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限局性強皮症と全身性強皮症の違いは

  • 限局性強皮症

強皮症は、皮膚や内臓にも変化を伴う「全身性強皮症」と、皮膚とその下部の筋肉や骨のみを侵す「限局性強皮症」の2つのタイプよりなります。
では、限局性強皮症と全身性強皮症の違いは何でしょうか?
2つの違いについてまとめました。

限局性強皮症と全身性強皮症の違いは?

限局性強皮症と全身性強皮症は異なる病気です。一般的に、強皮症というと後者の全身性強皮症を指しています。

また、限局性強皮症は全身性強皮症と違い、膠原病ではありません。内臓には全く変化を伴わず、生命に関わらない良性の疾患です。

限局性強皮症の「限局性」とは皮膚にのみ症状がみられるという意味です。全身性強皮症と同様に皮膚が硬くなる症状が出ることから、共通して「強皮症」という病名が使われていますが、形や分布などの症状は全く異なります。限局性強皮症は皮膚が丸い形(円形や類円形)や線上に境界がはっきりして「硬化」がみられるのが特徴です。

これに対して全身性強皮症は、皮膚硬化が手指の末端から徐々に拡がり、境界部がはっきりしないのが特徴です。また、限局性強皮症の皮膚硬化は全身で左右非対称となるのがほとんどですが、全身性強皮症の皮膚硬化は左右対称にみられます。

なお、全身性強皮症の中で「限局皮膚硬化型(限局型)」という病型もありますが、限局性強皮症と別の病気なので注意してください。 

皮膚硬化以外の点でも限局性強皮症は全身性強皮症と異なる点が複数あります。全身性強皮症と比較した場合の限局性強皮症の特徴をまとめました。
 
①内臓には変化がみられない
②レイノー現象を伴わない
③他の膠原病を合併することはない
 
以上のことから、限局性強皮症は生命に関わる病気ではありません。
ただし、限局性強皮症でも非常に硬化が強い場合、皮膚症状のみられる部位の筋肉にも硬化がおこり、日常生活に支障をきたすことがあります。

限局性強皮症は全身性強皮症に移行しますか?

限局性強皮症と全身性強皮症は別の病気のため、前者が後者に移行することは基本的にはありません。

ただし、本来は全身性強皮症でありながら、限局性強皮症に似た皮膚症状がみられる場合もあります。この場合は、限局性強皮症が全身性強皮症へ移行したと判断されるケースもあるようです。
限局性強皮症と判断された場合でも、

・レイノー現象がみられる
・全身性強皮症でみられる自己抗体(抗トポイソメラーゼⅠ抗体、抗U1-RNP抗体、抗セントロメア抗体)が陽性

という場合には、全身性強皮症に限局性強皮症が合併している可能性を考える必要があるようです。

分類と症状

限局性強皮症は、皮膚の症状の形と分布で以下の3種類に分類されます。
 
①斑状強皮症(モルフィア)
②線状強皮症
③汎発型限局性強皮症
 
さらに特殊型として以下の3型が加わります。
 
④滴状限局性強皮症
⑤深在性限局性強皮症
⑥ケロイド様限局性強皮症
 
それぞれの特徴を説明します。

①斑状強皮症(モルフィア)

円型または楕円形の皮膚硬化がみられます。通常の皮膚と皮膚硬化が起きている部分の境界ははっきりしていて、単発であらわれることもあれば、複数みられることもあります。

初期には硬化した部分の周囲が赤くなることがあります。硬化が強い場合は硬化した部分に光沢がありますが、ピークを過ぎると皮膚がやわらかい状態に戻ることもあります。これを皮膚萎縮といいます。

また、皮膚硬化と同時に皮膚の色が濃くなったり、色が抜けてしまったりすることもあります。

②線状強皮症

皮膚硬化の分布が特徴的で、四肢や顔面に境界がはっきりとした皮膚硬化が線状または帯状にみられます。皮膚硬化が強い部位では皮膚の陥没を伴います。

線状強皮症にみられる硬化はときに皮膚、皮下組織にとどまらず、筋肉や骨に及ぶことがあります。そうなると、筋肉や骨の萎縮が起こります。

そのため、四肢に強い硬化が生じた場合は、手足の変形や関節が十分に動かないなどの機能障害が起こることもあります。線状強皮症が顔面や頭部にみられた場合「剣創状強皮症」と呼ぶこともあります。これは、病変部の分布が刀で斬りつけられたような傷跡に類似した分布をとるからです。額や頬では皮膚が陥没し、かなり目立つこともあります。

