手足口病のかゆみに対する薬
手足口病子供におこるウイルス感染症の一つ。口や手足にぶつぶつができる。の原因を治す薬はありません。そのため、かゆみなどの症状を楽にするために抗ヒスタミンアレルギー症状の原因となる物質の一つ。炎症により血液中のヒスタミンが増加して、かゆみなどを引き起こす薬をよく使います。塗り薬(外用剤)と飲み薬があります。手足口病に使う主な薬の特徴と注意点について説明します。
1. 手足口病の薬は何に効いている?
手足口病の原因を治す薬はありません。病院に行って薬を出されたときは、何をする薬なのかよく聞いておいてください。
手足口病の原因は?
手足口病の原因はウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるの感染です。主に夏に子供の間で流行し、5歳以下の子供がよくかかります。1歳未満の赤ちゃんにうつることも、子供から大人にうつることもあります。
手足の水ぶくれ、唇の裏など口の中の水ぶくれが特徴的な症状です。水ぶくれはつぶれて口内炎ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こるできものの総称。に似て見えることもあります。
手足口病には抗生物質は効かない
手足口病のウイルスに効く薬はありません。ウイルスは細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつとは違うので、抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない(抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含む、抗生剤)は効きません。抗生物質は細菌にだけ効く薬です。
手足口病にはかゆみを止める薬を使う
よく使われる薬は、かゆみなどの症状を楽にするための薬です。手足口病の症状は1週間ほどで自然に完治することがほとんどなので、治療期間も1週間以内で十分です。
手足口病では熱は出ないことのほうが多いです。熱が出ても、高熱で体力を消耗してぐったりしてしまうほどでなければ熱を下げる必要はありません。
2. 手足口病に使う抗ヒスタミン薬とは
手足口病のかゆみや水ぶくれの原因には、体内で作られているヒスタミンという物質が関わっています。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの作用を抑えることで、ヒスタミンによって引き起こされるかゆみ、発疹皮膚に起こる、何かしらの目に見える変化の総称などの症状をやわらげます。
抗ヒスタミン薬はかゆみや発疹を抑えるほかにも鼻水や咳を抑える作用があり、手足口病以外でも湿疹「かゆみや赤み」、「がさつき」、「ぶつぶつ」などを示す皮膚の異常などの皮膚疾患、花粉症植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。、喘息アレルギーなどで空気の通り道(気道)に慢性的な炎症が起こることで、気道が狭くなってしまう病気などのアレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態性疾患など多くの病気に使われている薬です。
抗ヒスタミン薬の副作用は?
注意すべき副作用に眠気や口の渇きなどがあります。塗り薬(外用薬点滴を含む注射や、内服以外の薬のこと。塗り薬、貼り薬、座薬をはじめ、眼・耳・鼻・口腔内に用いる薬も含まれる)と飲み薬(内服薬飲み薬のこと)がありますが、主に飲み薬で副作用が問題にされます。薬によっても副作用のあらわれる頻度や程度は異なります。
3. 手足口病に使う抗ヒスタミン薬の塗り薬(外用薬)
手足口病のときに病院やクリニックから処方される抗ヒスタミン薬の塗り薬で、もっとも広く使われているものはレスタミンコーワクリームです。ベナパスタ®軟膏なども使われます。
レスタミンコーワクリーム
レスタミンコーワクリームはジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン薬を含む製剤で、手足口病以外の湿疹や皮膚の痒み、蕁麻疹皮膚が赤く腫れ、短時間で消える症状。原因はアレルギー、物理的刺激、発汗など。市販薬にもある抗ヒスタミン薬の飲み薬が有効。原因不明で長引く場合もあるなどにも効果が期待できます。
その他の抗ヒスタミン薬
手足口病にはジフェンヒドラミンを成分とするベナパスタ®軟膏も使われています。
ジフェンヒドラミンが成分の塗り薬は市販薬(OTC医薬品)としても販売されています(新レスタミンコーワ軟膏など)。
手足口病だと思っても、何かの理由によりすぐに病院やクリニックに行けないときは、薬局・薬店・ドラッグストアで相談してみましょう。
4. 手足口病に使う抗ヒスタミン薬以外の塗り薬
手足口病に使う抗ヒスタミン薬以外の塗り薬(外用薬)として、ウフェナマート(コンベック®、フェナゾール®)やイブプロフェンピコナール(スタデルム®、ベシカム®)などが使われる場合もあります。皮膚の炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るや痛みなどを抑える効果が期待できます。
5. 手足口病にステロイドは使う?
