第三章 カフェ開業と経営のポイント
3.1 飲食業、カフェって儲からない!?
さて、最初にハッキリと申し上げておきたいことなのですが、飲食業は、決して楽に儲かるような商売ではありません。他の業種には時給に換算すると、もっともっと稼げるようなお仕事がたくさんあります。現在、日本では、世界中のあらゆる料理が季節感問わず年中食べられるほど、飲食店のジャンルが細分化されており、競合も多く、異なるジャンル間の競争も非常に激しいです。そのうえ、今後は少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少にともなって、飲食業界は縮小して行く運命にあります。
選択肢が多いことは、消費者にとっては良いことなのですが、昨今では外食の特別感は薄れ、食事内容の記憶というものは極めて曖昧、というのが現実です。読者の皆さんの中にも、数日前に外食した際に何を食べたのか、ハッキリとは覚えていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような圧倒的な買い手市場で、個々の飲食店は日々必死にしのぎを削っているわけです。
飲食業界で生き残るためには、お客様からの支持を取り付け、常連になってもらい、新規顧客の獲得にも継続的に取り組んでいかねばなりません。消費者にとって選択肢の多い買い手市場において、自分のお店を選んでもらい、「こういうときはあの店に行こう。」という風に記憶してもらうにはどのような方法が効果的なのでしょうか?
残念ながら得策はありません。明確な答えのない問いについて考え続け、黒字を維持すべく営業努力を続けられるお店のみが、今後の飲食業界で生き残って行ける。私自身も、日々試行錯誤しています。
お客様の記憶に残るお店は、本当に少ない。まず、そういった認識が必要です。新規のお客様がそのお店を選んだ理由には、「買い物の途中で、調度近くにあったし、なんとなくです。」というものが多いようです。食べ歩きが趣味、カフェ巡りが好きという方以外で、事前にしっかりとリサーチし、その地域で特定のお店を目指すということは、決して多くはないのです。
ここ数年は、「食べログ」や「グルナビ」、「ホットペッパー」などの情報サイトを見て、事前にお店を決めてからのご来店も増えていると思います。また、いざ出かけてからスマホや携帯などで調べ、レビューや評価を参考にすることも増えています。ただ、やはり、明確な理由なしに「何となくここで良さそう。」というその場の気分でお店を選んでいるという方もまだまだ多いのです。
ここ数年は、「食べログ」や「グルナビ」、「ホットペッパー」などの情報サイトを見て、事前にお店を決めてからのご来店も増えていると思います。また、いざ出かけてからスマホや携帯などで調べ、レビューや評価を参考にすることも増えています。ただ、やはり、明確な理由なしに「何となくここで良さそう。」というその場の気分でお店を選んでいるという方もまだまだ多いのです。
それでは、どうすればお客様は自分のお店に来てくれるのでしょうか?どうすれば、行列のできる人気店になれるのでしょうか?
・メニューが珍しく、味がとびきりおいしければ?
・内装やBGMがオシャレで食器の趣味も良ければ?
・スタッフの接客サービスが良く、居心地も良ければ?
数年前、カフェブームというものがあり、雨後の筍状態でカフェは増え続けました。ブームの当初は、カフェという業態自体が珍しかったので、上記のような条件を兼ね備えてさえいれば、お客様はそれなりに来てくれました。ブームの頃というのは、一種のバブルの時期ですので、カフェに行くということ、それ自体にお客様は特別な価値を感じてくれていたのです。
しかし、全国至る所にカフェが溢れている昨今では、お客様は「カフェとはこういうもの」という漠然とした基準、必要条件を設定しており、料理やサービスについての要求水準は高く、上記三点のようなことはもはや当たり前です。どのカフェも、至極当然の営業努力として日常的に取り組んでいます。経営学的な言い方をすれば、現在のカフェ業界は「コモディティ」化している、と考えられるでしょう。
それでは、お客様がカフェを選ぶ基準とは一体何なのでしょうか?単に、料理やドリンクがおいしいというだけでは、生き残るのは難しいでしょう。味に自信があり、3~5年間こつこつ我慢して営業を続けていれば、やがて儲けられるという時代は過ぎ去りました。昨今のお客様のニーズは多様化しており、従来通りの観点でカフェ経営を捉えていると、開業後、途端に行き詰まります。お客様のニーズをしっかり踏まえたうえで、「カフェを経営する」という視点に立ち、開業前にお客様がカフェを選ぶ基準を丁寧に分析する必要があるのです。
3.2 それでもなぜカフェを開業するのか?
