温泉の効能・効果

わが国では、古くから、温泉を利用して病気を治療する「湯治」がおこなわれてきました。
また、温泉の療養効果は近代医学においても高く評価されているところです。

これから温泉がなぜ身体に効くのかをお話します。

温泉の効果を考える前にまず、お風呂(淡水すなわち「まゆ」)の効果について考えてみましょう。

まゆと温泉に共通する生理作用は大きく

1. 温熱(温める)
2. 静水圧(お風呂の中で身体にかかる水圧)
3. 浮力・粘性

の3大作用に分けて考えられます。

更に地中から湧き出る温泉には中に溶けているイオンなどの物理、化学・薬理的作用も加わって、温泉特有の生理作用が現れます。
加えて温泉には温泉地を取り巻く自然環境等の因子も無視できません。

参考文献
1、秋本平十郎・内田勇次:大湯 熱海温泉の歴史講談社1962
2、山村順次:日本の温泉地その発達・現状とあり方日本温泉協会1987
3、横山巌他:温泉医学教育研修会講義録日本温泉気候物理医学会編1990
3、ウラディミール・クリチェク著(訳:種村季弘他):世界温泉文化史国文社1994
4、植田理彦他:入浴・温泉療法マニュアル日本温泉療法医会編1999
等を参考にさせていただきました

淡水浴の全身作用

1、温熱効果

全身浴と部分浴:全身お湯に浸かるか、部分的に温めるかで入浴の効果は随分と違ってきます。

例えば…
◇高温浴
42℃以上の熱い湯は、からだに興奮的に作用するので、新陳代謝が活発になります。ただし、高齢者や血圧の高い人には強すぎることがあります。

◇微温浴
36~38℃くらいの体温に近いぬるい湯では、からだに鎮静的に作用し、神経がやすらいでゆったりとした気分になります。
胸の高さくらいまで、ゆっくり入るのが効果的です。


2、静水圧

水中では深さが1mますごとに体表1cm2あたり100gの静水圧がかかります。
心肺機能障害を伴う人では、水の心肺負荷の増大に気をつけましょう。
一方で心臓や肺負荷のトレーニングには有効な手段となります。


3、浮力・粘性

アルキメデスの原理で知られるように水中にある物体には浮力が働きます。
70kgの体重の人では首から下を水中に沈めると理論上6.78kgとなります。
水中に没している部分のみを考えれば無重力に近い状態です。
この浮力を応用して各種運動機能障害患者の機能回復訓練が盛んに行われています。
すなわち足腰や関節への負担が軽くなり、水中での運動が楽になります。

 また水の粘性で身体を動かす為に3~4倍の抵抗がかかります。
この抵抗を上手に使うことによって更に水中での運動療法が有効になります。
水中での運動は、水が抵抗となって筋肉、骨格が鍛え易くなります。

温泉水自体のもつ効果

1、化学的作用

温泉には、一般の地下水と異なりいろいろな化学成分が多く含まれています。
これらが皮膚に付着したり、皮膚から吸収されたり、ガス成分が呼吸によって肺から吸収されたりします。
また、温泉水を飲むことによっても、成分が体内に吸収されて薬と同じような効果がもたらされます。


2、その他の作用

このほかに温泉地の環境や気候による効果と生活の変化による精神的な効果が考えられます。

◇山岳地にある温泉では、気圧が下がるために呼吸運動が活発になり呼吸機能が強化されます。
◇美しい景観や静かな環境とともに、日常生活からはなれた解放感は、はりつめた神経の緊張をやわらげます。


*非特異的変調作用について

温泉には、以上述べたような作用が人体に総合的に作用して、バランスのくずれたからだ(病気の状態)の調子を正常化させ、外部からの異常刺激に対して抵抗性を増加させるはたらきがあります。
これを「非特異的変調作用」といいます。
温泉の効能・効果は、ひとつひとつの作用よりも総合的な非特異的変調作用によるところが大きいと考えられています。
なお、この作用は即効的でなく、効いてくるまでにある程度の日数と続けて入浴することが必要です。

温泉の泉質について

温泉のうちで、特に治療の目的に供しうるものを「療養泉」といいます。
療養泉は、含まれる化学成分の種類と量により、次のように分類されています。

1、塩類泉
溶存物質量(ガス性のものを除く)が温泉水1キログラム中に1グラム以上含まれるもので、陰イオンの主成分によって次のように分類されます。

(1)塩化物泉
塩素イオン(Cl+)を主成分とする温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン(Na+)であれば、ナトリウム-塩化物泉(食塩泉)となります。
入浴すれば、皮膚に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、保温効果があります。
このため、食塩泉には「あたたまりの湯」とか 「熱の湯」といわれるところがあります。

