Simmondsia Chinensis
Simmondsia Chinensis (Jojoba) Seed Oil
ホホバオイルって何?本当に効果あるの?科学的エビデンスを調べました
化粧品の含有成分としてよく見かけるようになった「ホホバオイル」。
・肌を保湿してハリ潤いをもたらす。
・日焼け防止、アンチエイジング。
などなど、肌に関してとても多くの効果・効能を持つと言われています。
しかし、まだあまり馴染みがなく
・ホホバってどんな植物?
・ホホバオイルってほんとに効果あるの?
など、疑問をもっている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「ホホバの性質」と「ホホバオイルがもつ効果・効能」について、学術論文を中心に調査しました。
調査を進めるうちに、ホホバには他の植物がもっていないユニークな特徴があり、この特徴がホホバオイルの肌への効果を発揮する源であることがわかりました。
このユニークなホホバオイルの効果のヒミツを探っていきましょう。
原産地はアメリカ南西部の砂漠地帯。過酷な環境で育つ植物「ホホバ」
ホホバの原産地はアメリカ南西部のソノラ砂漠周辺の乾燥地帯です。1)
かつて、ホホバの生産は原産地周辺のアメリカ南西部だけでおこなわれていましたが、今では環境が似ているオーストラリアの乾燥地帯やイスラエルなどでも商業的に栽培されています。
ホホバオイルの種類。ゴールデンとクリアの違いは?
ホホバオイルの正式名称は【ホホバ種子油】です。
その名の通り、この種を絞ってホホバ種子油はつくられるのですが、その精製方法の違いによりゴールデンホホバオイルとクリアーホホバオイルに分けられます。
・ゴールデンホホバオイル
ホホバの種から低温圧搾法※1)で抽出されてつくられます。
抽出後に濾過などの精製過程がないため、ホホバオイルそのままの黄金色とホホバ独特の香りが残っていて、自然に近い状態のホホバオイルを感じることができます。
(※1:低温圧搾法とは、原材料から油を抽出する際に、熱を加えずにゆっくりと60度以下で圧力をかけることによって搾る方法です。)
・クリアーホホバオイル
こちらも低温圧搾法で抽出されたのち、濾過などの精製が施され、色と香りが除去されます。(一般的なクリアホホバオイルの製造法です。)
ホホバ独特の香りと色がなくなり、化粧品の材料として使いやすくなるというメリットがあります。
200 年以上前から肌のトラブルに使われてきた、ホホバオイル
ホホバの原産地であるソノラ砂漠に住むネイティブアメリカンは、昔からやけどの治療にホホバ種子からつくられた軟膏を使っていたという記録があります。3)
昔の人は経験的にホホバ種子油が肌トラブルの改善に効果があることを知っていたのかもしれません。
さらに、科学技術の進歩とともに、ホホバ種子油について様々なことがわかってきました。
ホホバ種子油は油ではなくワックスだった
ゴマ油や菜種油、ヒマワリ油に見られるように他の多くの植物は、その種子のなかに油(油脂)のかたちで、発芽のためのエネルギーを蓄えています。
ホホバ種子油も、液体でオイルのような手触りをしていることから油と思われてきました。
しかし、分析の結果、ホホバオイルは油【油脂】ではなく液状の蝋(ろう)【ワックスエステル】であることが明らかになりました。1)
ホホバは種のなかに、油脂ではなく液体のワックスエステルとして発芽のためのエネルギーを蓄えていたのです。
なぜ、ホホバがワックスエステルの形でエネルギーを貯蔵しているかはわかっていませんが、ワックスエステルは油脂と比べて非常に安定していて、外部環境の影響を受けにくいという特徴があります。
砂漠という厳しい環境の中でも安定してエネルギーを貯蓄するため、ホホバは油脂ではなくワックスエステルを選んだのではないでしょうか。
(油脂とワックスエステルの違いについては下記詳細を参照。)
ワックスエステルは肌の表面にバリアをつくって肌を守る
自然界でのワックスエステルは、植物では果皮、動物では皮膚や毛などの体の表面に存在し、乾燥や紫外線など外部からのストレスから身を守っています。【4】
私たち人間を含む哺乳類では、ワックスエステルは皮脂の構成成分として皮脂腺から分泌され、肌や髪の毛の表面に薄い膜をつくっています。
(皮脂にはワックスエステルが約 25 % 含まれています。4))
このワックスエステルの薄い膜がバリアとなり、乾燥や紫外線などの外部からのストレスから体を守っているのです。5)
皮脂のワックエステルとよく似たホホバのワックスエステル
ホホバ種子油から採れるワックスエステルは、皮脂ワックスエステルと同じように乾燥や紫外線から身を守る効果をもつことが明らかになっています。6,7)
皮脂ワックスエステルとホホバワックスエステルは似た構造をしていることから、人工の皮脂をつくる研究では、皮脂のワックスエステルの代わりとしてホホバオイルが使われています。19)
