その中でこれからシェアを伸ばしそうなのがフロー電池です。
本記事ではフロー電池とはどのようなものか?と、最後にすでに公道試験を始めているナノフロー社の、航続距離600キロ、0‐100キロ加速2.8秒のスーパーEVの紹介をさせて頂きます。
●以下<<バナジウムレドックスフロー電池について>>より引用
バナジウムレドックスフロー電池について
レドックスフロー電池とは何か
レドックスフロー電池は殆どの人に取って耳慣れないものですが、セルの積層部分と電解液の入った巨大なタンクから構成される電池の事で、タンク容量が大きければ大きいほどエネルギーを蓄える事ができます。しかしレドックスフロー電池は我々が日常生活で目にする事がないため、リチウム・イオン電池ほど良く知られてはいません。リチウム・イオン電池は大きさに比して高いエネルギー密度を持っており、携帯電話やコンピューターといった小型の機器を動かすには最適です。では遙かに大きな蓄電容量を持ったレドックスフロー電池は一体どこで何に使われるているのでしょうか。レドックスフロー電池は主として発送電網系統、変電所、大規模工場など産業用に用いられています。送電網に接続されたレドックスフロー電池は上水道系における貯水池のような役割を果たし、低需要時に発電された電力を蓄え、高需要時に放出する事により需給を調整しています。
レドックスフロー電池の基本的仕組み
蓄電物質と電解質が同じセルに入っているリチウム・イオン電池と異なり、レドックスフロー電池の電解液(液体電解質)はセルから独立した二つのタンクに蓄えられています。電解液に含まれた陽イオンが交換膜を通じ一方のセルから他方のセルへと流れ、その結果タンク内の電解液のイオン価数が変化する事によってレドックスフロー電池は充放電します。
蓄電物質としては幾つかの物質が知られており、蓄電池によっては一方のタンクに鉄、他方にはクロムなどのように、陽極液・陰極液に異なる物質を使う場合もあります。しかし両方のタンクにバナジウムを使う全バナジウム・レドックスフロー電池(以後VRFB)は、技術的にも商業的にも最も先進性に富んでおり、現在では最も信頼性の高い蓄電技術とされています。また、たとえ両極液が混じるような事故が起こったとしても、何の化学反応も起こさないため非常に安全で、高い環境適合性を持っています。
簡単に言うならば、VRFBの出力はイオン交換膜の有効面積によって、蓄電容量はタンクの大きさによって決定されます。外付けのタンクを使う事のメリットは、蓄電容量の設計自由度が高い事です。VRFBは嵩張りがちですが重要な利点が幾つもあります。即ち、構造が比較的単純で複雑な制御回路を必要としないため、他の電池(特にリチウム・イオン電池)に比べて安全性が高い、電解液自体の寿命は物理化学的に半永久的であるため製品電池の寿命が極めて長い、保守点検作業が少ないため運転コストが安価になる、バナジウムは希少金属ではないため(地球上で18番目に多い元素)、基本的には枯渇の恐れがない、などです。このためVRFBは、再生可能エネルギーの利用を中心とした国内電力インフラの整備に注力する先進国にとっても、急増する人口とエネルギー消費需要をもった開発途上国にとっても、より費用対効果の高い選択肢となっています。
VRFBの長所と短所
VRFBの主な長所は以下の通りです。 一方でVRFBの主たる短所は、エネルギー密度が比較的低い事であり、これが特殊な場合を除いて商用利用の普及を妨げてきました。しかし当社の発明により電解液の濃度が大幅に改善され、エネルギー密度が飛躍的に向上したため、この欠点は過去のものとなりつつあります。もしVRFBの電解液タンク容量が同じであるならば、電解液は濃度が高ければ高いほど、より大きなエネルギーを蓄える事ができます。世界のVRFB業界が、競って電解液の高濃度化に取り組んできた理由はここにあります。1 電池出力はイオン交換膜の有効面積で、蓄電容量は電解液タンクの大きさで決定されるため、総合的な電池性能の設計自由度が高い。 2 タンクを増設・大型化する事により、蓄電容量を比例的に増やす事ができる。 3 セル・スタックを連結する事により、より大きな電圧を取り出す事ができる。 4 放電深度が非常に深い(VRFBは約95%、鉛蓄電池は約50%)ため、蓄電容量のほぼ全てを使い切る事ができる。 5 メモリー効果がないため、何回充放電を繰り返しても、電池の劣化がない。 6 有害物質を使用しておらず、また常温・常圧下で運転できる。 7 イオンの価数変化が充放電の原理であるため、物質の化学反応に伴う発熱や爆発がない。 8 長期間完全に放電しておいても、電解液が劣化する事がない。 9 充電用の外部電源がない場合には、充電済みの電解液を注入するだけで直ぐに使える。 10 充電済み電解液を物理的に輸送し、タンクに充満すれば直ちに放電可能なバッテリーとなる。 電気の可搬化を可能にする。 