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N0.2(2012/03/30)
備災都市計画
             (八備:①震備)
備災都市推進委員会
創発マネジメント研究所 河地 治雄
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 「八備(はちぞなえ)」の筆頭には、地震への備えを挙げる。昨年の東日本大震災を挙げるまでもなく、日本は世界有数の地震発生国で、その備えは最重要課題と考える。地震対策として、耐震、減震、免震、制震など様々な考え方がある。その多くは建造物を対象としており、その対応も多岐にわたり感心させられる技術も多い。備災都市の地震対策は、建造物単位での対策ではなく、街ごとの減震、免震とする。つまり、街を300m~500m単位のブロック単位で減震又は免震構造とするのである。備えとして2種類の構造がある。

 第一に免震マットによる地震備えである。これは、整地した地表面に免震マット(様々な種類がある)を敷き、その上に備災ブロック(大型のコンテナのような構造)を隙間なく設置する。この備災ブロックの上部面が都市部の地表面となり、ここに住居部を構築することになる。備災ブロックの下に敷き詰められた免審マットにより、都市部そのものが免震構造を具備することになる。目的は、地震の揺れによる都市構造物の破壊防止にある。免震マットとして以下のものがある。いずれを選択するかは今後の検討課題である。地域特性に応じて選択する場合もある。また、新しい技術が開発され選択肢が広がる場合も考えられる。
   ①2重構造で構成されるもので震度5以上の地震の際、2重構造のマットが滑り揺れを吸収するタイプ
   ②地震発生時、マットに空気を送り込み備災ブロックを浮き上がらせで揺れを吸収するタイプ
設置した備災ブロックは2層構造とし、下層部には社会インフラ(上下水道、電気、ガス、通信など)を配置する。備災ブロック内に社会インフラを整備することで、地震発生時にも社会インフラが確保され、被害を最小限に抑えることも可能である。

 備災ブロックの上層部は、備災シェルターとして地震発生時時の一次避難所の機能を持つ。居住地の真下に存在するため、避難に時間はかからない。地震に伴う沿岸部の津波発生時時の高台への避難に要する時間のリスクはなくなる。地割れ等で備災ブロックが破壊されても、都市部の地表面下には、無数の備災シェルターが存在するため、何れかの備災ブロックに避難することができ、リスクも軽減される。備災ブロック内部に社会インフラが存在することから、通信等が確保でき、正確な情報も把握しやすくなり、無用なパニックや2次被害の防止にも役立つ。この備災シェルターには、バッテリーや水・食料など3日程度分を備蓄すれば、一次避難対策としては十分です。
この備災ブロックであるが、組み立て式が望ましい。その理由として以下の項目が挙げられる。
   ①現場での組み立てが容易であること
   ②形状を規格化すれば大量生産によるコストダウンが見込まれること
   ③補修が容易であること
特に③項の補修が容易であることは重要で、都市構造物は経年劣化に伴う補修は必須となる。この補修が都市の寿命を決定する場合が多い。また、新陳代謝を促して都市の活力を生み出す源泉ともなっている。いにしえから、人類は多くの都市を建設してきた。また、多くの都市が補修の負担に耐え切れず放棄されてきた。現在でも世界の大都市で補修が追いつかず都市機能の低下や事故が誘発され危険と隣り合わせの都市生活を余儀なくされる事例もでている。都市機能を支えるためにも補修という要素の計り知れない重要性を持っている。



 第二に液体の浮力による地震備えがある。これは、ビルを地下部分を水没させその浮力を利用して地震の揺れを吸収しようとする方法で、パーシャルフロートとして清水建設が開発した技術である。この技術をビルではなく備災都市に活用しようとするものである。

 具体的には、備災ブロックで300mから500m程度の都市ブロックを構築し、その都市ブロックを免震ゴムで支え、且つ、水を注入して都市ブロックを浮かせた構造とするのである。杭を岩盤まで打ち込めば液状化対策にもなり、湿地帯など従来活用が制限されていた土地も有効活用が可能となる。都市ブロック間は水路となり、新たな水上交通手段にも活用できる。かつて、運河や水路による水上交通が主力であったが、現在は他の交通手段に置き換えられている。しかし、都市部の道路状況(渋滞等)を考えると、水上交通も捨てがたいものがあり、代替手段として備災都市では有効に機能するものと考えられる。