前述のように、飲食業、カフェはあまり儲かりません。お金儲けが目的であるなら、他業をお勧めします。カフェの店長さんの年収は、昨今では400万円あったら良い方ではないでしょうか。店長の業務内容は多岐にわたり、激務と言えます。店長はじめスタッフのいわば肉体労働によって現場が回っている、利益の少ない業界なのです。食中毒や異物混入、ときには、業者から仕入れた野菜に残留農薬があるかもしれない。実際はお店に何ら問題がなくても、風評被害にあったりすることもあります。食に関する信頼が揺らいでいる昨今は、とりわけハイリスク・ローリターンな業界であると言っても過言ではありません。
しかし、「食べる」、「語らう」という行為は、人間の根源的なニーズです。何より、食べることは、生命活動に直結の行為です。その根源的な欲求を満たすことができるのが、飲食業です。私が飲食業に魅力を感じ、開業しようと決めた理由は、飲食業のサービスが大昔から変わらず、人間の生命活動を支えるものだからです。私と同様の気持ち、あるいはもっと崇高な経営理念のもと、飲食業界には多くの新規参入があり、そして、残念ながら退出を余儀なくされるお店も多いというのが現実です。競争相手の多い厳しい飲食業界において、どのような観点でお店を営んでいけば、お客様から継続的な支持を得られるのか。開業に向けてまず重要なことは、皆さんご自身が、より経営しやすいお店を目指して準備していく、ということです。
まずは経営しやすいお店であることと申し上げましたが、飲食業界、カフェ業界にも、トレンドというものがあります。昨今では、「複合カフェ」という形態が増えています。雑貨、衣類、本、あるいはネット利用を目的としたノマドワーカー的なワーキングスペースなどと、カフェを同じ店舗内で複合的に経営する形態です。例えば、雑貨など物販を取り入れると原価率は悪くなるかもしれませんが、トータルの利益は上がるかもしれません。お腹がいっぱいでも物は買えますので。そういった食と相性の良い購買に着目した差別化方法をカフェに取り入れた形態です。
逆のトレンドとしては、カフェブームや大手コーヒーチェーンの参入を経て、従来の「喫茶店」は減ってしまいました。カフェやチェーン店に押されてきた街角の喫茶店は、どう対抗すべきだったのでしょうか?高級なエスプレッソマシンを導入すれば良かったのでしょうか?業務用のマシンを導入しても、それに価値を抱くか否かは、お客様次第です。街角の喫茶店に高級な味を求める方が、はたしてどのくらい来店されるのか、そういったお客様側の視点に立って、対抗策を練らねばならないでしょう。では、ドリップコーヒーを出せば、カフェに流れたお客様は戻ってきてくれるのでしょうか?それは分かりません。足し算と引き算、様々な要素が絡み合うバランスで飲食店は成り立っておりますので、それらの要素が相乗効果を上げ、お客様のニーズを捉える効果を生じさせなければならないのです。
皆さんご自身が経営しやすいお店であること。そして、その経営においてより大切なことは、お客様が何を求めて自分のお店にご来店されるのか、という視点です。お店に来てくれるまでの通りには、ライバル店も立地していることを想定すると、他の路面店には脇目もふらずに自分のお店に来てくれる強い理由が必要です。そう考えると、有名なバリスタがいるわけではないカフェは、バリスタが主役のお店とどう差別化しなければならないのでしょうか?自分のお店の売りは何なのか?何を求めてお客様は足を運んでくれるのか?私自身、EMPORIOカフェダイニング駒沢通り学芸大学店(以下、EMPORIO)を開業するにあたって、とことん考えました。
3.3 特徴付けとポジショニング(その1)
弊社が運営するEMPORIOの料理やドリンクは、こだわりの専門店や高級店に比べるとやはり味は劣るかもしれませんし、何年間も有名なレストランや海外などで修行したシェフがいるわけではないです。そういった制約のもとで、料理やドリンクのクオリティを上げるべく、日々ベストを尽くしてはいますが、EMPORIOよりもレベルの高いお店は実際にたくさんありますので、価格設定も含め、別な要素によってお客様にEMPORIOの価値を訴求しなければなりません。
EMPORIOにご来店されるには、最寄りの東急東横線学芸大学駅から5分間ほど歩く必要があります。その間に、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンをはじめ、スターバックスコーヒー、ドトール、その他の食堂やレストラン、喫茶店など、気軽に飲食できるお店が複数あります。お客様が途中で他のお店に行ってしまわずに、EMPORIOに来てもらうにはどうすれば良いのでしょうか。
まず考えたのは、高級な専門店には及びませんが、ファーストフード店やコーヒーチェーン店よりは料理やドリンクのクオリティを上げ、かつ、カフェならではの居心地の良さを提供する、というバランスの確立についてでした。すなわち、かしこまったレストランや高級な専門店、ファーストフード店やコーヒーチェーン店を利用する際とは異なるニーズに訴求できなければ、お客様はEMPORIOにはご来店されないと考えました。
まず考えたのは、高級な専門店には及びませんが、ファーストフード店やコーヒーチェーン店よりは料理やドリンクのクオリティを上げ、かつ、カフェならではの居心地の良さを提供する、というバランスの確立についてでした。すなわち、かしこまったレストランや高級な専門店、ファーストフード店やコーヒーチェーン店を利用する際とは異なるニーズに訴求できなければ、お客様はEMPORIOにはご来店されないと考えました。
では、具体的にどう実現すれば良いのでしょうか。居心地の良さをもたらす要素というのは、端的に申し上げると店内の空間形成かと思います。カフェという業態に対して、お客様はファーストフード店やコーヒーチェーン店とは異なった利用のされ方をします。知人や友人同士でゆっくりと談笑されたり、お一人で読書をされたり、ビジネス利用の場合にはクライアントとじっくり仕事の打ち合わせをされたり、もくもくとPC作業をされたり、そういったご利用が主です。
そのため、一般的に、店内の滞在時間は長く、1時間以上という場合も多いです。店内の空間形成に失敗しており、何となく居心地が悪くて滞在が苦痛なカフェには、お客様は来てくれません。開放的な気分で、ゆっくりとリラックスして過ごすことが出来なければ、駅からわざわざ足を伸ばしてご来店されることはないのです。私自身がお客の立場であった場合、どういった雰囲気で、店内の様子がどうであれば、何度も利用したくなるか、そう考えました。
