人はなぜ体臭で悩むのか?

第1章 人はなぜ体臭で悩むのか?

■「クサイ」と言われること

あなたは人から「クサイ」と言われた
ことはありませんか?

直接言葉ではなくても、
話の最中に相手が不意に鼻に手をあてたり、
急に咳き込まれたりした経験はいかがで
しょうか。

また、あなたは人から「太っている」とか
「足が短い」など自分が気にしている体の
特徴を指摘されたことはありますか?

このような言葉は、
どちらも人を傷つけます。

しかし、前者と後者では痛手の受け方に
決定的な差があります。

なぜなら「太っている」「足が短い」と
いったことは、
しょせん人間の価値のごく一部であって、
それを他人にどう思われようと気に
しなければ関係のないことです。

足の短いことが不快ならば
「見なければいいでしょう」と開き直る
こともできます。

「運動は苦手だけど、
勉強で頑張ってクラスで一番になろう」
と昇華する、
他のことで努力する励みにもなります。
ところが、他人から「クサイ!」と
言われて、
「臭くて悪いか。
嫌なら嗅がなければ?」
と啖呵を切って開き直れる人はいるで
しょうか。

臭いの性質上、
臭い分子は空気中を自由に飛んで行って
勝手に相手の鼻に入り込んでしまいます。

臭いの元があるかぎり、
「臭いものに蓋」はできません。

「見ざる」「聞かざる」は可能でも、
「嗅がざる」はできないのです。

つまり、クサイと言われた人が他人の
不快感を軽減しようとしたら、
その場から立ち去り、
いなくなること以外に手立てはないのです。

クサイと言われたとき、
「いますぐここから逃げ出したい」
「できるものなら消え失せたい」
という気持ちになるのはそのためです。

クサイという言葉は、
人に「自分の存在を消してしまいたい」
という自己否定感を植え付けてしまうの
です。

■他人に分かってもらえない悩み

体臭で悩む人が初めて胸の内を明かす
のは、
大抵は親しい身内でしょう。

ところが相談相手の反応は、
十中八九、次のようなものです。

「気のせいじゃないの?」
「体臭くらいでクヨクヨしないで」
「そんなことで悩んでいないで勉強でもしたら」

体のニオイのことを気にしたことのない人に
とっては「たかが体臭」程度なのです。

しかし自分の存在意義に関わるほど悩んだ
挙句、意を決して打ち明けた本人にとって、
このような対応はますます彼の自己否定感を
強める結果となるでしょう。

体臭が原因で周囲から避けられている、
拒絶されているという心の傷に、
さらにその悩みを身近な人間にすらわかって
もらえない、
という疎外感までが上塗りされてしまうの
ですから。

■「生活リハビリ」としての体臭治療

体臭の悩みが感じると「こころの病」が
「生活の病」へと態を変え、
日常生活まで支障をきたすことがあります。

近頃では、「クサイ」「キタナイ」などの言葉の
暴力を使ったいじめが目立ってきました。

子供たちの間ではそれがきっかけとなった
登校拒否も増加しています。

体臭を気に病むあまり、
対人恐怖症に陥って何か月も家に閉じこもって
しまうことも稀ではありません。

事態がここまでくると、
それはもう個人の心の問題を超えて、
人間関係にかかわる問題となります。

体臭の悩みが、
その人を人間関係から逃避させ、
消極的な生き方や閉じこもりなどの原因に
なるとしたら、
「たかが体臭の悩み」などと簡単に片づける
わけにはいきません。

その人は、「社会性の障害」というハンディーを
負っているのです。

ですから、体臭の治療の目的は、
悩みの解消によって自己否定感が変革され、
失われた社会性が回復されることなのです。

これはもう身体意識の変革を伴う
「生活リハビリ」と言ってもいいでしょう。

■人はなぜ悩むのか?

体臭の悩みの本質は、
「人はなぜ悩むのか?」という基本的な間の
中にあります。

ここで「悩み」と「欲求不満」の違いを考えて
みましょう。

動物にも欲求不満はありますが、
悩みはありません。
何日も餌にありつけないノラ猫にも
空腹という欲求不満はあるでしょうが、
「最近は不景気で残飯まででないにゃー。

