青森の新聞報道を発端に、今「若者の果物離れ」が大きな注目を集めていますよね。
各メディアからは、この問題を取り上げる記事が続々登場。
なぜ若者は果物を食べないのか、値段の問題か面倒くささのせいなのか、その原因探しが加熱しています。
さて、そんな中お送りする本記事では、その原因探しについてはさておき、若者の果物離れがもたらす影響の方に大注目。
果物なしの食生活で起こる、気になる問題をレポートしていきましょう。
話題の「果物離れ」の現状とは
注目を浴びる「若者の果物離れ」。まずはその実情から確認していきましょう。
厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」を見てみると、いかに若い世代が果物を食べていないかが良く分かります。
例えば1日当たりの果物摂取量を調べたデータでは、なんと20代全体のうち58%もの人々が「ゼロ」と回答。
また30代や40代でも50%以上の人々が「ゼロ」と回答しているのです。
50代以降が40%台、60~70代からはわずか20%程度しか「摂取量ゼロ」がいないことを考えると、若い世代に行くにつれ果物を全く食べない人が増えていることが分かりますね。
また、この果物消費量の世代間格差は、世代ごとの1日当たり摂取量でも顕著となっています。
60代が144.3g、70代が161.8gもの果物を1日当たりで食べているのに対し、若い世代は40代が67.5g、20代が60.7g、30台に至ってはたったの55.4gと1日当たりの摂取量が激減。
各世代とも驚くべきことに1日にみかん1/2個以下程度しか、果物を食べていないことが明らかになったのです。
「果物離れ」のなにが悪い?
年配世代と比べて、若い世代が果物を食べていないことはよく分かりました。
ですが、その果物離れの何が問題だというのでしょうか。
果物業界で働く人でもなければ、果物を食べないことくらい正直どうでもいい話題。
騒ぐほどのことではないように思えてしまいますよね。
しかし、果物が持つ力に目を向けてみると、その考え方は変わるかもしれません。
意外や意外、果物が持つ栄養効果は、野菜と肩を並べるほど私たちの体にとって大切な存在だったのです。
果物は大事な栄養源だった?
私たちにとっての果物は”おやつ”あるいは”デザート”という位置づけですが、日本人の健康問題を取り扱う厚生労働省にとっては少し異なるようです。
果物は健康作りには欠かせない重要な食品であると、彼らは位置づけているのです。
この果物に対する高評価は、厚生労働省が推奨する運動にも表れています。
同省が進める健康作りのための運動「健康日本21」では、なんと毎日200gもの果物を食べることを目標に設定。
「毎日くだもの200グラム運動」という形を通して、日本人の果物摂取を増やそうと日々躍起になっているのです。
なぜ、厚労省はこんなにも果物にこだわるのでしょうか。
その答えは果物が持つ栄養効果に隠されていました。
果物に含まれる様々なビタミン、ミネラル、食物繊維と言った栄養素は、実はがんをはじめとする恐ろしい生活習慣病予防、ひいては私たちの健康作りに役立つ存在だったのです。
果物は健康に役立つ
「果物は健康に役立つ」。そう語るのは厚生労働省だけではありません。
あのWHO(世界保健機構)もまた、果物を勧める組織の一つです。
2004年にはFAO(国連食料農業機関)との合同委員会において、「生活習慣病予防のためには野菜と果物”合わせて”1日400g以上は食べるべき」と勧告。
日常的な果物摂取を、強く呼びかけているのです。
果物がなぜこんなにも野菜と並んで推奨されているのか、その理由は果物が持っている栄養効果を見てみる良く分かります。
例えば、果物の栄養としては特に有名な「ビタミンC」なら、動脈硬化やがんをはじめとする生活習慣病の予防に役立つ”抗酸化作用”や風邪などのウィルスから身を守る免疫力の向上、イライラを抑えてくれる抗ストレスホルモンの生成といった具合に。
病気予防からメンタルケアにまで活躍してくれるわけです。
また、その他の栄養素の活躍も併せてご紹介していきましょう。
ビタミンA
あんず、びわ、スイカなどに多いビタミンAは、ビタミンCと同様に強い抗酸化作用を持ちます。
ストレスや紫外線、喫煙などによって発生する活性酸素を除去し、動脈硬化やがんといった生活習慣病の予防に役立つのです。
またビタミンAは、視力にもよい影響を与えるとされ、眼精疲労や視力の回復麺でも効果が期待できます。
ビタミンE
マンゴー、ブルーベリー、桃などに多く含まれるビタミンEは、ビタミンA・Cと並んで強い抗酸化作用を持つことで知られる栄養素。
3つ合わせて「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれ、その健康効果は高い評価を受けています。
生活習慣病予防はもちろん、シミやしわと言った老化対策、美容効果にも優れていますね。
ポリフェノール
赤ワインに多く含まれることで有名なポリフェノールは、「ビタミンACE(エース)」と並んで強い抗酸化作用を持ちます。
またポリフェノールの一種で、すもも、プルーン、ブドウ、ブルーベリーに多く含まれるアントシアニンには、眼精疲労にも効果を発揮してくれます。
ビタミンB系
パッションフルーツやマンゴーに含まれるビタミンB2は、肝臓の健康や皮膚や粘膜の健康などに効果的。