11 たとえ電解液が混ざり合ったとしても、化学反応等の問題を起こさない。 12 電極には何の物理変化も化学変化もないため、より安定的で長寿命の性能が得られる。 13 電解液そのものは半永久的に再使用可能である。1万回を遙かに上回るサイクル寿命(充放電可能回数)は、電池の構成部材(電極材、イオン交換膜、電槽本体等)の品質に依存する。 14 電池を毀損する事なく急速充放電が可能である。 15 微弱電圧でも充電する事ができる。微風状態におけるウィンド・ファームや、曇天におけるソーラー・パネルによるほんの微かな発電量でも、VRFBならば無駄なく蓄積する事ができる。 16 UPS(無停電電源装置)として使用する場合、レスポンス・タイムが極めて短いため、文字通り主電源の遮断と同時に電力の供給が始まる。 17 バナジウムの生産には偏在性が高いが、バナジウムそのものは希少金属ではないので、資源枯渇の心配がない。
■住友電工、大容量「レドックスフロー電池」を研究・量産
テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)にほど近い住友電工の大阪製作所。同社はここをレドックスフロー電池の研究開発と量産の拠点に位置づけた。この電池はバナジウムの電解液をポンプで循環させて充放電する仕組みで、発火の心配がなく安全性が高い。電解液や電極は耐久性があり、リチウムイオン電池やナトリウム硫黄(NAS)電池より長持ちするのも特長だ。
量産体制を整えたのはまだ同社だけで、まず北海道電力の変電所に蓄電容量6万キロワット時という世界最大のレドックスフロー電池を設置し、風力と太陽光発電の電力をいったんためて電力系統に送る実証実験を2015年度から始める。住友電工は、再生可能エネルギーの活用に積極的な米カリフォルニア州の電力会社などへの輸出もにらんでおり、「生産施設拡張の余地はある」(徳丸亀鶴・インフラ事業推進部長)という。
引用終わり
ここまで読んで日本がトップランナーかと思っていたら、とんでもないニュースがあった。
それを紹介する前に、フロー電池のもうひとつの特徴は充電する代わりに電解液を入れ替えるという使い方もできることですが、ベンチャー企業中心にどんどん性能が向上しています。
近年では米国のベンチャー企業を中心に、さらにエネルギー密度を高く、小型化も可能なフロー電池の開発が盛んになってきた。例えば、24MTechnologiesの「Cambridge Crude」は半固体のフロー電池である。CambridgeCrudeでは、液体中に分散させたコバルト酸リチウムなどの活物質と、やはり電解液に分散させた導電性カーボンの粒子を組み合わせている。24MTechnologiesは、エネルギー密度500Wh/kgで、1kWh当たりのコストが250米ドルのCumbridgeCrude(Crudeは原油の意味)の実現を目指す。これは現在の自動車用リチウムイオン電池に比べて3倍のエネルギー密度、1/3のコストである。また、EOSEnergyは亜鉛を使ったフロー電池の開発を進めている。ちなみに、これらの企業は米エネルギー省の関連機関であるARPA-Eから支援を受けている。
これだけでも驚くと思いますが、もっと驚くのがスイス 「nanoFlowcell AG」の開発したEVです。
最初の方で、重量エネルギー密度が低い事が短所として書かれており、EVには不向きとされていました。
ところが「ナノフローセル」はリチウムイオンバッテリー以上のエネルギー密度を実現しました。
こうなると「ガソリンを入れるように電解液を交換する」EVが実現します。
会社名にちなんで命名された「ナノフローセル」は車載タンクに蓄えた400Lのイオン液を電気パワーに変えて600kmの航続距離を実現。
2個のタンク内イオン液に別種の金属塩を溶融させ、2液をイオン交換膜で分離。膜部では酸化還元反応によるイオン交換が起こるものの、液自体は混ざらない構造。
溶液をポンプで循環させるとイオンの酸化還元反応が進行、充電と放電を行うもので、充電中は液体の一方で還元反応、もう一方で酸化反応が発生、放電中には逆の反応が起こる。
「クアントeスポーツリムジン」が発生する驚きの性能
同社によれば、主流のリチウムイオン電池に比べて重量あたり出力密度で1.5倍、エネルギー密度で5倍に達しており、1万回以上の充電サイクルを繰り返してもメモリ効果(継ぎ足し充電による電圧降下現象)が伴わない利点が有ると言う。 出力電圧は600V、出力電流50Aで、電池が出力した電力(30kW)を大容量のスーパーキャパシタに一旦蓄えた後、瞬時にロス無くモーターに供給する。 電解液タンクが400リッターという事ですので、これにセルを加えると相当な大きさと重さになりますが、航続距離は600キロとの事。安全性、耐久性、補充の速さではリチウムイオンバッテリーを大きく凌ぎますので、これから有望かと思います。