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No.1(2012/03/24)
                           備災都市計画
                         (八備、後備、絆備)
備災都市推進委員会
 創発マネジメント研究所 河地 治雄
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 日本は、規模の大小を問わず様々な自然災害が発生する国土である。昨年も世界中に衝撃を与えた東日本大震災をはじめ、集中豪雨による水害、さらに過去を上回る豪雪など、まさに自然災害のオンパレードと言った感があった。地理的条件もあり、日本は古来から自然災害と向き合って生きていく宿命を背負っているのかもしれない。東日本大震災の復興でも取りざたされている「スマートシティ」について少し考えてみたい。この「スマートシティ」であるが、何を意味するのか実態がよくわからない。一般的には「環境配慮型都市」を意味して、都市インフラをIT制御で最適化し効率のよい都市運営を目指すことで環境負荷の軽減を目的としているようである。日本ではエネルギー効率に重点が置かれすぎていると言われている。しかし、昨年の国内での様々な自然災害を考えると、日本の都市計画では、「環境配慮型都市」ではなく「備災都市」が本来目指すべき方向ではないかと思う。環境に配慮したところで自然災害にみまわれガレキの山を排出しては、何のための環境配慮なのか分からなくなる。環境配慮以前に災害に備えた「備災都市」、これが本来、日本の進むべき道である。

 では、どのような自然災害に備えるのであろうか。「備災都市」では、自然災害等の発生を前提とし、かつ、自然災害以外の都市機能に悪影響を及ぼす事項を含めた以下の備えがある。

  ☆八備(はちぞなえ):前備(まえぞなえ)
   ①震備(ふるえぞなえ):地震によるゆれや地割れなど地震への備え
   ②水備(みずぞなえ):水害(洪水)、津波、渇水など水への備え
   ③火備(ひぞなえ):火災や火災旋風など火への備え
   ④山備(やまぞなえ):土砂崩れ、山津波、土石流、噴火(溶岩、火山灰、火砕流)など山への備え
   ⑤天(風・雪・雷)備(あまぞなえ):強風(突風)、竜巻、雪害(豪雪)、落雷の備え
   ⑥犯の備え(はんのそなえ):空き巣、放火などの犯罪への備え
   ⑦染の備え(せんのそなえ):感染症、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、放射能汚染など汚染への備え
   ⑧御の備え(ぎょのそなえ):システム障害、コンピュータウィルス、不正アクセス、サイバーテロなどITインフラへの備え

 事前の備えとして「八備」を挙げたが、事前の備えだけでは片手落ちである。自然災害は必ず発生する、発生への備えだけでは心もとない。発生後の備えも必要である。そのための備えとして以下のものがある。「後備」は、自然災害等によって失われた生活基盤や都市機能などを一時的に補完するための備えである。恒久的な復興までは想定していない。

  ☆後備(あとぞなえ)
   ①遠交中交近交:都市間の備災協定
     ・遠交:後方三角協定(500km以上、南北協定)
     ・中交:即応三角協定(300km以内、東西協定)
     ・近交:緊急三角協定(100km以内、県内協定)
   ②拡大遠交中交:遠交中交近交を補完する補助協定
   ③ブロック協定:道州制のようなブロック単位での備災協定、大規模災害に発動

 「八備(はちぞなえ)」にしろ「後備(あとぞなえ)」にしろ、物資(ハードウェア)の備えといった側面が強い。都市に住む住民の人間関係についても言及する必要がある。昨今、特に都市部では人間関係が希薄となり、かつての日本社会では考えられなかった乳幼児の放置や高齢者に限らない孤独死が報じられている。高齢化社会への移行などを踏まえて、災害発生時の社会的弱者への配慮は不可欠である。以前、大島の三原山噴火の際、全島民に避難命令が発令され、1万名もの島民避難をわずか1日で成し遂げ、世界を驚かせた。この時、地元の消防団員たちが高齢者の居場所や状況を把握していたことが幸いし、日頃の信頼関係もあり、当初は避難を渋った高齢者を説得し、円滑な避難活動につながった。備災都市でも、環境配慮以前に、社会的弱者にやさしい都市であることが重要である。ハードウェアをいくら充実させても人間関係が殺伐とした都市では、活きた都市とは言えない。人間関係への備えとして以下のものがある。
 
  ☆絆備(きずなぞなえ)
   ①移動拠点(OASYS)
   ②存在確認

 備災都市に具備される備えとして、「八備え」「後備」「絆備」がある。その土地の気候風土によっては、必要のない備えもあると思う。従って、それぞれの備えから取捨選択してその土地で適した備災都市の建設を目指すべきである。

各備えの具体的な実現方法については、次稿以降で考える。