背骨と神経

中枢神経と末梢神経のお話

背骨の中には大事な神経が通っているということはみなさん御存じだと思うんですが、その神経には大きく分けて、中枢神経と末梢神経があります。中枢神経とは脳や脊髄(背骨の中の太い神経)のことで、末梢神経とは中枢神経から分かれて、身体のすみずみまで行き渡っている神経のことです。カイロプラクターが検査や治療(施術)の対象にしているのは主にこの末梢神経なんですが、これは運動神経、感覚神経、自律神経に分けることができます。感覚神経はセンサーのような役目があり、身体の感じる痛みや温度などを中枢に伝えます。運動神経は身体の筋肉を動かす働きがあり、これによって我々は思うような動きをすることができます。自律神経は、我々の意思とは関係なく働き、体温の調節や、血圧、心拍数などに影響を与えています(交感神経と副交感神経)。

運動神経のお話

一つ一つの関節(背骨)の間からでる運動神経は、それぞれに支配する筋肉が決まっていて、背骨を出てから筋肉までの身体の中での走行も大体決まっています。この神経と筋肉が正常に働いているかどうかを調べるため、我々カイロプラクターは主に筋力検査を使います。筋力が正常に働いていない場合、筋肉に問題があったり、関節や神経機能に問題があったりする可能性があるのでその部分をチェックし、必要な場合は関節や筋肉に対して(施術を行っていきます。どこからどのような神経が出ていて、どの筋肉を支配しているかを表にしてみましたので参考にして下さい。少し細かい?ですけど、これらの関係が施術を行う上でかなり重要になってきます。(目安として、Cは頚椎、Tは胸椎、Lは腰椎、Sは仙骨からそれぞれ分かれる神経です)

代表的な症状

頚部の主な筋肉筋肉支配神経神経レベル
胸鎖乳突筋副神経C2~C3
頭半棘筋、頭板状筋脊髄神経後枝C4~C8
斜角筋(前、中、後)脊髄神経直接枝C3~C8
肩甲挙筋肩甲背神経C3~C5
僧帽筋(上)副神経C2~C3
肩、肩甲骨周囲の主な筋肉三角筋(前、中、後)腋窩神経C5~C6
棘上筋肩甲上神経C5~C6
大円筋肩甲下神経C5~C6
肩甲下筋肩甲下神経C5~C7
棘下筋肩甲上神経C5~C6
小円筋腋窩神経C5~C6
前鋸筋長胸神経C5~C7
僧帽筋(上、中、下)副神経C2~C3
背中の主なの筋肉菱形筋(大、小)肩甲背神経C4~C5
広背筋胸背神経C6~C8
腸肋筋(頚、胸、腰)脊髄神経後枝付着による
最長筋(頚、胸、腰)脊髄神経後枝付着による
棘筋(頚、胸、腰)脊髄神経後枝付着による
僧帽筋(上、中、下)副神経C2~C3
胸、腹部の主な筋肉大胸筋(鎖骨部、胸骨部)外側、内側胸筋神経C5~T1
小胸筋外側、内側胸筋神経C5~C7
腹直筋肋間神経T7~T12
腹斜筋肋間神経、腸骨下腹神経などT8~L1
腕、手の主な筋肉上腕二頭筋筋皮神経C5~C7
上腕三頭筋橈骨神経C6~T1
腕橈骨筋橈骨神経C6~C7
上腕筋筋皮神経C5~C7
円回内筋正中神経C7~T1
橈側手根屈筋正中神経C7~T1
尺側手根屈筋尺骨神経C8~T1
長、短橈側手根伸筋橈骨神経C6~C7
母指内転筋尺骨神経C8~T1
長母指外転筋橈骨神経C6~C8
短母指外転筋正中神経C7~T1
小指対立筋尺骨神経C8~T1
指伸筋橈骨神経C6~C7
おしり、骨盤周囲の主な筋肉腰方形筋腰神経叢T12~L3
大殿筋下殿神経L5~S2
中、小殿筋上殿神経L4~S1
梨状筋仙骨神経叢L5~S2
恥骨筋大腿神経、閉鎖神経L2~L4
内、外閉鎖筋仙骨神経叢L5~S1
腸腰筋腰神経叢L4~S1
大腿筋膜張筋上殿神経L4~S1
大腿、足の主な筋肉縫工筋大腿神経L2~L3
薄筋閉鎖神経L2~L4
長、短内転筋閉鎖神経L2~L4
大内転筋閉鎖神経、坐骨神経L2~S1
半腱、半膜様筋坐骨神経L5~S2
大腿二頭筋脛骨神経、腓骨神経L5~S2
大腿四頭筋大腿神経L2~L3
前脛骨筋深腓骨神経L4~L5
後脛骨筋脛骨神経L5~S2
第三腓骨神経深腓骨神経L4~L5
長短腓骨筋浅腓骨神経L5~S1
腓腹筋、ヒラメ筋脛骨神経L5~S2
長指伸筋深腓骨神経L4~S2
長母指屈筋脛骨神経L5~S2