(2)炭酸水素塩泉
陰イオンの主成分が炭酸水素イオン(HCO3-)である温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン(Na+)であれば、ナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)となります。
入浴すれば、皮膚の脂肪や分泌物を清浄化するので肌が滑らかになり、 「美人の湯」とよばる温泉があります。

(3)硫酸塩泉
陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO42-)である温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン(Na+)であればナトリウム-硫酸塩泉(芒硝泉)、カルシウムイオン(Ca2+)であればカルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)となります。
「きずの湯」などと呼ばれ、きりきず・やけどに効果があるといわれる温泉が多いようです。

2、単純温泉
溶存物質量(ガス性のものを除く)が温泉水1キログラム中に1グラム未満のもので、泉温が25℃以上のものを単純温泉といいます。
また、pH8.5以上の単純温泉をアルカリ性単純温泉といいます。
含有成分がうすいので、一般的にからだに対して刺激が少なく、利用範囲の広い温泉です。

3、特殊成分を含む療養泉
(1)硫黄泉
総硫黄が温泉水1キログラム中に2ミリグラム以上含まれる温泉です。
硫黄が主として遊離硫化水素の型で含まれるもの(硫化水素泉)と含まれないもの(硫黄泉)に区別されます。
温泉地に行くと卵の腐ったような特有の臭いのすることがありますが、これは硫化水素の臭いです。
酸化されると黄白色のイオウの沈殿を生ずるので、浴槽の湯の中に浮かんで見えることがあります。
また、ガス噴気孔のまわりにもイオウの結晶が見られます。

(2)含鉄泉
総鉄イオン(Fe2++Fe2+)が温泉水1キログラム中に20ミリグラム以上含まれる温泉です。
湧出直後は無色透明でも、時間の経過とともに酸化されて、茶褐色に変化する温泉です。

(3)酸性泉
水素イオン(H+)が温泉水1キログラム中に1ミリグラム以上含まれる温泉です。
外国の温泉にはあまり見られない泉質ですが、わが国では各地で見られ、強い酸性を示す温泉です。

このほかに、二酸化炭素泉や放射能泉などがあります。

温泉の効用

温泉は良質によって、
次のような効用(適応症)があるといわれています。

単純温泉の適応症 
浴用… 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進 
飲用… 源泉によって異なります。  

硫黄泉の適応症 ~特殊成分を含む療養泉~
浴用… 単純温泉の適応症に加えて慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病 
飲用… 糖尿病、痛風、便秘 

塩化物泉の適応症 ~塩類泉~
浴用… 単純温泉の適応症に加えてきりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病 
飲用… 慢性消化器病、慢性便秘 

硫酸塩泉適応症 ~塩類泉~
浴用… 単純温泉の適応症に加えて動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病 
飲用… 慢性胆嚢炎、胆石症、慢性便秘、肥満症、糖尿病、痛風 

炭酸水素塩泉の適応症 ~塩類泉~
浴用… 単純温泉の適応症に加えてきりきず、やけど、慢性皮膚病 
飲用… 慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病 

含鉄泉の適応症 ~特殊成分を含む療養泉~
浴用… 単純温泉の適応症に加えて月経障害 
飲用… 貧血

温泉の禁忌症

次のような症状のときは、一般に入浴することがいけないといわれています。
・急性疾患(特に熱のある場合)
・活動性の結核、
・悪性腫瘍、
・重い心臓病、
・呼吸不全、腎不全、
・出血性疾患、
・高度の貧血、
・その他一般に病勢進行中の疾患、(特に初期と末期)。

このほか、次の症状を持つ人は一般に高温浴(42℃以上)をさけ、ぬるめのものに入るべきものとされています。
高度の動脈硬化症、高血圧、心臓病

温泉の正しい入浴法は?