そのため、一般的に、店内の滞在時間は長く、1時間以上という場合も多いです。店内の空間形成に失敗しており、何となく居心地が悪くて滞在が苦痛なカフェには、お客様は来てくれません。開放的な気分で、ゆっくりとリラックスして過ごすことが出来なければ、駅からわざわざ足を伸ばしてご来店されることはないのです。私自身がお客の立場であった場合、どういった雰囲気で、店内の様子がどうであれば、何度も利用したくなるか、そう考えました。
3.4 特徴付けとポジショニング(その2)
開放感を出すために空間を広く使うのはどうだろうかと考えました。内装については、EMPORIOは「倉庫」を一つのコンセプトとして、ガランとした空間にしました。これは、内装にかけるお金があまりなかったという点を補う目的もありました。また、座り心地の良いソファがあったら良いな、とも考えました。コーヒーチェーン店にもいくつかソファ席はありますが、決してメインの座席ではないため、席数は少なく、そこに座ってゆっくり過ごすという雰囲気ではありません。他のお店では味わえない、ゆったりとした感覚、その点に着目し、ソファ席を多めに設けることにしました。ソファは、ヴィジュアル的にも特徴を見せやすいということもありました。
内装やデザイン、空間形成にせよ、メニューのクオリティにせよ、お客様の立場で自分のお店の位置付けをよくよく検討し、調度良いバランスの落とし所をどのレベルに設定するかを考える必要があります。
EMPORIOのようなカフェの使い方、利用目的については、好ましいと思う方、あまり好まないと思われる方、様々な感想をもたれる方がいらっしゃると思います。重要なことは、すべてのお客様、消費者に大満足を与えられるように要素をてんこ盛りにし、何でもかんでも完備すれば良い、ということではないのです。他のお店との差別化を図る際の着目点、すなわち、どういうポイントで特徴を打ち出すのか、ということが極めて重要なのです。ソファ席へのニーズ、EMPORIOでは、まずこの点を意識し、内装をはじめ、空間形成に着手しました。
料理やドリンクのクオリティについても、ファーストフード店やコーヒーチェーン店よりは高くしていると前述しました。コーヒーチェーン店では一般的にミックスの豆を使っているのに対して、EMPORIOでは、知り合いの業者さんから品質の比較的高い豆を卸していただけることになりました。しかし、コーヒー専門店のクオリティに及ぶかどうかは分かりません。コーヒー豆にこだわることも大事ですが、コーヒーのクオリティの差よりも、ほどよい距離感の接客とソファ席の良さに重きを置くお客様の方がおそらく多いであろう、そう考えたうえで、使用する豆を選定しています。実際、EMPORIOにご来店されるお客様の内、コロンビア産の有機JAS認定の豆について、どのくらいの方が詳しく知っているでしょうか。クオリティは低過ぎてもダメですが、高過ぎても、その良さを理解してくれるお客様が少ないならば、訴求の効果は薄いのです。内装やデザイン、空間形成にせよ、メニューのクオリティにせよ、お客様の立場で自分のお店の位置付けをよくよく検討し、調度良いバランスの落とし所をどのレベルに設定するかを考える必要があります。
3.5 コンセプトの重要性(その1)
お客様のニーズは多様化・細分化されており、カフェの利用の仕方は、従来の喫茶店やコーヒーチェーン店とは異なります。10人中2~3人が求めるお店を目指すことが重要な点で、10人全員が望むものを作ることは非常に難しく、個人の開業では投資に無理があります。ニーズを捉えるために特化すべきポイント、差別化するうえでのアイディアがとても大事なのです。
前章で触れたように、EMPORIOの経営も苦しい時期がありました。どのお店も同様だと思いますが、特にオープンしてからしばらくの間、地域でEMPORIOが認知されるようになるまでは、なかなか大変でした。オープン後の3年以内に、少なくない数のカフェが実際に潰れてしまっています。経営の努力は当たり前ですが、立地条件に左右される商売なだけに、やはり運の流れにも影響を受けます。事業計画を綿密に立てて開業準備したとしても、幅広いお客様に認知され、地域から継続的に支持される保証はないのです。しかし、労力をかけて、考え得ることをやり尽くせば、リスクを減らすことはできます。
個人が開業する場合、家賃の高い一等地への出店は難しいです。駅前のコーヒーチェーン店ではなく、少し離れた自分のお店に来てもらうということは大変なことです。読者の皆さんにとっても、その内行ってみようと気になっていたけれど、行かない内にいつの間にかなくなってしまった、というお店は結構あるのではないでしょうか。いつか行こうと思っている人自体は意外といるものですが、実際に来てもらうには、それなりの理由が必要なのです。行こうと思っている人は少なからずいるのに、来てもらえない、お店は悪くないのにお客様は来てくれない、そういう商売です。しかし、リスクは高いけれど、しっかり勉強したうえで準備すれば、リスクは減らせます。
私自身も日々試行錯誤を続けているカフェ経営者の一人ですので、確実にヒットするお店の条件というものは分かりません。大手の飲食チェーン店でも、全店舗を黒字化するというのは本当に難しいようです。個人の開業において、リスクを最小限にする方法というのは、例えば、赤字の額を減らす具体的な方法や工夫、積み重ねた知恵、日々の細かな改善策、豆知識などを指します。そういったアイディアをいつも考え、日々実行して行けば、リスクは減らせます。皆さんが、ハイリスクにも関らず、カフェを開業したい理由とは何でしょうか?その答えは皆さん自身が見出さねばなりませんが、それが開業後の経営の軸となり、モチベーションを支えます。なぜ?どうして?という自問自答を繰り返し、決してぶれない軸が見えて来ない内は、開業は待った方が良いのです。
実際に、物件を契約するまでは、まだ戻れます。一旦工事を開始して途中で止めてしまうと、お金はいきなりなくなってしまいます。その直前までは大いに考えられますので、クヨクヨ迷っても良いのです。開業後、何かあったとしても、一度とことん考えたうえでの開業であったなら、原点に戻り、乗り越えられる方法は見い出せると思います。しかし、その作業が浅く、視界が不明瞭だと厳しいです。カフェの経営においては、正解のないなかで判断し続け、決断していく力が求められます。それは、お客様の小さな「なんとなく」をヒントとして拾って行く作業です。しかも、自分がお客の立場だったらと考えて決断したとしても、それが正解とは限りません。何が正解でお客様が来てくれるかを100%予測することは不可能です。広告、看板の出し方一つとっても、簡単ではありません。答えが解らないなかを意思決定していくには、どんな疑問に対しても、個々の「なぜ?」に自分なりに答えられるようになっていなければなりません。