症状や痛みに関係する筋肉と主な治療(施術)部位

症状症状の原因となる主な筋肉施術部位
肩こり・首の痛み肩甲挙筋、上部僧帽筋、斜角筋、胸鎖乳突筋、肩甲骨周囲の筋肉頚椎、上部胸椎、中部胸椎、肋骨など
寝違え・背中の痛み肩甲挙筋、頚板状筋、頭板状筋、頚半棘筋、頭半棘筋、脊柱起立筋など中部、下部頚椎、上部胸椎など
頭痛・後頭部の痛み後頭下筋、頚板状筋、頭板状筋、頚半棘筋、頭半棘筋、前頭筋、後頭筋、側頭筋、上部僧帽筋など。頭痛は、頭部や頚部の筋肉からの関連痛が多いです(筋肉が関係している頭痛の場合)後頭骨、上部頚椎、中部頚椎など
腰痛・ぎっくり腰・腰の張り多裂筋、腰方形筋、広背筋、腸腰筋、脊柱起立筋など下部胸椎、腰椎、骨盤など
おしりの痛み・下肢の痛み・しびれ大殿筋、中殿筋、梨状筋、ハムストリング、大腿四頭筋、内転筋、大腿筋膜張筋など中部腰椎、下部腰椎、骨盤、股関節、膝関節など

自律神経のお話

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経は、ストレスや緊張状態の時に優位に働く神経で、心臓の働きが活発になるために心拍数や呼吸数が上がったり、また筋肉に行く血液が増えるために筋力を発揮されやすい状態になったりします。よく夜に目がさえて眠れなかったり、人前でスピーチしなくてはいけないときにドキドキしてる状態が交感神経が優位に働いている状態です。交感神経は、活動的な状態となるため動物性の神経に例えられることも。逆に、副交感神経は休息の状態になることから植物性の神経に例えられ、身体や心がリラックスしてるときに優位に働く神経です。心臓の働きはゆっくりになり、心拍数や呼吸数も減ってきます。交感神経が優位になると、筋肉に血液が供給されるのですが、副交感神経が優位な時は、胃や消化器系の血液がたくさん供給されるため、胃腸の活動は活発になります。のんびりとした気分で過ごしている時が副交感神経が優位の状態といえます。

人間の多くの臓器は、この交感神経と副交感神経に二重に支配されていますので、どちらの神経が優位になっているかによってそれらの臓器の働きは逆になるのですが、どちらがよいということでなく、交感神経と副交感神経のバランスが大切になります。 交感神経が優位な状態が続けば、身体は休むことができなくなり、疲労困憊の状態になってしまいます。また、副交感神経が優位な状態が続けば、精神的にはリラックスできていいかもしれませんが、頑張るときに頑張れなくなり、仕事ができなくなってしまうことでしょう!(特に日本では・・・) 自律神経の働きがうまくいってない方は、前者の方が圧倒的に多いように感じます。我々人間が生きていく上で、適度のストレスは必要なんですが、過剰なストレスを受け続けると身体も心も疲憊してしまい、それがいろいろな症状となって身体に現れます(頭痛、慢性疲労、身体の痛み、精神不安定、めまい、食欲不振、不眠などなど)。ストレスの話はハンス セリエを参考にしてみて下さい。

カイロプラクティックの施術は、関節にアプローチすることにより体性-自律神経反射に影響を与えるため、これらの症状にも良い結果が期待できます。よく施術後に、患者さんから眠くなった、すっきりした、けだるい感じがするといった声を聞くのですが、これらは副交感神経の働きが活発になるために起こる状態です。ちょっと細かい話になるのですが、関節からの感覚入力(体性感覚)は、脊髄神経の後根を通り、脊髄を上行して視床から大脳の感覚野に伝えられます。このとき自律神経の中枢がある視床下部を介して自律神経に影響を与え、下垂体ホルモン分泌にも影響を与えます(内分泌系への影響も)。 

このように、カイロプラクティックの施術は、関節の歪みなどを整える生体力学的な影響だけでなく、神経生理学的、また心理学的にも影響を与えます。主に背骨と自律神経、関連臓器の関係を表にしてみましたので、参考にしてみてください。

脊椎レベル 自律神経症状や関連臓器関連症状
C1めまい、吐き気、ヒステリー、不眠症、ノイローゼ、蓄膿症、難聴、斜視、目や耳の疾患頭痛、片頭痛
C2三叉神経痛、顔面神経痛
C3湿疹、ふきでもの、しゃっくり
C4アデノイド、鼻かぜ、咽頭疾患、嗄れ声、扁桃腺炎、のどの痛み、甲状腺炎上肢の神経痛、ムチうち症、寝違い、首、肩こり、五十肩
C5
C6
C7
T1喘息、咳、呼吸困難、心臓機能障害、乳汁欠乏、流行性感冒、気管支炎
T2肋間神経痛、背部痛、胸痛
T3
T4胆嚢障害、肝臓疾患、ヒステリー、低血圧
T5神経性胃炎、胃酸過多、胃アトニー、胃潰瘍、慢性胃炎
T6
T7
T8肝臓疾患、肝臓障害、副腎、アレルギー、十二指腸障害、寒気の中枢
T9
T10胃や周辺臓器疾患、慢性疲労、ふきでもの、動脈硬化症
T11
T12小腸、大腸、中枢、下痢、便秘、不妊症
L1大腿神経痛
L2分娩、排尿、排便中枢
L3膀胱疾患、流産、精力減退膝痛
L4冷え性、痔疾患生理痛
L5
S1腰痛、ぎっくり腰、坐骨神経痛、下肢関節痛(L2、L3、L4も含む)
S2痔疾患、肛門周囲炎、子宮後屈、尿失禁 
S3
S4


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