Y: なんかさ、太りましたよね。
M: 土に還る?
Y: ダイエットとかしてないの?
M: 食べ物には気をつけてるよ。
Y: なんか、あれですか。一日の最後にゼロカロリーゼリーでも食べて、今日はダイエットがんばっちゃったなーとか思う人ですか。
M: うるさいよ。
Y: 「自分へのご褒美」「明日から運動」「断ったら失礼」などの脂肪フラグが立ちまくっていますよね。
M: そういうのは、心の栄養として必要なのよ。
Y: 「ビリー」「コアリズム」「トレーシー」などのDVDが行方不明になったりしてますよね。
M: 彼らはブックオフに巣立っていったのよ。
Y: 知識無きダイエットは無駄ですよ。
M: 民主党の事業仕分けのようね。
Y: 三大栄養素である、タンパク質・炭水化物・脂質。これを理解することがダイエットの始まりです。
M: 「ワンモアセッ!」がダイエットの基本だとビリー隊長がおっしゃっていたよ。
Y: 食事を「ワンモアセッ!」しちゃうと大変なことになります。
M: たくさん食べたら、たくさん運動すればいいじゃない。
Y: しないよね。
M: うん。
Y: ダイエットの基本は、三大栄養素を適切に摂取することです。
M: 削るんじゃないの?
Y: 削り過ぎると体調不良となり、少ない栄養でより太りやすい体質になっていきます。
M: 当然、摂り過ぎてもダメなのよね。
Y: ダイエットする時って、カロリーを気にしますよね。
M: それこそ基本じゃないの?
Y: これはあんまり意味が無いです。一般的なカロリー表記は、タンパク質・炭水化物・脂質の3つをアトウォーター係数で置換し、足し合わせたもので表示されてます。
M: なにその係数。
Y: タンパク質1gを4kcal、炭水化物1gを4kcal、脂質1gを9kcalと定義したもの。
M: とにかく低カロリーならいいんじゃないの?
Y: タンパク質100kcal・炭水化物100kcal・脂質100kcalの計300kcalの食品と、炭水化物のみの200kcalの食品があったとする。低カロリーなのは後者だけど、一概に後者が良いとは言えない。
M: 3つそれぞれを別々に考えなければダメなの?
Y: そうです。タンパク質・炭水化物・脂質のそれぞれの適正量があるのです。
M: どれか一つでも適正量を超えると脂肪になっちゃうんだよね。
Y: タンパク質はあんまり脂肪にならずに捨てられます。
M: そうなの?じゃあ、タンパク質はどんどん摂っていいの?
Y: その捨てるときにあちこち負荷がかかるので、やっぱり適正量を超えてはダメだし、ある程度は脂肪にもなります。
M: でも、タンパク質を抑えようっていうのは、あんまり聞かないよね。
Y: 三大栄養素のうち、タンパク質がオーバーした場合、他の2つはもっとオーバーしてることがほとんど。だからダイエットでは炭水化物と脂質に着目することになります。
M: 基本的に身体に脂肪が余ってるんだから、脂質は摂らなくても大丈夫よね?
Y: 脂質をなるべく摂らないダイエット法を、低脂肪ダイエット、ローファットダイエットなどと言います。
M: 効果はあるの?
Y: 我々の身体に蓄えられるのは中性脂肪です。中性脂肪は脂質の一部でしかなく、中性脂肪以外の脂質も摂らないと健康上よくないです。
M: じゃあ、中性脂肪以外の脂質を摂るようにすればいいじゃない。
Y: さらっと言ってくれますが、既存の食品でそんな都合の良いものはなかなか無いです。
M: 中性脂肪以外の脂質を摂るために、中性脂肪も摂れと言うの?
Y: そうなります。脂質が足りないと健康に悪影響が出ますし、何より肌が劣化します。
M: だからといって、脂質を摂りすぎるとデブまっしぐらよね。
Y: 必要量より気持ち少なめに脂質を摂るくらいで、ダイエットを進めるのがいいんじゃないでしょうか。
M: なんとか中性脂肪を減らす方法はないの?