■入浴前の注意

温泉の入浴はかなりのエネルギーを消費するので、 長旅などで身体が疲れているときは、 少し休息してから温泉に入るようにしましょう。
・温泉に入る時は、十分に「かけ湯」をして温泉に慣らしてから、 また身体を清潔にしてから浴槽には入ってください。
・いきなり熱い湯に入ると、 めまい等を起こすことがあるので十分注意しましょう。
・食事の直後や、空腹時の入浴は避けてください。
・飲食後の入浴は思わぬ事故を起こすことがあるので、 酔いがさめてから入るようにしてください。


■入浴回数と時間等

・入浴回数は健康な人でも1日3回くらいがよいでしょう。
・入浴時間は熱めのお湯では10分以内、ぬるめのお湯は30分くらいが適当です。
・高度の動脈硬化症、高血圧症、心臓病の人は 42℃以上のお湯には入らないでください。
・温泉療養を目的とした長期滞在の人は、最初の数日の入浴回数を1日当たり1回程度とし、その後は1日当たり2~3回までとしてください。
・なお、温泉療養のための必要期間は、おおむね2~3週間が適当です。
・温泉療養を開始してから数日後に「湯あたり」(湯さわり又は浴湯反応)があらわれることがあります。 湯あたりの間は、入浴回数を減らすか中止して、湯あたり症状の回復を待ちましょう。


■入浴後の注意

・入浴後は、身体に付着した温泉の成分を水で洗い流さないでください。(湯ただれを起こしやすい人は逆に入浴後真水で身体を洗うか、温泉成分を拭き取るのがよいでしょう。)
・入浴後は、湯冷めに注意して30~60分くらいの休息をとりましょう。

家庭での入浴法

精神的、肉体的疲労を癒してくれる入浴は日本人には毎日欠かす事の出来ない日常事です。

1、風呂の温度
従来日本人は高温(42~43度)を好みます。
入浴時の温熱刺激による血圧の変動、自律神経の反応、血液粘度・線溶系の変化などを考慮すると、高齢者の場合、 39度前後の微温浴が良いでしょう。

2、入浴の姿勢
全身入浴時の静水圧による心肺負荷は高齢者では無視できません。
半身浴(座位)で横隔膜のレベルの水位が良いと言われています。
また洋式のお風呂は深さがないので和式より静水圧がかかりません。

3、入浴の時間帯と入浴時間・回数
夜間は副交感神経優位となるので微温浴が、昼間は交感神経優位になるので高温浴が適します。
また夜間入浴は温浴に対する感受性が高まります。

例えば39度13分入浴する時に1回の全身浴でも良いですが、保温性からみると、5分入浴、3分出浴、8分入浴というように分割した方が効果的で、心肺機能への負担も軽くすみます。
御年配の方にはぜひこのような入り方をお薦めしたいですね。

4、その他の諸注意は?

入出浴時

・入出浴で血圧は変動します。
・入浴前の頭部や四肢などへの部分浴(かけ湯)は血圧の上昇を和らげます。
・入浴中の運動は急激な血圧上昇を起こすので控えましょう。
・出浴時の急激な血圧の低下を防ぐためには浴槽から出たら、上肢に冷水をかけるなどすると効果的です。
・入浴時の静水圧は腹部を圧迫して消化活動を妨げます。
また身体が温まる事による皮膚(末梢)血液量の増加は内臓の血液量を減少させます。したがって夕食直後は入浴をしない方が良いでしょう。
・さらに入浴はアルコール作用を増強させるので注意します。

出浴後は?

・寒冷時には入室直後に血圧の急上昇を起こすので、脱衣室は温めておく事が必要です。
・出浴後は血圧低下が維持するので、 30~60分は安静を保ちます。
・入浴後は脱水症になっています。
水分の摂取は400~500mlを目安にしましょう。
・皮膚は乾燥し易すくなるので、乾燥を防ぐスキンケアーが必要です。
(NPOエイミックでは保湿ジェルを販売しています)

引用する時に注意したい事

■一般的注意事項

・温泉には老化現象が認められ、地中から湧出した直後の温泉が 最も効用があるといわれています。 特に飲用にあたっては飲泉所で新鮮な温泉を掲示表の注意事項に したがって飲むようにしてください。・飲用許可のある施設であっても、その温泉を容器に入れて 持ち帰り時間が経過してから飲用することは避けてください。・飲泉療養に際しては、温泉について専門的知識を有する 医師の指導を受けるようにしてください。

■飲泉の用法

・温泉の飲用は、一般的には食前30~1時間が適当です。・含鉄泉及びヒ素又はヨウ素を含有する温泉は、 食後に飲用してください。・含鉄泉を飲用した直後に、 お茶やコーヒーなどを飲まないようにしましょう。・夕食後から就寝前の飲用はなるべく避けてください。

■飲用の用量

・1回の飲用量はコップ1~2杯程度(100~200ml)とし、 1日の量もおおむね200~600mlまでとしてください。・塩分の強い温泉などは、濃度によって減量するか、 又は希釈して飲用してください。

