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綿(コットン)について


綿素材といっても、ひと言では言い尽くせないほど品質の差があり、組織の違いがある。
綿の代表的な素材として、ポプリンの仲間のブロードや綾地のコットンギャバが知られている。
ブロードは、シャツ地の代表格。畝(うね)の細い高級ポプリンで、きめがが細かく、織りの密度が高く、美しい艶があるほどグレードが上がる。

織り糸は単糸と双糸があり、双糸の方が質は高いとされている。
双糸は単糸を2本撚り合わせることで糸の戻りを防いで強度を増したもので、光沢がある。
同じ厚みのブロードでも、双糸使いの方が艶もよく、長持ちし、毛羽立ちが少なく表面の仕上がりが安定する。
また生地の密度と糸使いは、40番手双糸(4双)、60番手双糸(6双)、80番手双糸(8双)、100番手双糸(120双)と区分されている。

綿番手とは、綿糸の紡績後の糸の太さの単位をいう。
重量が1ポンド(約453g)で、840ヤード(1ヤード=91.44cm)の長さの糸を1番といい、1ポンドに対して840ヤードの何倍の長さがあるかで、番手が決定する。20倍あれば20番手、100倍あれば100番手となる。

綿は麻と並んで夏服地としてデザインすることが多いが、表面起毛や裏起毛を施したり、近年は中わた入りダウンを抱かせたりして、冬場でも軽くて暖かい素材として市場に沢山送り出されているオールシーズン素材。
また綿は水に濡れると10~15%強度が上がるので、洗濯面での扱いやすさが特徴。
綿の繊維は、綿の種の表皮細胞が細長く生長したもので、種に生えた毛のようなもの。
綿という植物は、アオイ科ワタ属の1年生、また多年生草木で、ハイビスカスに似た大きく美しい花をつける。
その花の後にできる実(コットンボール)成熟して口を開けた中の白い繊維が花のように見えることから、綿花と呼ばれる。

服地用の綿花としてはヒルスツム種、バルバデンセ種の2種類が中心で、ヒルスツム種系綿(アップランド綿など)が土地の順応性も高く栽培しやすいため、世界の生産量の90%を占めている。
バルバデンセ種は、高品質で美しさを誇る長繊維綿、超長繊維綿として生産されている。ちなみにコットンボールの使用量の目安はTシャツ1枚で70個、スカート1枚で215個、ジーンズ1本で400個強といった具合。

生産量を別にすると地域は広く、質も多様。特にアメリカは、細番手から太番手までの綿を産出している。
品質も安定していて、綿地の相場の中心的存在として1年中取引が行われている。
綿の種類は、世界各地の生産地によって多様に分布してる。


綿の歴史

繊維をつくる「わた属」は、次の4つに大別される 

綿花は植物学上、あおい科Genus Gossypium(ゴシピウム属)に属し、現在では世界の綿花は次の4種に分類されている。
「ゴシピウム」はラテン語から来ているといわれている。

  • ① G.arboreum (アルボレウム)… 古くはインドに発し、旧大陸に広く行き渡った。
  • ② G.herbaceum (ヘルバケウム)… 古くはインドに発し、旧大陸に広く行き渡った。
  • ③ G.barbadense (バルバデンセ)… 新大陸生まれ。ペルー北部が発祥の地。
  • ④ G.hirsutum (ヒルスツム)… 新大陸生まれ。メキシコ南部中央アメリカ。

アルボレウムとヘルパケウムは、古くインド、パキスタンのあたりで栽培され、その後旧大陸に広く行き渡った。
一方、バルバデンセとヒルスツムはアメリカ大陸が発祥地といわれる。
旧大陸生まれのアルボレウムとヘルパケウムは染色体の数が13個、新大陸生まれのパルバデンセとヒルスツムは26個あり、染色体の数の違う両品種での交配はできない。


(1)アルボレウムは非紡績用


日本や中国、韓国で古くから栽培されてきた綿花は、アルボレウムと考えられている。
しかし、今商業生産されているのは、インド北部、パキスタン、旧ビルマのデシ綿に限られる。
デシ綿の品質は、繊維が短く、繊維の長さは通常13/16インチ(20.6mm)以下で、繊維が太い。手触りは粗くて、機械紡績には向かないが、ふとん綿に適している。
デシ綿はアジア在来種とも呼ばれている。


