【菊芋が『健康野菜』といわれる理由】

~菊芋の効能~





菊芋が『血糖値のコントロール』や『便秘解消』に役立つ、と言われます。


それは、乾燥菊芋の約60%をイヌリン(水溶性食物繊維)が占めているからです。



《イヌリン【水溶性食物繊維】の働き》

1、血糖値の上昇を穏やかにする

水溶性食物繊維は、水分を含むとゲル状になって、余分な糖質やコレステロール、塩分などを包み込み、吸収をブロックします。その結果、血液中に吸収される糖が減るので、血糖値の上昇が穏やかになります。

血糖値を下げるわけではありませんが、そうした効能から菊芋は『畑のインスリン』などと呼ばれることがあります。


イヌリン自体、糖質ですが、人の体内にはイヌリンを分解・吸収させる酵素がないので、たくさん食べても血糖値に影響しません


2、善玉菌のえさになり、善玉菌を増やす

イヌリンは、腸に運ばれると「フラクトオリゴ糖」に分解されて、ビフィズス菌など、善玉菌のえさになります。

善玉菌の成長を促し、増加させるのですが、悪玉菌(ウェルシュ菌)のえさにはならないので、腸の中は、ビフィズス菌が優勢になります。


3、便を軟らかくして、スッキリを応援

食物繊維の中でも不溶性食物繊維は便のカサを増やし、腸を刺激することで便秘解消に役立ちますが、水分不足だと硬い便が増え、かえって便秘が悪化することがあります。

一方、水溶性食物繊維は便を軟らかくして、便を出しやすくしてくれます。

便秘解消のためには、不溶性と水溶性の2種類の食物繊維をバランスよく摂ることが必要です。


※アレルギーについて…イヌリン(高濃度で抽出したもの)は、水分を含んでゲル状になると脂肪に似た状態になるので、低脂肪の食品などにも用いられており、イヌリンを含んだマーガリンによるアレルギーの事例が報告されています。イヌリンはごぼうや玉ねぎなどにも含まれていますし、アレルギーについても「ごく稀に」ということですが、気になる方は使用をお控えください。


※食物繊維の中には、カルシウムなどのミネラルの吸収を阻害するものがありますが、イヌリンには、カルシウムの吸収を促す働きがあるとの研究結果が栄養学の専門ジャーナルに発表されています(J.Nutr.2007 137:2208-2212)。



菊芋の素晴らしさは「イヌリン」だけじゃありません。



菊芋が「健康野菜」と言われるのは、


イヌリンと豊富なミネラル・抗酸化物質との相乗効果が期待されるからです。



《亜鉛の働き》

亜鉛は、インスリンを分泌するすい臓や、インスリンそのものの働きを助けたりする大事なミネラルです。

また、皮膚の活性酸素(老化のもと)を除去し、老化を防いだりする働きをする酵素『SOD』も亜鉛により働きます。亜鉛は、肌の新陳代謝を促す働きもするんですね。

海外では、「セックスミネラル」と言われ、男性機能を応援したり、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌や働きもサポートします。


