この連載は、かつて、クリエイターならではの切なさや怒りの感情をマンガで表現し、多くのクリエイターたちの共感を呼んだ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” のスピンオフ企画。日影工房の主要メンバーであり、「妊娠・出産・子育ての中で、仕事をする機会を奪われがちな女性の “ 働く ” をサポートしたい!」という想いから生まれたウーマンクリエイターズカレッジの創設者でもある松本えつを(役名:きのこ)さんが自身の出産体験を元に、ニッポン人女性の視点から妊娠・出産・育児にまつわる「あるある」をお届けします。(いえーる すみかる編集部)
こんにちは。
今回は、連載始まって以来初めて「R18指定ネタ」に触れたマンガをお届けするよ。
※ とはいえ、本記事は18歳未満でも問題なくご覧いただけます。
ユッキーの旦那さんの「欲求不満の訴え方」、直球なのかカーブなのかわからなくて、女性からしたら微妙……。
だが、それはさておき。
さて、妊娠中に、誰もが一度は疑問に思うことのひとつ。
「妊娠中のセックスってどうするの?」
わざわざ人に聞くのもなんだかアレなので、調べたりすると、だいたいが「基本的に大丈夫だけど、感染症を防ぐために避妊具をつけてね」、「体調に異変が起きたらすぐにやめてね」などと書いてある。
ふむふむ。なるほど、なるほど。
(……体調に異変が起きたらやめるとか、そりゃ妊娠中じゃなくてもそうだろうけどね!)
しかし、そもそも妊娠中に性欲がどうなるのかについてや、夫婦でそれらが一致しないときはどうするのかについては、あまり多く記されていない。
逆の場合もある!? 妊娠すると性欲が減退するとは限らない
妊娠するとホルモンバランスに変化が起き、性欲が減退するという説がある。
確かに、妊娠や出産によってホルモンバランスは大きく変化するし、「ひとつの身体の中で、もうひとつの命が生まれ育つ」という神秘的かつデリケートな時期なので、性欲が減退するというイメージはまさにぴったり。
でも、実際はそんなにシンプルにパターン化されるものではない。
「個人差」があるし、「妊娠中のどの時期にいるか」にもよるし、「妊娠のたびに違う」という場合もあるし、じつにさまざまである。
「ひとりひとり違うし、時期にもよる」。
これって何かに似てない?
……そう、「つわり」。
性欲の増減も、つわりみたいなものなのだ。
きのこリサーチによると、妊娠中の性欲の増減にもびっくりするほどいろんなパターンがあったので、その一例を紹介しよう。
・「もともと性欲が旺盛だったうえに、妊娠したらさらに性欲が増した!」
どちらかというともともと性欲旺盛だったわたし。妊娠がわかって、欲求が弱まるのかなぁと思っていたら、ぜんぜんそんなことはなく、日を追うごとにどんどん強くなる一方。妊娠初期から臨月まで、全期に渡ってかなり積極的に求めていたので、旦那に心配されました。ひょっとしたら、内心、ドン引きされていたかもしれません(笑)。
・「妊娠前から性欲が弱い方で、妊娠してもまったく変わらなかった」
もともとセックスには消極的なタイプでした。嫌いとまではいかないけれど、率先してしたいとは思わない。「相手を好きな気持ちとはまた別物」と思っていたし、「パートナーと行為を楽しもう」という発想もあまりなかったですね。妊娠しても、それは変わらず。夫が普段より気を使ってくれたせいか、妊娠判明から出産までは1度もセックスをしませんでした。
・「セックス大好き! と自負していたのに、妊娠後期から産後にかけて苦手になった」
うちはもともと夫婦揃ってセックスが大好き(笑)で、妊娠前も妊娠がわかってからも、それまで通りの頻度で仲良くしていました。でも、妊娠8ヶ月頃から急にわたしの欲求が弱まり、どうもその気になれなくなったので、「お腹が重くて苦しい……」、「後期つわりで胃がムカムカする」などの理由をつけて回数を減らすように。出産後はますます減り、今では、いわゆるセックスレスに近い状態です……。
・「もともと無関心だったけれど、妊娠中期からムラムラと欲求不満を感じるように……」
わたしの場合は、もともとセックスに無関心だったのですが、つわりが落ち着き、安定期に入った頃に変化が訪れ、やたらと人肌恋しくなりました。とはいえ、旦那にそれを伝えるのもすごく恥ずかしく、人生で初めて、ムラムラする気持ちをどう処理するかについて悩みましたね。最終的には正直なことを打ち明けて解決しましたけれど、この経験をもって、欲求不満な男性の心情を学べたような気がします。
本当にいろんなパターンがあるよね。
女性は変化したりしなかったり……とさまざまだけど、一貫して言えるのは、「奥さんを気遣って行動を変えるということはあっても、男性側の性欲が自発的に変化することはあまりないみたい」ということ。
そこで重要になってくるのはやっぱり、「夫婦間コミュニケーションの深さ」なんじゃないかな……と思う。
「どうしてもそんな気分になれない……」というときの対処法は?
