ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 ふたりきりの延長戦【浜速】2011年9月15日 01:0420話があまりに浜速回でうわあああって爆発しそうになって書きかけだったSECRET DATE()の続きを一気に書き上げてしまった。続編期待タグをつけてくれた方ありがとう!なんとか年齢制限入れないように頑張った!あとアニメで呼び方「浜野くん」でしたねすいません、次からは君つけます。髪をほどいた速水が好きだ。速水の髪をほどくのが好きだ。生白くて薄ら細っこい、そのくせ俺より背のでかいこのネガティブな恋人は、最初こそ恥ずかしいとか痛いとかで拒んでいたけれど、今ではすっかり慣れてしまったようで、おとなしく俺に髪をほどかせてくれる。するりと髪を止めるゴムをひっぱると、癖のついた赤い髪がふわふわと頭のてっぺんで踊っていた。「んー。」「んー、じゃないです。シャワーこっちに貸してください」人が満足してたのに、やけに冷静な声が俺の手からシャワーをひったくった。俺んちの狭い風呂にふたりきり、汗を流すためだけだから湯も張っていないのでシャワーは取り合いだ。「俺、あと髪流したらもう出るから」「待ってくださいよ、せっかく一緒に入ってるのに」「ちゅーか、速水来るの遅いんだもん」一緒に風呂に入っているからといって、別に色っぽい雰囲気になんて全然ならない。髪をほどく瞬間、少し心が疼いたけれど、それだけだ。風呂なんだからもちろんお互い裸で、眼鏡をはずして髪もほどいて、シャワーを浴びて顔が少し赤い、ずぶぬれの速水の姿なんて最初のうちはそれこそやばかったけど今ではだいぶ慣れた。慣れた、とは言っても「いいよ」って言われたらしっぽ振って飛びついちゃうけど。速水はじっと目を細めて俺を見て、目を伏せて逸らし、頭からシャワーをかぶってシャンプーでぐるぐる頭をかき回しながらつぶやいた。「濡れた浜野の髪は好きですよ」俺はなんかそれが妙にうれしくって、「俺も、おろした速水の髪、好き」って答えた。速水は「知ってますよ」と小さく微笑んで、その笑顔がなんてかわいいんだろうとちょっと見とれてしまった。シャンプーで泡だらけで、鼻の頭にちょっと泡が乗っかってるのがいい。クリームついてるよ、なんて食べたくなっちゃう。食べないけど。シャンプーだし。シャワーだけだっていうのにちょっとのぼせそうになる頃、やっと速水が汗を流し終わってくれた。軽くサウナだ。暑いし熱い。「あっつーーーい!」開放感に満たされながら風呂を出てパンツ一枚で髪を拭きながら冷蔵庫開けて新しい麦茶に氷を突っ込んで一気飲み。美味い、マジで美味い。「浜野、おれにも」口の中で氷を転がしながらその冷たさを味わっていたら肩を叩かれた。俺は何も考えずに、速水の美味しそうな薄い唇に自分のそれを重ねて、氷の塊を速水の口の中に流しこんでやった。「んむ…。いや、そうじゃなくって」「あははー。いいじゃん、冷たいでしょ」「…逆に熱いような…」速水は何か言いたそうにもごもごしていたが、結局口の中の氷をがりがりやりはじめた。かわいいなあ、もう。薄いTシャツ一枚にトランクス。濡れてほどけた髪。いいね。そそるよね。「ほら、上行こー。風邪ひくよ」がりがりやってる速水の頭にかぶせた白いタオルを頭ごと掴んでごしごししてやる。意外と毛量がある速水のふわふわ頭は水を吸うとなかなか乾かない。でも俺は速水の髪がすごく好きだから、そんな濡れた髪を拭いてやったりするのも楽しい。タオルを速水の頭に乗っけたままにして、手を引いて階段を上がる。俺のあとにくっついて俺の部屋にぽてぽて歩いてくる速水の細い足首も好き。またベッドに並んで座ったときに手を伸ばして引き寄せる腰の細さとかも。おっと、その体制のまんま俺の顔をじっと見てる顔が二度目のキスを強請っているみたいに見えて、ちゅ、と引き寄せられるように唇を重ねた。「…ちゅーか、冷たくね?」「あなたの氷のせいでしょう」べ、と小さく赤い舌を出されて、それもそうかと思い直す。いつも熱を帯びた速水の唇ばかり味わっていたから、たまには冷たいのも悪くない、というかこの季節だしちょうど気持ちいい感じ。窓を少し開けるとさわやかな風がシャワーで火照った身体をひんやりと撫でていく。俺の部屋から見渡す夕暮れの稲妻町の街並みは燦然としていて、前に一度速水が好きだと言ってくれた。それから俺はこの風景をもっともっと好きになった。枕元に置いてあるコンポのリモコンの再生ボタンを押して、入れっぱなしになっている何かのCDを再生した。