(2)幻のヘルパケウム

ヘルパケウムは現在ほとんど商業栽培されていないので、正確な性質や分布は知られていないが、その昔アレキサンダー大王の当方遠征のルートに沿って伝播したといわれ、一時は地中海沿岸からアフリカ北部にまで分布した。
今はイランあたりで栽培されているといわれる。繊維はアルボレウムに似ている。


(3)バルバデンセ 【超長繊維綿】

ペルー北部が発祥地と考えられ、そこから中米や西インド諸島を北上した。
ペルーの在来綿、一時はカリブ海の島々から米国南東部まで広がった海島綿、さらにエジプトに渡り、エジプト綿、スーダン綿として定着、最近は旧ソ連、インド、中国西域、米国でも栽培されている。
バルバデンセは、綿花品種の中で繊維が最も長く、大部分が超長繊維綿あるいは長繊維綿に属し、高級綿製品の原料として使われている。
国際市場では、エジプト綿が最も多く取り扱われており、歴史的にも名が知られているので、一般にこのグループをエジプト綿種と呼んでいる。


【海島綿

カリブ海の旧英国領だったバルバドス等が主な産地である。
現在実用栽培されているあらゆる綿花の中では最高の品質を持つとされている。
繊維長は45~55㎜と最も長く、細さは天然繊維の中では絹に次ぐ。
また光沢に優れ、天然撚りが多いためバルキー(嵩高)性に富み、油脂分が多いことからカシミヤのような感触が得られる。
しかし害虫に弱く、栽培が難しいことから生産量は少ない。
高級薄地織物分野では最高の評価を得ている。


(4)ヒルスツム = 綿花の90%がヒルスツム

メキシコ南部や中央アメリカ地域に自生していたヒルスツムの仲間から、アメリカで品種改良を重ねてつくりだしたもので、アプランド綿 といわれる。
これは19世紀に世界各国に広がり、現在では世界の綿花生産の90%を占めている。
もともとアメリカで品種改良された綿花が土台になっているので、一般に米綿種(米綿=べいめん)ともよばれている。
アプランド綿は、成育期間が短く、どのような気象条件にもよく適合する上、繊維の紡績性に優れ、用途が広いため、世界中で栽培されるようになった。




コットンの種類


綿(コットン)と言っても最近では、超長綿など差別化された綿の種類を多く見る。
産地や品種により品質が異なり、繊維の長さによって3種類に分けられる。
細くて美しい糸が作れる為、白くて、細くて、長いものほど良品とされている。
良質な綿ほど、シルクのような光沢がありカシミヤにひけをとらない風合い。(繊維の細さは、カシミヤ=14μ~16μ>超長綿=約12μ)
繊維が細ければ細いほど、一本の糸を構成する綿花の繊維の数が多くなるため、糸の断面がより円(丸)に近くなり、光沢が増す。


長繊維綿

主に高級ニット用・薄手の生地に使われる素材。稀少品であり、高級衣料素材に使われる。 シルクのような風合い。

  • 種類:バルバデンセ
  • 繊維の長さ2.8cm~6cm
  • 3.5cm以上を超長繊維綿「超長綿」と言う


超長綿はブランド化され独自の名前がつけられている


  • アメリカ…スーピマ綿
  • 西インド諸島・カリブ海…海島綿
  • エジプト…ギザ綿
  • 中国…新疆長繊維綿、西域綿(トルファン綿)
  • ペルー…ピマ綿
  • 旧ソ連…ソ連長繊維綿
  • インド…DC32綿、スピン綿
  • スーダン…VS綿、バカラット綿


中繊維綿

多くの衣料用・タオルに使われる素材。世界中の綿の90%を占める。アメリカ綿のいわば代名詞ともなっている。(米国綿で世界の50%に当たる生産量を誇る)

  • 種類:アプランド綿
  • 繊維の長さ2.2cm~2.8cm
アメリカ綿・オーストラリア綿・旧ソ連綿・中国綿が主
その他(ニカラグア、西アフリカ、ルサルバドル、シリア、トルコ、ブラジル、パキスタンなど世界各地で産出)
日本には、アメリカカリフォルニア州でとれるアップランド綿がたくさん輸入されており、繊維強度にすぐれているので、高級ニット用として好評を得ている。