そこで、マンガに出てきたユッキーのように「どうしてもそんな気分になれない……けれど相手は求めてくる」といった場合にも、パートナーとの間に亀裂が入らないようにするための考え方のコツや対処法をいくつかあげてみた。
周囲からのすり込みや自分自身の思い込みから、ますます性欲が減退してしまうこともあり得るため。
[2]「今の状態がずっと続くとは限らない」ということを互いに理解する。
何ごとも、一過性のものだとわかれば、受け入れられる範囲も広がるため。
[3]「性欲を満たす方法はセックスだけじゃない」ということを思い出し、努力する。
頑なに接触を拒むのはNG。そんなときこそ、スキンシップは普段より多めに。
[4]「性欲は弱まっても愛が弱まったわけではない」ということを伝える術を持つ。
言葉や表情、普段の生活における行動でも、愛情は伝えられるし、感じてもらえる。
[5]「浮気や風俗以外で旦那さんが性欲を処理する機会」をさりげなく提供する。
いやらしいことではなく、健全なことであると理解し、協力する姿勢を持とう。
[6]「セックスについての考え方」を定期的に確認し合う機会をつくる。
時期によって変わることもあるので、結婚に際して1度話し合うだけでは不十分。
こういったことがうまくできれば、妊娠中の夫婦間のすれ違いから起きる悲劇も減らせるんじゃないかな……。
大事なのは、どちらか片方が常に相手に合わせてガマンするのではなく、「互いに相手の気持ちや立場を理解して歩み寄る努力をする」ということ。
男性陣は、言わずもがな、奥さんの妊娠という「いわゆる非常事態」をちゃんと理解すること。
そして、妊娠している女性陣は、「身体が大きく変化しているのは自分だけであり、それに相手が合わせてくれようとしている」という状況を、感謝の気持ちとともに理解すること。
このとき、「奥さんは妊娠していて大変なんだから」というのは旦那さん側が思えばよいことで、女性側が思うべきことではない。
もし、「わたしは妊娠していて大変なんだから!」と、妊娠を切り札に相手を判断や行動を従わせるクセがついてしまうと、先々、非常にキケンである。
多くの夫婦の場合、妊娠・出産のタイミングは、何十年も続く「共に歩む人生」の最初の方にあるはず。
そう、まだまだ先は長いわけですよ!
大切なのは、この時点で互いの考え方をオープンに話し合い、尊重し合い、すり合わせていくこと。
妊娠中さえ乗り越えられれば……なんてその場しのぎの切り抜け方をしていると、あとになって「つじつまが合わない」と指摘されることになるかもしれないよ! ねっ、ユッキー!
その後、無事に出産してから、また「共に歩む新しいステージ」が始まるのだから。
文:松本えつを
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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)
絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイブックス)等。
◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)
1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
* ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」