女性が不足しがちな鉄分の働きと鉄欠乏性貧血による症状
Date:2016.06.22
女性にとって非常に重要な栄養素の1つに「鉄分」があります。鉄分は必須栄養素の1つであり、体内で重要な役割を担っています。
女性には月経があるので、定期的に一定量の鉄分が失われます。よって、女性は鉄分が不足しやすい状態にあるので、意識的に鉄分を摂取する必要があるといえるでしょう。
鉄分が不足すると貧血になるということは有名ですが、貧血の症状はふらふらするだけではありません。
実は意外な症状も鉄欠乏による貧血の症状として現れます。ここでは必須栄養素である鉄分の働きと、鉄分不足による貧血の症状について紹介します。
鉄は必須微量元素の1つであり、体内で様々な働きをしている
鉄は微量必須元素の1つです。鉄は体内に4~5g存在しており、そのうちの65パーセントはヘモグロビンに結合して存在しています。
鉄には主に以下のような働きがあります。
- 酸素を運搬する働き
- 体内の代謝に関わる働き
- 貯蔵鉄として体内に貯蓄され、不足時に使用される働き
肺に取り込んだ酸素を全身に運搬しているのは赤血球ですが、この赤血球にはヘモグロビンという色素が含まれています。
血液が赤く見えるのは、このヘモグロビンの赤色色素のためです。
ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビン(たんぱく質)からできている複合たんぱく質です。中心にある鉄に酸素や二酸化炭素が結合することで、酸素と二酸化炭素の運搬をしています。
ヘモグロビンのヘム(鉄)に酸素が結合すると鮮やかな赤色となるのですが、二酸化炭素が結合すると赤黒い色になります。
よって、動脈は酸素を結合しているので鮮やかな赤色となりますが、静脈は二酸化炭素を結合しているので赤黒い色となります。
鉄はヘモグロビン以外にも、筋肉中のミオグロビンや各臓器等様々なところに存在しており、様々な働きをしています。
- ヘモグロビンは全身の酸素の運搬
- ミオグロビンは酸素の貯蔵
- 各臓器では酸素の受け渡し
以上のように、ヘム(鉄)は存在する場所によって様々な役割を通して酸素の運搬に関わっています。
また、鉄は体内でFe2+とFe3+の形をとっており、酵素の活性化にも関わっています。利用されなかった分は貯蔵鉄として貯蔵され、鉄分が不足した状態になった時に利用されます。
食事の偏り、ダイエット…鉄分が不足するには様々な理由がある
普通の状態では、体内の鉄分は調整されていますが、以下のような要因により、鉄分が不足することがあります。
- 鉄分の需要の増加
- 妊娠中や成長期は鉄分の需要が高まる。
- 鉄分の供給の低下
- ダイエットや食事の偏りなど。
- 鉄分の吸収の低下
- 消化管吸収の低下など。
- 血液の喪失
- 月経や失血など。
鉄分が不足する事態は他にも様々あります。
女性に多い、鉄分不足による鉄欠乏性貧血
鉄分不足というとまず思い浮かぶのは貧血でしょう。
貧血にも様々な種類があるのですが、鉄分不足による貧血は「鉄欠乏性貧血」と言います。
鉄欠乏性貧血とは、鉄分不足によってヘモグロビン合成能が低下することによる貧血です。
ヘモグロビンは
- ヘム(鉄)
- グロビン(たんぱく質)
による複合たんぱく質なので、ヘモグロビンには鉄が必要です。鉄が不足すると赤血球1つあたりのヘモグロビンが少なくなり、赤血球は小さく薄くなります。
主な鉄欠乏性貧血の症状はこの後ご説明します。貧血は徐々に進んでいくので、明らかな貧血症状が現れないことも多いですが、鉄欠乏性貧血かどうかは採血をすればわかるので、思い当たる症状があったら医師に相談しましょう。
血液の薄さは見た目にも表れる
鉄欠乏性貧血となるとヘモグロビンが減少するので、見た目に以下のような特徴が出ます。
- 顔色が悪い
- 瞼の裏側が白い
- 爪が白い
貧血による酸素供給量の低下は心臓の働きで補うことになる
貧血になると血液が薄くなってしまうので、組織への酸素の供給量が減少します。それを補うために心臓が通常よりも働くことになるので、その結果様々な症状が現れます。
- 動悸
- 息切れ
- 疲労感
- 胸の痛み
これらも貧血の症状の1つです。気になる症状があったら医師に相談しましょう。
細胞分裂が上手くいかなくなり、抜け毛や爪がスプーン状になる
貧血になると細胞分裂が激しい部位にも症状が現れます。
- 爪がスプーン状になる
- 口角炎
- 口内炎
- 舌炎
- 髪が抜ける