子だくさんでこの先どうなるのかにゃー。」
などと言う悩みにまでならないのです。

悩みは欲求不満のより高度な表現形だから
です。

ところが人間の場合には、
必ずしも一様ではありません。

欲求不満がある人が皆悩むとは限らないのです。

ではどのような人が悩むのでしょうか。

それは、他人や社会のことを大切に考える
人です。

「他人に不快な思いをさせてはいけない」
「社会に迷惑をかけてはいけない」、
そう考える人ほど心の中で葛藤が生まれ、
悩みが生じるのです。

悩みは、他人のこと社会のことを無視できる
人には生じません。

社会とのしがらみを強く意識して深く
ハマった時、
欲求不満が悩みへと発展するのです。

ですから、あなたが今体臭で悩んでいるなら、
それは他人や社会と自分との関係をまじめに
考えている証なのです。

他人を思いやることが自分を否定することに
なるなら、
それは悩みの本来の姿ではないでしょう。

正しい悩み方とは、
あなたのやさしさを他人だけでなくあなた自身
にも向けることなのです。

そのような自己受容の気持ちが、
悩みの潜在的エネルギーを、
自分自身を向上させ自己実現する力に
転化させてくれるのです。

悩みには「悩力」があるのです。

■劣等感のメカニズム

人はなぜ悩むのかをもっと具体的に知るために、
悩みと深くかかわる劣等感の心理を考えて
みましょう。

たとえば、あなたが無人島に一人で住んで
いるところを想像してみてください。

あなたは「足が短い「「体臭が強い」
「汗かきだ」などと悩むでしょうか。

否です。なぜでしょうか。

無人島には足の長さや体臭の強さや汗の
量をあなたと比べる人がいないからです。

比較するメルクマールがなければ、
優れているも劣っているもありません。

悩みとは人と比較することから生まれるのです。
人間の「~をしたい」という欲求には、
「~までしたい」という目標がつきものです。

心理学ではこれを「欲求水準」といいます。

そしてこの欲求水準は、実は自分自身よりも、
むしろ他人に対して立てられることのほうが
多いのです。

「だれだれよりも~したい」という気持ちです。

たとえば、同じように「テストでよい点をとりたい」
と思っているライバルの A 君と B 君が、
2人とも90点以上の高得点をとったとしましょう。

しかし、A 君が90点だったのに対し、
B 君は100点だったとします。

A 君は一応目標を達成したのですから満足は
します。

でも、B 君に対しては敗北感を味わうでしょう。

その後南海も B 君の点数より下回るなら、
A 君は実際にテストを受ける前から、
「B 君にはどうせかなわない」と B 君に対して
劣等感を抱くかもしれません。

敗北感なら1回きりです。

しかし劣等感とは行動する前から敗北感を
先取りした引け目の感情なのです。

「先取り」の感情であるからには、
その劣等感は本人の主観にすぎず、
実際に劣っているかどうかには無関係な
思い込みにすぎないのです。

実は、体臭の悩みこそこのような思い込みから
生ずる劣等感のメカニズムに配されやすいの
です。

ニオイは、色や音のように絶対的な差はあり
ません。

赤なら誰が見ても赤です。

音階上では、ドはドですし、レはレです。

ところが、ニオイには色や音のように明確に
定義する基準がありません。

「~のようなニオイ」としか表現することが
できません。

それだけニオイとは曖昧で主観的なものです。

だからこそ、ただの人並みの汗かきなのに、
「自分の体臭は人より強いのではないか」
と頭の中で他人と比べてしまい、
「他人に嫌われるのではないか」と先取りの
思い込みによって悩んでしまうのです。

■「デオドラント革命」をしよう

さあ、ここで「人はなぜ体臭で悩むのか」の
回答が得られました。

あなたが仮に体のニオイで悩んでいるとしたら、
それは、
①「他人のことを気遣う」からです。
②「他人と比較する」からです。
③「他人との関係を先取りする」からです。

さあ、賢明なあなたならもう気づかれたこと
でしょう。

この3つの回答の中にはどこにもあなたという
「自分」が出てこないのです。

そこにあるのは、ただあなたを見る
「他人の目」です。

否、「他人の鼻」です。

あなたは、自分の価値を人の嗅覚という
モノサシで判断しているのです。

自分の幸せを他人の鼻に人質としてゆだねて
しまっているのです。

今のあなたに必要なことは、
心配を先取りして行動を抑制しない
「自由な自分」にもう一度出会うことです。

過去のみじめな体験や将来の不安に束縛
されない「今ここの自分」を見出すことです。

生活の主権を他人の鼻から自分の心に
取り戻すことです。

そのような意識の変革ができるなら、
あなたはこれ以上読む必要はないでしょう。

自分で自分の悩みを乗り越える力があるから
です。

しかし、体のニオイや汗を現実に減らすことで
自信を得て、
そのことで体臭多汗の悩みを確実に解消
したいと願うなら、次も読んでみてください。

体臭多汗の悩みから解放され、
自分自身のアイデンティティが回復されたなら、
それはまさにあなたにとって「デオドラント革命」
と呼ぶにふさわしいでしょう。

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