ベーチェット病の症状と原因
症状 - どんな症状がでるか
潜伏期間と初期症状
下記のような症状があらわれます。口腔粘膜の潰瘍から発病することが多いとされ、すべてが同時にあらわれることは少ないとされています。
■口腔内粘膜のアフタ(口内炎)性潰瘍
■陰部(男性は陰茎から陰嚢、女性は外陰部から膣内)の潰瘍
■皮膚の結節性紅斑や毛膿炎(にきび)様の湿疹
■眼の前眼部や網膜などにぶどう膜炎
進行時の症状
口腔粘膜の症状がもっともよくみられ、皮膚の結節性紅斑、血栓性静脈炎、外陰部の痛みをともなう潰瘍、眼では急に視力がなくなったり、改善したりといった症状があらわれます。
また、副症状として下記があげられます。
眼病の若年発症の場合、失明に至る例もみられます。
■単一箇所の関節症状:肩、腕、脚などの大きな関節で腫脹がみられます。症状の出方は左右対称的ではなく、変形や硬直は一般的にはともないません。
■副睾丸炎:炎症のために、睾丸部の圧痛と腫脹をともないます。男性ベーチェット病患者の1~2割にみられるようです。一時的な症状ですぐに治まりますが、再発性があるとされます。
■消化器の病変:腹痛や下痢、下血があげられます。小腸や大腸などを中心に消化器官に炎症のおこるクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性の腸疾患と混同しやすく、鑑別が難しいこともあります。
■血管の病変:動脈や静脈に血栓ができ、そこから別の病気を引きおこすこともあります。
■神経の病変:発病から5~6年で脳や脊髄を保護する髄膜の炎症や、精神的な症状を引きおこすことがあります。頭痛や意識障害、眼筋麻痺などの症状がでる急性タイプと片麻痺、記憶力や理解力の低下、歩行障害、ろれつ障害などが進行していく慢性タイプに分かれます。
疫学 - かかりやすさ、かかりやすい人
かかる割合(罹患率)
平成25年3月時点で、この病気の特定疾患医療受給者数は19,147人でした。
※難病情報センター(http://www.nanbyou.or.jp/entry/187)
年齢によるリスクの上昇度合
20~40歳に多く発症するとされます。従来は男性に多いとされていましたが、最近の調査ではほとんど性差はありません。男性の方が重症化しやく、内臓病変、神経病変、血管病変の頻度は女性に比べ、高頻度でみられるといわれています。
原因や遺伝の影響 - 病気になる理由
病因は現在も不明です。何らかの遺伝素因に感染病原体や環境因子が加わり、白血球の機能が過剰となり、炎症を引きおこすと考えられています。
もっとも重要視されているのは、白血球のヒト白血球抗原(HLT)の中のHLA-B51というタイプで、ベーチェット病の方の場合、通常より比率が非常に高いとされています。そのほか、日本では、ベーチェット病の方にHLA-A26が多いこともわかっています。
分類 - 病気の種類や段階
ベーチェット病が合併した臓器病変に応じて、腸管型、血管型、神経型、特殊病型に分けられます。
また、診断によって下記のように分類されます。
■完全型:4つの主症状すべてがそろったもの
■不全型:主症状の内3つ、または主症状2つと副症状2つを示したもの、または眼病変を含む主症状2つと副症状2つを示したもの
■その他:上記のいずれにも該当しないもの
また、重症度により下記のようなステージに分類されています。
■ステージI:4つの主症状のうち、口腔粘膜の潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍がみられるもの
■ステージIIa:ステージIの症状に、前眼部の腫れや充血のみられる虹彩毛様体炎が加わったもの
■ステージIIb:ステージIの症状に、副症状にあげられる関節炎や副睾丸炎が加わったもの
■ステージIII:後眼部に位置する網脈絡膜の炎症、網脈絡膜炎がみられるもの
■ステージIV:重度の後遺症を残す腸管、血管、神経に病変がみられる。失明の可能性があり、ステージIIIであげられた網脈絡膜炎に他の眼合併症がみられるもの
■ステージV:進行性神経の病変で、中等度以上の知能低下がみられるもの
検査 - 病気の特定方法
血液検査 病気の有無
炎症の有無やその程度を推測するために、採血を行い、血液中の白血球数、血清CRP、赤沈値などの測定を行うことがあります。ベーチェット病の方では、炎症反応がみられる他、lgDという免疫グロブリンの一種の値が上昇することがあります。
また、ベーチェット病の患者の方の約60%の方で、HLA-B51という遺伝子の型が陽性となります。HLAの型の検査は保険適用外とされます。
針反応 病気の有無
ベーチェット病かどうかを確認するときに行う検査です。
比較的太い無菌の注射針を皮膚に刺すと皮膚が赤くなり、膿がたまってくることがあり、これを陽性反応とします。
ベーチェット病では約60%の人が陽性となり、診断の参考にされます。通常は血液検査の際に針を刺した箇所を観察することで針反応の検査とすることも多いとされます。
ブリックテスト 病気の種類を確認
プリックテストはアレルギー反応をひきおこす原因物質を特定するための検査です。レンサ球菌死菌抗原を注射し、20~24時間後に強い紅斑反応とよばれる皮膚炎症がでるかどうかを確認することで、ベーチェット病の判断を行うことがあります。