頭部の病変は通常脱毛を伴い、患者さんにとって脱毛の方が苦痛となることも少なくありません。

③汎発型限局性強皮症

斑状強皮症と線状強皮症のいずれか、あるいは両方が全身に多発してみられるタイプです。

④滴状限局性強皮症

直径3mm程度の水滴のような硬化があらわれます。斑状強皮症の小型のものと考えられています。

⑤深在性限局性強皮症

見た目は変化がなく、触れてみると皮膚の下にしこりがある特殊な病型です。皮膚ではなく、皮下脂肪組織中心に硬化が起こります。

⑥ケロイド様限局性強皮症

限局性強皮症は一般に皮膚が陥没しますが、逆に盛り上がってケロイド様に見える特殊型です。結節状限局性強皮症とも呼ばれます。このタイプはときどき全身性強皮症に伴ってみられます。

診断

限局性強皮症の典型例は、この病気に精通した皮膚科医またはリウマチ膠原病内科医にとって比較的容易に診断することができます。しかし、症状が典型的でなかったり、皮膚硬化が軽度な場合は、皮膚生検を行い、診断を確定させることになります。

皮膚生検の皮膚硬化の所見は全身性強皮症と似ていますが、全身性強皮症より強い炎症を伴う傾向があります。診断の際に留意すべき疾患として「全身性強皮症」と「好酸球性筋膜炎」があります。

しかし、両者ともに皮膚硬化部位の境界がはっきりしていないことにより、境界が明瞭である限局性強皮症との区別は容易だといわれています。

検査

抗核抗体はしばしば陽性となりますが、全身性強皮症に特徴的な抗トポイソメラーゼⅠ抗体、抗セントロメア抗体、抗U1-RNP抗体は陰性です。その他リウマチ因子陽性、免疫グロブリン上昇、抗1本鎖DNA抗体、赤沈上昇などの免疫学的異常を伴うこともあります。

特に、抗1本鎖DNA抗体が陽性の患者さんではこの値が病気の勢いと関連して変動することが知られています。

治療

限局性強皮症は、時間はかかりますが、ゆっくりと自然に治っていきます。しかし、短い期間では治療の難しい病気です。

以下の条件の1つまたは2つを満たす場合は副腎皮質ステロイドの内服とします。その際、期待される効果や副作用についてよく主治医の先生と話し合いましょう。その上で、投与量を決定し、治療を開始する必要があります。
 
①症状が急速に拡大している
②動きの障害があるか、障害が懸念される
③成長障害が懸念される
④活動性を示す抗1本鎖DNA抗体が高値である
⑤下部の筋肉に強い炎症を伴っている
 
その他、一般的な皮膚症状に対しては、副腎皮質ステロイドの外用薬や免疫抑制薬の外用薬(商品名:プロトピック)を使用します。副腎皮質ステロイドの外用薬はかなり強めのものから開始します。そして、症状の変化および皮膚萎縮や血管拡張などの副作用に注意しながら症状に応じて弱いものに変更します。

妊婦さんや妊娠希望の患者さんでなければ、粘膜部位以外に、免疫抑制薬の外用薬(商品名:プロトピック)を用いることもあります。この薬は顔面に皮膚萎縮や毛細血管拡張がみられにくいのが特徴です。副腎皮質ステロイド内服を行う場合、中等量(1日の量が体重10kgあたり0.5~1錠程度)より開始して、症状および抗1本鎖DNA抗体の抗体価などの推移を参考にしながら徐々に減量します。

内服の場合は、急激なステロイドの減量は再発および憎悪の危険があります。従って、徐々に減量することが必要です。

美容上の改善のために、頭部の皮疹部分の切除を行うこともあります。この場合、限局性強皮症の皮疹の拡大傾向が完全に止まっていることなどを確認した上で、手術の時期を十分に検討してから行うべきだと考えられています。

また、限局性強皮症の皮疹で陥没している部分に対してコラーゲン注入を行うこともあります。しかし、注入されたコラーゲンはかなりの部分が一定期間で吸収されてしまうので、間隔をあけて複数回注入を行う必要があります。コラーゲンの注入は現在のところ保険診療では行えませんので、自費となります。

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