概要
このウィルスはアンブレラ社創立以前に、ジェームス・マーカスとその助手であるブランドン・ベイリーらにより発見されたRNAウイルスの一種「始祖ウィルス」をベースとし、様々なウィルスの遺伝子を組み込むなどして作り出された変異体である。「T」は「Tyrant」(タイラント:暴君)の頭文字から取られている。色は緑(映画版では青)。
マーカスがアークレイ山地の幹部養成所で所長を務めていた頃、その立場が始祖ウィルスを研究するのに都合の良いこともあって、マーカスはヒルに着目しT-ウィルスの第1号を生み出した。ヒルは寄生や捕食、繁殖を繰り返し行う生物であり、マーカスはこの生物自体を生物兵器として優れていると考えた。そして1978年2月13日に実験体のヒル4匹に始祖ウィルスを投与し、それからヒルの肉体肥大化・知能向上・集団による捕食やマーカスの姿への擬態という変化が発生。これで糸口を掴んだマーカスはヒルの体内で生み出された、始祖ウィルスとヒルのDNAが組み合わさった変異体のウィルスを「T-ウィルスの第1号」とし、さらなる研究のために何人もの人間をモルモットにしていった。
その後T-ウィルスはマーカスの手を離れ、ウィリアム・バーキンやアルバート・ウェスカーなどの手によって量産され、ラクーンシティだけではなく南極研究所やシーナ島など、各地にあるアンブレラの研究所で実験・改良が進められていた。
性質
感染経路
T-ウィルスは非常に強い感染力を持ち、空気感染・水を汚染することによる経口感染・血液感染など、あらゆる経路で拡散する。ただし変異性が高く、広がっていくうちに感染力が弱まる傾向にある。基本的に空気感染を起こすのはウィルスが拡散した初期の段階であり、生物に感染した後は血液感染など感染者の体液が血液内に入ることで感染を広げる。たとえそれが爪で引っかかれるなどの微量なかすり傷でも感染する。症状が現れるまでの時間は個人差が大きく特定できないが、感染者の肉体が弱っているほどウィルスの活動が活発になり、発症が早まる。ゾンビに襲撃されたなど瀕死の人間などはごく短時間でゾンビになってしまうため、ひとたび流出すれば、洋館事件やラクーンシティ、シーナ島などのような大惨事に直結する。1998年9月にラクーンシティで発生した大規模なバイオハザードの場合、下水道に流出したウィルスにまずネズミが感染し、そこから爆発的に感染者が広まっていった(ラクーン警察署であれば、下水道経由で侵入したウィルスに犬舎のドーベルマンが感染し、そのドーベルマンが飼育担当者に怪我をさせたことが署内で感染者の広がるきっかけとなった。
感染性
感染対象は動物に留まらず、植物でも感染して変異を引き起こす。万一ウィルスに感染しても、早期にワクチンを投与すればゾンビ化を免れることがある。脳細胞を侵食された場合は救う手立てはなく、脳を破壊するなどの直接的な攻撃で活動を停止させるしかない。ワクチンの効能だが感染度合いでは、投与しても効果が現れずゾンビ化することもある。映画版の例として、レインの場合は短時間で4箇所以上噛まれ、約30分ほどで嘔吐を伴う全身疲労が現れ、約50分経過あたりで抗ウイルス剤を投与するもゾンビ化した。カルロスの場合は1箇所噛まれてから約3時間で発熱などの風邪の初期症状が出始め、後に抗ウイルス剤を投与してゾンビ化しなかった。ただし、抗ウイルス剤によって体内に抗体ができる訳ではないのか、投与の数年後に噛まれたことで再び感染している。若干の差はあるものの、対象となる物の性別、年齢などは関係なくウィルスの侵食を受ける。感染の症状の1つとして長期の仮死状態に陥るため死後に死体が生き返るかの様に見える場合が多いが、通常は既に死亡している生物に感染することは少ない。ただし映画版やロックフォート島でのバイオハザードにおいて、死後かなりの時間が経過していると考えられる墓場の死体がゾンビ化している事実から、場合によっては完全な死体にも影響を及ぼすことがある。また、感染が広がっている環境下や高濃度のウィルスに直接感染した場合は、即死に近い状態からでも発症する場合がありうる。例えば、S.T.A.R.S.のブラッドは、『3』においてネメシスにより脳を破壊されたが、肉体は生きていたため、触手から入り込んだ高濃度のウィルスによりゾンビ化している。
ウィルス抗体
