2011年7月

先々週、グラクソさんの“ザイザル”の説明会・講演会で、京都府立医大の加藤先生によるアトピー性皮膚炎の講演会に参加しました。

角質層バリアのなかで、角質細胞どうしを接着する“コルネオデスモゾーム”という接着分子と、それを分解するプロテアーゼ、さらにそのプロテアーゼの働きを阻害するLEKTI(プロテアーゼ阻害物質)が存在します。アトピーの方では、そのうち、プロテアーゼ(角質接着分子を分解するもの)が増加していたり、LEKTI(プロテアーゼ阻害物質)が減少したりしていることが分かってきました。それにより角質接着分子を分解する働きが進みすぎてしまい、角質細胞の接着が弱くなって様々なアレルゲンが侵入しやすくなってしまうのです。

乳幼児では、首や関節部などのしわに汗やヨダレなどがたまって炎症が起こったり、その炎症によって角層のバリアが障害された皮膚から食べ物のアレルゲンが侵入して感作され、乳児の食べ物アレルギーを起こすといわれています。
乳幼児の頃から、しっかりと保湿スキンケアをするだけでなく、皮膚の炎症をコントロールして角層のバリアを乱さないことが重要なのではということでした。

また、アレルギー疾患がない子供でただ皮膚がカサカサしている状態であってもIgE値の上昇がみられたり、6年間follow upしたデータでは、カサカサ肌の子のうち、8%がアトピーを発症し、39%がアレルギー鼻炎を発症するそうです。このような、ただのカサカサ肌の子供にスキンケア指導をきちんと行うことによって、将来のアレルギーを予防出来るのでは、と思われます。

以前、“脱ステロイド・脱保湿”をうたう皮膚科の先生の本を読んだことがありますが、様々な意見があり患者さんが惑わされやすい現代の中で、皮膚科医がきちんと正しい情報提供・また指導をしなければ、と、講演を聞いて改めて気を引き締めました

先日、鳥居薬品の新人の方がゼフナートクリームの商品説明(の研修?)にいらっしゃいました。

顕微鏡で白癬菌が陽性だった場合、爪におよんでない場合、外用薬をまず処方して毎日外用していただきます。
水虫菌の発育を阻止する効果を示す最小発育阻止濃度(MIC)、
水虫菌を殺菌する効果を示す最小殺菌濃度(MCC)
これらを参考に効きやすさを判断しますが、ゼフナートクリームは殺菌する濃度(MCC)が低く殺菌力が期待できる点、MICとMCCが接近していて、外用を続けると殺菌的に作用する点が特徴です。殺菌的に作用すれば短期間で治癒が期待できる点が売りの薬です。

ということは、他の今までの薬は発育阻止は出来ても水虫菌を殺菌する力は弱いのかしら、もしくは時間がかかる、ということなのでしょう。患者さんからもよく、“水虫はぬっても治らないんですよね。”とよく言われますが、なかなか良くならないで挫折して中断してしまったり、治ったと思ってすぐ塗るのをやめてしまったりということでまた再発してしまうのが原因と思われています。このような殺菌的な薬を外用していただき、臨床的によくなってもしばらく、1~2ヶ月外用を続けてもらうようにお話することで、最近は“そんなことはないですよ、治りますよ”ということができます。
最近ではゼフナートクリームには表皮角層において水虫菌による炎症も抑えることができるという報告もあります。
たかが水虫ですが、奥が深く、その外用薬の種類によっても治療効果に大きく影響があるのだなあ、と再確認しました。
ちなみに、塗り薬は、足の足縁から下全体の足の裏、指の間、に一日1回外用すると、1ヶ月で3本の塗リ薬がなくなる計算です。
それくらい塗るのが効果のでる適量なのですね
鳥居薬品の担当の方、ありがとうございました

最近の皮膚科の患者さんで多く増えてきた疾患、なかなか奥深いと感じる日々この頃です。

小さなお子さんから大人の方まで、手足口病の患者さんが多くいらっしゃいます。手、足、口、といっても案外3つそろっている方は少なく、ひざ・肘・お尻(肛門周囲)に水疱が見られるお子さんや腕、肘にだけ少し目立った水疱が出ているおこさん、口にたくさん水疱っぽい口内炎がでているお子さん、など本当に出方は様々、臨床像がたくさん見られます。

汗も、といっても首の周りに汗の塩分や老廃物がたまってベタベタかぶれてしまう方、また汗がたまりすぎて一過性にカンジダが増えてしまってプツプツ膿疱が増えたお子さん、あせもにブドウ球菌が入って化膿して毛包炎になってしまったお子さん、などまたこれも臨床像が様々で、たかがアセモ、されどアセモ、奥深いなあ~と実感します。