短繊維綿

主に布団綿用に使われる素材。その他、ネル、キャンバス、脱脂綿等。

  • 種類:デシ綿
  • 繊維の長さ2cm以下
インド綿・パキスタン綿が主



参考

  • ※他素材の繊維長
  • 麻…2cm~3cm
  • ウール…2cm~18cm(多くは7cm~15cm)
  • アルパカ…20cm~40cm


世界のコットン


アメリカ綿


一般的によく使われているのは、アメリカ産の米綿。
あえて米綿という表示はせず、高級綿の場合のみ、一目でわかるように表示されている。
短繊維綿ではテキサスが有名。
アプランド綿を開発するのに、1千種類もの品種が集められ、それを交配したといわれている。
現在米国ではこの品種の綿が50種類以上も栽培されている。
綿花生産は世界80カ国以上で行われ、年によって変動するが、年間1,900万トンにのぼる。
そのうち、米国は約400万トンを生産し、中国と並んで世界最大の綿花生産国。綿花輸出国としては米国は長年にわたり世界一。


  • メンフィス綿
産地:ミシシッピー河口近辺デルタ地帯が中心

その大部分はアプランド綿を扱っていて、アメリカの中南部ミシシッピー川を挟んで、東側のTennessee(テネシー)、Alabama(アラバマ)州、西側のArkansas(アーカンソー)州、Louisiana(ルイジアナ)州、中心のMississippi(ミシシッピー)州が主な生産地になる。
ミシシッピーデルタで作られたコットンの大部分は一度テネシー州のMemphis(メンフィス)に集められ、ディストルビューターを通して全米へ送られる。
メンフィスの業者を通じ、流通するアプランド綿を通称『メンフィスコットン』と言う。
生産される地域によってその特徴が出、中南部の乾いた空気と昼夜の大きな寒暖の差によりアメリカ綿の特徴が生まれる。
乾燥した気候は水の吸収率を高め、寒暖の差は綿自体に強さを生む。
ざらざらした感触で、しっかりしたコットン


  • サンフォーキン綿
産地:カリフォニア

サンフランシスコとロサンゼルスの間にあってシェラネバダ山脈と海岸山脈に囲まれたサンフォーキン・バレー(渓谷)の砂漠を山からの雪解け水を導入して 45,000k㎡もの大平原を大規模に農地化したもの。
綿花は主要作物であり面積の3分の1を占め、現在でも雪解け水からの水脈を使用した地表水系と地下水系を用いて綿作が行われている。
綿花は光沢のある白色で繊維強力も優れているので、中番手用の原料として高く評価されており、綿作管理技術や混入物除去管理能力も高いため、世界でも最もクリーンな綿種の一つにもなっており、最高のアプランド綿と言われている。


  • スーピマ綿
繊維長:約3~4cm
米国のスーピマ協会のピマ綿をスーピマ綿といい、カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコで栽培されている上質の天然撚りの超長綿。

米国産ピマ・コットンを100%使った製品にのみ、スーピマの名を付けられる。
繊維の長い綿で、絹のような光沢感とソフトでしなやかな風合いをもつ高級綿。
繊維がとても長く、強度も他より高いため耐久性に優れている。しっとりと柔らかく、製品になった時に独特の美しい艶があるのが特長。


シーアイランドコットン(海島綿)

繊維長:約4cm
綿の中では最高品種。
アメリカ東南部の海岸地方、カリブ海に浮かぶ旧英国領のバルバドス、アンティグア、ネービス、ジャマイカ、そしてカリブ海沿岸のベリーズで年間僅か1000俵(200t)程度しか生産されない海島綿は「繊維の宝石」「綿の女王」とも呼ばれ、繊維が非常に長く細くカシミアのような肌触りで、絹のような優雅な光沢があり、100番手以上の細い糸を作りだすことができる。
世界一の繊維長等々世界最高の品質と言われており、現在では、印度諸島海島綿協会が綿生産、綿花、製品の販売を管理している。


