バスを生態を考えるとき、やはり季節で捉えるとわかりやすい。
現時点で日本のフィールドは冬。気温、水温ともにもっとも下がる厳しい季節だ。
バスは3℃くらいの冷たい水から38℃くらいの暖かい水まで幅広く生息できるが、もっとも好む適水温は表水温が22℃から27℃といわれている。
つまりプールの水か、それよりもちょっと冷たいくらいの水が好きな魚であり、かなり人間の感覚に近い魚といえる。ちなみにプールの場合は気温+水温が50℃でもっとも快適に感じるといわれている。22℃という水温は人間にとってはちょっと冷たいが、気温が28℃の夏日ならば快適に感じる。同様に28度はプールの水温としては温いが、気温が22℃しかない涼しい日にはちょうどいいというわけだ。
人間の場合は体温37℃前後の恒温動物だが、魚は変温動物。余計に水温の変化には敏感である。1月や2月には水温が3℃くらいまで落ちる釣り場も多く、山上湖などでは結氷もする。当然、暖かい水を好むバスにとっては厳しい季節であるため、少しでも暖かいところに集まろうとする。それがディープだ。冬はある程度水深のある深場のほうが水温が安定するためだ。
表層付近の水は陽射しを受けて温まりやすい反面、風の影響などで冷たくなりやすい。風の影響で生息限界を超える2℃以下の水になってしまっては大変なので、大半のバスは低いなりに水温が安定している深場に集まる。
しかしそれは、小さい魚、弱い魚ほどその傾向が強く、言い換えれば、大きい魚、強い魚はその限りではないということ。冬はバスがなかなか釣れないけれど出ればデカいといわれるのはそのためであり、寒い冬でもシャローでウロウロしてエサを食べるほどの体力があるのは大型の強い個体に限られるということである。
もともとバスはディープよりもシャローを好む魚である。それはシャローのほうがエサを追い込みやすいし、身を寄せるストラクチャーも豊富だからだ。しかし冬のシャローは風の影響を受けるので温度差が激しい。つまり居心地が悪い。だったら寒いなりに温度が安定している深場でじっとしているほうが楽に過ごせるわけです。
ディープでじっとしていれば体力も消耗しないため必要最低限のエサがあればいい。活性も極めて低いため、あまり口を使わないのが冬のバスであり、その、あまり口を使わないバスになんとかして口を使わそうとするのが冬のバス釣りである。
V字峡の川を堰き止めて造られたリザーバー(ダム湖)では、岸からすぐに水深が10m以上になり切り立った地形のところが多い。こうしたディープをねらう際に有効とされるのはメタルジグやメタルバイブなど。垂直方向に素早く落とし込むことができ、ディープのボトム付近で食わせのアクションが入れられるからである。また、一番下にシンカーをセットするダウンショットリグもディープまで届けやすく、また、ボトム付近で食わせの誘いが入れやすいリグだ。
一方、霞ヶ浦水系のように際だったディープが存在しない遠浅の釣り場や地形変化に乏しい皿池などもある。こうした釣り場には急激な落ち込みも、水深10mを超す深場もないが、相対的に見て、その釣り場なりのディープを探せばいい。平均水深2mの釣り場において3mは充分にディープと呼べるからだ。
いずれにしても適水温を大きく下回る状況下のバスの活性は著しく低く、ルアーを追いかけ回してまで食うことはまずない。したがってバスの鼻っ面までルアーを送り込んで反射的に口を使わせるという釣りが有効になる。
シャッド、バイブレーション、ディープクランク、メタルバイブなどは冬の定番ルアーとされるが、いずれもバスの鼻っ面まで送り込んで初めて活きてくる。なかでもシャッドはゆっくりとしたただ巻きも効くし、トゥイッチすることでリアクションバイトがねらえ、止めておけるので追いの弱い冬のバスでもなんとか口を使うことができ、ワームと違ってむき出しのトレブルフックがふたつもあることで弱いバイトでもフッキングまで持ち込みやすいことから冬に出番が多いルアーだ。
バスたちにとって長く辛い冬が終わるのは、そのフィールドの年間最低水温から7℃くらい上昇したときと言われている。
しかし、水温が上がったからといって、バスはいきなり深場から浅場へ一気に浮上することはなく、たいていは、春になったら産卵する浅場とそれまで越冬していた深場の途中にある水深3m前後のコンタクトポイントに集まりだす。
これがスポーニングと呼ばれる産卵行動の最初の動きで、いわゆるプリ・スポーニングという状態のなかの初期段階である。
