人が辞める理由
エステを始めとする美容業界はとかく(ヒトの)回転が早いといわれています。 しかも経営者はその原因にまったく気づいていない。もしくは気づいていてもそのままにしてしまっている・・・。 バケツに穴があいている状態でいくらヒトを補充しても、どんどん穴からヒトが漏れていく-こんな状態です。
どんなに採用に力をいれても、いくら教育に力をいれても原因をつきとめて、その原因に合った治療を行わなければ同じことを繰り返します。
例えばお腹が痛いといっている人がいたとします。
この場合、痛みを止めるためのクスリを単純に飲んでもそれは表面的なものでしかないのです。 もしかしたら風邪でお腹が痛いのかもしれませんし、もしかしたら全く違う病気なのかもしれません。原因によって処置が変わってくるのです。
やめていく原因=バケツの穴が何かを知る事。
それによって穴を補修するしかないのです! しかも応急処置ではなく、完全にその穴をふさがないと同じことの繰り返しです。
参考までに、バケツの穴があく原因=やめていく原因を放置した場合、社員はいつやめていくのか?
その統計をご紹介しましょう。
どの時点で、バケツの穴から一番、水があふれだすのか?
つまり、やめていくのかというと、入社してから1年半ぐらいがピーク。
具体的な数値で説明しますと採用した人材の約2人に1人がやめている計算です。
また、1W以内の点線で囲んだ○囲み(推定)とあるのは、私たちがエステティシャンと接して 会話の中で感じた数値です。 ここ数年の大きな傾向として、短期間のもの(就業先)は履歴書には書かないことがあげられます。 彼女達と話していると『実は・・・』から始まる話が、本当に多いですね。(苦笑) 誰が決めたのかわかりませんが、勝手に自分たちの判断で行っているようです。(苦笑×2)
しかし、この就業から1週間は私たちの経験からも裏打ちがあるとういうか、十分に説明が出来ます。私たちの用語では通称『魔のDAY2』。
経営者がもっとも気をつけなければならない期間でもあるのです!
入社してから1週間を乗り越えると、次の大きな山場は入社してちょうど1年くらい。そして 最も大きな山場が(入社してから)1年半付近というのがデータから明らかになっています。 (地域格差等はあるかと思いますが覚えておいて損はないデータです。)
何が言いたいのかというと、
人材派遣会社が教える人材戦略でも採用は投資だという話(売上を上げるための人材採用&育成STEP3)をしましたが育成においても全く同じことが言えます。(社員がやめていくまでの平均的期間は非常に短いという意味合いです)
給料ひと月20万として、採用のための求人広告費を30万とすれば、
(給料20万×1年半)+求人広告費30万=390万。
交通費や保険を含めれば軽く400万を超えます。
400万ですよ。たった1年半で!
この400万という投資は十分に回収できた・・・と言えるのでしょうか? しかも、これはエステティシャン一人当りの金額です。二人いれば800万、三人いれば1200万・・・ いつまでも放っておくにはあまりにも大きすぎる金額です。
やめる原因を放置しておけば、
絶対という言葉は使いたくないのですが・・・ほぼ100%の確率で起こりえます。
なぜ社員が辞めていくのか
バケツの穴をふさぐ前に・・・どのようにしてバケツの穴が空くのか?、、、
結論から言えば、ヒト=社員がやめる原因は入社から育成段階でそれぞれに異なります。
人材マネージメントにおいて大きなヒントにしていただけるととても嬉しいです。
| ヤメタイ度 | レベル | 期間目安 | 仕事の内容 | スタッフの心理状態 | バケツの穴(緊急対策) |
入社直後 | 入社01ヶ月後 | 雑務やヘルプなど | 仮決め 自分に合うか(人間関係、知らないこと)心配である。 嫌ならやめてしまおうという意識である。 |
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見習い | 入社03ヶ月 | せまい範囲の業務 | 仮決め 不安 |
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新人 | 3ヶ月01年 | 一人で技術に入れる ようになる (確実性はまだ低い) | まだ不安定 続けていけるかどうか心配している。仕事をもっとまかされたい。 まかされたい気持ちが芽生えている。 |
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初級 | 1年02年 | 仕事が一人で 完遂できる | 職場として腹を決める。 自身が芽生え、客様から認められたい。 でも職場として先が見えないという将来への不安を抱える。 |
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一人立ち | 2年0 | 初級スキル卒業 新人に教えられる 任される範囲が 広くなる | 自信を確立する 待遇(給料)にこだわりを持つ 将来への不安がより強くなる 他社の技術に関心を持つ |
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図2(社員の入社-退社サイクル)をご覧下さい。
ヒト=社員が辞めていく原因、続かない理由を時系列にまとめてみました。
面接の段階では多くの場合、ヒトがやめる理由は個人の資質によるところが大きいですね。
入社初期の頃にばっくれたり、続かないのは採用されたスタッフに主原因があるということ。
そういったヒトを採用した面接・選考に問題ありということです。
すぐにやめてしまうようなヒトをわざわざ選んだり、質に問題があるヒトをわざわざ選んでいるということです。
絶対に採ってはいけないヒトって、信じられないくらい多く存在するんです!