カフェを経営するということは、あくまで仕事です。私は、経営に向いているタイプ、向いていないタイプということは、基本的にはないと思っています。経営にはその人なりのスタイルがあるからです。しかし、経営の技術として、最低限やった方が良い共通項というものは存在しているように思います。
以上で述べてきたことは、カフェの開業にとって、「コンセプトの構築が最も重要である」、ということに集約されます。カフェの開業、運営方針における軸がコンセプトだからです。次節以降、コンセプトの重要性についてさらに掘り下げて行きます。
3.6 コンセプトの重要性(その2)
皆さんは、どういったカフェを経営したいのでしょうか?コンセプトとは、カフェを経営していくうえでの軸となるものです。本節では、開業の全体像と、その作業フローにおけるコンセプトの位置づけについて述べます。
開業にあたっては、物件の契約が一つの節目となります。具体的な作業の手順として、最初に何から手を付けなければならないということは、特にありません。「おいしいコーヒーを入れたいから」という想いで開業されるのであれば、コーヒー豆や機材の選定から着手し、コーヒーがメインのカフェとしてお店の位置付けを検討して行けば良いでしょう。「雑貨を販売しながらカフェをやりたい」という想いで開業されるのであれば、参考になりそうなお店を覗いてみて、雑貨屋・ギャラリー兼カフェとしてのイメージを膨らませて行けば良いでしょう。「物件を親戚や知人から安く借りられる」というのであれば、その物件を念頭に、どのようなお客様からのご来店が期待できるのかイメージし、内装やメニューについて検討して行けば良いでしょう。
物件を契約するまでは、皆さんが着手しやすい作業から開業の準備をして行けば良いと思います。ただし、どの順番で準備をするかに関わらず、速い段階でのコンセプトの構築は欠かせない作業です。なぜなら、コンセプトは、開業するうえでの軸となり、開業後、経営の指針となるものだからです。開業準備段階でも、常にコンセプトを中心に、物件を探し、内装を考え、メニュー開発をしなければなりません。実際のところ、カフェの色々な構成要素を順番で繋げると、開業準備の作業自体がぶれ易くなります。そのため、常にコンセプトを中心に考えるべきなのです(3.7節と3.8節でより具体的な方法をご説明します)。
物件が決まると、図面が書け、内装も決められます。厨房のレイアウトを決める前に、コンセプトに基づき、料理やドリンクのメニューを決めねばなりません。内装が整えば、オープン後、どのような方法で集客して行くかを考えます。その方法もコンセプトありきです。お店のイメージにそぐわない集客方法は避けねばなりません。また、お客様の満足度を上げることはどんな商売においても基本ですが、接客サービスのバランスについても、コンセプトと照らし合わせて検討する必要があります。
すなわち、開業においては、まずコンセプトありきなのです。開業するうえで、コンセプトを軸にお店のイメージを固めておくことは必須です。参考として、開業の全体像は、大まかに次のようなものです(⑧物件契約が、開業におけるターニングポイントです)。
①業態の企画・開発
②コンセプト決定
③商品企画・開発
④事業計画・資金調達
⑤ブランディング戦略
⑥店舗デザイン
⑦物件探し
⑧物件契約
⑨店舗工事(設計・施行)
⑩メニュー・業者の選定
⑪販促計画
⑫開店準備
⑬運営
上記のようなワークフローの全行程をご自分で進めても良いですし、プロデュース会社やコンサルタントにスポット的に協力を依頼しても良いと思います。
3.7 コンセプトの重要性(その3)
お店の軸となるのが、コンセプトです。物件を探す前に、コンセプトをしっかりと構築せねばなりません。立地は、想定するお客様(ターゲット)の来店に大きく影響を与えますので、その事前にコンセプトが要ります。どういう状況のときに、お客様にお店を使ってもらいたいのか、繰り返し使っていただけるのかをイメージしたうえで物件探しに着手する必要があるからです。
シチュエーションによるお金の使い方の変化について少し述べさせていただくと、例えば、ディズニーランドでのお金の使い方は明らかに普段とは異なります。自宅の近所にあるスーパーや路面店で売っている800円のミッキーのクッキーには手を出さない方も、ディズニーランド内で販売されている1000円のプーさんのクッキーは買ってしまったりします。同じような品質の商品に対する同一人物の財布の固さは、シチュエーションに左右されるのです。
一人のお客様を見ても、シチュエーションによって、お金の使い方は変わってきます。何が正しいということではなく、様々なニーズがあるということです。女性にとって「健康」や「美容」、ダイエットへの関心はいつも高いですが、「ケーキの食べ放題」にも行くのです。女性だから、常にヘルシー路線一辺倒なわけではありません。同じ理由で、男性だからいつも大盛りで良いわけでもありません。昨日ケーキの食べ放題に行ったから、今日は、ヘルシーにしようかなと思うのが人間です。そういった移り行くニーズを踏まえ、シチュエーションをイメージし、バランスの良いコンセプトが構築できるまで、とことん考えることが重要です。
バランスの良いコンセプトには、自ずと差別化の要素も盛り込まれています。そして、あえて捨てている部分、足りてない要素も含まれます。オーガニック、有機野菜は人気がありますが、実際、その手のレストランがそんなに増えていないのはなぜでしょうか?原材料にこだわれば、材料費が増えますので、価格を上げざるを得ません。さらに、フルサービスとなれば、人件費もかかります。そういった場合、いつもお客様に来ていただける気軽な雰囲気を目指すのであれば、セルフサービスとするのも一つの方法です。オーガニック、有機野菜にこだわった、セルフサービスのカフェもあり得るのです。お客様のニーズを捉え、経営上、無理のない方法をとることが重要であって、すべてに隙のない過剰なサービスが良いとは限らないのです。コンセプトのバランスの良さとは、そういったことも意味しています。
ターゲットを選定し、絞り込む際には、「30代の男性」といった漠然とした条件のみでは足りません。その男性が、そのカフェを打ち合わせに使うのか、ご家族で過ごすためにご来店されるのか、または、恋人とゆったり過ごすためにご来店されるのか、そういったお客様の来店目的を明確に想定しなければなりません。職場の近くなのか、自宅の近くなのかといった立地の条件によっても、お金の使い方は違ってきます。ターゲットを明確化するためには、ペルソナマーケティングやエリアマーケティングといった理論的手法を勉強し、選定作業に取り入れてみても良いでしょう。