Y: そこで編み出されたのが、炭水化物を摂らないダイエット。ローカーボダイエット、アトキンスダイエットとも言います。
M: 炭水化物を摂らないと、中性脂肪が減るの?
Y: 人体はエネルギーの材料として、糖分を真っ先に使います。炭水化物は糖質ですから、炭水化物を摂りまくると、中性脂肪はいつまで経ってもエネルギーになりません。
M: それを逆手に取って、炭水化物を摂らなければ、中性脂肪をエネルギーに変換することができるのね。これはいいんじゃないの?
Y: ところがそうもいかない。糖分がなくなると、脳味噌がやられます。脳の唯一のエネルギー源はブトウ糖で、中性脂肪からのエネルギーでは補えないのです。
M: だからといって、やっぱり炭水化物の摂り過ぎもダメなのよね。
Y: 炭水化物が多いと、速攻で中性脂肪化されますよ。
M: じゃあ、その中性脂肪化を止めればいいんじゃない?
Y: 余った糖分を中性脂肪に変えるのは、インシュリンというホルモンです。
M: じゃあ、そのインシュリンを減らせばいいじゃない。
Y: その考え方が低インシュリンダイエットです。
M: なんか聞いたことある。
Y: インシュリンは体内の糖分が多いと発生し、糖分をエネルギーに変えたり中性脂肪に変えたりします。つまり血糖値を減らせばインシュリンは発生しにくくなります。
M: これって、さっきの炭水化物を摂らなければ糖分が減るって原理と一緒じゃないの?
Y: ちょっと違う。炭水化物の量が同じでも、それが糖になるスピードが食品によって違うのです。
M: スピードが違うと何が違うの?
Y: 血糖値の急上昇がインシュリンの分泌につながります。だから、血糖値をなるべくゆっくり上げるとインシュリンも出にくい。
M: じゃあ、糖に分解されるスピードが遅い食品をなるべく選べばいいわけだ。
Y: これを低GI(グリセミックインデックス)値食品と言います。ちょっと調べれば、食品ごとのGI値が出てきます。
M: ちょっと調べてみたら、サイトによって数字がバラバラなんだけど。
Y: つまり、胡散臭いということです。それでも、白米より玄米とか、うどんよりそばとかは、参考にしてもよいかも。
M: 低GI値食品なら、たくさん食べてもいいの?
Y: そんなわけないです。糖分が脂肪になるスピードが遅いというだけで、結局、摂取した糖分が余ってしまったら中性脂肪です。
M: でも、低インシュリンダイエットで体重が落ちた、という声はよく紹介されているみたいだよ。
Y: 低GI値食品に切り替えたことによってメニューが制限されますから、炭水化物の摂取量が減ったんでしょうね。
M: じゃあ、低インシュリンダイエットは意味が無いじゃない。
Y: 一応意味はあるんです。血糖値が急上昇すると急降下することになります。この急降下が「空腹感」です。これを抑えられれば、間食は減ると思いますよ。
M: 単に、低GI値食品は腹持ちがいいということ?
Y: そういうことですね。
M: 結局どのダイエットをやれば、うまく痩せられるのよ。
Y: 何か一つのことで、全ての物事を解決しようとするから失敗するのです。朝バナナダイエットとか納豆ダイエットとか、取っ付き易い方法に走ってはダメです。
M: 納豆はインチキだったしね。
Y: これも全てがインチキだったわけではないのです。視野を広く保ち、様々なことを組み合わせて、目的を達成してください。
M: 目的を達成していない人に言われたくないんですけど。
Y: 僕は目的なんて、そもそも無いからいいんです。
M: ご高説は承っとくから、ダイエットについて最適な組み合わせを教えなさいよ。
Y: あれこれ考えなくても「三食を食べ、三食以外を食べない」だけ守れば、ある程度健康的に痩せられますよ。話はそれができるようになってからです。
M: おやつも許されるダイエットとか、そういうのは無いの?