《セレン/ポリフェノールの働き》

セレンやポリフェノールには、亜鉛とともに「抗酸化作用」があります。

…亜鉛は、老化やがんの原因ともされる「活性酸素」ができる前段階で、それを抑制する作用をします。

…ポリフェノールやセレンは、できてしまった「活性酸素」を直接分解する作用をします。

《カリウムの働き》

カリウムは、ナトリウム(塩分)の排出を促します。日本食では、なかなか塩分を控えるのが難しいため、最近は、カリウムの摂取による高血圧の予防が提唱されています。

このように、野菜の中でも断トツに多い「イヌリン」【水溶性食物繊維】と

ミネラルや抗酸化物質の相乗効果が

『菊芋』が健康野菜といわれる所以です。

いいこといっぱいの『菊芋』を、毎日の食生活にプラスしましょう。







Q. 菊芋が『天然のインスリン』『畑のインスリン』といわれるのはなぜですか?


A.まず、『インスリン』というのは、食事などで血糖値が上がると、すい臓から分泌される、
血糖値を下げる働きをする唯一のホルモンです。


菊芋に血糖値を下げる働きがあるわけではありませんが、
菊芋に含まれる「イヌリン」が血糖値の上昇を抑えてくれる働きをしてくれます(※)。

『菊芋は、インスリンのような役目をしてくれる』ということで、
『天然のインスリン』『畑のインスリン』言われることがあるようです。

※一度上がった血糖値を下げる、という働きではなく、
『血糖値を上がりにくくする、血糖値の上昇を穏やかにする』という働きです。



【血糖値が上がる仕組み・下がる仕組み】


食事で摂った糖質は、様々な臓器を通るうちに分解され、
分子1つだけの単糖類(ブドウ糖)になります。

ブドウ糖になると、吸収されて血液に流れ、血液中の糖の濃度が上がります。

これが『血糖値が上がる』ということです。



まず、糖質とは何か、見てみましょう。





糖質とは、簡単に言うと、「炭水化物のうち、食物繊維以外のもの」、ということになります。




ブドウ糖(吸収された糖質)は、エネルギー源として体のいろんなところに運ばれます。

ブドウ糖がいろんなところに運ばれると、血液中のブドウ糖の値(血糖値)は下がります。

仕組みを見てみましょう。






【インスリンの働きと血糖値】

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。

※もともと人間はその日の分を食べるので精一杯で、体の中に栄養を必要以上にため込むことをしなかったため、血糖値をわざわざ下げるホルモンは必要なかったんだそうです。


また、ブドウ糖が余るとそれらを「脂肪細胞」に運んでため込もうとするので、
「肥満ホルモン」とも言われています。



インスリンの働きが悪かったり、
糖の量が多すぎると、血糖値が急激に上がり、
下がりにくくなります。→糖尿病

糖の量が多すぎると、脂肪細胞がたまっていきます。→肥満



【血糖値の上昇を抑えてくれる菊芋と桑の葉】


血糖値の急な上昇を抑えるためには、
糖の吸収を抑えることが必要です。

そして、糖の吸収を抑えるために必要なのは

    ●糖質制限【食べる糖質の量を減らす】こと

    ●摂取した糖質が、分解されないようにすること

そこで役に立つのが、菊芋の「イヌリン」桑の葉の『DNJ』です。


■菊芋の「イヌリン」が、糖質の分解をブロック

菊芋には「イヌリン」という水溶性食物繊維が多く含まれています。

「イヌリン」は、

①それ自体、吸収されず、

②さらに胃でゲル状になり、
一緒に摂った余分な糖質・塩分・コレステロールなどを抱き込んで腸へと運び、
それらの分解を邪魔する、という働きがあります。

これにより糖の吸収を抑え、
血糖値の上昇を抑えて(穏やかにして)くれる
んです。



■桑の葉の「DNJ」が、分解酵素の邪魔をする

桑の葉に含まれる「DNJ」という成分は、
小腸の壁にくっついている「α‐グルコシダーゼ」(糖を分解する酵素)の働きを邪魔します。

菊芋とは違う方法で、
糖の吸収を抑えてくれる
ことが分かっています。




Q.日常的に菊芋を取り入れる方法は?


A. 乾燥菊芋(菊芋粉末、菊芋茶、菊芋チップスやサプリ)がおススメです。



【イヌリンは、貯蔵に弱い】

菊芋の収穫期は11月ごろから3月ごろまで。

でも、収穫期であっても、スーパーや八百屋さんで生の菊芋を見かけることは、
あまりありませんよね。
(熊本の『道の駅』などでは、見かけることはありますが…)

生産者がまだまだ少ない、ということもありますが、
実は、菊芋は貯蔵に弱い野菜、ということもあるようです。

正確に言うと、

『菊芋に含まれるイヌリン』が、貯蔵に弱いんです。

菊芋には「イヌリン分解酵素」があって、
菊芋を収穫して光に当てると、菊芋自身の持つ「イヌリン分解酵素」が
イヌリンを分解していきます。

つまり、貯蔵期間が長いほど、イヌリンが減っていくということ。

菊芋(イヌリン)は「鮮度が命」
ということです。

だから、菊芋は新鮮なうち(収穫後すぐ)に乾燥加工して、
乾燥チップスや粉末、菊芋茶、サプリメントなどにして摂取するのがおススメ
です。



でも、熱を加えても、いいの?】

一方で、「菊芋を加熱すると、せっかくの栄養が壊れるんじゃないか?」との
質問をお受けすることがあります。

確かに、カリウムやビタミンCなど、熱に弱い栄養素もありますよね。

では、菊芋の主成分であり、その特徴とも言える
「イヌリン(水溶性食物繊維)」はどうでしょう。
熱により、分解されてしまうのでしょうか。

菊芋と同じキク科の植物で、イヌリンを含む「ごぼう」や「チコリ」によるイヌリンの変化についての報告があるので、紹介します。


これらの報告によると、通常の状態では、
加熱によるイヌリンの変化はあまりないようですね。

気にしなくて良さそうです。

※例えば、酢豚などのように、
お酢を加えた(酸性の)状態で加熱した場合には
イヌリンの分解が進むようですが、
熱を加えない酢の物などに入れる場合は心配ないようです。



【加熱によりポリフェノールが増える】

菊芋にもごぼうにも、
抗酸化作用(老化やがん防止に役立つ)のあるポリフェノールが含まれていますが、
こんな報告もあります。




なかなか、興味深いですね。



※菊芋にはカリウムなど、熱に弱い栄養素も含まれています。それらについて分析は行っていませんが、加熱による減少は想像できます。残念ですが…



【菊芋に熱を加えるもう一つの理由】

菊芋は土の中で育った根の部分を食します。だから、特に土壌菌や大腸菌が心配。


例えば、病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌・O157,O111)は、30~40℃で増殖します。

ちょうど大腸の中の温度が大好き。

一方で、それらの菌は75℃1分間の加熱で死滅するそうです。
(腸炎ビブリオは、60℃で10分間の加熱、
サルモネラ中毒菌は、60℃で20分の加熱で死滅)


菌を殺すには、菊芋に熱(75℃以上)を加えるのが有効なんですね。


菊芋商品を販売しているお店で「低温乾燥しています」と言っていること路も見かけます



一部の栄養素を残すためには「低温乾燥」がいいのかもしれませんが、
イヌリンをとる目的なら、『殺菌』『滅菌』のために、
ある程度(75℃以上)の加熱処理をしたほうがよさそうです。