メキシコ綿

メンフィス綿に似ているのが特徴。
メキシコ綿は第二次世界大戦後、日本向け輸出を目的に急成長したが、今はその面影もない。
品質的にもアメリカ綿に準ずる綿が多い中、テキサス州エルパソの州境近くに位置するフォアレスの高地で生産される綿花は素晴らしく、アメリカのアップランド綿の代表格であるサンフォーキンと同品質を誇っている。


ブラジル綿

1990年代前半は88万トンほどで主に国内紡績用綿花として栽培されてきたが、その後世界の綿花相場の下落に伴って減少し、一時は40万トン前後まで落ち世界的に見ても有数の輸入国にまでなっていたが、1990年代後半からマットグロッソ、ビヒア等の新興綿作地のセラード(一種のブラジルサバンナ)で雨季/乾季を利用した完全機械化大農法で綿作が始まり、今では世界屈指の綿作国としての地位を確立した。


ペルー綿

南米のアンデス山系の東側に位置するペルーでは個性の強い綿花が多く栽培されている。アンデスの高地で栽培されている紡績可能綿花では太い「アスペロ」、長繊維にも拘わらず「アスペロ」に次いで繊維が太い「タンギス」、超長繊維のデルセロペルーピマなどが生産されている。(中繊維綿のタンギス綿等が7割、長繊維綿のピマ綿が3割)
アンデスの長寿の滝 プカラプカラの近くでとれた綿をアンデスコットンと呼んでいる。
繊維が太い原料は染料の沈着が良く、パステルカラー系の染料には色鮮やかに発色する。
特にペルー綿のアスペロは非常に適した原料だが、日本国内では取扱企業が少なく手に入りにくい。
この地で産する綿は柔軟でふくらみと弾力性に富んでいてポロシャツや肌着に最適である。


オーストラリア綿

オーストラリアは1980年半ば以降、急速に生産量を増やしコンスタントに300万俵以上を生産して、更にそのほとんどが輸出用に向けられていた。
アメリカの綿作を模範した大型機械化農法で気質が日本人と良く似ているせいか生産面、管理面、品質面、物流面において安定しており市場価格はアメリカ綿よりも高く取引されている。
しかし近年は深刻な旱魃の影響で生産量が大きく上下している。
オーストラリアの綿花生産は作付が9月~10月に行われ、収穫は翌年の3~5月頃となる。
世界の綿花生産は北半球に片寄っているが、オーストラリアは南半球のため収穫が北半球の春に行われる。
ちょうど端境期に出回るという面で輸入国にとっては貴重。


エジプト綿

エジプトのナイル川流域で生産される長毛の綿を、エジプト綿という。
スーピマ綿と同じく、繊維の長い綿で、絹のような光沢感とソフトでしなやかな風合いをもつ高級綿。
エジプト綿は世界一有名なオリジナル綿花であり、種類は多岐にわたる。
エジプト綿は年産約30万トン前後と量においては僅かだが、その品質においては最高級の細番手用の綿として他に比肩する物のない地位に有る。
すべて肥沃なナイル河流域、ナイル河河口デルタ地域で栽培されており高級細番手用原綿である。
綿作は1地域1品種に限られており、さらにエジプト綿独特のブレンド方式「ファルファラ」で地域上の品質差を少なくしている。
綿種としては、GIZA45,70,76,77,84が有るが、エジプト綿史上最高傑作として長期に亘り生産されていたGIZA45Gは今も少量ながら生産が続けられ、海島綿、スビンと並び称される超高級綿花である。


  • ギザ綿
超長繊維綿のみを使用、イタリアンコットンに似たしっかりとした感触と、スイスコットン特有の極上の肌触りを兼ね備えた高品質なコットン。
ナイル川流域の採れる地域によって「GIZA 76」「GIZA 70」「GIZA 45」といった名前がついている。
名前の数字は、種の開発の順番。GIZA01から現在GIZA94まで、開発されている。
市場に出ているのはGIZA89まで。
綿は発色性の良い素材で、キレイな色が出せるのが特徴。