前に速水と一緒に例の「CDショップ」に行ったときに買ったものだ。音楽好きな速水に付き合っていたら俺の部屋にもずいぶんCDが増えて、親のお古のこのコンポもずいぶん出番が増えた。速水がリズムを取っている。知ってる歌なんだ。そりゃーそうか、そーいやよく音楽番組とかで聞くやつだもんな。速水は楽しくサッカーしてイキイキしてる感じもいいんだけど、こういう黄昏の下で髪をおろして音楽聞いているときのほうが速水らしい気がして俺は好き。こう見えて意外と表情は豊かだから、人並みに笑ったり怒ったりする。でも最近笑顔を見ることがどんどん少なくなっていて俺はちょっと気になっていた。でも、今日はいっぱい笑ってくれてる。よかった。俺と居ることで速水が喜んでくれるのが俺は一番嬉しい。だって、俺速水のこと大好きだから。リラックス、出来たのかな。それなら、よかった。右手で抱いたままだった速水の細い腰をきゅ、っと引き寄せて両腕の中に閉じ込める。「……。」速水もおずおずと俺の背中に手を回してくれた。そのままぼすっと布団に倒す。「布団濡れますよ。髪、ちゃんと乾いてないでしょう」「平気、平気」「平気じゃないのは俺の頭です。きちんと櫛を入れて乾かさないと、ボンバーです。ぼーん、です」ジェスチャーを交えてわがままを言う腕ごと捕まえて、押し倒すみたいに上から乗っかってやる。俺は速水といちゃつくなら寝転がるほうが好きだ。そのほうが身長差が気にならないから。「いーじゃん、どうせもう一回風呂入るんだろ」「何する気ですか」「ん~、なんだろうね」別に今日のところは何をするって気でもなかったんだけどな。だから、風呂でも抑えたし、今日はもうこんな時間だから母ちゃんも帰ってきちゃうだろうし。「とりあえず、もっかいちゅーする」「そういうことは宣言しなくていいです」照れた速水の頬を撫でて、黒い眼差しを逃さないようにちゅ、と唇に噛み付く。あまり深くし過ぎると俺のほうが危ないから、少し控えめに。「…ふ…っ」相変わらず、速水はキスの最中の呼吸が下手だなぁ。苦しくなる前に鼻から吸うんだよって何度も教えたのに上手にそれを実践できてない。だから苦しくなって変な声が出る。変な声を出すから、俺が止まれなくなるんだ。「ん、ちょ、浜野っ」「んー」これ以上はちょっと危ないから名残惜しいけどゆっくり身体を離した。「なんにもしないよ」「…もう、遅いじゃないですか」速水の髪、まくらに散らばってすげーきれい。俺の海の色をしたベッドに散らばる赤はユラユラと波打って、サンゴ礁みたい。「へへ」「へへ、じゃありません」まだ息を乱したまま、真っ赤な顔の俺の「カレシ」は、それはそれは俺の理性に巨大なインパクトを与えてくれるわけだけど、そんなことは二の次だ。今日は、速水が少しでも元気になってくれればそれでよかったんだから。そんな速水に見とれていたら、鞄に入れっぱなしだった携帯がヴヴ、とバイブ音を鳴らした。マナーモードのままだった。俺はこのバイブ音があんまり好きじゃないからちょっとびっくりしてしまった。「どうぞ」速水の白い腕が俺の胸を押して、携帯を触る許可をくれる。別に許可が欲しいわけじゃないけど、恋人と一緒にいるときに携帯を触るのはあまり行儀がよろしくないから、この一言をもらえると俺は安心して携帯を手に取れるわけだ。「もしもし、かーちゃん?何?」そろそろ帰ってくるはずの母ちゃんからの電話。え、なにそれ、ちょっとラッキーじゃない?電話を切って、振り向いて、速水の胸にダイブ。「わ、わっ?なんですか!」「母ちゃん、仕事仲間と飲み会するから遅くなるってさ。…どうする速水?」ニヤ、と、自分でもいやらしいなってわかる笑みを唇に浮かべる。だいぶ暗くなったけれど、まだ地平線には薄く太陽が見えるくらいの時間。ふたりきりで居られる時間に長いロスタイムをもらってしまった。「…延長戦ですか」何かを諦めたように、速水がつぶやいて起こした身体をもう一度ベッドに沈める。「髪、くせがついたまま乾いてしまいましたし」「うん」「どうせもう一度シャワーを浴びなくてはならないから」「うんうん」「…そんな、お預け食らった犬みたいな期待した眼差しを向けないでください」「えー」速水が少し、笑った。マジでかわいい。「仕方ないですね。いいですよ。おいで、浜野」「わん!」「わん、って…」「犬みたいって言ったの、速水じゃん」片手で大好きな景色を映す窓を閉めて、カーテンを閉めて。速水は勝手知ったる俺の部屋の電気を消していた。さあ、準備は万端。それではいざ、「いただきます」「いただかれます」延長戦、開始。fin.