ワキガとは
■脇の下からのキツいにおい〜ワキガ
体臭の悩みの代表格とも言えるものが「ワキガ」です。なぜ脇の下からキツイにおいがしやすいかというと、まず「アポクリン腺が多いこと」が挙げられます。アポクリン腺とは汗腺(汗を分泌する器官)のひとつで、これが発達していると独特なにおいがしやすいことで知られています。それは、脂肪酸、タンパク質、糖質、アンモニア、ミネラルなど、水以外の成分を多く含むため、細菌にとって栄養があり繁殖しやすく、また、細菌が汗の成分を分解することでニオイが発生するからです。
もともとはフェロモンの役割を果たしていたとも考えられており、実際このニオイがとても好きな人もいますし、欧米では魅力の一つとされることもあるそうです。さらに、脇の構造も、においを留めやすい仕組みとなっています。普段脇を締めるような格好をしているため蒸れやすく、温度も高くなりがちで、さらに毛が生えている方だと洗浄やデオドラントなどのケアの効果が不十分になりがちですし、表面積も多く、細菌が増えやすいだけでなく毛が拡散装置のような役割も果たしてしまい、ニオイが強くなってしまうことがあります。
■日本人の10%がワキガ?
欧米の人々の7割からほぼ全員がワキガ体質であると言われているのに対して、日本人はわずか1割程度に過ぎません。しかし、ファーストフードや肉中心の「食の欧米化」が進んだことで、ワキガ体質の特性が強く出やすくなっているといわれています。ちなみに、アポクリン線の数は先天的なもので、いくら欧米的な食事をしても変わる事はないと考えられています。実際には、欧米的な食事によって「アポクリン線の働きが活発になった」というわけです。
■ワキガのチェックリスト
以下に当てはまる人は、ワキガ体質である可能性が高いと考えられます。
■耳垢が湿っている(軟耳垢(なんじこう)である)
アポクリン腺が耳の中に多いことを示しています。ちなみに、耳垢が湿っている(軟耳垢である)人のおよそ8割がワキガであると言われています。
■わき毛や陰部の毛が濃い
陰部も脇の下と同様、アポクリン汗腺の多い箇所です。毛の量が多い、あるいは毛が太い場合は、ワキガの可能性があると考えられます。
■ワキガの人が親族にいる
アポクリン腺の数は遺伝すると言われているため、親族にワキガの人がいる場合は遺伝している可能性が考えられます。ちなみに両親がワキガの場合は、8割以上の確率で子どもに遺伝するとされています。
■わき汗をよくかく/黄色の汗染みが服に付く
アポクリン線から出る汗には色素が含まれるのが特徴の1つです。汗をよくかき、さらに洋服や下着に黄色っぽい汗じみがつく場合には、アポクリン線が多くワキガ体質である可能性が考えられます。
手術以外のワキガ治療法
■薬でのワキガ治療
ワキガが軽〜中度の場合は、手術以外の治療法も検討されます。まずは、薬でのワキガ治療をご紹介します。
■プロバンサイン(臭化プロバンテリン)
ワキガ治療における代表的な内服薬です。アセチルコリンという物質の分泌を抑えることで、汗を抑制します。保険適用されている点はメリットですが、目や口が乾きやすくなるといったデメリットもあります。
■塩化アルミニウム液
ワキガ治療の代表的な外用薬です。汗や臭いを抑える作用により、軽度のワキガに効果が期待できます。まれに、かゆみや炎症を生じることがありますので、その場合は使用を中止し、かかりつけ医に相談してください。
※ミョウバン水:制汗作用、消臭作用、静菌作用が期待でき、簡便でコストも安い。
■その他の飲み薬
精神的な原因による多汗体質の人などに対して、自律神経あるいは精神面での効果が期待できる薬が服用されるケースがあります。また、体質によっては漢方薬で余計な発汗を抑えられる可能性もあります。
■注射やレーザーなどのワキガ治療
以下、注射やレーザーなどのワキガ治療をご紹介します。
■レーザー脱毛
アポクリン線の多い人は、毛が濃いケースが多いことをすでにご説明しました。毛が多いと汗が留まりやすく、細菌繁殖の温床となります。そのため、レーザーによって脱毛することはワキガ改善にもつながります。脱毛することは、臭いの元である細菌繁殖を抑える上でも効果的です。
■電気凝固法
電気を通したニードル(針)を使用し、皮脂腺とアポクリン腺にダメージを与えます。臭いの元を破壊するとともに、脇毛の脱毛も行えるため、減臭効果が期待できます。
■ボトックス注射
ボトックス注射とは、筋肉の働きを抑制する作用のある注射です。アポクリン腺を破壊するわけではありませんが、アセチルコリンという物質の分泌を抑えることで汗を抑え、においを抑制する効果が期待できます。メリットは効果がスピーディーに感じられることで、治療も5分~10分程度と短時間で済みます。2~3日ぐらいから徐々に効果を感じ始め、1週間後には効果が実感できることが多いでしょう。一方で効果が半年程度しか持続しないというデメリットもあります。持続期間は個人差もあり、人によっては半年よりも短い期間しか効果がもたないことも。「原発性腋窩多汗症が重度である」と診察された人以外は、保険適用外の施術となります。
手術でのワキガ治療法
■直視下手術法(剪除法)
ワキガが比較的重度の場合は、手術での治療法も検討されます。ワキガ手術にもいくつか種類がありますが「切開した患部を見ながら行う手術(直視下手術法)」と「ごく小さな切開での手術(非直視下手術法)」のふたつに大別できます。まずは、直視下手術法の中でもポピュラーな「剪除法」をご紹介します。
剪除法は、アポクリン腺を直接目視しながら、ひとつずつ除去していく手術です。そのため、治療効果は高いと言えるでしょう。アポクリン腺を露出させるには、脇の下を数センチほど切開し、皮膚をめくります。大掛かりな手術に思えますが、術後、入院の必要はなく、手術の時間も、片方の脇で30~45分前後と短めです(医院の採用している術式によって変わります)。術後は数日間ガーゼを圧迫固定する必要があります。
■非直視下手術法
ワキガ手術の中でも、ごく小さな切開で行えるのが「非直視下手術法」。今回は、代表的な3つの手術法をご紹介します。
■皮下組織削除法
刃とローラーから成る器具を利用した手術法です。皮下組織を刃で削りながら汗腺を除去します。器具の挿入に脇の下の切開が必要ですが、1cm程度で済むため傷跡が残りにくい点がメリットです。ただし、手術後はおよそ1週間脇の下を固定しなくてはならず、ダウンタイムが長いのがデメリットです。
■皮下組織吸引
カニューレ(細い管)を脇の下に挿入し、脂肪吸引のように汗腺や皮脂腺を吸い取ります。器具の挿入のために脇下を切開しますが、やはり1cm程度の切開で済むため、傷跡は残りにくいです。ただし、アポクリン腺を完全に除去するのは困難です。
■超音波吸引
皮下組織吸引に似ていますが、汗腺や皮脂腺をかき出すのではなく、超音波でダメージを与えながら吸引を行っていく点が特徴です。皮下組織吸引法を改良した手術法だけあり、副作用が少なく、効果は高めですがアポクリン腺の全除去は難しいと考えられています。
ミラドライやビューホット、サーミドライなど、電磁波(マイクロ波)、高周波、超音波を用いた治療、ほかにも、レーザーを用いた治療もあります。
まとめ
適切な治療を行うには、まずは、個々人のワキガの程度を把握する必要があります。ワキガに悩んだら、勇気を出して受診してみましょう。