ホホバオイルがよく肌になじみ、保湿剤や日焼け止めに使われ効果を発揮するのは、皮脂のワックスエステルとよく似ているからなんですね。
近年では、ホホバの肌への効果として、乾燥や紫外線から守るバリア効果以外にも、抗炎症や抗酸化、アンチエイジングなど様々な機能が解明されてきています。
【科学的エビデンス】ホホバオイルの6つの効果
1.【保湿効果】 肌の潤いを増加させ、肌触りを良くする。
ヒトを対象にした実験では、ホホバワックスエステルから作られた保湿剤とグリセロールの混合物が肌の保湿力を高め、また、スキンケアやヘアケアの製品にホホバ保湿剤を加えるとその製品の肌触り・質感をよくすることができるということがわかっています。6)
2.【日焼け止め・アンチエイジング効果】:紫外線による肌の光老化を抑制する。
紫外線が肌にあたると、皮膚のコラーゲンを分解する酵素、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)が増えて、コラーゲンが分解され、肌のハリや潤いが減少することがわかっています。(光老化)。
ホホバオイルをベースにした調合基材を使った実験では、紫外線による MMPs の増加を抑制する結果となりました。
このことから、ホホバオイルは紫外線によるコラーゲンの分解を抑え、肌の光老化を抑制できる可能性があると考えられています。8)
コラーゲンの分解を抑えて、肌のハリや潤いを保つ、ホホバオイルのアンチエイジング効果が期待されています。
3.【高い保存性、強い抗酸化力】:ホホバオイルは天然の防腐剤。
ホホバオイルには、ワックスエステル ( 97 %)、油脂( 3 %)、その他微量の植物ステロールやトコフェロールが含まれています。(5)
ワックスエステル自体が安定で極めて酸化されにくく、さらに、酸化しやすい油脂が 3 % と少量しか含まれていないので、ホホバオイルは防腐剤を使わずとも長期保存が可能です。9)
また、天然の抗酸化剤といわれるトコフェロールも含まれているため、他のオイルと混ぜた場合その混合オイルの品質保持期間を長くすることができます。1)
4.【抗炎症作用】:肌の炎症を抑える。
薬品を用いて炎症を引き起こしたラットの皮膚に、ホホバ種子油を塗布してその影響をみた実験があります。
結果として、ホホバオイルは見た目にも炎症を抑え、炎症関連分子(PGE2,NO,TNF-α)レベルも減少させたことから、抗炎症作用を有する可能性が示されました。10)
しかし、ホホバ種子油のどの成分がこの抗炎症効果を発揮しているのかはまだわかっていません。今後の研究が期待されます。
5.【抗菌作用】:細菌の増殖を抑制する
ホホバオイルとティーツリーオイルの混合物が、黄色ブドウ球菌や緑膿菌など肌に悪影響をあたえるとされる細菌の増殖を抑えることがわかっています。11)
6.【創傷治癒効果】:傷の治りを早くする。
ヒトの肌の細胞を用いた実験では、ホホバオイルの毒性は極めて低く、繊維芽細胞からのコラーゲンの合成を促進して傷が塞がることを助けるという結果が得られています。12)
このことから、ホホバオイルは肌の傷の治りを早くする可能性があり、創傷の治療薬としての応用が期待されています。
まとめ
ホホバオイルの効果のヒミツは、ワックスであることによるものでした。
その効果は、保湿や紫外線防御だけでなく、抗炎症、抗菌、抗酸化など非常に多岐にわたる優れた効果を持っていることがわかってきています。
ホホバオイルは、化粧品だけでなく医薬品への応用も期待されている万能オイルです。
参照:油脂とワックスエステルの違い
ホホバオイルは、液体であることからオイルと呼ばれていますが、科学的な分類では「蝋(ロウ)類」(ワックスエステル)として「油脂類」(オイル)とは明確に区別されています。
オイルとワックスエステルはどちらも、脂肪酸とアルコールからできていることは同じですが、それぞれの分子の形が異なるためその性質が違うのです。
ワックスエステル(ロウ類)
■ 高級脂肪酸と高級アルコールがエステル結合したもの。(高級とは炭素数が多いという意味)
■ 常温では軟らかな固体(ロウソクや蜜蝋など)ですが、ホホバオイルは 10 ℃以下で固体になる。
■ 極めて酸化されにくいので、長期の保存が可能。
■ ワックスエステル(ロウ)は消化できないので食用にはならない。(ホホバオイルも食べられません。)
オイル(油脂類)
■ 脂肪酸とグリセリン(3価アルコール)がエステル結合したもの。
■ 常温で液体のものを油(植物油など)、固体のものを脂(ラードなど)という。
■ 酸化により品質の劣化がおこるため、長期の保存はできない。
■ オイル(油脂)は消化できるので食用可能なものが多くある。
参考文献
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