蛍光眼底造影検査(画像検査) 重症度の確認
眼の病変を確認するための検査です。
腕の静脈から造影剤を注入し、散瞳薬で瞳孔を開いた状態にしておき、眼底の連続写真や動画を撮って新生血管や出血の有無などをくわしく調べる検査です。血液に入った色素は蛍光を発し、フィルターを通すと白く写ります。造影剤が眼底の血管を流れる様子や浸潤する様子を眼底カメラで連続撮影します。
フルオレセイン造影検査とインドシアニングリーン造影検査の2種類があります。一つの検査の所要時間は2時間程度で、両方行うと3時間ほどかかります。
造影剤による副作用として、吐き気や発疹などがおこることがありますので、薬物アレルギーのある方や腎疾患のある方は事前に医師に報告しましょう。
内視鏡検査(画像検査) 確定診断
腸内に潰瘍やポリープなどの異常がないかどうかを確認する検査です。
下剤を飲み、便が透明になったら検査を始めます。局所麻酔をした後、肛門からカメラのついたチューブを挿入して大腸内部をスクリーンに映しだすことで、大腸内部の異常を検査します。潰瘍やポリープの形や大きさ、出血の有無を調べます。病変があれば組織を採取し生検を行うことがあります。また、切除の必要のあるポリープをその場で切除することも可能です。ただし、ベーチェット病は潰瘍性大腸炎などの炎症性の腸疾患と混同しやすく、鑑別が難しいこともあります。
エックス線造影検査(画像検査) 確定診断
エックス線を通さないバリウム(造影剤)を飲んだ状態でエックス線を照射して撮影し、腸内部の出血や穿孔などの有無を検査する方法です。
超音波検査(画像検査) 確定診断
超音波をからだに当てることで、臓器や組織にぶつかり、はね返ってくる信号を受信することで、臓器などの様子を画像化する検査です。エコー検査とよばれることもあります。
組織の状態によって反射して戻ってくる信号が変化したものが画像に映しだされるため、腫瘍や炎症の有無などの異常を調べることができます。
血管病変のある方の場合は、画面を通して動脈瘤の大きさを確認することができ、深部静脈血栓症の場合は超音波を脚にあてて検査します。
視診 確定診断
ベーチェット病が疑われる場合、それに特有の皮膚病変や陰部潰瘍などの有無を医師が視診を通して確認することがあります。主に、口腔内粘膜のアフタ(口内炎)性潰瘍、陰部(男性は陰茎から陰嚢、女性は外陰部から膣内)の潰瘍、皮膚の結節性紅斑や毛膿炎(にきび)様の湿疹などの症状有無を観察し、治療方針を決めていくことがあります。
光干渉断層撮影 重症度の確認
眼底の断層の状態を確認するための検査です。
散瞳剤を点眼し、瞳孔が開いた状態にてから、近赤外線を用いた専用機器の台の上にあごを乗せ、機器の中をみつめた状態で撮影します。
カメラで撮影するだけの検査なので体への負担はありませんが、散瞳剤を点眼しますので検査後しばらくの間はまぶしく感じたることやみえづらいことがあります。車の運転は控えるようにしましょう。
ベーチェット病になった人の様子や痛みなどの自覚症状は?
予後 - 治療の経過と再発
治療後フォローと再発
主症状は再発を繰り返し慢性の経過をとりますが、10年ほどたつと徐々に落ち着き、口内炎のみになることが多いようです。眼病変が悪化し、失明することもあるため、眼科医とベーチェット病専門医による治療が必要とされています。
その他、腸管、血管、中枢神経などに炎症がおきる特殊病型は、難治性であることが多く、さまざまな免疫抑制治療法や、生物学的製剤の有効性、安全性が検討されています。
合併症と転移
眼症状の合併症は、緑内障、虹彩後癒着(水晶体と虹彩がくっつく)、白内障、網膜の障害などが高頻度でおこるとされています。また、血管合併症のなかで、深在性静脈炎、動脈血栓症、浅在性血栓性静脈炎、動脈瘤(特に肺動脈)などの合併が多いといわれます。その他、腸管型ベーチェット病で、腹膜炎を合併することがあり、その場合は緊急の外科手術が必要となります。
参照元:(最新医学大辞典第3版最新医学大辞典編集委員会医歯薬出版株式会社2005年,難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jp/entry/187(閲覧日:2015年10月7日),厚生労働省ベーチェット病診断基準ベーチェット研究班http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/patient/behcet/standerd.html(閲覧日:2015年10月7日),日眼会誌116巻4号ベーチェット病眼病変の治療http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/behcet-6.pdf(閲覧日:2015年10月7日),日本眼科学会)http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/behcet.jsp(閲覧日:2015年10月7日),医薬品医療機器総合機構Pmdahttp://www.pmda.go.jp/(閲覧日:2015年10月19日))
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更新日:2016年12月27日