臓器別の入浴(淡水)の作用

1、自律神経系
入浴による温熱刺激は自律神経を刺激します。
高温浴では交換神経優位、低温浴では副交感神経優位になります。

2、心・脈管系ならびに肺
温熱刺激は自律神経を介する心脈管系反応を起こします。
全身浴では静水圧により胸郭圧迫や腹圧上昇により、肺循環や右心室に負荷がかかります。
心尖部(お乳のあたり)以下の半身浴ではこの負荷は小さいので心臓などの病気の方は注意して下さい。
洋式は寝る形に近いので日本式に比べてはるかに静水圧は少なくすみます。

3、消化器
高温浴では消化管の蠕動運動や胃液の分泌を抑制します。
胃酸の分泌も押さえられるので、胃潰瘍の方等には高温浴がお勧めです。
逆に微温浴では胃酸分泌を促進します。

4、腎
静水圧による心臓への血液還流の影響や利尿ホルモン産生により利尿が強まります。

5、血液・免疫系
入浴は利尿の他、発汗・不感蒸泄により血液の濃縮をもたらします。
血液の粘度も増して動脈効果の進展した老人には良くありません。
したがって入浴後水分の補給が必要です。
高温浴では血小板の活性、繊維素溶解能も低下します。
微温浴では逆に繊維素溶解能は亢進します。温熱の程度により免疫能の増強または低下が認められます。
過大なストレスを伴う運動や入浴は免疫能の低下を招きます。

6、運動器(骨・関節・筋)
温熱には鎮痛作用があります。疲労物質による筋肉疲労には、温熱の物理的な刺激や血行改善により有効です。
しかし全身浴による全身皮膚血行の増大は筋肉内の血行を減らすので疲労回復効果は低くなります。

7、皮膚
皮膚は皮脂腺によって水分蒸発が抑制されているが、入浴中に皮脂腺は溶け出します。
したがって皮膚は乾き易くなります。
御年配者は特に気をつけましょう。

8、内分泌
温熱刺激により内分泌への影響は詳しい報告がなされています。
その結果を簡単に書くと代謝亢進、疼痛緩和、利尿循環改善などの効果が認められています。

9、精紳・心理
高温浴では心拍数増加、血管収縮、血圧上昇など緊張を高めます。
微温浴では心拍減少、血管緊張低下、血圧低下などリラックスさせる働きがあります。
また浴槽が大きいほど不快感が低下します。すなわちα波出現頻度が高く、脳の鎮静効果、快適感、リラクセーションの高いことが知られています。

温泉の定義

温泉とは
温泉とは、その字のごとく地下から湧き出した温かい水(泉)の事ですが、世界各国の定義には若干の違いがあります。
人間が冷水と温水区別できる温度は摂氏34℃であると言われ、温泉医学的にはそれ以上を狭義の温泉と称しています。

温泉の温度は
しかし地表に湧出した温泉は次第に温度を低下させその土地の年平均温度に近づくので、世界各国ではその値が温泉の定義に採用されています。
例えば、日本や南アフリカでは25℃以上、イギリス、フランス、ドイツなど西ヨーロッパ諸国では20℃以上、アメリカでは21、1℃(華氏70℃)以上を温泉と規定しています。

日本の場合
日本では昭和23年に公布された温泉法で、 「温泉とは地中から湧き出す温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とするガスを除く)で、含まれる物質として19種のうち一つ以上が定められた基準を上回っているか、または水温が25℃以上」
と法律的に温泉と定めています。

たとえば、大分県九重山麓の寒の地獄は、泉温が13℃であっても正真正銘の温泉であり、夏季には多くの湯治客が冷水に浸って療養しています。

温泉の成分
①温度(温泉源から採取されるときの温度とする。) 摂氏25度以上
②物質(下記に掲げるもののうち、いずれか一つ。)
物質名含有量(1キログラム中)
溶存物質(ガス性のものを除く)総量1,000ミリグラム以上
遊離炭酸(CO2)250ミリグラム以上
リチウムイオン(Li・)1ミリグラム以上
ストロンチウムイオン(Sr・・)10ミリグラム以上
バリウムイオン(Ba・・)5ミリグラム以上
フェロ又はヘェリイオン(Fe・・、Fe・・・) 10ミリグラム以上
第1マンガンイオン(Mn・・)10ミリグラム以上
水素イオン(H・)1ミリグラム以上
臭素イオン(Br,)5ミリグラム以上
沃素イオン(I,)1ミリグラム以上
ふっ素イオン(F,)2ミリグラム以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO4,,)1.3ミリグラム以上
メタ亜ひ酸(HAsO2)1ミリグラム以上
総硫黄(S)〔HS,+S2O3 ,,+H2Sに対応するもの〕1ミリグラム以上
メタほう酸(HBO2 )5ミリグラム以上
メタけい酸(H2SiO3)50ミリグラム以上
重炭酸ソーダ(NaHCO3)340ミリグラム以上
ラドン(Rn)20(100億分の1キュリー単位)以上 
ラジウム塩(Raとして)1億分の1ミリグラム以上