またナイアシンは、口内炎のような皮膚炎・粘膜炎の予防、世親障害など神経系の症状対策にも役立ちます。こちらはB2と同じくパッションフルーツのほか、バナナやライチなどにも多く含まれます。
カリウム
バナナや栗、キウイなどに含まれるカリウムは、塩分の排出効果を持つ栄養素。
体内の水分量調節に役立つことから、高血圧や不整脈の予防に効果があるとされています。
食物繊維
バナナなどに多く含まれる食物繊維は、腸内のお掃除役としてもお馴染みの栄養素。
便秘の解消とともに、体内の毒素を排出するのに活躍してくれます。
果糖
果糖の甘味の源「果糖」も、実は役立つ存在です。
体の疲労回復や脳の活性化などに、その効果を発揮してくれるのです。
おやつとしてうまく取り入れれば、運動後のケアや仕事の効率アップにも活かせるでしょう。
果物はダイエットに役立つ
大流行した糖質制限ダイエットの影響からか、近年では痩せたいなら甘い果物は避けるべきといった声がしばしば聞こえていましたよね。
しかし、こうした「果物=ダイエットの敵」という認識は決して正しいとは言えません。
なぜなら果物には、健康だけでなくダイエットを助ける効果もまたいくつも備わっているからです。
例えば、お肉と果物の組み合わせはその効果を活かした成功例のひとつとして挙げられます。
キウイやパイナップルなど多くの果物に含まれるたんぱく質分解酵素が、お肉に含まれているたんぱく質の消化・吸収を助けることで筋肉の生成をサポート。健康的でスマートな体作りに役立つのです。
また下記に続くように、脂質の分解や代謝を助けたり、吸収を防ぐ効果を持ち合わせた果物も多数ありますね。
りんごポリフェノール
リンゴに含まれるポリフェノールは、高いダイエット効果を持つことで知られる栄養素。
食事によって体内に入った脂質が胃や腸で吸収されてしまうのを防ぎ、体外への排出を促す効果を持ちます。
また、コレステロールを低下させることで血液をサラサラにする効果も持ち合わせるため、新陳代謝の向上にも役立ちます。
ナイアシン
ビタミンB群の一つであるナイアシンには、脂質の代謝を助ける効果を持つ栄養素。
脂肪を消費されやすい状態に変えてくれるため、運動前に摂ることで脂肪燃焼効果UPが狙えます。
主な果物は、パッションフルーツ、バナナ、ライチなど。
食物繊維
腸内をきれいにしてくれる食物繊維は、ダイエットにも役立つ栄養素。
「血糖値の上昇を抑える」「脂質の吸収を抑える」「お腹の中で膨らむことで満腹感を高める」といった効果を持つため、食前に軽くつまんでおけば食事のダイエット効果を高めることにつながります。
主な果物は、バナナやキウイ、リンゴ、柿など。
ビタミンB1
オレンジやパイナップルに含まれるビタミンB1は、糖質の代謝向上に役立つ栄養素。
体内の糖質消費を高めることで、脂肪燃焼が起こりやすい状態にしてくれます。
アミラーゼ
バナナ、ブドウをはじめほぼ全ての果物に含まれる酵素”アミラーゼ”は、炭水化物の分解を助ける効果を持ちます。
この効果は血糖値の上昇を抑えることにもつながるため、糖質制限ダイエットのように”脂肪の蓄積を抑える”効果が期待できます。
果物離れは”リスク”になるか?
様々な栄養を兼ね備えた果物から離れていく現状は、私たちに栄養不足というリスクを背負わせるかもしれません。
しかし、こういう対策を思いつく人もいるかと思います。
果物の栄養不足を野菜の栄養で補えばいい、と。
一部の酵素はともかく、ビタミンやミネラルは野菜にも十分に含まれていますからね。
差し引きでプラスにもっていけば、問題ないように思えます。
ですが、ここで今一度「果物は健康に役立つ」の項目で出たWHOの一文を思い返してください。
「生活習慣病予防のためには野菜と果物”合わせて”1日400g以上は食べるべき」。
なぜWHOの勧告は野菜と果物を合わせて400gなのでしょうか。野菜400gではないのでしょうか。
その答えは、果物特有のメリット「食べやすさ」にあります。
野菜と違って調理という過程を必要とせず、皮をむくだけで食べられる。その果物の強みはデザートとしておやつとして時には朝ごはんとして、あらゆるタイミングでの栄養補給を実現してくれるからです。
もしも、果物なしで1日400gを達成しようと思ったらどうなるでしょうか。
待っているのは、厳しい食生活でしょう。
1日400gと言えばレタス丸1個分ほどの量。それを毎日となると、献立的にも飽きの問題からも無理は避けられません。
野菜と果物を組み合わせるべき理由は、この負担を減らすためです。
ちょこちょこ野菜のある普通の食事の合間に小腹がすいたら果物をつまむ、そんな食生活なら400gの壁は無理なく越えられますからね。
普段の食生活に果物を足すだけで、私たちの食生活は簡単に栄養満点へと近づけるのです。
最後に
果物離れがもたらす影響は、すぐに実感できるものではないでしょう。
その人の食生活によっては、問題など全く起こらないかもしれません。
しかし、多くの人にとって果物離れが良いことではないというのは間違いないことです。
果物から離れた食生活は、それだけ栄養不足へと近づいているのですから。
健康やダイエットへの悪影響は、覚悟しておくべきかも知れません。
「果物離れ」の原因は様々ですが、体のことを思うなら「果物のある生活」をやっぱり目指しておきたいところですね。