表面水温が8~10℃に上昇すると冬のバスが動き出させると言われており、やはり強い大型の個体ほど動きだしが早い。水温10℃というと、国内では早いところでも3月中旬以降、多くの場所では4月に入ってからだ。
そして安定して水温が10℃を上回ると、コンタクトポイントに集まったバスの中からオスがシャローに上がっていき、産卵に適したベッドを探したり作り始める。
その後、さらに水温が上がると今度はメスがシャローに上がり、オスが作った産卵床を見て回ったり、オスそのものを見て品定めをする。
そしてペアを組んだのち、多くは大潮回りに産卵する。その後、最初はベッドの周りにいたメスは数日でいなくなり、その周辺などでサスペンドしながら体力を回復させる。ベッドに残り、卵に新鮮な水を送り込んだり外敵から守ってあげるのはオスの役目で、稚魚が孵化するまで長いと10日くらいは産卵床を守り続ける。
さらにオスはその後も1ヵ月ほど、孵化したばかりの稚魚のそばで子守を続ける。その間、ホルモンバランスの影響か、空腹を感じないとされ、オスはほとんど捕食行動をしないことが知られている。
ちなみにこうした産卵行動は一斉ではなく、湖の中でも早期から晩期にかけてダラダラと続くため、まだ産卵前のプリスポーンの魚もいればとっくに産卵を終えたアフタースポーンの魚もいて、また、個体によっては1度のみならず複数回産卵すると言われている。
ミッドスポーンのバスはほとんど捕食行動をしないものの、産卵を終えたアフターのメスは使い果たした体力を取り戻そうとするし、子守を終えたオスも同様。また、産卵前にも体力を付けるために捕食するため、産卵の前と後はともに絶好機といえる。今、バスがどのような状態にあるかを見極めながらアプローチしていく必要がある。
バスたちにとって1番の大仕事である産卵が終わると、暖かい水が好きなバスにとって過ごしやすい初夏を迎える。
当然、活性は高まり、また、産卵で使った体力を取り戻すべく旺盛な食欲を見せる時期でもある。そのころには泥の中にいたザリガニたちも活発に動きだし、テナガエビも浅場に集まり出す。
気温が急上昇する盛夏以降は日中こそ厳しくなるものの快適な朝夕のマヅメ時は活性が高く、トップウォーターが楽しい季節。一方、日中は陽射しが強いため、バスはカバーの奥に身を寄せるようになる。そのためカバーを効率よく根掛かりせずに探れるルアーやリグが活躍する。
もともとシェードを好む魚であるが、特に夏はシェードを抜きに語れない。オーバーハング、レイダウン、マットカバーなどはその代表例だが、たとえ杭1本、ロープ1本でも貴重なシェードになり、活性の高いバスが潜んでいる可能性が高くなる。シェードは日陰になるためまぶたのないバスにとっては直射日光を避けられ、水温も高くなりすぎず、また物陰に潜むことで捕食するにも都合がよい。
一方で、水温があまりにも高くなりすぎると、適水温を求めて再びディープに落ちるバスが増えるのもこの季節。適水温が22~27℃のバスにとって、これを上回るほど暑い水も快適ではないからだ。シャローとディープの両方にバスが分散してしまう状況ゆえ、意外と難しい季節でもある。
最近の日本は異常な酷暑に見舞われることが多く、9月も夏を引きずっているが、11月中旬くらいまでをフォールシーズンと呼ぶ。
適水温を大きく超えるような暑さから、次第に涼しくなって適水温になるため、当然バスの活性は再びよくなる。しかも産卵という難しい要素からもっとも離れた時期にあるため、文字どおり「食欲の秋」となる。
コアユやワカサギ、オイカワといったベイトフィッシュを盛んに追い掛け回すバスもいれば、ザリガニやエビを飽食するバスもいる。だからトップにも出ればジグや巻き物も効く楽しい季節、それが秋だ。
一方で、難解な要素があるのも秋。その代表例がフォール・ターン・オーバーという現象である。
水は温度によって比重が変わる。4℃の水が1番重く、止水では底に溜まっている。夏の間は表層が温かくて底に行けば冷たかったものが、秋になると気温が下がり、また冷たい季節風も吹くため表層が冷やされる。そうすると冷やされた表層の水が沈もうとするため対流が生まれ、溶存酸素の少ない底の水が上がって撹拌される。すると水中のペーハー値が急変することで魚が一時的にショック状態になる。これがフォール・ターン・オーバーという厄介な状況で、途端に魚が釣れなくなってしまう。
ただしこの現象は止水でのみ起こるため流れのある川でフォール・ターン・オーバーは起こらない。しかし、秋は稲刈りシーズンのため、米どころにある釣り場には稲渋と呼ばれる魚の嫌う成分や農薬の一部などが河川に流れ込み、やはり一時的に釣れなくなることもある。