Y: 「これ食べたら太るだろうなぁ」という直感があるでしょ?その直感はかなり正確だと思いますよ。
M: 直感が信用できないかもしれないじゃない。
Y: それは直感を信じたくないだけです。
M: そもそも、もう食料が豊富なんだから、人体も中性脂肪を蓄えることをやめちゃえばいいのに。
Y: 脂肪ってぷよぷよしてるじゃないですか。
M: だから何?
Y: 消せないんですかね。3連鎖とかで。
M: どうやって3連鎖を起こすのよ。
Y: ご飯・味噌汁・腐った卵。
M: それは、もっと大切な何かが消えているよ。
Y: 人類としては、この中性脂肪の蓄えを、そろそろ自由にコントロールできてもいい頃だと思う。
M: それができれば苦労しないよ。
Y: 脂肪銀行設立。
M: みんな預けて終わりじゃない。
Y: 脂肪取引は、脂肪を出す側と受け入れる側がいて、初めて成立する。
M: そんなの誰も、受け入れる側なんてやりたくないよ。
Y: そりゃあそうですよ。どうすれば受け入れる側が増えるか。
M: お金?
Y: ですよね。脂肪と共にお金を差し出すことになります。
M: 1g何円とか相場があるの?
Y: 変動相場制ですね。
M: お金持ちだったら食べても食べても太らないね。
Y: 逆に、貧しいとどんどん太る。脂肪を受け入れるとお金がもらえるからね。
M: 働かないで、脂肪を受け入れることで生活できそうじゃない?
Y: めちゃくちゃ運動しないと、あっという間に糖尿病ですよ。
M: 実際、どうやって脂肪の取引をするのよ。
Y: ATMに脂肪を受け取る人が入ってます。
M: 生々しいよ。
Y: 「いらっしゃいませー」
M: しゃべるの?
Y: 「ご利用のお取引ボタンを押してください」
M: なんかヌメヌメしてるんだけど。
Y: 「あと500g脂肪を摂取すると、90%の確率で私は死にます。続けますか?」
M: そういう情報は教えてくれなくていいんだけど。
Y: 「1,000gでよろしいですか?」
M: よろしいです。
Y: 「本当によろしいですか?」
M: よろしいです。
Y: 「温めますか?」
M: 何を温めるのよ。
Y: 「あなたの心を温めますか?」
M: これはウザいよ。あと500g追加でいいよ。
Y: 「ポイントカードをお持ちでしょうか?」
M: 無いって。
Y: 「お作りいたしましょうか?」
M: 2,000gでお願いします。
Y: 銀行は、脂肪を受け取ってくれる人をどれくらい集められるかで、このメガバンク時代を乗り切ることができる。
M: そういう「メガ」じゃないよ。
Y: やがて、インターネットに脂肪を流しこむ技術ができ、ネット銀行も参戦。
M: なんか、回線速度が遅くなりそうなんだけど。
Y: アマゾンなんかは、商品を脂肪と共に無料で配りだす始末。
M: もはや、新しい通貨になってるじゃない。
Y: 本日の為替相場は、円高肉安です。
M: スーパーの広告?
Y: 経済と脂肪が融合し、ダイエット効果もお金で解決する時代になってしまいますね。
M: 世の中ね、顔かお金かなのよ。
Y: 反対からで、ワンモアセッ!
M: よのなかねかおかおかねかなのよ
Y: そう考えると、まだ脂肪が取引されていない現在は捨てたもんじゃないかもしれませんね。
M: どうして?
Y: ダイエットは努力に対する結果の相関が高くて、やりがいのあるものなのかもしれない。努力が報われる貴重な分野。
M: あんたは努力が苦手だろうから、私が手伝ってあげるよ。
Y: 何その優しさ。何この死亡フラグ。
M: とりあえず、ヴィトンの新作を買ってきなさい。お金が無ければ食べられないから。
Y: お腹をダイエットする前に、フトコロがダイエットされるんですけど。
M: ワンモアセッ!
Y: 隊長、きついです。
M: おやすみ。
Y: おやすみ。