GIZA 45、GIZA 70

  • ※繊維長:3.8cm
    とても希少な「ギザ45」と呼ばれる綿は、より繊維長が長く、しっとりとした、艶やかで繊細な肌触り。
    エジプト綿史上最高傑作として長期に亘り生産されており、今も少量ながら生産が続けられ、海島綿、スビンと並び称される超高級綿花である。

  • 「ギザ70」は、「ギザ45」の次に上質な品種で天然のつや(光沢)もあるので、より美しい色が出せる。



ヨーロッパ綿


  • 【スイスコットン】
スイス伝統の特別な条件、手法のもと、選び抜かれた超長綿花をブレンドし紡績した綿糸をスイスコットンという。
各産地の良い綿花をブレンドして作られており、シルクと見間違えるような、なめらかな肌触りと光沢に満ちている。
また、シングルヤーン(単糸)が多いことから、とても軽く仕上がるのが特徴。
糸が強いため、強度も十分保てる。


  • 【イタリアンコットン】
イタリアンコットンはスイスコットンと同様、独自のノウハウでブレンドされた綿花から作られているが、スイスコットンよりハリがあり双糸が多く、しっかりしている。
ハリがありながら、糸が細いため、生地の表面はツルツルとしたなめらかな肌触りである。
また、"しっかり感"があるのでシャリ感を持つ素材して知られている。


  • 【ギリシャコットン】
繊維長は長繊維綿。タッチはやわらかな風合いで繊維一本一本が細く、その長さの均一度が非常に高い。
一般の効率重視の綿原産国では生産が難しい。
白度が高く、染色性が良い。



アフリカ綿

中国同様、機械を使わず すべて手摘み収穫している。
これにより、収穫時の損傷や不純物の混入が少なく、白度に優れ、繊維の均整度も高い"綿"が生まれる。


  • ジンバブエ綿
一般のコットンよりもしなやかな生地に仕上げられる長い繊維を備えた超長綿。高級ドレスシャツにも使用される、世界に認められた上質素材。
他の綿に比べ油分が多く含まれているので穿きこむほどに生地が滑らかに柔らかくなっていく。
ジンバブエで穫れるコットンの中でも、特に高級とされている超長繊維で最上級クラスの「デルマック」がある。
害虫が寄り付かない標高2000mの高地で、農薬を使わず自然のままに栽培。
よりいっそう柔らかく、コシの強い生地に仕上げられる貴重な素材となっている。


  • カメルーン綿
シンバブエ綿とよく似た特徴の超長綿。


  • マダガスカル綿
超長綿、中長綿等がある。



中国綿

中国は400万トン水準の生産を続ける世界最大の綿花生産国である。
黄河流域、揚子江流域、遼河流域に加え、近年増産著しい新疆ウイグル自治区の4地域で生産されている。
中国の綿花品質を簡単に説明することはできないが、新疆省の綿作地は世界で緯度が最も高く北緯44度(北海道北部くらい)の位置にありながら、地下水路を利用した灌漑綿で、素晴らしい品質のX129、また超長綿であるX146が生産されている。
繊維長はエジプト綿、スーダン綿、アメリカン・ピマに匹敵しており、光沢も優れている。
色は白く、手触りはしなやか。また、この地方は空気が清澄で日照時間が多く、気温の寒暖差が適度に大きいため、繊維の成熟度は十分である。
中国綿全てに共通することだが、中国綿は人による手摘みで収穫が行われる。
また中国には自由相場がなく、農家は国家にのみ売却が可能。綿花の一連のプロセスをめぐる管理、維持するために生産、買上及び加工において国の機関である各部署に責任が与えられている。


インド綿

キダチ・ワタ糸の短繊維綿のインドデシ綿が多く栽培されている。
気候、風土に適し収穫量も安定している。
デシ綿の産地としてミャンマー綿と共によく知られている。
インドは栽培綿種が世界で最も多く複雑である。
ふとん綿用のデシ綿から、超長綿のスジャータ綿、海島綿につぐ高級綿花と言われるスビンまで、ありとあらゆる綿花が栽培されている。
1947年にパキスタンが分離した際に、全生産量の約40%を占める綿作地がパキスタンに帰属することになった。
しかし、紡織業のほぼ100%がインド連邦に残った。
その後インドは綿花の大手輸出国だったが、綿花生産に回復するにつれ輸出が開始され、当初は10万トン程度を輸出するに止まっていた。
従来インドは灌漑農地が乏しく降雨の時期や量が不安定であるため、生産量は概してモンスーンに影響され生産量も不安定であったが、近年では遺伝子組み換え綿花の導入で増産著しく、最近米国を追い越し中国に次ぐ世界第2位の綿産国に躍り出し、細番手用の輸出国として確固たる地位を築いている。