シチュエーションによるお金の使い方の変化について少し述べさせていただくと、例えば、ディズニーランドでのお金の使い方は明らかに普段とは異なります。自宅の近所にあるスーパーや路面店で売っている800円のミッキーのクッキーには手を出さない方も、ディズニーランド内で販売されている1000円のプーさんのクッキーは買ってしまったりします。同じような品質の商品に対する同一人物の財布の固さは、シチュエーションに左右されるのです。
とことん考え、コンセプトがイメージできてきたら、出店する場所も絞って行きます。料理の素材や味に独自性があり、他店にはない美味しさを提供できれば、山奥でも流行るお店は流行ると思います。一方、立地があまり良くなく、ありふれた素材や味のお店では、価格が特段安くない限り、あまり流行らないでしょう。立地を決めると、自ずと商圏と客層の傾向(セグメンテーション)が定まってきますので、コンセプトを念頭に、立地場所の選定を間違えないよう注意しましょう。
また、料理やドリンクも、極端に不味くなく、立地が良ければ、お店はそこそこやっていけます。「便利で行きやすい」ということは、お客様にとって非常に重要な要素だからです。決して美味しいとは言えないコンビニのお弁当が売れる理由は、コンビニの立地が便利だからです。決して、「質が高く、おいしいから、安いから」売れているわけではないと思います。スーパーであれば、店の奥まで入って行ってレジで並ばないと飲み物やお弁当は買えませんが、コンビニならササッと買い物を済ませられます。郊外の大型スーパーで、お茶一本だけを買うのは非常に面倒ですが、道路沿いのコンビニであれば、2〜3分も駐車すれば手軽に買えます。コンビニは、立地がよくよく計算された、利便性への消費者ニーズを満たしたモデルなのです。
また、料理やドリンクも、極端に不味くなく、立地が良ければ、お店はそこそこやっていけます。「便利で行きやすい」ということは、お客様にとって非常に重要な要素だからです。決して美味しいとは言えないコンビニのお弁当が売れる理由は、コンビニの立地が便利だからです。決して、「質が高く、おいしいから、安いから」売れているわけではないと思います。スーパーであれば、店の奥まで入って行ってレジで並ばないと飲み物やお弁当は買えませんが、コンビニならササッと買い物を済ませられます。郊外の大型スーパーで、お茶一本だけを買うのは非常に面倒ですが、道路沿いのコンビニであれば、2〜3分も駐車すれば手軽に買えます。コンビニは、立地がよくよく計算された、利便性への消費者ニーズを満たしたモデルなのです。
一人のお客様を見ても、シチュエーションによって、お金の使い方は変わってきます。何が正しいということではなく、様々なニーズがあるということです。女性にとって「健康」や「美容」、ダイエットへの関心はいつも高いですが、「ケーキの食べ放題」にも行くのです。女性だから、常にヘルシー路線一辺倒なわけではありません。同じ理由で、男性だからいつも大盛りで良いわけでもありません。昨日ケーキの食べ放題に行ったから、今日は、ヘルシーにしようかなと思うのが人間です。そういった移り行くニーズを踏まえ、シチュエーションをイメージし、バランスの良いコンセプトが構築できるまで、とことん考えることが重要です。
バランスの良いコンセプトには、自ずと差別化の要素も盛り込まれています。そして、あえて捨てている部分、足りてない要素も含まれます。オーガニック、有機野菜は人気がありますが、実際、その手のレストランがそんなに増えていないのはなぜでしょうか?原材料にこだわれば、材料費が増えますので、価格を上げざるを得ません。さらに、フルサービスとなれば、人件費もかかります。そういった場合、いつもお客様に来ていただける気軽な雰囲気を目指すのであれば、セルフサービスとするのも一つの方法です。オーガニック、有機野菜にこだわった、セルフサービスのカフェもあり得るのです。お客様のニーズを捉え、経営上、無理のない方法をとることが重要であって、すべてに隙のない過剰なサービスが良いとは限らないのです。コンセプトのバランスの良さとは、そういったことも意味しています。
カフェやレストランなど飲食業界に限らず、優れた業績を上げている企業には、その業績を裏付ける経営理念があり、ヒットしている商品やサービスには、なるほどと思ってしまうようなコンセプトが存在しています。皆さんも、気になる会社やメーカーの経営理念、ヒットしている商品やサービスのコンセプトをホームページ等で調べてみてください。良い印象を抱いていた商品には、それにふさわしいコンセプトが必ずあります。
ただ、お店にとってコンセプトは非常に重要なのですが、店頭やホームページに掲げる必要は必ずしもないと思います。コンセプトは、オーナーや店長をはじめ、従業員皆で共有するものであり、お客様に対して言葉でうったえるような性質のものではないと感じています。お客様に対しては、コンセプトの骨子をメニューや接客サービスに反映させ、それらを通じてジワッとにじみ出るくらいを目指さねばなりません。コンセプトと、お客様の受け取り方や感想との間に乖離が生じてはいけませんし、イメージとかけ離れた身の丈に合わないコンセプトを掲げ、先入観や事前の思い込み等も与えない方が良いように思います。コンセプトは、お客様に自然と伝わるように、まずは現場で共有することが大事です(お店のイメージやストーリーを「コンセプト」と表して分かりやすく伝えることはありだと思います)。
3.8 コンセプトの構築方法(その1)
本節と次節では、コンセプト構築に向けた具体的な作業方法として、コンセプト内容を検討する際のツールを紹介します。まず、「カフェ開業の方向性の設定」シートです。
この「カフェ開業の方向性の設定」シートと、次節で紹介する「コンセプトバランス」シートを埋めて行く作業に繰り返し取り組むことで、コンセプトの基礎を築けます。この方法が唯一有効というわけではありませんが、コンセプト内容について過不足なく考えることが出来ますので、試す価値はあります。私もEMPORIOのコンセプトを構築する際に取り組みました。肝心なことは、コンセプトを構築する作業は既に業務であるということです。皆さん、夢であるとか、お店への想い、希望や願望等をお持ちだとは思いますが、そういった主観的な要素を一旦脇に置き、これから作るお店を客観的に、経営的な視点で捉える作業でもあります。
