アトピー治療に使う保湿剤3つの種類と効果的な使い分け方
投稿日 最終更新日 2016/12/16
アトピー肌をしっかりと保湿してあげると、アトピー性皮膚炎はもっと治りやすくなります。
保湿によって、弱った皮膚バリア機能を補うことができて、皮膚への刺激や異物の侵入が防げるからです。
そして、しっかりと保湿するためには、
- アトピー治療で使う保湿剤にはどのような種類があるのか?
- 保湿剤の種類ごとにどのように使い分けるのか?
という点を理解して、保湿剤を状況に応じて使い分けていくことが大切です。
そこで、この記事では
アトピー治療で使われる保湿剤の種類とその使い分け方
についてご説明したいと思います。
1. アトピー治療で使う保湿剤には3つの種類がある
アトピー治療で使われる保湿剤をその主成分の種類で大きく分けると、
- 油分だけのもの・油分が大半のもの
→ ワセリンや軟膏など - 油分と水分の両方が含まれるもの
→ クリームタイプやローション・乳液タイプ - 水分だけのもの
→ 化粧水タイプ
の3つに分類されます。
それぞれの種類について、その特徴(メリット・デメリット)と注意点を見ていきましょう。
1-1. 油分だけのもの・多い保湿剤
油分だけ・油分が多い保湿剤の代表例は、ワセリンです。
ワセリンは病院でも処方されますが、ドラッグストアでも簡単に手に入ります。
こんな見た目のワセリンは、ドラッグストアでも見かけたことがあるかもしれません↓
↑のワセリンは黄色ワセリンという種類で、最もオーソドックス・安価ですが、純度はワセリンの中でも最も低い部類です。
この他にも
- 白色ワセリン
- プロペト
- サンホワイト
などのワセリン製品があります。
サンホワイト > プロペト > 白色ワセリンの順番で純度が高く、サンホワイトという製品の純度が最も高くなっています。
プロペト・白色ワセリンは病院処方で健康保険適用ですが、サンホワイトは保険適用外となっています。
では、ワセリンのメリットとデメリットをまとめてみます。
【メリット】
- 保湿力が抜群に高い。
- 価格が安い(病院処方で保険適用の場合はさらに安い)。
- 余計な成分が入っていないため、刺激が無い。
【デメリット】
- ベタツキ感が強い。
- 塗るときの伸びが悪い。
- 油分だけなので肌が乾いた状態で塗っても、保湿にならない。
- 肌に合わない場合がある。
- 独特の臭いが微かにある。
- 酸化してしまうと肌に悪影響となるという説もある。
ワセリンの最大の特長は、安くて保湿力が強いという点です。
ですから、皮膚炎全般の保湿剤として単独で使われる他、クリームや化粧品の基剤の一部として広く使われています。
一方、べたついてしまう・伸びが良くないなど、使用感はクリームやローションに比べてかなり悪いです。
また、ワセリンが肌に合わない人も結構いて、かぶれや痒みの原因となってしまうケースもあります。
ワセリンでカブレてしまったり刺激を感じたりする場合、その原因は、使用したワセリンの純度の低さにある可能性が高いです。
ドラッグストアで市販されている黄色ワセリンは、ワセリン製品の中でも低純度ですから、カブレや肌への刺激を起こす可能性が、高純度のワセリンに比べて高いです。
アトピー肌はかなり敏感ですから、黄色ワセリンではなく、白色ワセリン・プロペト・サンホワイトといった高純度のワセリンを使った方が安全です。
白色ワセリン・プロペトは病院で貰う場合、健康保険が適用されますから、
ドラッグストアで市販の黄色ワセリンを買うよりも安く手に入ります。
また、「酸化したワセリンが肌に悪影響を与える」危険性があるのは、純度の低い黄色ワセリンの場合だけであると思われます。
ワセリンの不純物の中には、不飽和炭化水素(アルケン・アルキン)が含まれていて、これらは酸化されやすく、化学反応を起こしやすいという特徴を持っています。
これらの不純物が酸化されたり化学的に変化したものが、肌への刺激となってしまっていると考えられますが、
プロペトのような高純度のワセリンであれば、そもそも不純物がほぼ無いため、酸化されません。
このような意味でも、アトピー治療で使うワセリンは、より高純度のワセリン(プロペト等)を選ぶべきです。
1-2. 油分と水分の両方が含まれる保湿剤
ワセリンは保湿力が強い一方、水分が含まれていないため、
乾いた皮膚に塗っても保湿にならない
というデメリットがあります。
これのデメリットを解消し、保湿力も一定以上の強さを持たせた保湿剤の種類が、クリームやローションです。
油分と水分を「乳化」という反応で混ぜあわせてできたのが、このタイプの保湿剤です。
油分と水分の量のバランスを変えることで、保湿力や塗りやすさを調節することが出来ます。
油分と水分をいっきに肌に補充することができるため、もっとも使い勝手のよい保湿剤と言えます。