どうして“わざわざ”選ぶのかは色々とあるのでしょう・・・。
□せっかく求人広告費をかけたのだからもッたいない
□誰でもいいから採用すればいいという発想
□明確な基準がない、その場のノリの選考方法
繰り返しになりますが、採用は投資です。
投資にはリターンがなければなりません。
誰を採るかで、サロンの未来が大きく変わります。
再度、図2に戻りましょう。
入社してからは、もっぱら環境条件に関するコトが重要になってくるのがおわかりになるかと思います。手塩にかけて育ててきて、さあこれから・・・という時にやめていかれてはホント、目も当てられません。日常に忙殺されてわかっていても環境を整えられていないのかもしれませんし、はなから環境には目が向かないのかもしれません。いずれにしてもこの環境条件が整っていないサロンが実に多いのです。
エステティシャンに退職理由を聞くと、表向き、よく使われる『キャリアアップしたい』という理由とは裏腹にその90%以上が環境条件によるものなのです。
表向き辞めたい理由はウソ・・・多分、おわかりになっていますよね。 スタッフからすればややもすると批判になってしまうので、仕方ないところなのかもしれませんが。
環境条件といっても、実に幅広く『これだッ!』と特定するのは難しいのですがエステティシャンからのヒアリングやアンケートによると次のようなものがあげられそうです。 経営者サイドにも言い分はあるかと思いますがまずは聞いてください。
エステティシャンの代表的な転職理由
- 労働条件 →残業代が出ない/帰宅時間がいつも遅い/休みが取りにくい(特に土日)
- 待遇 →給与が上がらない/給与UPの基準がない/賞与がない/保険がない/有給が使えない
- 方向性→自分は何を目指していいのか?わからない
→この会社にずっといて、将来の姿が見えない(先が見えない)
→自分にはもっと可能性がある →自分の方向性と違う - 教育体制→最低限の研修が必要十分にできているか?
→スキルアップのための制度はあるか? - 人間関係→特に上司(店長やオーナー)に対する想いとそのギャップ
- その他→リアリティギャップ(実際に働いてみるとイメージと違った)
→他社との比較や興味(隣の芝生は青く見える)
代表的なものはこんな感じです。
一言でいえば所属するサロンが『モチベーション』があがらない状態や体制だということです。
スタッフ(社員)がやる気になるための仕掛けがない状態と言えそうです。
(エステティシャンの話を聞けば)
1.~5.はスタッフが離脱するには十分すぎるほどの理由のようですが、特に大きいのは③方向性、そして公平性や基準のある待遇です。
- ビジョン(会社は何を目指しているのか?)
- キャリアパス(この先、ここで働いていくと何が得られるのか?=やりがい/成長期待)
- ポジション(自分の役割は何なんだろうか?必要とされているのか?)
ここを示してやらないと、スタッフは見る見る不安になって行きます。
最初は右も左もわからないから、ただ、言われることをやるだけで精一杯。
そのうち周りが見えるようになってくると、徐々に自信がついてきて、気がついたら(社)外のことも気になりだして比較しはじめます。そうなると、隣の芝生は青く見えるではないですが、自分のところのアラ(不安材料)が目に付くようになる・・・そうこうしているうちに、何が何だかわからなくなって何も見えない状態になる。
ポジションが変わっても、上がっても待遇にリンクしない。
どういう仕事をしたら、給与が上がるか明確ではない・・・。
こういった点がスタッフ離脱に拍車をかけています。
こういった気持ちが入社してから1年半ぐらいから2年ぐらいの間にやってくるのではないか?
エステティシャンの辞める時期の集中度合いから見るとこういった仮説を立てざるを得ません。
スタッフの離脱を最小限にするために
入社してからの時期によっての不安材料をあらかじめ理解しておけば、スタッフの離脱は最小限に 抑えられるはずです。そのための対策を最初から行うことをオススメします。
可能な限り長く、働いてもらうためにも『モチベーション』のケアをお願いします。
『モチベーション』を上げる方法はいくつもあるかと思いますが、その最も大切なポイントは 「持続できること」、「誰もが理解できること」、「目に見えること」の3点です。
是非、じっくりと考えて、ないのであれば作ってみてください。時間は多少かかってもこれは効きます。スタッフは直ぐには育ちません。
個人資質を補う環境を用意することの方が(育つのを待つよりも)時間的にはかからないでしょうし、無駄 は少ないと思います。
さあ、今すぐに現場がどうなっているのか?その目で事実を確認することから始めましょう!