湿疹、かゆみなど皮膚症状に効く塗り薬というとステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている外用剤が思い浮かぶかもしれません。
ステロイド外用剤は手足口病に対しては不向きといえます。ステロイド外用剤は免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患を抑える作用があるため、皮膚におけるウイルスの活動を活発にしてしまう可能性があるからです。
例外として、手足口病にステロイドを使う場合
手足口病でも、皮膚の炎症がひどい場合や口内炎などに対して、限定的に弱めのステロイド外用剤が使われる場合はあります。
ステロイド外用剤はその高い抗炎症効果などにより、それぞれの症状に合わせた適切な強さの薬を使うことで有益な効果が期待できます。
使い方などによっては副作用があらわれやすくなる場合もあるので、処方医や薬剤師の話をよく聞き適切に使いましょう。
6. 抗ヒスタミン薬の飲み薬(内服薬)
手足口病のかゆみ・水ぶくれに、抗ヒスタミン薬の飲み薬がよく使われます。子供でも飲みやすいことや副作用に配慮して選んだ薬が使われます。
抗ヒスタミン薬の飲み薬には花粉症などでよく使うアレグラ®やアレジオン®など多くの薬があります。その中でも、手足口病にかかりやすい子供が飲むことを考慮すると、散剤(粉薬)やドライシロップ剤(糖類などが添加されている顆粒状の製剤)や水剤(シロップ剤)などの形(剤形)にされた薬剤が使われることが一般的です。
子供と同じ薬が大人の手足口病に処方されることもあります。
以下に例を挙げます。
ポララミン®(成分名:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)
抗ヒスタミン薬の中でも比較的安全性が高い薬です。手足口病にかかりやすい乳幼児(但し、新生児や低出生体重児2500g未満で生まれた新生児のこと。早産が原因の場合と、正期産であっても発達不良のために起こる場合があるを除く)に使え、場合によっては妊婦にも使われる薬です。ドライシロップ剤、シロップ剤などの剤形があり、子どもが薬を飲み込むのが得意かに応じて選べるのもメリットの一つです。
ペリアクチン®(成分名:シプロヘプタジン塩酸塩水和物)
散剤やシロップ剤などの剤形があり、小児の治療薬としても以前から広く使われている抗ヒスタミン薬です。手足口病による皮膚の症状の他、アレルギー性鼻炎鼻の粘膜でアレルギー反応が生じて、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起きる状態やかぜ鼻やのど(上気道)が炎症を起こしている状態の総称。原因はほとんどがウイルス感染で、抗菌薬は効果がないのくしゃみ・鼻水などの症状にも使われています。
食欲を増進させる作用があるとの考えもあり、口内炎などで食欲不振になりがちな手足口病においては有用な薬の一つと言えます。乳幼児(但し、新生児や低出生体重児を除く)に使えるのもメリットです。
ゼスラン®、ニポラジン®(成分名:メキタジン)
小児用の剤形として、細粒剤(さいりゅうざい、散剤より粒が大きめの粉薬)とシロップ剤がある抗ヒスタミン薬です。通常、1歳の小児から使え、手足口病にも使えます。喘息などの治療に使われる場合もあります。0歳の乳児にはあまり使われていません。
ザイザル®(成分名:レボセチリジン塩酸塩)
抗ヒスタミン薬です。小児用の剤形にシロップ剤があり通常、生後6ヶ月以上であれば使えます。手足口病のほか、かゆみを伴う皮膚疾患やアレルギー性鼻炎などに対して特に有用とされています。
アタラックス®-P(成分名:ヒドロキシジンパモ酸塩)
散剤とシロップ剤などの剤形がある抗ヒスタミン薬で、手足口病で出る症状の中でもかゆみを抑える効果に関しては特に期待ができるとされています。アタラックス-Pは「抗アレルギー性緩和精神安定剤」と呼ばれることもあり、自律神経内臓の活動を調整している神経。交感神経と副交感神経を併せた総称の安定化などの作用をもち、かゆみや不安で眠れないといった症状にも効果が期待できる薬です。
副作用の眠気などを考慮して寝る前の服用方法で処方されることも多い薬です。
抗ヒスタミン薬を飲むときの注意
抗ヒスタミン薬は皮膚の病気の他、アレルギー性の病気など多くの病気で使われている薬です。元々、アトピー性皮膚炎アレルギーが原因の皮膚の病気。強い痒みのある湿疹が良くなったり悪くなったりしながら慢性的に出現するや喘息などの持病がある場合は既に抗ヒスタミン薬を飲んでいることもあります。同じ種類の薬を飲み合わせると効き目が期待と違って強すぎたり弱すぎたり、副作用の危険性が増すことも考えられます。