| 甲状腺機能低下症では、精神症状にも変化がでてきて、動作が緩慢になり、記憶力や集中力が低下します。痴呆ではないのに、いわゆる痴呆症状がでることがあります。 顔つきが腫れぼったくなり、唇や舌が大きくなります。皮膚からの発汗がなくなり乾燥します。髪は白髪となり、脱毛が激しくなります。 また、眉の外側三分の一くらいが薄くなります。下肢のむくみもみられます。首の前下の方にある甲状腺は大きくなりません。 その他の症状として、声が低音でしわがれ声になります。女性では月経過多症状がでることがあります。 甲状腺機能低下症は、通常、甲状腺を攻撃して破壊する「抗甲状腺抗体」と呼ばれる異常物質ができるために起こる自己免疫疾患です。 | この原因による甲状腺機能低下症は、〔慢性甲状腺炎(別名:橋本氏病)〕と呼ばれていて、女性が男性の10倍の頻度で発症します。治療が必要な人は、全人口の1%くらいだとされています。 症状が軽症や中等症の場合には、他の病気と似た症状を呈するために、見落とされる可能性が少なくありません。 症状から単なる「加齢現象」や「更年期障害」「老人性痴呆症」などと間違われることがあります。 このような間違いを冒さないためにも、〔甲状腺機能低下症〕の可能性が疑われたら、すぐに血液検査を行い、血液中のTSHというホルモン量を測定すればすぐに分かります。 正しい治療を行えば、上記したような症状からすべて開放されるので、検査は大切です。 |
| ◆「甲状腺機能低下症」とは、一体どんな病気なのかご説明します。 |
| どんな病気ですか? | 甲状腺ホルモンは、全身で使われるエネルギーの利用を促進するホルモンです。エネルギー需要に応じて適量分泌されていれば、快適な生活ができますが、分泌量が多すぎるとバセドウ病となります。 また、何らかの原因で分泌量が不足する状態が「甲状腺機能低下症」で、エネルギーをうまく利用できなくなるために、全身の器官などに様々な影響がでてきます。 |
| ◆「甲状腺機能低下症」の症状をご説明します。 |
| 甲状腺機能低下症の症状 | 甲状腺ホルモンが不足すると、症状は徐々に進行する形で、身体全般の機能が低下していきます。脈拍は遅くなり、手のひらと足の裏がちょっと黄色味も帯びてきます。 目と顔が腫れぼったくなり、まぶたが垂れ下がり、眉毛の外側三分の一ほどが抜けて、無表情になります。話し方は緩慢となり、かすれ声になります。 体重が増加し、便秘や冷え性を訴えるようになります。毛髪は薄くて粗くなり、皮膚は乾燥し、きめが粗くなり、うろこ状に厚くなります。 高齢者の場合には、錯乱、もの忘れ、痴呆、うつ状態などの症状がでてきます。
甲状腺機能低下症を放置すると、コレステロールの増加や動脈硬化を促進し、動脈硬化性疾患である心筋梗塞や脳梗塞の危険性が増大します。体のむくみなどが悪化し、心臓周辺に水が溜まって、心不全になることもあります。 |
| ◆「甲状腺機能低下症」の原因や発症の仕組みをご説明します。 |
| 甲状腺機能低下症の原因 | 甲状腺機能低下症にはいくつかの原因があり、基本的には「原発性(甲状腺性)」「二次性(下垂体性)」「三次性(視床下部性)」「末梢性」および「医源性」などに分類されています。 甲状腺機能低下症の中で、最も一般的な原因は、「橋本甲状腺炎」と呼ばれるもので、原因分類の「原発性」に属するもののひとつです。橋本甲状腺炎では、甲状腺が徐々に破壊され、それにつれて甲状腺の機能低下が進行します。 これらの原因分類とは別に、甲状腺が機能を果たすためにはヨードが必要ですが、開発途上国などで十分なヨードが摂取できずに、甲状腺機能低下症になる場合もあります。食生活の充実している日本では全くこのようなことは起こりえません。 甲状腺ホルモンの不足する状況としては、分泌調節の段階から次のように分類できます。
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| ◆「甲状腺機能低下症」の検査方法や診断方法をご説明します。 |
| 甲状腺機能低下症の診断 | 甲状腺機能低下症の検査では、先ず、血液中の甲状腺刺激ホルモンTSHの濃度を測定します。甲状腺の機能が低下すると、ほんのわずかな低下でも、脳下垂体は血液中のTSH濃度を上昇させるように鋭敏に反応します。従って、血液中のTSH濃度が高くなっているなら、甲状腺機能が低下していることを意味しているのです。 甲状腺機能の働きを調べるために、甲状腺ホルモン(FT3・FT4)を直接測定するよりも、血液中の甲状腺刺激ホルモンTSH濃度を測定する方が、はるかに敏感に甲状腺機能の異常を検出することができます。 甲状腺刺激ホルモンTSHに異常が確認されたら、その後でFT3,FT4などの検査を追加すればよいのです。 甲状腺機能低下症の大部分は、橋本病ですので、各種の抗甲状腺抗体が測定されます。橋本病では、TSHが高く、かつ、FT3・FT4が低下する他に、抗甲状腺抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)が陽性になります。 尚、甲状腺機能低下症は、一般の血液検査などに異常があって、付随的に発見されることが多いのです。甲状腺機能低下症では、血液検査での、総コレステロールや中性脂肪の上昇、アルカリホスファターゼの上昇、CPK上昇、血沈亢進、γ-グロブリン上昇などが観察されます。また、胸部エックス線での心肥大、心電図での徐脈や低電位などが現れます。 これらの症状が現れると、甲状腺機能低下症の疑いはあるのですが、加齢や他の病気でも同様なことが起こるので、この病気特有というわけではありません。ですから、このような症状が観察されたら、いずれにしても血液中のTSH濃度を測定する必要があります。 |
| ◆「甲状腺機能低下症」の治療方法をご説明します。 |
| 甲状腺機能低下症の治療 | 甲状腺機能低下症の治療法は、甲状腺のホルモン剤の内服療法だけです。通常、毎日1~2錠のホルモン剤を服用するだけです。薬の量は甲状腺ホルモンの状態を見ながら調整します。 稀には、薬を数ヶ月間にわたって服用するだけで、正常になる人もいますが、通常は、一生涯この薬を飲み続けなければなりません。必要なのは、3~6ヶ月単位で血液検査を行いホルモンバランスを確認することだけです。 用法・用量を間違わなければ、この薬による副作用はありません。 |