遺伝子による相性が原因で、T-ウィルスに対する完全な抗体を持った人間が存在する。これは、例えどんなに遺伝子研究を進めても性質を改善する事は不可能であると立証されている。ゲーム本編の主人公達がワクチンを投与していないにも関わらず、ゾンビなどのT-ウィルス生物の攻撃を受けても感染しないのは、この抗体を持っているため(例えば『0』のイベントシーンでも、マーカスのヒルに襲われた犠牲者が高確率でゾンビ化してしまった中、レベッカは同じように襲われても感染しなかった)。ただしそういった人間でも、ネメシスの攻撃を受けたジルのように濃度の高いT-ウィルスを直接体内に送り込まれると、感染してしまう場合がある。アンブレラ社や各所の研究機関においてワクチンが開発されており、事前に投与しておけば感染を防ぐことができる物、一時的に体内のウィルスの活動を抑制する物、感染したウィルスを駆除する物等が作り出されている。中でもラクーン大学で開発された「デイライト」は、抗体のない人間でも即座にT-ウィルスを死滅させ、さらに以降の感染も防ぐことが出来る。ウィルスに感染した生物に対し投与すれば、その場でウィルスが死滅し、即死する。しかしT-ウィルスは変異性が強く、抗体を投与されている人間でも汚染された水を摂取したり、死に瀕した場合などに発症してしまうケースも存在する。また、『バイオハザード3』において、ラクーン病院の医師や職員の決死の奮闘の結果、未知のウィルスがいわゆる奇病の原因となっていることを突き止め、中和剤を開発する寸前までになっていた。担当医師がウィルスに感染してしまったため彼らの手で完成することはなかったが、後にこの中和剤はウィルスに感染したジルに対し、カルロスの手で使用された。ラクーンシティ崩壊事件から数年後、ウィルファーマ社が極秘でT-ウイルスのワクチンを開発、製造していた。空港でテロリストによるT-ウイルス流出事件が発生した際、同社は社内に備蓄されていた物を含めた全てのワクチンを現場に輸送したが、テロリストにより全て爆破された。しかし開発データはレオン・S・ケネディに回収された描写があるため、ワクチンの製造は現時点でも可能である。ちなみに、T-ウィルスより上位に位置するG-ウィルスやT-VeronicaはT-ウィルスを完全に無効化し、影響を一切受けない。特に具体的な「T」の抗体としての位置付けでもある「G」、およびそれを生物に投与し誕生するG生物は「T」に汚染された生物を食らい養分としても特に問題は無く、それどころかG生物化したウィリアム・バーキンは「T」の入ったアンプルを踏み躙り、それ以降は見向きさえしなかった。また、この二種を組み合わせた「T+G」ウィルスも開発された。なお「G」とはまた別に、ジルの体内で生成された強力なT-ウィルス抗体は「始祖」の毒性を抑える程の効力を発揮し、「ウロボロス」ウィルスの開発に利用されている。これらの事例から新たな脅威となるウィルスの誕生にもT-ウィルスが深く関わっている。
完全適応者
上記の様にウィルス抗体を持った人間は存在するが、さらにT-ウィルスに対して完全に適応する者も存在する。作中ではセルゲイ・ウラジミールが該当している。このタイプに分類される場合、脳に障害を及す(知能の低下や自我を損失する)事無く肉体の強化が可能で、更に自身の意志で肉体のリミッターを外し、タイラントなどに見られる劇的な形状変化(スーパー化)も可能である。ちなみに変態後の姿は、その人間の意志がある程度反映されると言われている。なお、このような人間の存在が、アンブレラがタイラントを開発するきっかけとなった。
感染による主な症状
初期症状
感染者の初期症状は、全身の痒み・発熱・意識レベルの低下。その後、大脳新皮質の壊死に起因する、知性・記憶の欠如と代謝の異常による食欲の増大を引き起こす。知性・記憶の欠如を如実に表す事例として、手紙や日記を書けても、日付欄に本文の一部が入ったり(欄を間違えても気付けない)、日付を書かなくなったり(何日か思い出せない)、誤字・脱字が多くなったり(誤字・脱字があることに気付けない)、平仮名を多用するようになる(英語では単語の羅列になる)。
発症後
知能の低下と代謝促進から来る飢餓感のため、感染者は食欲を中心とした本能的行動をとるようになる。作品中ではこの状態のことを便宜的にゾンビと呼ぶ。体内の細胞が活性化し、既に死滅した細胞でさえも蘇り感染者は異常な耐久性を有することになるが、それに伴い新陳代謝も加速するため、十分な栄養を摂取できない場合は体細胞の分裂と壊死のバランスが合わなくなり、筋力の衰えによる運動能力の著しい低下から始まって体が腐り落ちてしまう。また、喋ることができても、本来話そうとした言葉の1割ほどしか正確に発音できなくなる。さらにT-ウィルスの変種体は宿主の意識がなくなって休眠状態に陥ると体組織の再構築を行う。その際細胞を再び活性化させ、体組織自身の改造をも行い、俊敏性の上昇とさらなる凶暴化をもたらす。この現象は研究員により「V-ACT」と命名された。V-ACTの発生を防ぐ方法は、頭部の破壊か死体を焼却してしまうこと。V-ACTが発生したケースは今のところゾンビにのみ確認されており、この現象の起きたゾンビは「クリムゾン・ヘッド」と呼ばれる。これら変種体にあたる系統の最も恐ろしい性質は「本能的に「敵」と認識した者を完全に排除するまで、何処までも追跡し続ける」ことにある。一旦ゾンビ化してしまうと、もはや安楽死させることはできず、銃などで殺すしかない。『3』に登場する病院の医師が残したファイルによると、この状態では医学的には既に「死んでいる(生ける屍)」状態である、との見解が示されている
これが実際のTウイルス