このように、鉄欠乏性貧血になると細胞分裂の活発な爪や粘膜にも様々な症状が現れます。意外かもしれませんが、髪は毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで成長しており、細胞分裂が盛んな部位なので、貧血になると髪にも影響がでます。
変わったものが無性に食べたくなる異嗜症
貧血の症状の1つとして、砂や氷などの変わったものが食べたくなる異嗜症があります。氷を無性に食べたくなる氷食症は有名ですね。
足がムズムズするレストレスレッグス症候群も鉄分不足の症状の1つ
睡眠時に足がムズムズして睡眠がうまくとれないレストレスレッグス症候群(restless legs syndrome RLS)というものがあります。
これは、むずむず脚症候群ともいい、睡眠時以外にも飛行機に乗っている時など、じっとしている時に足に不快感が現れます。
これらの症状は、神経伝達をしているドパミンの不足によって現れる症状と言われています。
鉄分はドパミンの合成にも使われているので、鉄欠乏性貧血はドパミンの減少につながり、情報伝達に支障が出るようになると考えられています。
レストレスレッグス症候群になると、足がムズムズして夜なかなか寝付けなくなります。寝付けても夜中に目が覚めることが増えてしまい、日常生活に支障が出てくることが多いです。
鉄分を多く含む食品と効率の良い鉄分摂取方法
日本人の食事摂取基準によると15~65歳の女性は10.5mg/日の鉄分摂取が推奨されています。
これだけの鉄分をほうれん草から摂取しようとすると1kg以上にもなります。また、ほうれん草に含まれる鉄分は非ヘム鉄と呼ばれ、吸収されるのにひと手間かかります。
このように書くと推奨量の鉄分を摂取するのは無謀に見えますが、全くそんなことはありません。鉄分について正しく知り、効率よく鉄分を摂取すればなにも無謀なことではありません。
食品に含まれる鉄分には
- ヘム鉄(Fe2+)
- 非ヘム鉄(Fe3+)
があります。
体内へはFe2+の形で吸収されるので、ヘム鉄はそのままで吸収されますが、非ヘム鉄は胃酸やビタミンCによって還元されることで、ヘム鉄となり吸収されます。
一般的に、ヘム鉄は動物性食品に含まれ、非ヘム鉄は植物性食品や乳製品に含まれています。
動物性の食品に含まれるヘム鉄は吸収率が良い
ヘム鉄は動物性の食品に含まれており、Fe2+の形なのでそのまま吸収され、吸収率が良い鉄分です。
ヘム鉄を多く含む食品には以下のようなものがあります。
- カツオ
- 赤貝
- マグロ
- レバー
他にも様々な食品に含まれていますが、ヘム鉄は効率的に鉄分を摂取することが出来ますので、積極的に摂取しましょう。
植物性の食品に含まれる非ヘム鉄は吸収されるのにひと手間必要
非ヘム鉄は植物性の食品に含まれていますが、Fe3+の形なので、Fe2+に還元されないと吸収されません。
非ヘム鉄を含む食品には以下のようなものがあります。
- あさり
- ほうれん草
- 菜の花
- 小松菜
- 卵
- 大豆
非ヘム鉄はそのままでは吸収されないですが、ビタミンCなどの還元物質を一緒に摂取することでより効率的に摂取することが出来ます。
サプリメントを利用すれば確実に鉄分摂取が出来る
恒常的に鉄分不足な状態が続いている女性も多く、日々の食事からだけで十分な量の鉄分を摂取することは難しいです。
また、妊娠中は鉄分の需要が高まりますが、レバー等避けたほうが良い食品も多いです。
そんな時は、サプリメントを利用すると確実に鉄分を摂取することが出来ます。
鉄分のサプリメントにも、ヘム鉄が含まれているものと、非ヘム鉄が含まれているものがあります。パッケージ通りに服用すれば予想される効果に変わりはありませんが、ヘム鉄サプリを選ぶとより吸収効率が良くなります。
鉄分には副作用がある。鉄分の過剰摂取に注意しよう
食事だけで副作用が出たり鉄分過剰になることはあまりありませんが、サプリメントを利用する時には注意が必要です。
鉄分の副作用には以下のようなものがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 色素沈着
鉄分不足を防いで健康的な毎日を送ろう
鉄分は私たちの体にとって必要な栄養素です。女性には月経があり、毎月一定量の鉄分が失われているので、鉄分を意識的に摂取する必要があるといえるでしょう。
貧血の症状は徐々に進むので、なかなか気づかない場合も多いです。女性は鉄分不足になりやすいことを念頭に置いて、意識的に鉄分を摂取し、健康な毎日を送りましょう。
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