手の指の側面や指の間などに皮下にプツプツと小さな水膨れが溜まって皮が剥けてくる汗の水疱、汗疱ですが、まれに金属アレルギーが合併することがあり、パッチテストで陽性が判明される方も中にはいらっしゃいます。金属アレルギーの場合、歯科金属や、食べ物の中の金属が少しずつ体内に溶け出してきて汗の管から体外に出る際、汗管が多い手や足に汗疱としてアレルギーが出ると考えられています。もちろん金属アレルギーがない方が大半ですが皆さんこの病気の病態を説明すると納得してくださいます。真夏よりは急に暑くなってくる今の時期に増えるような気がします。

イボのお子さんや大人の方は、あきらめないで治療を積極的にしていっています。本人の痛みの許す範囲ではさみでイボ部を除去して液体窒素・塗り薬で治療しています。実は私もまれに患者さんからイボが移ってしまい、その際は自分で治療をするのですが、窒素だけではなかなか取れず、はさみで切っていかないと時間がかかってしまうため許される範囲内で取っていきます。小さなお子さんはケースバイケースですが、イボをなくして治すのが私の仕事ですので、できる範囲で早く治してあげたく、時に流血させてしまうことも
痛いのが苦手な方はもちろん無理をしませんので事前におっしゃって下さい~

どの疾患にせよ、患者さんの臨床経過から学ぶことは多く、皮膚科の面白さを実感します。これからも患者さまから学んだことを、引き続き今後の治療に還元させていただきたいと思います

先日、ツムラさん主催のよしきクリニックの吉木先生の漢方についての講演会に伺いました。美容皮膚科で有名な先生で、先生が書かれた“スキンケア辞典”は分かりやすく大好きですが、もともと漢方でも有名な先生でとても実践的で分かりやすいお話でした。
皮膚科領域では、アトピー性皮膚炎やニキビの方の症例が多くご紹介されていました。実際の皮膚の臨床症状とその方の体質とを考慮しつつ、その方の脈や腹診の状態をみつつ、たくさんの漢方の種類からいくつか選択していくご経験はとてもすぐには真似することは出来ませんが、些細なお話が私には参考になりました。
例えば最近はパソコン業務の関係で、以前は女性の訴えであった、肩こり・冷え性などの症状が男性にも増え、女性に処方することが多かった駆血剤の漢方を男性にも処方する機会が増えたということや、女性に比べ、子供や男性は生理周期がない為か、漢方が効きやすいこと、それに比べ、にきびでも、女性は生理周期によって複雑化しやすく、スパッと効きにくい事も多い、などというお話もありました。

美容皮膚科というイメージが強かった吉木先生ですが、実際お話を伺うと、とても頭の回転が速くてお話も速く、サバサバっとした先輩女医さん、というイメージでした。漢方の使い方も、西洋薬との併用というよりは漢方薬のみでという患者さんが多いようで、また前回の大野先生とは違ったお話でしたが、皮膚科メインのお話で実際自分の診療と照らし合わせてとても参考になりました

先日、蕁麻疹の研究で有名な広島大学の秀先生の講演会へ参加しました。
いつも蕁麻疹の患者さまには秀先生の提案された蕁麻疹の病態を構成する因子、という分かりやすい図を説明に使わせていただいていて、実際に講演をうかがうのを楽しみにしていました。
実際、原因がはっきりとしない特発性蕁麻疹では、肥満細胞からヒスタミンなどが脱顆粒するある一定の閾値をさまざまな誘因因子が積み重なって超えてしまった時に蕁麻疹の症状が出てしまいます。第2世代の抗ヒスタミン剤などを内服すると閾値よりも病勢が下がってくるためにおさまってきますが、病勢の下がり方はスーッと急に下がるのではなく、波状に少しずつ下がっていくため、症状が出なくなってもしばらく飲み続けるということ、が大切だということの再認識でした。
抗ヒスタミン剤には抗炎症作用もあるため、対症療法的な症状抑制ばかりでなく、病勢を鎮静化して蕁麻疹の治癒を早める効果もあるために、第一選択で抗ヒスタミン剤を使っていき、数週間ごとに減らしていき、その後3日に1回、を数週間続けたあと、内服を中止して出なくなったら終了していくのが良いのでは、とのことでした。

抗ヒスタミン薬に関しては、最近のデータで、眠気が強いほど効果が強く、眠気が弱いほど効果が小さいことはないのだ、ということ、つまり眠気の副作用と臨床的効果は相関しない、ということが確認されました。
また、急性蕁麻疹において飲み薬を投与したあと3日目の改善度、つまり効果の早さはタリオン、アレロックなどが大きいというようなデータも見せていただきました。
抗ヒスタミン剤の効果や速さは個人差も大きいため、一概に何とも言えませんが、あとは色々な患者様に処方した際の経験を頼りに、その方その方にあった内服を選択していくのが大切であると思いました。

講演会では茶のしずく石鹸で一躍有名になった、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーFDEIAについてもお話がありましたので、そちらはいずれ皮膚科のブログにまとめたいと思います。
暑い日が続き、体調を崩す方や蕁麻疹の方も増えています。毎日出ると患者様のQOLは妨げられるため、薬の選択法、内服法、内服時間の指導によって蕁麻疹が早く治っていっていただけるように情報収集できた講演会、参加できて良かったです