上記のシートを埋めて行く手順は自由ですが、まず、所謂「3C」について考えてみると着手しやすいかと思います。「飲食業界の市場分析」、「競合店の分析」、「内部分析」が3C(Customer、Competitor、Company)です。飲食業界の市場分析では、飲食市場全体、トレンド、ターゲットとするエリア、客層を念頭に、成長性やニーズ、構造変化などについて検討します。競合店の分析では、自店のライバルとなり得る競合業態、他の飲食店を念頭に、それらの動向や強みと弱み、寡占度合いなどについて検討します。内部分析では、経営するご自身や設立する会社を念頭に、強みやノウハウ、資源や技術力、調達力などについて検討します。
シートに着手する時点で、客層を狭める必要はありませんし、お店のイメージについても、「こういうところが流行っていそう」だとか、「気になるお店はこういう感じかな」であるとか、好きに書いてみてください。ご自身が思い描くお店をどういったお客様に使ってもらいたいかイメージしてみます。
競合の他店については、ご自分のイメージと雰囲気が近いお店について、調べてみてください。競合となり得る他店は、想定するお客様が、自分のお店とどちらに行こうかと迷うような、お客様にとって比較対象・選択肢となるようなお店です。例えば、夕食という枠で捉えた場合、ラーメン屋や焼き鳥屋といった業態も競合になり得ます。まずは、比較的大きな枠で考えて良いでしょう。
そして、内部分析においても、ご自身の強みや弱みについて、最初は大きな枠で考えてみてください。現時点で何かスキルがあるなら、開業後にそれをどう活かせるのかをイメージしてみてください。今後、何か技術を習得するのであれば、それをどう活かしたいのかなど、ご自身の能力を人的資源として捉えることが大事です。
3Cについて大まかに記入できたら、カフェ開業の目的とポイントを明確にして行きましょう。あなた自身や会社の方針、出店の計画、既存業態とのセグメンテーションなどを検討する作業です。出店の計画については、個人の場合、何年までに開業したいということを大まかに想定してみてください。大体で結構です。飲食業界の市場分析、競合店の分析、内部分析とを踏まえて、開発のポイントも明確にして行きます。 業態の特徴、抑えどころ、ウリは何かなどをまとめて行きましょう。
以上の作業を通じて、開業の方向性が定まり、基本コンセプトが徐々に見えてきます。「カフェ開業の方向性の設定」シートは、ご自身や会社における開業テーマの認識を明確にするツールであり、競合の他店がやっていないこと、自店を差別化するためのポイントを探すツールでもあるのです。
以上の作業を通じて、開業の方向性が定まり、基本コンセプトが徐々に見えてきます。「カフェ開業の方向性の設定」シートは、ご自身や会社における開業テーマの認識を明確にするツールであり、競合の他店がやっていないこと、自店を差別化するためのポイントを探すツールでもあるのです。
3.9 コンセプトの構築方法(その2)
続いて、「コンセプトバランス」シートです。中央にある「基本コンセプト」の周りの八つの枠を埋めて行く作業です。こちらの作業では、先ほどの「開発の方向性の設定」シートとは違った視点からコンセプトを明確化できます。
①転用
③変更
まず、①基本コンセプトには、前節の「カフェ開業の方向性の設定」シートで明確化した開業の方向性を記入してみます。シートには、一応①から⑨まで番号がふってありますが、皆さんは何かアイディアや志向があるから開業したいと思っているはずですので、八つの枠の書けるところ、書きやすいところから、どんどん思いつくままに埋めてみてください。例えば、立地や物件のイメージが決まっているなら、②から着手します。プロモーションや広告に関して何か技術やアイディアがあるなら、⑨から着手しましょう。「ブログを使った販促に詳しい」など、最初の取っ掛かりは何でも良いのです。開業したいお店について、既に何かしらのイメージがあるでしょうから、ささいなことでも何かは書けるはずです。八つ枠内すべてが、基本コンセプトに繋がっています。
効率的な手順としては、シートの対角線上を埋めて行くと良いでしょう。例えば、③と⑦について同時に検討します。二つの要素の間に基本コンセプトがあります。③と⑦に関して言えば、例えば、自店をあくまで打ち合わせや軽い商談等に使ってもらいたいなら、テーブルは大きい方が良いかもしれません。そのお客様が、長く滞在しても、他のお客様の迷惑にならないような「気にならない」テーブルの配置、互いの距離感などが重要でしょう。続いて、④と⑧に関して言えば、例えば、あるお客様のご来店動機がパーティーやデートと想定した場合、その時間帯や曜日別の客単価を検討します。フードの皿数、ドリンクの杯数もイメージしてみます。どの枠からでも構いませんので、書きやすいところから、まず何か書いてみることが大事です。
いかがでしょうか?埋まりましたでしょうか?短時間でそれなりに書けるということは、お店のイメージをお持ちということです。二枚のシートを埋める作業を繰り返し行うと、他店や様々なブランドに接する際に、自然とこのシートの枠組みで観察するようになってきます。他店のコンセプトや他社の経営理念などから学べることも多々あります。これまで、一人のお客、消費者だった意識を、経営者の意識に徐々に変えて行くことが大事なのです。経営者の視点で他店を見る良いクセが付いてくると、そのお店のスタッフの動き、お客様の動きなど、他店の内実が大体把握できるようになります。お客側、消費者側の一方的なイメージでは見えない部分が見えるようになります。二枚のシートを何度も照らし合わせて、ご自身が開業したいお店の首尾一貫したコンセプト・経営方針を明確化して行ってください。
ここで、もう一つ、コンセプト構築に役立つ視点として、「オズボーンのチェックリスト」を紹介します。ブレーンストーミングの手法を考案したアレックス・F・オズボーンが作った発想法です。コンセプトを構築するには、何らかのアイディアが必要です。常日頃から意識することが重要で、机にかじりついて考えているだけじゃダメなのです。アイディアや事業の企画案を出しやすくするにはどうすれば良いのか、下記のチェックリストはそのヒントを与えてくれます。
①転用
:既存のアイディアを他のものに使えないか検討する。
(例) 漫画喫茶やネットカフェをもっとオシャレなカフェにする。
②応用
:他業種のアイディアを飲食業に使う。
(例) ウィダーインゼリーのような入れ物にヨーグルトを入れて、朝食にする。
③変更
:色、形、場所、意味を変えてみる。
(例) 黒い綿棒。白いたい焼き。
④拡大