レジオネラ菌に注意

レジオネラ菌は病原菌としては比較的新しく発見された菌です。
1976年にアメリカで在郷軍人の会合が開かれたとき重症の肺炎患者が集団発生し29人もの死亡者が出ました。
感染の原因は会場のホテルの空調用冷却塔がレジオネラ菌に汚染されていたことでした。

レジオネラ菌
レジオネラ菌は空気と水があり、20~45度の温度の条件でよく増殖します。
ですから家庭では浴室のシャワーや水道のホースの中などに繁殖しやすいと言えます。
レジオネラ菌は主に肺に進入した場合にのみ感染します。
例えばレジオネラ菌が繁殖しているシャワーの霧状の水滴を吸い込むことによって感染する恐れがあるのです。

【症状】

主に「発熱や頭痛」がおきるタイプと「肺炎」がおきる二つのタイプがあります。

◇ポンテイアック熱型

感染してから平均38時間の潜伏期間の後「発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、筋肉痛」などの症状が現れます。
風邪とよく似た症状ですが、くしゃみ、鼻水などの症状はありません。
発病しても多くは5日以内に自然回復しますが、中には「物忘れ、集中力の低下」などの症状が数ヶ月間続くこともあります。

◇肺炎型

重症の肺炎を起こすタイプです。
はじめは「発熱、倦怠感、筋肉痛、下痢」などの症状が現れます。
その後数日以内に「乾いた咳、痰、胸の痛み、呼吸困難」といった呼吸器疾患特有の症状が現れます。
また人によっては、脈が遅くなる「徐脈症状」や不審な言動や、正常に歩行できないといった「精神、神経症状」が現れることもあります。
レジオネラ菌による肺炎はたいへん進行が速く、そのため入院した患者さんでも手遅れになると4割程度が死亡しています。

【治療】

ポンテイアック熱型の場合は特に治療の必要はありません。
レジオネラ菌による肺炎では一般的な肺炎の治療で用いられる抗生物質では効果がありません。
これは、レジオネラ菌が体内のマクロファージという細胞の中で増殖する性質があるからです。
マクロファージは体内に入った病原菌などの外敵を食べて死滅させる働きをしています。
ところがレジオネラ菌はマクロファージに食べられてもマクロファージの中でも増殖し、しまいにはマクロファージを破壊してしまいます。
このためレジオネラ菌による肺炎の治療にはマクロファージの内部まで入っていく「マクロライド系薬」、「リファンピシン」、「ニューキノロン系薬」の薬剤が使われます。

【予防】

レジオネラ菌は汚染された水滴を吸い込む時に感染します。
ですから霧状の水滴を浴びる機会を減らすことが感染の予防につながります。
水滴を吸い込みやすい環境の一つに浴室があります。
シャワー口やホース内にはレジオネラ菌が繁殖しやすいため、シャワーを浴びる前に、10秒ほど水やお湯を流しホース内などに繁殖した菌を排出するようにします。
バスタブの残り湯は流し、洗って乾燥させておきます。
台所の泡沫水栓は水が溜まりやすいために菌が繁殖しやすく、水滴も飛散しやすいので、こまめに洗って清潔を保つようにしましょう。
加湿器は毎日、朝夕水を換えて菌の繁殖を防いでください。
ただし、レジオネラ菌は60度以上で死滅するので、 加熱式の加湿器は問題はありません。
予防のポイントとして家庭の水回りや、水気を使う器具の清潔と乾燥を心がけましょう。

家の中での注意

①加湿器は朝夕水を交換し、清潔を保ってください(加熱式のものは安全)。
②水が溜まりやすい泡沫水栓は、こまめに洗って清潔に使ってください。
(金沢医科大学パンフレットより)

もっとくわしくレジオネラ菌について知りたい方は
して下さい。