アトピー治療で使われるこのタイプの保湿剤の代表例は、
- ヒルドイドソフト軟膏
- ヒルドイドローション
【メリット】
- 油分と水分をいっぺんに肌に補給できる。
- 保湿力や伸びやすさの異なる色々な製品が数多く揃っている。
【デメリット】
- 市販のクリーム・ローションには、添加成分が多く刺激が強いものが多い。
- 保存期間がワセリンに比べて短い
1-3. 水分だけの保湿剤
最後に、「(主成分が)水分だけの保湿剤」ですが、これは化粧水のことです。
アトピー肌は乾燥しやすく、入浴直後であっても、10分も経てば皮膚は完全に乾いてしまいます。
このような乾いてしまった皮膚にたっぷりと水分を補充する場合には、化粧水が最も適しています。
【メリット】
- 肌への水分補給が最も効率的に出来る。
- 塗りやすい。
【デメリット】
- アトピー肌の場合、塗ってもすぐに乾くので、単独で使用しても保湿にならない。
- 色々な有効成分が含まれているのが通常で、それが肌への刺激となる危険性がある。
2. 3種類の保湿剤の使い分け方
以上のような、
- ワセリン
- クリーム・ローション
- 化粧水
という3種類の保湿剤を、アトピー治療では状況に応じて使い分けていきます。
使い分けの基準となるのは、皮膚炎の状態・季節・体の部位の3つです。
順番に見ていきましょう。
2-1. 皮膚炎の状態によって使い分ける
皮膚炎が酷い状態では皮膚バリア機能はかなり低い水準にあり、逆に皮膚炎が落ち着いている状態では皮膚バリア機能は高い状態にあります。
皮膚バリア機能が低い時にはより保湿力の強い保湿剤を使い、皮膚バリア機能がある程度整っている時には、相対的に保湿力の弱い保湿剤を使う
このように、皮膚炎の状態に合わせて、保湿剤の種類を使い分けていきます。
具体的には、
皮膚炎が酷いときには、クリームやローションで足りない場合には、一番上にプロペトや白色ワセリンなどの高純度ワセリンを塗って、手厚く保護してあげる。
一方、皮膚炎が綺麗になった段階では、ワセリンなどの油分の多い保湿剤ではかえって肌トラブルの原因となるため、比較的軽いクリームやローションといった保湿剤を使う。
というように、使い分けます。
2-2. 季節によって使い分ける
また、季節が違えば肌の乾燥のしやすさも当然異なりますから、季節によって使う保湿剤の種類も変えていきます。
- 乾燥しやすい冬場は、より強い保湿力の保湿剤を使う。
→ 油分の多いクリームやワセリン(ローションや化粧水を併用) - 湿度の高い夏場は、より軽い保湿力の保湿剤を使う。
→ 油分の少ないクリームやローションのみ
のような使い分け方です。
2-3. 身体の部位によって使い分ける
最後に、塗る身体の部位によっても保湿剤の種類を変えていきます。
- 乾燥しやすい部分にはより油分の多い保湿剤を使う。
- 皮脂分泌量が相対的に多く、見た目も気になる部位には軽い保湿剤を使う。
のような使い分け方です。
例えば、顔面は他の部位に比べて皮脂分泌量が多いですから、ワセリンだけを使うのはあまり良くありません。
また、顔や首などは他人から見える部分ですから、テカりやベタつきといったポイントも考慮して、より使用感の良い保湿剤(ローションなど)を使うという選択肢もあります。
2-4. 水→油の順番で塗るのが大原則
このように、上記3つの判断基準(皮膚炎の状態・季節・部位)を総合的に考慮して、使う保湿剤の種類を選んでいきます。
文章で書くと小難しく感じますが、慣れれば自然と自動的に判断できるようになっていくはずです。
保湿剤の種類の使い分けは、要は、
肌にしっかりと水分を補給したあと、どれくらいの油分を塗っておけばいいか?
ということです。
バリア機能の整った状態では、油分は少なくてOK、多いと逆に肌トラブルの原因となりますし、
乾燥しやすい冬場やバリア機能の低下した状態では、油分をたっぷりと補充して皮膚を覆い、水分を閉じ込める必要があります。
このように、保湿剤は「水→油」という順番で塗るのが大原則で、
たっぷりと水分を補給してあげるのはいつも同じで、調整する必要があるのは油分の量の方です。
そして、油分の量を調整するために、保湿剤の種類を使い分けていくわけです。
3. まとめ
ワセリン・クリーム(ローション)・化粧水の3つの保湿剤の種類のうち、
アトピー治療で最も使いやすいのは、油分が多めのクリームタイプです。
「油分が多めのクリームタイプ」の保湿剤では、
が最も使いやすく、安く手に入るものだと思います。
この混合クリームをメインに使うようにして、皮膚炎の状態や季節・部位によって
高純度ワセリンを追加で塗ってあげる、この部分はローションだけでOK、などのように使い分けていくと、
より効果的に保湿が出来るようになります。
この記事がご参考になれば幸いです。