:大きくしてみる。インパクトを出す。
(例) ばけつ入りのプリン。
⑤縮小
:小さくしてみる。機能を狭める。
(例) ブログ、ツイッター、シンプル携帯。
⑥代用
:原材料、調理法を変えてみる。
(例) おからを使ったハンバーグ、油を使わないドーナッツ。
⑦置換
:再利用する。
(例) 古民家、倉庫をカフェやレストランにリノベーションする。
⑧逆転
:反対、反転させてみる。表と裏、上と下、右と左。
(例) カリフォルニアロール、肉巻きおにぎり。
⑨結合
:二つのアイディアや複数の要素を合体させる。コラボレーションさせる。
(例) 洋菓子に抹茶や餅を使う。和菓子に生クリームを使う。
(例) 洋菓子に抹茶や餅を使う。和菓子に生クリームを使う。
3.10 カフェの収益構造
カフェは儲かりにくいと散々申し上げましたが、本節では、カフェ業態の基本的な収益構造を紹介し、FLRコスト(材料費、人件費、家賃等)について述べます。
カフェを含む、飲食店の基本的な収益構造についてですが、一般的には下記のようになっています。
・売上 ー 経費 = 利益
売上に占める経費の割合と内訳、利益率は下記の通りです。
・材料費 30%
・人件費 30%
・家賃 10%(実際には15%前後)
・その他 10%(光熱費、雑費、消耗品費など)
・償却(ローン) 10%(初期費用、改装等に要した費用)
・利益 10%(オーナーの収入)
例えば、売上が3,000円の場合、材料費は900円、人件費は900円、家賃は300円、その他は300円、償却(ローン)は300円、利益は300円となります。
まず、材料費についてですが、一般的には、カフェの場合、飲み物中心のメニュー構成なら25%程度に抑えることも可能です。メニュー構成においてフードの割合が高いと、20%を切るのはなかなか難しくなりますし、材料にこだわればこだわるほど、費用は増えます。
次に、人件費についてですが、ここにアルバイトスタッフだけでなく皆さん(オーナー)自身の人件費も含めるかどうかについて、検討せねばなりません。10%の利益のみからオーナーの人件費を賄う場合、オーナーの生活は売上に依存することになるからです。オーナー自身も生活がありますので、タダ働きはできません。アルバイトスタッフやシェフを雇い入れることを検討する際、自身の人件費の扱いも同時に検討した方が良いのです。皆さん自身がお店に立つ場合、材料費と人件費の内訳をどう設定するかでお店の個性が決まってきます。
最後に、家賃についてですが、事業計画を立てる際には、相場に適した家賃設定をすることが重要です。地域や立地の条件で家賃の相場は決まっています。コンセプトを念頭に、ご自身が出店したい地域と立地を基に物件の相場をリサーチしましょう。
次に、人件費についてですが、ここにアルバイトスタッフだけでなく皆さん(オーナー)自身の人件費も含めるかどうかについて、検討せねばなりません。10%の利益のみからオーナーの人件費を賄う場合、オーナーの生活は売上に依存することになるからです。オーナー自身も生活がありますので、タダ働きはできません。アルバイトスタッフやシェフを雇い入れることを検討する際、自身の人件費の扱いも同時に検討した方が良いのです。皆さん自身がお店に立つ場合、材料費と人件費の内訳をどう設定するかでお店の個性が決まってきます。
最後に、家賃についてですが、事業計画を立てる際には、相場に適した家賃設定をすることが重要です。地域や立地の条件で家賃の相場は決まっています。コンセプトを念頭に、ご自身が出店したい地域と立地を基に物件の相場をリサーチしましょう。
当然のことながら、利益をプラスに持って行かないと経営的には失敗で、趣味の範囲になってしまい、自己資金や個人的な貯金で店の経営を支える羽目になります。そのような余剰資金がない場合は、お店は早々に潰れることになります。次節以降、その事態を避け、儲かりにくいカフェ業態で儲けを増やすためのポイントを紹介します。
3.11 カフェ経営のポイント(その1)
前述のように、材料費と人件費の内訳をどう設定するかでお店の個性が決まります。シンプルなメニュー構成で材料費を抑え、アルバイトスタッフを数名雇い、高い回転率の維持を目指すのか。あるいは、産地にこだわった材料を仕入れ、オーナー自身で懇切丁寧に調理と接客もこなすのか。お店の個性もコンセプト次第です。
材料費は、飲み物によっても様々です。例えば、とりあえず一杯目はビールという文化がありますが、ビールは原価率が高いです。550円の中瓶の原価は230円(約42%)程度で、550円の中ジョッキ(430cc)の原価は180円(約33%)程度です。ビールの値段で、お客様は「高い店、安い店」を判断しがちです。熱処理をしていない「生ビール」を好むお客様もいますが、ビールであれば何でも良いというお客様にとっては、瓶ビールの方がお得でしょう。一方、お店にとっては、原価率の高いビールばかり売っても儲かりません。そこで、原価率の低いカクテルやチューハイが重要となります。カクテルやチューハイの粗利益は70%以上が一般的です。
材料費は、多少の変動はあるにせよ相場がほぼ決まっていますので、お客様にとっても分かりやすい、想像しやすい部分です。しかし、人件費については、お客様には見え難いです。コンセプトからの逸脱は避けなければなりませんので、材料費の削減には限界があります。そのため、開業後、人件費をいかに削減できるかが、非常に重要となります。
人件費の増減は、お客様の来店に依存しています。多数のお客様が来店された場合、お店は忙しくなりますので、人件費も増やさざるを得ません。逆は逆です。スタッフのシフト作成時の予想に反して来店数が少なく、アルバイトスタッフが暇をしてしまった場合、経営的には人件費に無駄が生じていることになります。
人件費を抑えるためには、天候や季節、曜日や行事などにも目を配り、お客様の来店傾向を分析したうえで、スタッフのシフトを調整しなければなりません。とりわけ、開業の当初はオペレーションにも慣れていませんし、自店への来店傾向も把握できていないため、人件費がかさみます。人件費の割合を売上の30%以内に抑えるには、オーナー自身も他のスタッフも効率的に動けるようにならねばなりません。
人件費の増減は、お客様の来店に依存しています。多数のお客様が来店された場合、お店は忙しくなりますので、人件費も増やさざるを得ません。逆は逆です。スタッフのシフト作成時の予想に反して来店数が少なく、アルバイトスタッフが暇をしてしまった場合、経営的には人件費に無駄が生じていることになります。
