り入れてます(笑)
【5】友人の知り合いということで快く写真を取らせてくれたオーナーさん。マッチョポーズまでしてくれたサービス精神旺盛な優しい方。
【6】お店の概観。公園が隣接していて、小高い丘の上にあるので、のんびりイートインするには最高の場所。お店のFacebookページもあるので是非チェック。
※こちらのお店ですが現在閉店中のようですが、また別の場所で再開予定のようです。
ネルソンはミュージシャン、デザイナー、DJ、ダンサー...など、多くのアーティストが移り住み、北米でも有数のアーティストタウンとしても知られている。 そんなネルソンに住むアーティストが集まるお店として教えもらったのが、この「Oso Negro Coffee(オーソネグロコーヒー)」。 オーガニックのコーヒー豆が主流で、全てお店で自家焙煎し、淹れたての美味しいコーヒーがその場で楽しめる。ネルソンのサードウェーブ・コーヒーの中心核とも言えるお店で、ここのコーヒー豆はKootenay coopでも販売されていた。
【7】一軒家をカフェで店内はとっても広々で穏やかな空間。この時もコーヒーを嗜みながら、会話を楽しんでいる人でお店は賑わっていた。
【8】「Oso Negro Coffee」オリジナルのブレンドコーヒー。パッケージがユニークでコーヒーの雰囲気によってイラストが異なる。MESSY ROOM(汚部屋)の味が気になったがさすがに怖くてチャレンジしませんでした(笑)
【9】オリジナルの陶芸品マグも店内で販売。取っ手の部分がユニークで外国ならではのセンスを感じる美しいフォルム。
【10】いい笑顔をカメラに向けてくれた「Oso Negro Coffee」のスタッフのお兄さん。美味しい一杯をありがとう!
友人の話によると、ネルソン住民は「食にお金を掛ける人が多い」とのこと。それは決して高級料理にお金を掛けるのではなく、より安全でより健康な身体であり続けるためオーガニックを取り入れている人が多いのだ。コンビニやスーパーで「安い」や「簡単」であることを基準に消費をしている私に忘れかけていたことを教えてくれた。
それは食に限らず高価なモノに囲まれるような暮らしではなく、自然をより身近に感じられる環境でシンプルな暮らしを送ることに、多くの喜びを感じるという価値観をもった人々が多く集まり、その共通価値は市民ならびに町レベルで市民権を持ち、より自分たちが暮らしやすい環境を作り上げているというのだ。 ありえそうでなかった理想郷、それを具現化した町、それがカナダBC州の「ネルソン」だ。
さて次回はネルソンに住む日本人のライフスタイルを中心に紹介したいと思います。お楽しみに~。
■NELSON(ネルソン)への交通
バンクーバー空港からエアカナダでキャッスルガー(Castleger)へ
空港からは路線バスでネルソンまで$3~5ドル。
(冬は空港が閉鎖になる日が多いとの噂なのでベストシーズンの7月~9月がオススメ)
その他ネルソンへの行き方はこちらをチェック。
旅PHOTO
- ベイカー・ストリートの街灯にはかわいい生花の装飾が。
日本にも取り入れてほしい素敵なアイデア。
- 街には赤ちゃん専門のアウトドアショップも。
生まれたときからアウトドア精神が培われる環境なんでしょうね。
- ネルソンの信号のピクトグラム。
こうゆうものも逐一新鮮!
ピクトの歩く方向が日本とは異なる。
- 西洋建築の建物の前を薪を積んだ車が通り過ぎる。
この街では日常の光景でも自分にとってはアンビバレントな風景。
- 町で出会った小さなスパイダーマン。
シャイだったけど、最後にはキリリと決め顔を見せてくれました◎
- Oso Negro Coffeeの屋根上にいた風見鶏ならぬ、風見熊(笑)
黒熊がトレードマークのOSO NEGROならではの遊び心溢れる演出。
- ネルソンの裏路地にはグラフィティアートがちらほら。
また電柱が木製なのにも驚き。
- 美味しいフランスパンで有名な「au soleil levant」。
おとぎ話から飛び出してきた様な可愛い佇まいのお店。
- ビクトリアストリートにあるネルソン唯一のシアター劇場。演劇のみならず市民の集い場としても愛用されている場所。
- Kootenay coopで購入したパッケージのお洒落なオーガニックチョコレート。
抹茶やシナモンなどから変り種のFire(辛口)まで!?