メタボ腹を賢くへこませる「運動」「食事」「体の仕組み」アプローチ6
メタボ腹のコントロールは
「筋肉量」「食事量」「消費量」の3つがカギになる
メタボ腹を賢くへこませるには、まず「敵」のことを知らなくてはならない。メタボ腹をどうすればコントロールできるかは、筋肉量、食事量(食事からとるエネルギー量)、消費量(運動や日常活動で消費するエネルギー量)の3つにかかっている。運動によって筋肉量が増えると、下のコラムにある「基礎代謝」に当たる量が増えるため、メタボ腹をへこますことにつながる。
もちろん、食事量減少か、消費量増加も、メタボ腹克服に有効だ。「脂肪を1kg減らすには1日当たり230kcalのエネルギー量を減らす計算になる」と昭和女子大学教授の江崎治さんは語る。これは、食事量ではご飯を軽く一杯分、運動量ではウオーキング1時間分に当たる。江崎さんによれば、無理なく減量するには、1カ月で体重1、2kg減が適切とのこと。それ以上減らしてしまうと、リバウンド現象が起きて、前よりも体重が増えることがあるので注意が必要だ。
「筋力低下」と「体のゆがみ」のスパイラルが
メタボ腹をさらに大きくする
運動不足という“耳にタコ”ができそうな言葉よりも、知っておきたいことは筋肉が衰える仕組みだ。そもそも筋肉は放っておくと、どんどん硬く小さくなる「萎縮」という性質がある。
同じような行動を日々繰り返してばかりの生活習慣が蓄積してくると、当然、筋肉の力は低下するばかり。
そもそもメタボ腹の男性は、「腹部をへこませた状態の姿勢を保つ筋力が低下している」と指摘するのは、フィットネス総合研究所の土屋真人所長だ。姿勢を保つ筋肉が衰えると、体がゆがんで姿勢が崩れる。すると筋肉の動きに偏りが出て、さらにまた体のゆがみを強める。
こうして筋肉がどんどん衰えて萎縮してゆくと、「筋力低下」「ゆがみ」「メタボ腹」が負のスパイラルを描く。メタボ腹は食べ過ぎだけとは限らないのだ。「そもそも人の体は、楽な姿勢をとりたがるもの。脂肪は動きが鈍った部位につきやすい」(江崎さん)。運動に限らず、日常での姿勢や歩くときでもなど、とにかく「腹を動かす」意識を持とう。
「続かない」「実行に移せない……」“失敗の本質”は選択肢にあり!
小さい成功から始めよう
メタボという「敵」を知ったら、次は「自分」を知ろう。ダイエットや運動習慣が続かないというのは、実は「自分」を知らないからだ。そこで最近注目を浴びているのが、行動科学に基づく生活習慣の改善法。
「大切なのは、最初から効果を求めすぎないこと。ハードルを低くして少しずつ成功体験を積み重ねていくことが継続につながる」と早稲田大学教授の荒尾孝さんは語る。キーワードは、「無理しない」「固執しない」「続けられることを選ぶ」だ。
「大切なのは『気づき』。例えば、歩数計をつけてみて『こんなに動いていなかったのか!』と気づく。そこで自分でどうすれば効果的なのかを考える『セルフエフィカシー』(自己効力感)を持つのが成功の近道」と荒尾さん。もし、1日5000歩くらい歩けていたら、翌月はプラス2000歩を目指す。急に1万歩にするのは挫折のもと。「1カ月後に結果を振り返り、70%の達成率ならOKとしましょう。達成率が50%以下ならば、目標の数字を下げてやり直せばいい」と荒尾さんはアドバイスする。
運動でやせたい人は「気合い」よりも
まずは運動の「タイプ」を理解しよう
ただ単に体を動かせば、メタボ腹が解消できると思ったら間違いだ。運動も科学である。実践の前に、運動の種類と効果を確認しておこう。基本的な運動のタイプは下の3種類。ストレッチ(柔軟体操)は、老化やけがの防止に有効。有酸素運動は、体内にたっぷり酸素を取り入れながら、ゆっくりと体を動かすもので、ウオーキング、水泳、エアロビクスなど。レジスタンス運動は、筋肉に負荷をかけて鍛えるもので、ダンベル、スクワット、腕立てふせなどがこれに当たる。
食べる順番や組み合わせで
コンビニ食や外食でも体にいい食事になります
口にした食べ物の栄養成分が、体内でどんな経路で脂肪になるのかは、意外に知らないもの。実は太る原因は炭水化物などに含まれる「糖質」の過多だ。
白米、パン、めん類など、食事に炭水化物が欠かせない男性は多いだろう。無論、自宅でも外食でも、炭水化物を使ったメニューや商品は豊富だ。
だが、そんな人にこそ足りていないのが、良質なたんぱく質と脂質。また野菜類などからとれる「食物繊維」も不足しがち。
コンビニ総菜などに少し手を加えたり、食べる順番を変えたりするだけで、メタボ腹の改善になる“隠し球”がある。もちろん、お酒もやめずにOK。
メタボ腹の原因になる「脂肪」と「筋肉」
関係ぐらいは知っておく
筋肉を動かすにはエネルギーが必要。そのエネルギー源となるのが、体内に蓄積された脂肪の燃焼。「とくに効果的なのが、スローな有酸素運動を長くやること」と江崎さんは語る。脂肪燃焼に効果の高い「遅筋」と呼ばれる、主に赤い色の筋肉が鍛えられるからだ。
レジスタンス運動も意味がある。「速筋」と呼ばれる、主に白い筋肉を鍛えることによって筋肉を増大させる効果があるからだ。筋肉量が増えれば基礎代謝が増える。つまり、消費エネルギーが増えるわけである。ちなみに、基礎代謝のうち、4割ほどが筋肉で消費されているという。筋肉に次いで多いのが肝臓と脳である。