  • スビン綿
インド原産の"SUJATA"[スジャータ]綿とカリブ海の島国である"St.VINCENT"セントビンセントで栽培されている"海島綿"との交種で、現在はインド南部のタミルナードゥ州でのみ栽培されているインド最高峰・最高級の綿花。
スビン綿は繊度が2.8マイクロと他の超長綿に比較して最も細く、そのため風合いが特に柔らかく商品として素材の特性を強く主張することが出来る。
原綿に蝋綿と脂肪分の含有分が多く、独特のぬめり感を持つ。
繰り返しの洗濯にも、容易に風合いの変化を起こさない。
長い繊維長と充分な強力のため撚りの甘い綿糸を生産することが可能。撚りの少ない糸を使用すると原綿が持つ柔らかな風合いそのものを楽しめる。
南西アジアの綿花は発色性が良く、少ない染料と助剤でも短時間で濃く染まる。
染料時間が短いため蝋分が飛ばす風合いを損なわずに染色出来る。
繊度が細く、蝋分が多いためエレガントな光沢を持ち、その風合いと合わせ他にはない高級感を持つ。

中でもスジャータ綿と海島綿との交配後の第一世代は一般のスビンと差別化させるために『スヴィン ゴールド』と言われており、年間でも1,500~2,000表しか生産されず、たいへん稀少価値の高い最高級綿として知られている。


旧ソ連綿

長繊維綿、中繊維綿の両方ある。


パキスタン綿

太番手綿


ミャンマー綿

デシ綿


スーダン綿

エジプト綿と遜色ない超長綿


オーガニックコットン

産地:アメリカ・インド・トルコが主

綿作は花を咲かせ枯れ葉剤を散布することによって、コットンボールと呼ばれる繊維が入っている実が割れ、成熟期に入り収穫を迎える。
枯れ葉剤を散布しないオーガニックコットンはどのように実を割らせるかというと、夜明けに下りる初霜によって実を割らせる。
綿作農家間ではこの初霜をKILLING FROST<死の霜>と呼び、農家にとっては天候と相談をしながら手間のかかる作業を行って収穫している。
通常の綿は土壌の栄養を非常に吸収する作物であり、1年使用した土壌は1年間休ませなければ、次期の収穫が土壌の栄養が不足しているため、不作になってしまう。
オーガニックコットンの場合3年間以上、化学薬品を使用していない土壌で育てなければならないという制約がある上、科学肥料の代わりに家畜の糞尿、害虫駆除のための農薬を化学薬品の入ってない物を使うなど、あらゆる手間と神経を注いで育てられる。
綿作農家にとっては収穫量=収入になるためオーガニックコットンは気象条件に左右され易く、十分な肥料も与えられていないため収穫量も通常の半分以下になり、手間がかかるという厄介者である。
しかし近年地球環境保護が叫ばれる中、オーガニックコットンを生産する農家も少ない中でも増加して来ている。
収穫された繊維は、通常の綿花と比べて痩せており、ヘナッとした独特の風合いを持っている。
オーガニックトラジュション、グリーンカラード菜綿等がある。


ハイブリッド綿

1代限りの交配をハイブリット栽培したもの。



綿のランク


SS級:海島綿
S級:ギザ45、スビンゴールド
A級:ギザ綿、スビン綿、デルマック
B級:スーピマ綿、新疆長繊維綿、トルファン綿、ヨーロッパ綿
C級:ピマ綿等、その他超長綿
D級:その他長綿
E級:サンフォーキン綿、フォアレス綿
F級:メンフィス綿、メキシコ綿
G級:その他アプランド綿
H級:デシ綿


参考

  • ※【世界三大高級コットン】
    ギザ綿
  • スーピマ綿
  • 新疆長繊維綿



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