人件費を抑えるためには、天候や季節、曜日や行事などにも目を配り、お客様の来店傾向を分析したうえで、スタッフのシフトを調整しなければなりません。とりわけ、開業の当初はオペレーションにも慣れていませんし、自店への来店傾向も把握できていないため、人件費がかさみます。人件費の割合を売上の30%以内に抑えるには、オーナー自身も他のスタッフも効率的に動けるようにならねばなりません。
大手コーヒーチェーン店の場合は、上記のような個人経営の収益構造とは異なっています。スターバックスやドトールは、基本的にセルフサービスなので、人件費を下げることが可能です。カフェは、接客サービスも重要な要素であり、 基本的にフルサービスですので、 コーヒーチェーン店とは人件費の前提が異なるのです。コーヒーチェーン店では、人件費を売上の20%~25%程度に抑え、その代わりに家賃の割合を増やし、好立地の場所に出店しています。牛丼など安売りのチェーン店も同様の発想で、人件費をとことん抑えることで立地の良い駅前や繁華街に出店しています。一方、 牛丼や回転寿司などは材料が非常に重要ですので、材料費の割合が高くなります。皆さんのカフェでも、お店のコンセプトに基づき、経費の内訳と割合を上手に工夫することが大事です。
償却(ローン)についてですが、初期費用を回収するための費用も経費として考えます。減価償却費として税務上は扱われることとなります。初期費用を何年で回収するのかを意識しましょう。私は、10年での回収タームでは、今の時代では長過ぎると考えています。お店の内装や設備も痛んできますので、改修や入れ替えもその都度必要となります。内装や設備の税務上の耐用年数は7年〜10年程度ですが、実際に毎日使用すると劣化具合も早まります。そういったことも念頭に入れたうえで、初期費用の回収タームは、5年以内と設定したいところです。
3.12 カフェ経営のポイント(その2)
3.10節で紹介したように、カフェを含む、飲食店の基本的な収益構造は下記の通りです。
・売上 ー 経費 = 利益
この等式は、下記のように書き換えることが出来ます。
・(価格 × 数量) ー 経費 = 利益
上記の書き換えにより、価格、販売数量、経費の相関関係が見えやすくなります。
利益の値が正、すなわち、少しでも利益が出ていると想定する場合、価格を上げるか、もしくは数量を増やすか、経費を減らすことで、利益をさらに増やすことができます。経営的には、まず真先に経費を減らすという発想は分かりやすいですが、より大きな効果を上げるには、価格と数量を改善すべきです。
上記の等式の左辺第1項は、掛け算であることが重要なポイントです。さらに重要なポイントは、例えば、500円のランチを20食売る場合と、1000円のランチを10食売る場合とでは、売上は同額の10000円ですが、後者の方が手間がかからないぶん経費が抑えられるという点です。この関係から分かることは、価格を高く設定することは、利益に繋がりやすく、出来る限り高い価格設定の方が経営的には良いということです。材料費など他にも考慮すべき要素がありますので、100%の正解とは言えませんが、安い価格のものをたくさん売るよりも、高い価格のものをある程度の数量売る方が、経営的には利益に繋がりやすくなるのです。数量が増えると、材料費、人件費が増えますので、経費全体が増えてしまうからです。
上記の等式の左辺第1項は、掛け算であることが重要なポイントです。さらに重要なポイントは、例えば、500円のランチを20食売る場合と、1000円のランチを10食売る場合とでは、売上は同額の10000円ですが、後者の方が手間がかからないぶん経費が抑えられるという点です。この関係から分かることは、価格を高く設定することは、利益に繋がりやすく、出来る限り高い価格設定の方が経営的には良いということです。材料費など他にも考慮すべき要素がありますので、100%の正解とは言えませんが、安い価格のものをたくさん売るよりも、高い価格のものをある程度の数量売る方が、経営的には利益に繋がりやすくなるのです。数量が増えると、材料費、人件費が増えますので、経費全体が増えてしまうからです。
一方、お客様の選択にとってはお店の事情は関係ありませんので、価格を上げると販売数量が減るリスクも当然出てきます。そういったリスクを考慮したうえでも確実に言えることは、コーヒー1杯が370円でも390円でも、両者がお客様にとっての許容範囲内で、 販売数量が変わらなさそうならば、利益率を意識して390円に設定した方が良いのです。ここで肝心なことは、割合(%)で考えることは経営上有効ですが、最終的には額(円)で考えることです。利益率よりも、利益額が重要なのです。
また、価格設定においては、400円と390円とでは大きな差があります。お客様にとっては、この10円の差がとても大きく感じる場合が多いです。切れの良い大台の価格よりも、少し下げた価格に設定することは、お客様の心理に良い影響を与えます。そして、当然ながら、お客様にとっての許容範囲を上回る価格を設定することは難しいです。既にお客様の許容範囲内の価格を付けているならば、それ以上に価格を上げることはもはや難しいので、数量(来店数)をどう増やすかが重要となってきます。
また、価格設定においては、400円と390円とでは大きな差があります。お客様にとっては、この10円の差がとても大きく感じる場合が多いです。切れの良い大台の価格よりも、少し下げた価格に設定することは、お客様の心理に良い影響を与えます。そして、当然ながら、お客様にとっての許容範囲を上回る価格を設定することは難しいです。既にお客様の許容範囲内の価格を付けているならば、それ以上に価格を上げることはもはや難しいので、数量(来店数)をどう増やすかが重要となってきます。
さらに、お客様は、相対的に判断するということ、絶対的な額では判断せず、合理的でないときがあるということも念頭に置きましょう。ランチが、最初から1200円なら行かないかもしれませんが、1000円のランチを食べたうえで、デザートのために200円追加することは、ハードルが低かったりします。そういった点も考慮して、メニュー構成を工夫してみましょう。
普通の感覚として、あるお店で3000円で売っているペンが、徒歩5分離れた別のお店で2500円で売っているなら、後者で買うでしょう。しかし、あるお店で100万円で売っている車が、徒歩5分離れた別なお店で999500円で売っていても、後者で買うかは分かりません。同じ500円の安さでも、商品やシチュエーションによってお客様の感じ方は異なるのです。お客様は、常にそういった心理で商品やサービス、お店、メニューの選択をしていることも覚えておいて損はないでしょう。